いざバングラデシュへ
そんな山本氏には大きな野望がありました。“日本の在庫屋”ではなく、“世界の在庫屋”になりたいというものです。そこで、バングラデシュへと飛びます。
- 首都:ダッカ
- 服の輸出量は中国に次いで世界2位
- 最低賃金:月8000タカ(約1万円)
- 各企業が中国からバングラデシュに工場を移している
中国が潤ってしまった今、最低賃金も上がってしまいました。そこで、各国の企業はもっと安く作れる国はないかと目をつけたのがバングラデシュです。町では衣料品の露天があちこちにあり、そこで服の売買をしたりしています。恐らく不良在庫を安く買って来て売っていると思われます。
しかし、バングラデシュも衣料品を最終的には廃棄していたのです。
なんとか、工場から在庫を買って帰れないか?そこで、山本氏は各工場に交渉をしにいきます。
- 工場A:「ストックを出したことが分かると、工場の信用に関わる」といって断る
- 工場B:価格交渉が折り合わず
輸送の費用がかかるので、買取の最低ラインがどうしても低くなります。そのため、なかなか交渉がまとまりません。すると、滞在4日後に日本から買い取り業者が来ているという噂を聞きつけた、衣料在庫のブローカーが訪ねてきました。
- 300以上の工場と契約している
- 服の売り先を探すのが仕事
怪しい人物なのか?さっそく交渉が始まります。
- 商品:ブランドもののダウン
- 在庫:5000着
ブローカー:7ドル
山本氏:4ドル。全部買うから
ブローカー:4.5ドル
1着約500円で交渉成立しました。次の商品は日本向けに作られていたものです。
- 商品:スウェットの上下
- 在庫:8000組
- 10万組作った余り
この商品は1組1.5ドル(約165円)総額約132万円を山本氏が提示し、ブローカーが「工場を説得してみよう」ということで交渉成立しました。在庫を売りたい彼らと買いたい山本氏、納得の交渉でした。この日だけで、約700万円分を買い取りました。
買い付けた商品を販売
1月中旬に大阪に買い付けた商品の第一便が到着します。40フィートのコンテナ1本に2万着入っていました。船便で送ったので約1ヶ月かかりましたが、状態を確認したところ匂いなどもなく良好でした。
- 商品:クルーネックニット
- 買い付け価格:1着400円
- 販売価格:980円(税込)
- ネットで販売
こちらがその商品となります。
早速モデルに着せて撮影し、その日の内にネットショップにアップします。一週間で100着売れたそうです。これに手応えを感じた山本氏はこう語ります。
バングラデシュで在庫品を買って、日本で売るビジネスは非常に可能性を感じる。買いに行っている日本人がいない。日本代表で世界一を目指して頑張りたい。
ショーイチの挑戦
山本氏の野望はさらに新しい事業を考えつきます。バングラデシュの工場へ向かい、自分の考え付いた話をします。
- 余ったデニム生地でジーンズを作る
- オリジナル商品として日本で販売
- 閑散期に作ってくれればいい
「余った生地」で「暇な時間」で「納期はゆるくていい」から“安くできませんか?”という提案
これは何も自分だけの得ではないと語ります。工場側のメリットは2つあります。
- 生地のあまりが解消される
- 閑散期に仕事がある
工場は毎日フル稼働というわけではなく、閑散期と多忙期があります。この話に工場はノリ気になり、早速職人に1着作らせます。この道30年のベテラン職人さんです、凄い手際のよさにビックリします。
そうしてできあがった商品を見た山本氏は、販売を決定しました。早ければ春に日本で発売予定で、価格は1000円以下で勝負するとのことです。
ここで疑問が一つ浮かびます。
作ったジーンズが余ったらどうするのか?廃棄ロスに繋がらないのか?
恐らく自分の店で売り切るのでしょうが、これは商売であって衣服ロスの根本的な解決にはなっていない気がしました。