WOWOWのオリジナルドラマ【I, KILL(アイキル)】の4話のネタバレと感想をまとめています。
トキの死により生きる意味を失ったお凛は、生きる屍のようになっていた。一方、幕府は秘密裏に群凶を使って不老不死の薬を生み出すという怪しい研究をしていた。その結果、生み出されたものは……。
【I, KILL】4話のあらすじ
◢◤連続ドラマW I, KILL◢◤
— WOWOWオリジナルドラマ (@drama_wowow) June 7, 2025
📍6/8(日)午後10:00放送
▕ ▌Episode4 贖罪
タツ村の牢獄に入れられたお凛(#木村文乃)。
そこでは学者・センヤ(#室龍太)が群凶にまつわる薬の開発を行なっており、それが元となってお凛たちが惨劇に見舞われる―
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トキ(田牧そら)が死んだことで絶望したお凛(木村文乃)は自ら命を絶とうとした。だが、十兵衛(山本耕史)の手により助けられ、その後、牢に囚われていた。
女囚となったお凛はまるで生きる屍のようになっていた。覇気を失ったお凛を同房の女囚・桜(穂志もえか)が励ます。彼女は隠れキリシタンだった。
士郎(田中樹)を捕らえられなかった罰として、十兵衛は父の柳生宗矩(矢島健一)に命じられ、お凛が牢に入れられている村へ派遣される。そこではセンヤ(室龍太)という男が怪しげな研究をしていて……。
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【I, KILL】4話のネタバレ
センヤは群凶の肉を使い、不老不死の薬を生み出そうとしていた。その手伝いをしていた女囚のカヨが、もうすぐ牢から出られるに違いないと女囚たちに触れ回ると、恨みを買い他の女囚たちにリンチされる。
その後、カヨの様子はおかしくなり、研究室から持ってきた群凶の肉をしし汁の中に入れ、口にした女囚たちがみな群凶化する。
嫌がらせを受けてお凛は汁を飲んでいなかったため、群凶化せずに済んでいた。そこに十兵衛が助けに現れ、トキが士郎と一緒にいるらしいという話をする。それを聞いたお凛は再び生きる希望を持ち、桜と一緒に混乱に乗じて牢を抜け出す。
だが、一口だけしし汁を飲んでしまっていた桜は、途中で群凶になり始める。お凛は彼女を抱き締めながら、完全に群凶化する前に殺した。
士郎は隠れキリシタンの村に身を潜め、そこでトキを甦らせた。
失った希望
燃え盛る炎の中、お凛(木村文乃)はトキ(田牧そら)の亡骸のそばで茫然と立ち尽くしていた。士郎(田中樹)は自らがトキを殺してしまったことを知り、動けずにいるところを十兵衛(山本耕史)たちに連れ去られる。
残されたお凛は、士郎が持っていた刀を手に取り、討伐衆たちに斬りかかる。十兵衛は素手で刀を受け止め、「落ち着け」と言って制し、こんな場所は諦めてどこかへ行けと見逃した。その隙に士郎は逃走した。
お凛はトキの亡骸を一度抱きしめると、再び刀を取り、自らの首を斬って命を絶った。
翌朝、宿場では討伐衆たちが遺体の搬送と後片付けを行っていた。氷雨(富田靖子)は士郎を欲しており、青葉(黒崎レイナ)に捜索を命じる。お凛の遺体も運ばれていき、それを見た氷雨は「バカな子」と呟いた。
家光と春日局
江戸城では徳川家光(田中樹)が春日局(山下容莉枝)と対面していた。家光は群凶の動向について尋ね、多胡宿の殲滅が最後の報告だと伝えられる。
そもそもその殲滅自体も事実なのかと疑念を口にする家光に対し、春日局は討伐衆の働きにより群凶は制圧されたと聞いていると答える。「ある」ことを証明するよりも、「ない」ことを示す方がはるかに困難だと述べる家光を局はあしらうようにして、あとは家来に任せよと告げた。
左遷
柳生宗矩(矢島健一)は討伐衆を道場に集め、今後の方針を伝えた。現状、事態は領内に収められているが、いずれ露見するのは避けられず、すべてを知った士郎の存在もまた脅威となりうる。下手をすれば、この世が終わる可能性すらあると宗矩は警告する。
討伐衆の指揮は自らが執ると宣言し、十兵衛に対しては任を解くよう命じた。そのうえで、十兵衛にはタツ村へ向かうよう指示を出す。家康公の時代から伝わる医学書があり、それに基づいて薬を作るよう命じたのだった。
また、囚人たちに殲滅の後始末を行わせているため、十兵衛にはその監視も任せるよう命じる。宗矩は、氷雨たちが勝手な行動を取り、さらに士郎を逃したことに強い憤りを抱いており、その罰として十兵衛を村へ送る決定を下した。
操り人形
十兵衛は酒を手に家光のもとを訪れた。家光は中へ入るよう促し、二人は差しで酒を酌み交わす。家光は、タツ村には優れた学者が派遣されているのだろうと推測を口にする。
自らについては、子をなすためだけの将軍にはなりたくないと嘆いた。さらに、十兵衛が罪人の村へ向かわされるのは何かを取り逃がした罰だと聞いていると言い、何を隠しているのか問いただす。だが十兵衛はふざけてはぐらかし、答えようとはしなかった。
そして酒を飲みながら、「操り人形も楽じゃねえな」と十兵衛はつぶやいた。
生きる屍
タツ村では囚人たちが互いに揉め合っていた。その牢屋の一角に、お凛の姿があった。囚人たちが外で群凶の捜索に駆り出される中、お凛はどこからか聞こえるうめき声に耳を澄ませる。そして現れた群凶に対し、抗うことなくそのまま殺されようとしていた。
その瞬間、十兵衛が現れ、群凶を一太刀で斬り捨てる。
あの日、燃え盛る炎の中で自害しようとしたお凛を、十兵衛が止めていた。斬ってくれと懇願するお凛に対し、「女の介錯はしないんだわ」と言って刀を収める。お凛は力尽きて気を失い、崩れ落ちる体を十兵衛が抱きとめた。
今もなお覇気のない表情を浮かべるお凛を見て、十兵衛はどうにかして励まそうと試みていた。
救いの手
お凛は崖の縁に立ち、今にも身を投げようとしていた。そこへ同房の女囚・桜(穂志もえか)が現れ、お凛の頬を張る。「人が減ったら仕事が増えんだろ?」と言い放ち、そのまま「帰るよ」とお凛を連れ戻した。
その後も桜はお凛に食べ物を持っていき、何とか食べさせようとするが、お凛は口をつけようとしなかった。そこへお品()が現れ、桜に絡みはじめる。その拍子に桜の首から木札が落ち、それをお凛が見つけ、そっと拾って隠した。
怪しい研究
十兵衛はセンヤ(室龍太)の研究室を訪れる。そこでは囚人のカヨ()が「たる番」と呼ばれる役目を担っていた。センヤは仁志(金山一彦)の残した書物をもとに、群凶の肉を用いた薬の研究を進めていた。それが成功すれば、人の姿のまま人ならざる力を得るという。不老不死の存在となる可能性すらあるとされていた。
カヨは牢屋に戻ると、たる番の仕事は楽だし、もうすぐで娑婆に出られると嬉しそうに語る。というのも、これまでたる番を担当した者たちは、皆牢に戻ってこなかったからだった。
その頃、お凛はひばり(佐藤江梨子)に絡まれていた。「あんた、あの男の女なんだろ」となじられるが、お凛は何も言わず、手にしていた小枝でひばりの顔を切りつけた。
妬み
夜中、ひばりは他の囚人たちに合図を送り、カヨの上にむしろをかけて集団で暴行を加える。殴る蹴るの激しい暴行だった。桜は、「一人だけ娑婆に出るなんて、許せなかったんだろう」と呟く。
その様子を見ていても、お凛はまるで興味がないように無表情で佇んでいた。
そこへひばりが近づき、お凛に向かって「――あんたはこんなもんじゃ、すまないから」と低く告げた。
生きる意味
翌日、囚人たちは再び死体の捜索に駆り出されていた。桜はお凛の手に手ぬぐいを巻いてやりながら、「あれ、まだ持ってる?」と問いかける。お凛は懐から木札を取り出し、桜に手渡した。桜は、こんなものが見つかれば即刻打首だと話す。
桜は語る。自分には勘太という息子がいるのだと。だから一刻も早く帰って、村の皆を守ってやらなければならないと続ける。そして、お凛にも誰かを守ってきた目をしている、お母ちゃんのような目だと重ねた。
桜は木札を握りしめて祈りながら言う。「神様が見てる。信じていれば救われる。うちの仲間が見たんだ、死んだ人間が甦るのを」と。だが、お凛は「神様なんていないよ」と冷ややかに告げる。
その言葉に桜は驚き、お凛が口をきいたことに目を見張る。桜の語る「甦り」に対しても、お凛はすぐさま否定した。死んだ人間は甦らない。もしも甦ったように見えたのなら、それはもう人間なんかじゃない――そう言って、お凛は桜の手を握り、静かに諭す。
桜はお凛の手の甲を撫でながら笑う。「お凛さんは面白いね。お母ちゃんみたいで、でも子供みたいだ」と、やわらかく言った。
隠れキリシタン
十兵衛が見張りをしていると、ヒデロウ(西村拓哉)がやってきて、士郎を目撃したという報告を伝える。
その夜、桜はどこからか酒を盗み出し、お凛と一緒に酒を飲む。桜が楽しげに振る舞う一方で、お凛はカヨの様子を見て、「あの人、もう正気じゃないのかもしれない」と静かに呟いた。
翌朝、カヨは鍋に群凶の肉を持ち込み、中に加える。やがて囚人たちに食事が配られ、椀の中に肉が入っていたことに皆が歓喜して貪るように食べ始めた。しかし、お凛は手をつけずにいた。すると、ひばりが近づき、お凛の椀をわざとこぼす。
それを見た桜は怒り、ひばりに殴りかかる。揉み合いの中で、桜の木札が地面に落ちてしまう。ひばりはそれを拾い上げ、十字架が彫られているのを見て「キリシタンは死罪だ」と嘲笑する。
その様子を見たお凛は、ひばりから木札を奪い返し、桜にそっと返した。そして「お前も同罪だ」と言い放ち、「仲良く地獄へ行きな」と他の囚人たちを焚きつけ、騒然とした空気が広がっていった。
群凶を作る
「なんでかばったの?」と桜が問いかける。「ごめんね、お凛」と続ける桜に対し、お凛は静かに答える。「私は報いだと思っている。人を殺したんだ、たくさん」
桜は言う。「だからこそ、生きなくちゃいけないんだ。罪を償うために人は生きるんだよ、お凛」
そのとき、突然カヨの笑い声が牢に響き渡る。口の周りを血や何かで汚しながら、カヨは「私はここから出る、必ず」と叫び、頭を牢の格子に何度も打ちつける。額から血を流しながら「だせ、だせ」と叫び続け、やがてその場に崩れ落ちて気絶した。
だがその直後、他の囚人たちも鼻をすすり始め、異変が広がる。そして、気を失っていたはずのカヨが突如立ち上がり、ひばりの首筋に噛みついた。カヨはすでに群凶へと変貌していた。
拘束されたままの桜とお凛を取り囲むように、周囲の囚人たちも次々と群凶化していく。そのとき、見張りの者が様子を見にやってきて鍵を開けたが、囚人たちは一斉に襲いかかり、彼らに噛みついた。
ひばりもまた、噛まれた傷から群凶へと変貌していた。牢は一気に地獄と化していった。
脱出
桜とお凛は混乱の中、必死に脱出を試みる。そこへ十兵衛が駆けつけ、お凛が再び生きようとしている姿を目にし、助け出す。
十兵衛は告げる。「トキは生きてる。士郎と一緒だ。墓里村にいる」――それを聞いた桜は、自分の故郷の村だと気づく。
「とっとと捕まえて江戸へ連れ帰る。一緒なら、トキも同じだろ。こんなところで死んでる暇あんの?」と言い放つと、十兵衛は火箸をお凛に差し出す。お凛はそれを受け取り、群凶と化した囚人たちを次々と刺し殺していく。そして桜の手を引き、牢から脱出しようとする。
その姿を見た十兵衛は満足げに言う。「そうこなくっちゃな、お前は」
そこへセンヤが現れ、「生け捕りにしてくれ、生き血を薬に使いたい」と訴える。「女囚群凶、素晴らしい」と叫ぶが、その直後、群凶たちに襲われ、引きずり込まれる。
ヒデロウが刀を十兵衛に渡し、「ここは俺らがやっておく。さっさと行けよ、先にあいつら捕まえちまうぞ」と十兵衛はお凛の背を押す。お凛は桜の手をしっかり握り、共に牢の外へと踏み出した。
その後、十兵衛たちは牢を焼き払いながら、「待ってろよ、士郎」と叫んだ。
【I, KILL】4話の結末
道中、桜が足を止める。鼻血を流し、咳き込みながら「あれ、なんだろう……あの猪汁かな、私、一口だけ飲んじゃったんだよ」と呟く。群凶化の兆候だった。
「子供を置いてきてる。守らないといけないんだ、私が」と桜は絞り出すように言う。それに対し、お凛は静かに「知ってる」と応えた。
桜は子供のことを思い出し、その名を叫ぶ。お凛はその叫びを受け止めるように、そっと桜を抱きしめた。そして、手にしていた枝で桜を突き刺し、群凶になる前にその命を断った。
お凛は桜を地面に横たえ、木札を胸に抱かせる。そして静かに立ち上がり、トキと士郎を探すため、歩き出した。
一方、墓里村。村人たちはオラショを唱え続けていた。その集落の中に、士郎の姿があった。彼は眠るトキにそっと呼びかけた。その声に応えるように、トキの目がゆっくりと開いた。
【I, KILL】4話のまとめと感想
研究により士郎なしでも、群凶が生み出せるようになったという話でした。
当初は多分群凶を生み出す薬を作っていたのではないと思いますが、結果的に群凶が生まれることになります。これにより、いつでも群凶を使ったテロ的なことが起こせるようになりました。
それとは別に士郎はトキを甦らせます。それを奇跡と崇める信者たち。名前といい時代といい、天草四郎を彷彿させる展開です。そうなると幕府と士郎が激突し、島原の乱を起こすのか?など気になるところです。
個人的に女囚の話や、桜が死ぬあたりの展開など、昔の映画を思い出します。また、牢から無数の手が伸びる演出は、『ゾンビ』へのリスペクトを感じました。
←3話|5話→
「ある」を示すことより、「なし」を示すことのほうが、極めて困難。