【大富豪同心】9話目は天満屋が卯之吉を殺害するため、殺し屋を何人も雇います。
そして芸者の菊野の過去が語られ、お峰が連れて来た殺し屋が実は菊野と深い関係がありました。
ドラマ【大富豪同心】9話のあらすじ
南町奉行所同心・八巻卯之吉(中村隼人)の命を狙い失敗し、捕縛された元女盗賊のお峰(青山倫子)が火事騒動の中、牢から脱走、江戸中の闇渡世から賞金が出て、刺客たちが卯之吉の命を狙う。そんな中、孤高の刺客・佐吉(合田雅史)が卯之吉の命を狙い八巻家を襲う。応戦する美鈴(新川優愛)に危機が迫るその時、卯之吉が身を挺して美鈴を守る。そんな佐吉の過去に、菊野(稲森いずみ)が関係していた…。
公式HPより引用
前回はこちら
ドラマ【大富豪同心】9話の感想
今回の話は主に捕物をする話ではなく、貧しさゆえの悲しい物語となっていました。そのためネタバレ含みの感想となりますので、まだ視聴していない方は閲覧ご注意ください。
卯之吉を殺害しようと暗躍する天満屋が、腕の立つ殺し屋を雇い刺客を送り込んでくるところから始まりました。この殺し屋として出てくる“佐吉”という男が、今回メインの登場人物となります。
佐吉と菊野は昔からの知り合いですが、離れ離れになってしまい十五年ぶりに出会います。その期間が佐吉と菊野の生きる道を変えてしまっていました。
個人的には現時点の「大富豪同心」の中で、一番良い話だと思いました。良いといってもスッキリするとか面白いというよりも、非常に印象に残る話という意味でとなります。
佐吉と菊野の関係
物語の中心となるこの二人の関係を整理します。
- 佐吉と菊野は将来を約束した仲
- 二人は下町の貧乏長屋で育った幼馴染
- 佐吉は生まれてすぐに両親を亡くし、子供の頃から大工の親方の下で働いていた
- 菊野も親を助けるために街角で辻占売りをしていた
元々貧乏なところに両親を亡くした佐吉と、菊野も家計を助けるために小さい頃から働き始めます。子供が外で仕事をするというのはやはりリスクがあって問題が起きます。
- ある日酔っ払いの男が金を払わず菊野の占いを持っていってしまう
- それを見かけた佐吉が男に金を払えと詰め寄る
- キレた男は刃物を取り出し佐吉に切りかかる
- それをかばった菊野は腕を怪我してしまう
- それ以来佐吉と菊野はお互い助け合うようになった
町で子供が物を売っていると、やはり支払いをせずに踏み倒す輩が出てきます。そこに偶然通りかかった佐吉は助けに入りますが、相手が刃物を出してきたため菊野が急いでかばいます。
この後、どうなったのかはわかりませんが、佐吉はこの時のことをずっと覚えていて、二人はお互いを支え合っていくようになります。
佐吉は一生懸命に大工の仕事を覚えます。それは菊野といつか夫婦になるためにです。お互いに将来を約束した仲と菊野が言っていたのはこういうことだったわけです。
しかし幸せは長く続きません。菊野の父が病にふしてしまい、借金のカタに菊野は置屋に売られてしまいます。
佐吉に別れの言葉も告げられなかったため、その後佐吉はずっと菊野を探します。そしてやっと十五年後、たまたま蝶を追って窓から顔を出した菊野を、通りがかった佐吉が見つけます。
さっそく菊野に会いに店に来た佐吉は、もっと早く見つけて会いに来てやりたかったと言います。借金を払って菊野を店から連れ出そうとしますが、菊野は借金は既に卯之吉に払ってもらっていると答えます。
すると佐吉は卯之吉に自分が返すと言って部屋の外に出ると、店に来ていた卯之吉とその場で出会います。
しかし、佐吉の現在の仕事は残念ながら“大工”ではありませんでした。
卯之吉暗殺計画!?
先週は卯之吉に不祥事を起こさせて“切腹”に追い込もうとしていた天満屋ですが、今週は“殺し屋”を雇って直接殺しにきます。
雇った殺し屋は上方でちょっと名の知れた二人と、お峰が個人的に声をかけた殺し屋の三人が今回は登場します。
その話を聞きつけた荒海は卯之吉の家を子分と一緒に見張ります。沢田から使いにやらされた村田も文句言いながら、出仕しなくていいからとにかく身の安全を優先にと言伝をし、荒海たちに警備を任せます。
卯之吉はそんな状況を“息苦しい”と感じて途中で由利之丞に代わってもらって抜け出してしまいます。
ですが、美鈴に身代わりを見破られ、荒海たちに追い出されてしまいます。“卯之吉の羽織を着たまま”で。
そこに現れたのが“吉兵衛”と“山嵬坊”という天満屋が雇った二人組の殺し屋です。
吉兵衛が辻斬りにあったといって、卯之吉と勘違いした由利之丞のところへ逃げてきます。すると山嵬坊が出てきて襲い掛かってきます。
由利之丞は剣は使えないので、八巻だと見得を切って向こうが名前に恐れて逃げていくのを待ちますが、殺しに来ているので全く怯みません。
吉兵衛は山嵬坊の相手をしている隙に、背後から襲いかかろうとしています。殺されると思った瞬間、間一髪で水谷が来てくれてなんとか助かりました。
吉兵衛は殺すのを諦め、助かりましたと言って何事もなかったように去っていきます。
一方、卯之吉は身代わりを立てていたことに荒海と水谷にこっぴどく怒られます。それに反省して大人しく自宅にいると、また新たな殺し屋がやってきます。それが“佐吉”でした。
佐吉は尖った錐のようなもので、外を守っている荒海の子分たちを一人ずつおびき出して、首の後ろや心臓を一突きして殺していきます。
そして、卯之吉がいる部屋へたどり着きます。そこで二人は顔を合わせ、菊野の店に来ていた男とお互いに気付きます。
美鈴が卯之吉の前に立ちはだかり守ります。しかし、佐吉は凄腕の殺し屋のため、美鈴がピンチに陥ってしまいます。危ないとなった瞬間、今度は卯之吉が美鈴を守るために飛び込んでいきます。
その結果、卯之吉は腕を斬られてしまいますが、「殺すなら、私を殺しなさい」と覚悟を決めたように言います。
ようやく騒ぎに気付いた荒海の他の子分たちが駆けつけ、佐吉はその場を離れて逃げていきます。卯之吉が負った怪我、それは奇しくも菊野が怪我をした時と同じ状況でした。
佐吉の仕事は“殺し屋”だったのです。
この後に卯之吉は菊野を呼んで話を聞き、佐吉は菊野の借金を返すために殺し屋という仕事に手を染めてしまったことがわかります。
佐吉と菊野の恋の行方
卯之吉暗殺未遂の後、佐吉は菊野のところへやってきます。そして二人で逃げようといいます。
しかし菊野は「そのために何人の人を殺したの?」といい「構いやしねぇ、お前のためだ」と佐吉は答えます。そうしているところに、待ち構えていた荒海が部屋の中に入ってきます。
卯之吉は佐吉は菊野に会いに来るはずと推理していて、待ち伏せをしていたのでした。
子分を殺された荒海はこの場で殺したいところだが、卯之吉の一番の子分だから捕まえて獄門に送ってやるといいます。すると、佐吉は卯之吉をこの場で殺そうとします。
しかし、そこに菊野が立ちはだかり「卯之さんに手は出させない。佐吉さん、私は十分ここで幸せに生きている。もう、あの頃には戻れないのよ」といってかばいます。
すると佐吉は「そんなにこの男のことが好きなのか?」と問い、菊野は「…ええ」と肯定します。その言葉を聞いて佐吉は窓から飛び降り外へ逃げます。
卯之吉はそんな二人のやり取りを見てこういいます。「佐吉さんがゆうべ私を殺さなかったのは、このせいです」といって怪我をした腕を見せます。
自分と子供の頃の菊野が重なったから、佐吉は自分を殺さなかった。それほどまでに今でも菊野を思っていると。しかし、菊野は「いいんです、さっき言ったことに嘘はないから…」と言います。
その後、佐吉はお峰と会い「俺はあの男は殺せねぇ、そんなことをしたら大事な女が悲しむ」と言って卯之吉殺害を断ります。そして手付けでもらった金を返し「金なんかもういらねぇ」とその場を去ろうとします。
ですが、悪党の世界はそうはいきません。「忘れもんだよ」と言ってお峰は、佐吉を背後から刺し殺してしまいます。
佐吉が死んだことを知った菊野は、一人部屋で泣きながら言います。「佐吉さん、もしあの頃に戻れたら、あんたと一緒になりたかった…」と。大富豪同心を今まで見てきた中で、屈指の切ないシーンでした。
佐吉と菊野、二人は愛し合いながらも、現在置かれている環境の違いから結ばれることはなかったのです。
菊野の借金を返すために“殺し屋”になったことが、結局菊野と一緒になれない原因となってしまいました。
人を殺すことをなんとも思わない男になってしまった佐吉に、また菊野も失望し恋破れてしまったのです。
卯之吉と美鈴の恋
佐吉と菊野の悲恋につい目がいってしまいますが、この二人の関係もいよいよ大詰めを迎えます。
前回終わりに源之丞に告白された美鈴は、「源之丞様に嫁ぐことはできません」と断ります。
そのことを後で卯之吉になぜ断ったと言われた美鈴は「わかりました。それほど私がお邪魔なんですね。では、ここを出て行きます」といよいよ覚悟を決めます。
卯之吉は「私は別に。また以前のように通いで来てくれる人を雇うだけですから」と素っ気ないです。
源之丞が家にやってきて、美鈴に話があるといいます。美鈴はまた嫁ぐ話かと思っていましたが、源之丞は男です。すっぱり諦めたといい、これからは卯之吉との関係を応援するといいます。好きな女性には幸せになってもらいたい、そう思ったのかもしれません。
さっそく話を聞いた源之丞は卯之吉に詰め寄ります。「見損なった。あれだけ好いている美鈴さんを受け入れられない、懐の狭い男だったとはな。このまま行かせるのか?」と問います。卯之吉は「美鈴さんがそうすると」と答えると「そう言わせたんだろ。一体何がその心を頑なにさせるんだよ」と言います。
卯之吉の過去がいまだに尾を引きずって、美鈴を受け入れることができない。しかし、この過去というのはどうやら、天満屋にハメられた結果起きてしまったことのようです。
卯之吉が狙われているということになり、美鈴はこの一件が納まるまでそばにいることにします。そこへ先程の一件があり、卯之吉は美鈴をかばい腕に怪我をします。このことを後で銀八にこう言われます。「初めて気を失わなかった。命をかけて美鈴さんを守りたかった」と。
卯之吉は初めて“気絶”しなかったのです。それどころか、美鈴を守るために飛び込んでいったのです。やはり卯之吉は美鈴のことが好きだったということになります。
ドラマ【大富豪同心】9話のまとめ
菊野の過去をメインにした回で、いつもの大富豪同心と違って捕物の話ではなかったのですが、今回の話は現時点で個人的に一番印象に残る話でした。貧乏が原因で仲良くなった二人ですが、貧乏が原因でお互い離れてしまいました。
せめて菊野も書置きでもして出て行けたら、せめて佐吉もまっとうな仕事に就きながら探してくれれば。
好きあっても一緒になれなかった菊野、好きあっているのに自らの過去のトラウマのせいで受け入れられない卯之吉。そばにいるうちに一緒にならなければ、悲しい結果になってしまうことが卯之吉にも少しわかったと思います。
次回は最終回ということなので、卯之吉の過去と、美鈴との恋の行方、そこらへんが決着するといいなと願っています。