今回の【科捜研の女19】は“赤い宝石”を巡る騒動の話です。赤い宝石とは何か?そしてなぜそれを欲しがるのか?“善意”とはいったい何なのか?そんなことを考えたくなる話でした。
【科捜研の女19】12話のあらすじ
神社の境内で、宝石店の警備スタッフ・春田光彦(モト冬樹)が脇腹を刺されて倒れているところを発見された。幸い一命は取り留めたものの、昏睡状態が続いているという。
公式HPから引用
榊マリコ(沢口靖子)らが臨場したところ、現場には花びらや赤い小さな実のようなものが散乱しており、どうやら春田が犯人に襲われた際、持っていた花束を振り回したようだった。また、地面には春田が指で記したらしいアルファベットの“Y”が3つ残されていたほか、春田の手帳の事件当日の欄に“赤い宝石”という言葉が書き込まれていたのも大きな謎だった。
土門刑事(内藤剛志)らが花束を販売したフラワーショップを突き止めたところ、現場に散らばっていたのは“ペッパーベリー”という樹木の実だと判明。店主・香坂めぐみ(大村彩子)はそれを”赤い宝石”と名付けて店頭に並べていたことがわかる…。
その後、花束のバラのトゲに付着していた血液から、傷害や恐喝などで4度の逮捕歴がある男・諸星大地(石垣佑磨)のDNAが検出される。しかし、諸星は春田など知らないとシラを切るばかりで、2人の接点がまるで見当たらない。
だが、やがて2人を結ぶ意外な線が浮上。それを知ったマリコは“3つのY”が指し示す、ある“秘密”に気づくが…!? はたして“3つのY”とは何を表しているのか…!? また、“赤い宝石”という言葉の真の意味とは…!? そして――最後にマリコたちがたどり着いたのは、“運命のいたずら”ともいうべき2人の出会いから生まれた、あまりにも切ない真相だった…!?
【科捜研の女19】12話のネタバレ
【科捜研の女19】12話の感想
“赤い宝石”とは何か?それがわかってからの話は、マリコや春田の行動が見ていてちょっと怖かったです。諸星は確かにクズかもしれません、しかしそれを“善意”のために強要するのはどうなんでしょうか?そして善意の行動をする春田が、目的のために脅迫をするのはどうなのか?気味が悪い話です。
正義感や善意を振りかざして、正当性を主張するのはまさに『地獄への道は善意で舗装されている』を地で行きます。正義感や善意は自発的なものであり、他者に強要するものではないと思います。赤い宝石を使いたいのであれば、時間をかけてでも諸星をその気にさせる、という手順が必要だったのではないか?そんな気がします。
赤い宝石とは?
春田の手帳に書かれていた“赤い宝石”という文字。さらに春田が倒れていたところに書かれていた“YYY”の文字。この文字の意味を巡ってマリコたちは考えます。その意味とは何だったのか?
YYYについての推察
- 誰かのイニシャルならアルファベット三つ(宇佐美)
- 消防署のマークってこんな感じじゃない?(亜美)
- 電気回路のYパラメーターじゃない?(呂太)
- イットリウム元素記号かも?(マリコ)
- 「あげまき」という漢字(所長)
科捜研だけあって、Yという文字一つでも色々な考察がでてきます。しかし、所長が説明していたところ、マリコがやってきて人間が持つ抗体のことだと解明します。
抗体とは4本の鎖からなるY字形の構造を持っていて、Y字の先端部分が体内に侵入した異物、すなわち抗原と結び付く事でこれを排除しようとするものだそうです。以前春田が治療した時に、諸星は特殊な抗体を持っていたことがわかります。
赤い宝石の正体
抗Dヒト抗体が赤い宝石だったのです。この抗Dヒト抗体とはいったい何なのか?この抗Dヒト抗体を多量に含む血液から、抗Dヒト免疫グロブリン製剤を作る事ができる。ということですが、もう少し詳しく説明してくれます。
- 血液型がRhマイナスの女性がRhプラスの赤ちゃんを妊娠すると、母体が赤ちゃんの血液を異物と見なして、本来なら存在しない物質を発生させる事がある。
- 第二子を妊娠した時、母体のこの物質が赤ちゃんの赤血球を攻撃してしまう場合がある。
- 攻撃すると生後、黄疸や新生児溶血性疾患、流産を引き起こす可能性も高い。
- 第一子を妊娠した時にこの抗Dヒト免疫グロブリン製剤という薬を打つと、母体のこの物質からの攻撃を未然に防ぎ、安全に第二子を出産する事ができる。
- ただ、薬の原材料となり得る血液の持ち主は、これまで国内ではほとんど見つかっていなかった。
ということだそうです。非常に珍しい血液のために“赤い宝石”と呼ばれていたわけです。諸星はこの抗Dヒト抗体を持っているということになります。
春田はそんな諸星のことを「よりにもよって、あんな男の体にお宝を埋め込むとはね」と残念がります。諸星にしてみれば、春田に善意を強要されることのほうが残念です。
6年前の殺人事件
春田はこれを利用して諸星を脅迫します。どんな事件だったのか?
- 2013年7月大阪市浪速区のキャバクラで発生
- オーナーの平野竜也が胸を刺されて死亡
- 諸星は重要参考人に浮上するが、証拠がなく逮捕されず
- 小杉の半グレグループと店の権利を巡って対立していた
- 小杉が諸星に殺害の指示をする
春田が諸星のマンションに行き、ゴミ出しに来たところを説得します。しかし諸星は応じずその場を去ります。捨てられたゴミ袋に、赤い血のようなものが見えて春田は勝手に袋を開けます。すると、この時に使用された凶器が出てきました。
うかつに捨てる諸星も諸星です。春田はこの凶器を持ち帰り、その後、血液提供を6年にわたって脅して強要しました。事件の殺人犯は諸星で、殺人の指示をしたのは小杉ということになります。
諸星大地とは?
赤い宝石の持ち主です。どうしようもない奴と、番組内では描かれています。どんな人物なのでしょうか?
- 2000年8月12日傷害罪
- 2003年11月8日窃盗罪で懲役2年
- 2007年9月22日恐喝罪
- 2008年2月11日傷害罪で懲役4年
- 2012年12月28日大阪市で半グレ同士の乱闘事件
- 2013年7月殺人をするが逮捕されず
- 現在街金の取り立てをやっている
刑務所を行ったり来たりの繰り返しな人生のようです。そんなもんだから春田には「ああいう連中は、反省なんかしやしない。何度逮捕されようが何度服役しようが、少しも変わりゃしないんだよ」と言われます。
しかし強要されているうちに、良心のようなものが芽生えてきたようです。脅迫者の春田の意識がなくても定期的に行っていた血液提供に行き、感謝の手紙をもらった際には正体を明かさずに訪ねます。そして逮捕される前に、血液を提供してから行きます。
ただ、花屋の人にマリコたちは「殺人犯だった」というだけです。血液提供者とは言いません。だから花屋が「他人の命を奪って逃げ続ける人もいれば、誰かの命をずっと救い続けてくれる人もいる。人間って不思議ですね」なんてことを言います。それ、同一人物ですから。と突っ込みたくなります。
【科捜研の女19】12話のその他気になったこと
- 「キラキラファイナンス」という借りたら最後っぽい街金の名前
- 土門さんに言われ蒲原が子供にやられる役
- 「三途の川って本当にあるんだね」と呟く春田
- 諸星に「血の気が多いから減らしたほうがいい」と血液提供を呼びかける春田
- 暴れる諸星に「まるで血液型不適合だな」と気の利いたセリフ
- 子供たちから見ると、マリコがプリンセスで土門さんが悪者
- “宝石のような心”とはどんな心なのか謎
- 適当な証言で諸星を犯人にする春田
- 真っ青な瓶に入っているストロベリーフィズという香水
- 「あいつ絶対、悪の手先だ」と恩人を罵る子供
【科捜研の女19】12話のまとめ
善意の強要の気味悪さに加え、無知なために恩人を悪者と言ってしまう恥ずかしさのコンボな回でした。他人の意思を尊重しない人プラス何も知らないから批判という、自分もこうならないようにしようと思いました。時々科捜研の女や相棒には、こういう回があって考えさせられます。
結局、春田は脅迫罪で捕まるのか?そこについては描かれてません。多分、小杉が殺人未遂、諸星は6年前の事件の殺人罪、春田が脅迫罪で捕まるのかなと想像しておきます。次回はマリコが茶をいれる話のようです。寿司回のように飯テロ再びなのか?