【監察医 朝顔】第7話は母親のものと思われる手袋が発見され、中に入っていた骨が誰のものなのか?という話と、10億の美魔女と呼ばれる人の裁判で出廷してどうなるのか?という話となっていました。
ドラマ【監察医 朝顔】7話のあらすじ
朝顔(上野樹里)のもとに、里子(石田ひかり)が被災時に身に着けていたと思われる手袋が見つかったとの連絡が入る。それは、朝顔が中学生の時に使っていた手袋で、内側には朝顔の名前も記されていた。朝顔からその知らせを受けた平(時任三郎)は、桑原(風間俊介)に、朝顔とつぐみ(加藤柚凪)を頼む、と言い残して東北へと向かった。
公式HPより引用
そんな折、朝顔は、ある事件の控訴審に、鑑定証人として出廷することに。マスコミも「疑惑の女・10億の美魔女」として注目するこの裁判の被告人・白川亜里沙(有森也実)は、3年前に会社社長だった夫が病死し、4億円以上の遺産を手にしていた。その1年後、亜里沙は資産家の男と再婚するが、わずか3ヵ月でまたもや夫が病死し、今度は6億円もの遺産を手に入れていた。亜里沙は、ふたり目の夫の死亡について状況証拠から逮捕されたが、一審は無罪だった。そこで検事の石田希子(山本未來)は、東横大学の法医学教室が司法解剖を行ったふたり目の夫について、朝顔に再鑑定を依頼したのだ。
証人控室で待つ朝顔を訪ねてきた丸屋(杉本哲太)は、今回の裁判は警察の威信がかかっているから必ず有罪にしてほしい、と頼む。石田検事の顔に泥を塗るようなことだけはするな、と言うのだ。それに対して朝顔は、亜里沙を有罪にするためではなく、あくまでも再鑑定の事実を明らかにするために証言台に立つが……。
前回のドラマ【監察医 朝顔】
ドラマ【監察医 朝顔】7話のネタバレ
内田正の死因
水銀中毒
内田正殺害犯
白川亜里沙
動機
遺産をもらうために内田と結婚し、水銀を三ヶ月にわたり飲み物などに混ぜて殺害した。
解明の道筋
朝顔が再鑑定を依頼され調べたところ、遺体の写真には変色した皮膚と爪の変形があり、金属アレルギー反応が起きていることがわかる。その後、採取しておいた血液を調べてみると水銀が含まれていた。
これによって病死ではなく水銀中毒死だと朝顔は結論づける。しかし、証拠にならないと抗う弁護側に、自宅の枕から採取した髪の毛を調べた結果、水銀がやはり含まれていたことがわかる。しかも、髪の毛の伸びる速度から逆算し、三ヶ月前から水銀を飲まされていたことも判明する。
警察の調べでは、亜里沙の実家のガレージに、塩化第二水銀が含まれていた防腐剤が見つかった。
ドラマ【監察医 朝顔】7話の感想
裁判の部分の内容も面白く、淡々と朝顔が事実を語っていきます。その頃、父は母親のものと思われる手袋を取りに向かいます。もし中にあった骨が母親のものだったら?父はどうなってしまうのだろう?そんなことを心配しながら、朝顔は世間が注目する裁判に出ます。
この裁判の内容は【サイン】で取り上げられた話に似ているものでして、監察医ものではあるあるな話なのでしょう。世間が注目する“疑惑の女”の裁判ですが、朝顔は普段以上に落ち着いて裁判で証言します。弁護側の追求も朝顔にしてみれば、トンチンカンなことを言っているようにしか思えない質問でした。
そして、母親の手袋から見つかった骨は誰のものなのか?また、それを知った時に朝顔や平はどうなってしまうのか?そこの部分が今回の見どころでした。
今回起きた事件の内容とその時に朝顔が提出したものを中心に書いていきたいと思います。
10億の美魔女とは?
名前だけ聞くと10億円をかけて整形なり、アンチエイジングなりやってそうな響きですが、それにしたって10億もかからないでしょう。なぜ彼女がそう呼ばれているのか?事件概要を紹介します。
- 1人目の夫 野田登 当時65歳
- 野田不動産社長であり全日本不動産建物協会会長
- 5年前に白川亜里沙と結婚
- プール付きの豪邸で幸せな生活を送るも2021年に病死
- 遺産は4億3千万円
- 2人目の夫 池内正 当時63歳の殺害容疑で起訴
- 前の夫の死から1年後に結婚するが3ヶ月で死亡
- 遺産は6億円
- 裁判で争われるも東横大法医学教室で病死と鑑定される
- 第一審無罪
1人目の夫の遺産4億3千万+2人目の夫の遺産6億=10億の遺産ということで、10億の美魔女と呼ばれるようになりました。1人目の夫の件では逮捕されませんでしたが、2人目の夫の件で逮捕され起訴されました。
しかし、遺体を解剖した結果、病死と判断されて第一審は無罪となります。そこで検察側が朝顔に頼み再鑑定をお願いしました。遺体は既に焼かれているので、鑑定は解剖した時の写真や、一部残しておいた組織などから再鑑定します。
その結果、朝顔は病死ではないと言います。なぜでしょうか?
朝顔の見立て
病死ではないと言い切る朝顔、その根拠として示されたものはこういったものでした。
遺体の皮膚の変色と爪の変形に目を付けた朝顔は、東横大から血清を取り寄せ再検査します。そしてわかったことはこうです。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)が起きていると思い、これは金属アレルギーによる反応だと言います。金属アレルギーを引き起こしやすい素材は16種類あるそうです。
- アルミニウム
- コバルト
- スズ
- パラジウム
- マンガン
- インジウム
- イリジウム
- クロム
- ニッケル
- 金
- 銀
- 銅
- 白金
- 水銀
- 亜鉛
- 鉄
この16種類が金属アレルギーを引き起こしやすい素材となります。身近にあるものから、聞き馴染みのないものまであります。さらにアレルギー反応は4つの分類ができるそうです。
- Ⅰ型アレルギー(即時型)
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
- 蕁麻疹
- アトピー性皮膚炎
- Ⅱ型アレルギー(細胞傷害型)
- 自己免疫性溶血性貧血
- グッドパスチャー症候群
- 重症筋無力症
- 橋本病
- バセドウ病
- Ⅲ型アレルギー(アルサス型)
- 関節リウマチ
- SLE(全身性エリトマトーデス)
- Ⅳ型アレルギー(遅延型)
- アトピー性皮膚炎
- ツベルクリン反応
- 接触性皮膚炎
- 金属アレルギー
この中で“金属アレルギー”が属するのはⅣ型になります。金属アレルギーで死ぬことはありませんが、金属アレルギーを引き起こす金属の中で一つだけ猛毒の物質があります。それは水銀です。
しかしなぜ東横大の解剖では発見できなかったのでしょうか?それには理由があります。
- 水銀は通常の解剖の毒物検査の対象外
- 水銀の摂取が疑われない限り検査しない
これは以前【サイン】でもやっていたことで、水銀は確かに毒物検査でやらないそうです。サインでは水銀の摂取を調べる装置がないため、他の機関にお願いしていました。
遺体は既に焼かれているのにどうしてわかるのか?その理由はもちろんあります。それはどの法医学教室でも血液、尿、脳、心臓、肺など全臓器の組織片を一定期間保存するそうです。再鑑定や病理検査の見落としを防ぐためです。
その組織片を調べた結果、こうなりました。
分析結果報告書
資料概要
1.脳2.心臓3.肝臓4.肺5.腎臓 資料数5点
鑑定方法
資料について、誘導結合プラズマ法を用いて各臓器の水銀量を分析した。
結果
誘導結合プラズマ法を用いた水銀分析を行った結果、本サンプルから下記のように水銀が検出された。
脳 | 心臓 | 肝臓 | 肺 | 腎臓 | |
総水銀量(被験者)μg/g | 9.0 | 6.0 | 7.0 | 3.0 | 15.0 |
総水銀量(対照)μg/g | 0.3 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.5 |
朝顔は致死量以上の水銀を一度に飲まされたわけではなく、急性ではなく慢性だといいます。その証拠に腎臓が障害を起こし、近位尿細管壊死が現れた。これは慢性の水銀中毒に最も顕著に現れる症状だそうです。
よって、死因は病死でなく慢性水銀中毒による中毒死であると結論づけます。
しかしこれに対し、弁護士側のトンチンカンな反論が始まります。
- 歯の詰め物に使ってた金属に水銀が含まれて溶けだしたのでは?
- 何を根拠に言っているんだ?
- ある期間だけでは曖昧すぎる
- 何一つ証明されていない
十分証明されていると思うのですが、これでは足りないのか?そこに鑑識の丸屋がある検査結果を持ってやってきます。それは県警に検視の際、被害者の枕から採取した毛髪で薬物分析を行ったものです。
毛髪中水銀検査報告書
資料概要
氏名:池内正
試料:毛髪
試料数:1本
測定条件
試料について、加熱気化原子吸光法(Hg/水銀)を用いて分析した
結果
原子吸光法を用いた水銀定量検査を行った結果、本サンプルから下記のように水銀が検出された。
検出化合物:水銀(Mercury)
検査結果:検出された水銀(総水銀)の濃度は以下の通り。
毛根からの長さ | 水銀含有量濃度 |
0~0.8cm | 0.8pg/mg |
0.8~2.1cm | 0.7pg/mg |
2.1~2.7cm | 0.4pg/mg |
2.7~3cm | 検出せず(検出限界未満) |
3~4cm | 検出せず(検出限界未満) |
4~5cm | 検出せず(検出限界未満) |
毛髪中水銀検査(加熱気化原子吸光法による)
毛髪について、毛根からの距離別に試料毎に分けて、試料を作り、加熱気化原子吸光法を用いて分析した。試料中に含まれる総水銀の量を算出。
髪の毛は通常1日に0.3mm伸びる
Xmm(水銀含有量)÷0.3mm=水銀摂取期間
これにより、3ヶ月の間にわたって水銀を摂取した証拠となりました。
手袋の中にあったものは誰のもの?
手袋が見つかったと連絡が入り、朝顔は平にそのことを知らせます。さっそく平は発見された場所へ向かい、その中にあった骨と思われるものの結果を聞こうとします。現在DNA鑑定中で明日には結果が出るというので、手袋が落ちていた橋へと向かいます。
草が生い茂る河川敷で平は一人黙々と草を刈り始めます。広い範囲を一人でそれも鎌だけでやっていくのでは、いつになったら終わるかわかりません。
すると、そこに義理の父がやってきて、無言で草刈機を使って刈り始めます。里子の手袋が見つかった場所と知って、義父も手伝ってくれたのです。
全て刈り終えてから何かないか、二人で鍬やシャベルで地面を掘り起こします。しかし、残念ながら何も見つからず日が暮れます。ずっと無言だった義父が、「どうするんだ?今日」と聞き「ホテルでも探そうかと」と平が答えます。「じゃあ、うちへ来い」と義父が言い、実家へ平は泊まることにします。
そして、次の日、DNA鑑定の結果が出ます。その結果は母親里子のものではありませんでした。
何も見つからなかった河川敷で、義父と平が反対側で護岸工事をしているのを見ながら話します。「いずれこの辺りもコンクリートで固められる。諦めてた。とっくの昔に。でもやっぱり会いたい、里子に。次来るときは連絡しろ」と義父が平に告げます。
諦めていなかった平は今でも探しに行っていて、それが迷惑だといった話をしていた時もありました。でもこうして手がかりが見つかると“やっぱり会いたい”と義父も言います。そして、来るときには連絡しろと言ってくれました。
ではこの骨は誰のものだったのか?それは、里子が被害に遭う前、朝顔に実家に先に行かせ、近所の売店の人を助けに行きます。その売店の女性である瑞枝でした。瑞枝もまたずっと行方不明だったとのことで、今回発見に至りました。
この話を聞いて朝顔は想像します。あの日はすごく寒かったから、お母さん瑞江さんに手袋を貸してあげたんだろうなと。お母さん、最後まで優しい人だったね。と語ります。
みんなの前では涙をしない平と朝顔ですが、平は帰りの車の中で号泣し、朝顔は夜眠るときに涙を流します。桑原は「よく我慢したね。お父さんの前だったからでしょ?今はもう我慢しなくていいから」と優しく声をかけてあげます。今回一番感動的なシーンだと思います。
ドラマ【監察医 朝顔】7話のその他気になったこと
- 「男はいくつになっても本能に逆らえない生き物」と言う雅史
- それを絵美に睨まれて「俺以外の男の話だから」と言いなおす雅史
- 亜里沙に「ただのおばさんじゃん」と突っ込む光子
- 予算委員会に連れてってもらえない雅史
- Gメン75のテーマ曲を口ずさむ茶子
- 突然苦しみだす下手な芝居をする亜里沙
- 証拠がないならこの裁判は終わりと仕切る亜里沙
- あんたも殺してやるとその場で罪を重ねる亜里沙
- 石田検事のことが好きな丸屋
- 県警に俺もいつか行くんでと言う森本に全員“無理”と突っ込む
ドラマ【監察医 朝顔】7話のまとめ
母親の骨ではなかったことが良かったのか悪かったのか、その複雑な心境に平と朝顔の二人が人知れぬ涙を流すのが今回一番の見どころだったかと思います。
平も朝顔もそして義父の浩之も、みんな言葉多く語らずに人前では気丈に振る舞います。深い悲しみを表に出さず、今は新たな家族であるつぐみに優しく接します。桑原も含め“家族”というものを大切にしている人たちだと思います。
次回からは平と桑原がコンビを組んで捜査ということはなくなるのかと思いますが、県警と所轄の合同捜査でまた一緒になることもあるでしょう。
母親里子の手がかりが今後見つかることがあるのか?来週もまた楽しみに視聴したいと思います。