今回で最終回を迎える【大富豪同心】は、前回からの続きとなって、卯之吉暗殺計画の話となります。
卯之吉の過去はわかるのか?美鈴との恋の行方はどうなるのか?その全てをうまくまとめることはできたのか?
ドラマ【大富豪同心】最終回のあらすじ
八巻卯之吉(中村隼人)の殺害に向け刺客として吉兵衛(宮川一朗太)が登場。吉兵衛は、偽卯之吉が由利乃丞(柳下大)と知らず罠を仕掛ける。そんな中、卯之吉は徳右衛門(竜雷太)から両親の死の真実、宿敵・天満屋(柴俊夫)との関係を告げられる。一方、卯之吉に化けた由利乃丞は、美鈴(新川優愛)と共に罠にかかり、絶体絶命に…。その時、卯之吉たちが現れる一網打尽に、その騒動の中で美鈴が傷つく。
公式HPより引用
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ドラマ【大富豪同心】最終回のネタバレ
ドラマ【大富豪同心】最終回の感想
最終回の大富豪同心は全ての話を上手に無理なくドラマ内でまとめました。
卯之吉の心に開いた穴の原因になった両親の話や、美鈴との恋もちゃんとまとめます。結果として美鈴とはうまくいくに決まっていますし、卯之吉が殺されるなんてこともないでしょう。
ただ、どうやって結ばれるのか?ということに注目して見ていました。
怒った卯之吉がとうとう刀を抜いてやっつけるのか?と思わせる気迫もよかったです。
そして美鈴に対する思いを告げる卯之吉もよかったですし、最終回に相応しい終わり方をちゃんとしてくれました。
卯之吉と両親の過去
卯之吉が人間不信になったきっかけが両親に捨てられたという過去でした。本人は捨てられたと思っていますが、果たして本当に捨てられたのでしょうか?その答えは祖父徳右衛門がようやく語ってくれました。
- 父が三國屋を乗っ取ろうとしたから勘当した
- 母も父と一緒に追い出された
- 卯之吉を置いていったのは、必ず戻ってくるという意味で置いていった
- 天満屋は元三國屋の大番頭である太兵衛
- 父をたぶらかしたのも太兵衛
- 両親は出て行って一年もしないうちに、東海道のとある宿場町で死亡
- 父は最期まで卯之吉が生まれた時にもらったお守りを握り締めていた
徳右衛門は自分が卯之吉の両親を殺したと後悔しています。だから卯之吉に話せずにいたのでした。
これを聞いた卯之吉は祖父を責めるではなく、育ててくれた感謝をします。そして同心にしてくれたことにも感謝をします。
「私をここまで育ててくれたのはお爺様です。同心にしてくれたことにも感謝しています。そのお陰で大事なことにも気付かされた。この世の中はお金で買えないものはありません。人も金で動きます。ですが、本気で人は動かすことはできない。それができるのは、この人のためにならと思える、その心だけだということを」
卯之吉の周りには美鈴を筆頭に荒海、銀八、菊野、源之丞と命を投げてでも助けてくれそうな人がいます。また、金で雇ってはいますが水谷、由利之丞と助けてくれる人たちもいます。
卯之吉は同心の仕事をしていた際に、様々なものや理由で命を張る市井の人たちを見てきました。
- 1話では芸を守るために自らも死ぬ豆福
- 2話では名誉のために命を張る美鈴の父溝口
- 3話では自分の子をかばって刑を受けるお弓
- 4話では吉原から一緒に逃げるため殺されてしまう春駒と安太郎
- 5話では医学のために悪事に手を染めてしまう爛堂と、その爛堂のために命を張る弟子たち
- 6話では子供のために命を張るお兼
- 7話では任務のために命を張っている村田
- 8話では兄の仇討ちをするために命を張る吉永
- 9話では愛する菊野のために命を張ってきた佐吉
今までの卯之吉はなぜそこまでこの人たちはするのか?まったく理解ができませんでした。
荒海も美鈴も勝手に命をかけている、頼んでもいないのになんだろう?と思っていたでしょう。みんな他人から見たら価値のわからないものを“守るため”に命を張りますし殺されたり死にます。
最終回にしてやっと卯之吉は気付きます。本気で人を動かすのは金でなく心だと。そこらの人が言っているのではなく、卯之吉ほどの大金持ちがそう思うのですから真実だと感じさせるセリフでした。
美鈴との恋の行方
なかなかくっつかない二人でしたが、最終回にようやく二人は結ばれます。卯之吉が心を開かないのが原因でしたが、卯之吉はなぜ美鈴に心を開くことができたのでしょうか?
- 美鈴が由利之丞と一緒に吉兵衛の店を探す
- 吉兵衛に連れて行かれた所は天満屋たちのアジト
- 美鈴は吉兵衛に刺されてしまう
- そこへ卯之吉たちと同心が駆けつける
- 傷付いた美鈴を卯之吉が自ら治療する
- 美鈴に卯之吉が自分の思いを話す
- 美鈴と卯之吉が結ばれる
といった流れになっています。
美鈴が一人で行ったのには理由があります。それは傷付いた美鈴が卯之吉にこういいます。
「危ない所へ行くなといわれていたのに、これで私を嫌いになりましたね…」
嫌いになれたらいいのにと零す卯之吉の思いをくんでか、一緒になれないなら死んでもいいと思ったのか、とにかく美鈴は一人で行って刺されてしまいます。
その後、治療を終えた美鈴に卯之吉が話したセリフが全てを語っているので、セリフを引用します。
「美鈴さん、私はいつもあなたに素っ気なくしていましたね。あなたがうちに来て折角娘の着物を着てくれたのに。それにここから出て行くよういったり、源さんがあなたに妻になって欲しいといった時も、あなたが傷付くようなことばかりいって遠ざけようとした。怖かったんです、あなたがそばにいることが。私の心には、深い大きな穴がぽっかり開いていたんです。だから子供のころからずっと、他人につれないふりを装って、心を閉ざしてきたんです。なのにあなたは、あなたの真っ直ぐ思いが私にはまぶしすぎた。ようやく自分の気持ちに気付きました。あなたを守りたいと」
今までの冷たくした理由をいって最後には美鈴のことを守りたいといいます。そして美鈴は目を開けて卯之吉にこういいます。「…嬉しい。初めてです。卯之吉様にそんな風にいってもらえるなんて」と。
そして卯之吉は美鈴にこう誓います。「美鈴さん。もう二度とあなたのことを嫌いになれればいいなんて、いいません」それを美鈴は「はい」と返答します。
また怪我をした美鈴に対して「こんな傷までつくって」と卯之吉は心配しますが、美鈴は「これは誉れの傷です」と怪我を嘆くどころかむしろ名誉に感じます。
卯之吉はやっと美鈴を受け入れることができたのでした。
大富豪同心総評
このドラマは配役がまさに適材適所なドラマだったなぁと、改めて思いました。
まずは卯之吉役の中村隼人さんのいかにも金持ちのボンボンといった品の良さと、のんびりした振る舞いが合っていました。
また、銀八役の石井正則さんの太鼓持ちという役もピッタリでしたし、ちょっと勘違い気味な荒海役の渡辺いっけいさんもハマっていました。
その他の面々もよく合っていて、脇の荒海の子分や三國屋の番頭のような人たちまで、ちゃんと配役されているなと思うドラマでした。
そして脚本が上手に話を持っていきます。
恋愛要素があるドラマなのですが、それをうまいこと話と話の合間に入れて少しずつ進ませていきます。
10話を通じて卯之吉の心境の変化なども描き、完全無敵な同心でないことが逆に卯之吉の魅力となっていました。仲間と一緒に助け合い、冴える頭で推理をする、そんな卯之吉というキャラクター自体がよかったです。
時代劇自体あまり見かけることがなくなってしまいましたが、時代劇で見ることで現代にも通じる人の心や金の話、そういったことがよりわかりやすく伝わってきました。
いつの世も人の心を動かすのは人だと思いました。個人的には9話目が一番切なくて面白かったです。