【アンチヒーロー】最終回のネタバレと感想|地獄へ道連れ!そして再審へ…

2024春ドラマ
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【アンチヒーロー】最終話「正義」のネタバレと感想をまとめています。

明墨が逮捕されて公判が始まると、明墨は志水の事件に関して新証拠があると言い出す。そうして提示された証拠は、検出された毒の改ざんを示すものだった。だが、伊達原はその書類は偽物だと言い……。

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【アンチヒーロー】最終回のあらすじ

明墨正樹(長谷川博己)の逮捕はメディアに報じられ、多くのクライアントが離れた。緋山啓太(岩田剛典)は明墨と共に証拠隠滅の教唆犯として拘束され、白木凛(大島優子)とは連絡が取れなかった。明墨の保釈は許されず、紫ノ宮飛鳥(堀田真由)は志水裕策(緒形直人)の再審の手がかりを探すよう依頼された。

赤峰柊斗(北村匠海)は科捜研の元部下である金田(東根作寿英)と会い、改ざんの可能性を考え始めた。平塚(牧村泉三郎)が善意で残したものが科捜研の資料室にあると予想し、明墨に伝えた。事務所に戻る途中、赤峰は白木に遭遇し、彼女は目が覚めたと答え去っていった。

第1回公判で、白木は緋山が殺人犯であることを供述し、緋山も罪を認めた。明墨は志水の冤罪を晴らすためだったと説明し、伊達原との対立が続いた。新証拠が見つかったことで、次回公判で明かすと宣言された。

第2回公判では、赤峰が科捜研の薬物検査の鑑定書を新証拠として提出し、書類は平塚が残したもので、2012年に行われた鑑定でボツリヌストキシンが検出されていた。明墨はこれが改ざんされた証拠だと主張し、伊達原に尋問されたが、伊達原は反論し、捜査資料にはタリウムしか記載されていなかったと説明した。

伊達原は、志水のアリバイを示す動画をもみ消した疑いがあり、当時の検察が差し迫った状況にあったため、ボツリヌストキシンの鑑定結果が硫酸タリウムに書き換えられたと主張したが、伊達原はこれを否定し、両方の毒物が検出されていたと述べた。そして、明墨たちが提出した書類は偽物だと主張する。それは、明墨の仕掛けた巧妙な罠で……。

←9話

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【アンチヒーロー】最終回のネタバレ

手がかり

伊達原泰輔(野村萬斎)は留置所の明墨正樹(長谷川博己)に会いに来た。そこで、伊達原は自分の生い立ちを話し始める。秋田出身の伊達原は東京に出てからも多くの苦労を経験していたという。何が言いたいのかと尋ねる明墨に対し、伊達原は権力を憎んでいると答えたが、その割には自分の罪には甘いと明墨はツッコミを入れた。

明墨は伊達原を見ていると思うことがあると切り出し、「ご都合主義の歪んだ正義感ほど、この世を腐らせるものはない」と言い放った。伊達原は「明墨のほうが歪んでいる、殺人犯を世に放つのだから」と反論した。しかし、伊達原は「自分には守るべき家族がいる」と主張し、明墨は「自分の家族さえ良ければ、他の家族は犠牲にしてもいいのか?」と問い返した。

伊達原は桃太郎の例えを出し、「ある行為が正義か悪かは見え方次第」だと言い、法律はうまく利用するものだと告げた。

明墨の逮捕はメディアでも報じられ、多くのクライアントが離れていった。緋山啓太(岩田剛典)は明墨と同時に証拠隠滅の教唆犯として身柄を拘束された。白木凛(大島優子)とはずっと連絡が取れず、ジャンパーを持ち出し検察に渡した理由を聞けないままだった。

明墨の保釈は許されず、紫ノ宮飛鳥(堀田真由)は志水裕策(緒形直人)の再審の手がかりを見つけるよう頼まれていた。赤峰柊斗(北村匠海)は科捜研の平塚聡専門官(牧村泉三郎)の元部下である金田(東根作寿英)に喫茶店で会い、話をした。がんで亡くなる前に平塚は金田に「科学者として許されない過ちを犯した。お前はそうなるな」と言っていたという。

改ざんがあったかもしれないと金田は考え始めた。平塚が善意で残したものがあるらしいと赤峰は明墨に面会して話した。もし残されているとしたら、それは科捜研の資料室ではないかと紫ノ宮と赤峰は予想していた。

事務所に戻る時、エレベーターホールで白木と遭遇した。赤峰が「なぜこんなことを?」と尋ねると、白木は「単純に目が覚めただけ」と答え、「悪いけど間違ってるとは思ってないから」と開き直って去っていった。

公判開始

第1回公判が始まった。白木への検察側の尋問で、白木は「緋山さんは無罪じゃありません。殺人犯です」と供述した。ジャンパーを鑑定したところ、緋山のDNAと一致した。次に緋山の尋問が行われ、緋山は「はい、私が殺しました」と認め、控訴審で全てを話し罪を償うつもりだと謝罪した。証拠隠滅の指示を受けたかと問われると、明墨に指示されたと供述した。

最初は緑川歩佳(木村佳乃)が尋問していたが、突然伊達原が割って入る。なぜ罪を隠せと言ったのかと問われると、緋山は12年前の事件の冤罪を晴らすためだと答えた。どんな関係があるのかと聞かれると、緋山は盗撮動画を探す代わりに無罪にするという取引だったと話した。その動画は見つかったのか、存在を証明できるのかと聞かれた緋山は、できないと答え、志水が冤罪である確証はないと認めざるを得なかった。

弁護側の尋問で、明墨は全て事実だと認めた。殺害の事実を知りながら破棄するよう指示した理由は、志水の冤罪を晴らすためだったと答えた。今この法廷で何か言いたいことはあるかと問われた明墨は、「必ず、志水さんの冤罪を晴らします」と伊達原を見て告げた

伊達原は沢原麻希(珠城りょう)の書いた記事について質問した。麻希は冤罪と確信する根拠があると話し、桃瀬礼子(吹石一恵)の話によると伊達原によって証拠がもみ消されたという。伊達原は深澤刑事(音尾琢真)に話を聞いたが、動画の存在も知らないと答えたという。

桃瀬は病にかかったことで、人を救いたいと思って冤罪を疑ったのではないかと言われ、明墨はキレて拳で証言台を叩きながら「そうは思いません!」と怒った

明墨はかつて正義の検察官だったが、極端な正義感により道を誤ったと伊達原は話す。赤峰はこれに異議を唱え、伊達原は根拠のない憶測ばかりだと訴えた。最後に何か言いたいことはないかと聞かれた明墨は、「随分と必死ですね」と応じ、自分の疑惑を払拭しようとしているようだと述べた。そして、新証拠が見つかったので、志水の再審請求をするとここにきて明かした

不安そうな顔をする伊達原は、新証拠を見せろと言ってきた。緑川も追随し、新証拠を明かすよう迫った。すると明墨も同意見だと言い、次回公判で証拠を示すと宣言した。裁判長の許可も得て、次回公判で証拠を出すことになった

事務所に戻ると青山憲治(林泰文)が赤峰と紫ノ宮に話したいことがあると呼んだ。

伊達原は白木に新証拠のことを尋ねると、白木は「ボツリヌストキシン。明墨はあなたが毒を書き換えたと思っているんです」と教えた。

緑川が伊達原に証拠調べ請求書が来ていると報告する。それは科捜研の薬毒物鑑定の報告書だった。伊達原は見るまでもないといい、偽造書類だと断言した。苦し紛れのでっち上げに違いないと考えたが、請求には同意した。

巧妙な罠

第二回公判にて、明墨は新証拠について質問を受けた。赤峰が科捜研で行われた薬物検査の鑑定書を証拠として提出し、それが新証拠だと明かした。書類は科捜研の資料室で発見され、事件の毒物鑑定を行った平塚が残したものであった。

書類によれば、2012年3月12日に鑑定が行われ、その結果ボツリヌストキシンが検出された。検出された数値は致死量をはるかに超えていたが、捜査資料にはボツリヌストキシンの記載はなく「タリウムが検出された」という記載のみだった。

明墨は検査結果が反映されていないのは、鑑定結果が書き換えられたからだと主張する。これには2つの理由があり、1つは伊達原が志水のアリバイを示す動画をもみ消した疑いがあること、もう1つは当時の検察が差し迫った状況にあったことだった。

志水はずっと否認を続け、殺人の物証はなかったが、65日間の勾留後に毒物の鑑定書類が出てきた。ボツリヌストキシンは研究者でもないと入手できないため、志水が会社の倉庫から入手できる、硫酸タリウムに鑑定結果を書き換え、志水を殺人罪で再逮捕したのだ。

代わって伊達原は明墨に対して尋問する。検察が書き換えたように見えるが、それは真実ではないと反論した。事件発生当初、現場で行われた簡易検査の結果には確かにボツリヌストキシンが反応し、その後、新たにタリウムが検出されたと報告があった。つまり、ボツリヌストキシンとタリウムの両方が検出されていたのだ。

伊達原は当時科捜研で行われた正式な薬毒物鑑定の記録を提示し、2つの毒物の検査が行われていたことを証拠として示した。遺体に含まれていたボツリヌストキシンは致死量の100分の1以下で、死因とは関係なかったため、事件と関係のない物質として捜査資料にはタリウムだけを掲載したと説明した。これを聞いた明墨は「なるほど、それがあなたが作ったストーリーですか」と皮肉った。

明墨は伊達原が偽造書類だと言い出すのに対し、自分のは科捜研から正式に入手したものであり、資料室から見つかったものとは違うと主張する。伊達原は「断言します。このような書類、捏造しない限り存在するはずがない!」と言って書類を叩きつけた。明墨は「ではなぜ存在するはずのない書類を、あんなに必死になって探したりしたんですか?」と反論した。

明墨は伊達原が科捜研の資料室に出入りしていると指摘し、証拠映像があるという。資料室内には防犯カメラはないが、別のカメラを設置していたのだ。明墨が裁判長に求釈明を求めると裁判長は認め、明墨は自ら動画を再生し説明を始めた。

動画には資料室に入ってくる伊達原の姿が映っており、彼は古い資料を探しに行ったと弁明したが、手にしたファイルには「平塚」と書かれていた。ファイルから書類を抜き出す伊達原に対し、明墨は「何のために持ち出したのか?そして存在するはずがないと言ったのか?」と問い詰めた。

伊達原は平塚が残したと思われる書類があると聞きつけ、急いで取りに行って隠滅を図ったが、それは明墨の用意した偽物だった

明墨は実は一足先に資料室に入り、証拠の原本を入手していたと明かした。しかしこれを証拠として出したところで、伊達原はいくらでも言い逃れをするだろうと予測し、偽物の書類を用意し、伊達原が取りに来る瞬間を映像で捉えたのだ。

伊達原は警察内部に明墨の部下がいるはずがないと反論し、伊達原が菊池大輝(山下幸輝)に君か?と問いかけると、彼は否定した。続いて緑川に視線をやると、緑川は笑って立ち上がった。「不正の疑惑がある人間に対し、真実を追い求めるのは検察として当然の使命ですよね。それが身内であればなおさらです。だって、検察の恥ですから」と非難し、検事総長も了承済みだと話した。それを聞いた伊達原は凍りついた

緑川と桃瀬の関係

第2回公判の3日前、青山が赤峰たちを呼ぶと、そこに白木と緑川がやってきた。青山は明墨にギリギリまで明かすなと言われていたと釈明した。緑川は事の経緯を話し始める。彼と桃瀬は司法修士の同期であり、明墨を含めて3人揃って検事になった。最初に桃瀬から伊達原の不正を聞いたときは、信じてあげることができなかったという。

あの日、桃瀬と明墨がバーで会っていた場に緑川もいた。緑川がようやく信じたのは、桃瀬が亡くなる直前だった。桃瀬は明墨と緑川にそれぞれファイルを託していた。緑川はそこから必死で伊達原の不正の証拠をつかもうとしていた。バーで明墨と待ち合わせた緑川は、東京地検への配属希望が通ったと報告し、「今は下っ端だけど、必ず伊達原の目に留まってみせる。礼子の思いは必ず果たす」と誓った

すると明墨は検事を辞めると言った。なぜなら内部から探っても潰されるだけだと思ったからだ。「明墨は検察の外から、私は中から。志水さんを救い出すために例の動画を捜すことになった」と緑川は語った。進展がないまま時間が過ぎていったが、羽根木精工での殺人事件をきっかけに全てが動き出した。緋山が以前棲んでいた場所が志水がぬいぐるみを探していた公園の近くで、調べてみるとスピルドアからの入金が緋山の口座にあった。入金時期も丁度12年前だった。

スピルドアや江越(迫田孝也)について何か聞き出せるかもしれないと考え、念入りに取り調べをしたため、あの事件は起訴までに時間がかかった。検察官の取り調べは録音に残るため、12年前のことを直接聞くことはできなかった。そこで緑川は明墨に弁護を頼んだ。富田正一郎(田島亮)の事件を担当したのも、富田誠司(山崎銀之丞)議員の不正を暴くことが瀬古成美(神野三鈴)判事の不正につながると考えたからだった。

伊達原が江越とつながっていることに気づいたのは、動画が削除された時だった。その時は激しくショックを受けたが、毒の改ざんに赤峰たちが気づいたことで助かった。改ざんの証拠がなかったため、白木に緋山の作業着を伊達原に持ち込むよう明墨は頼んだ。桃瀬の墓の前で緑川と明墨は会って話をし、白木ならうまく立ち回ってくれるはずだと明墨は信じていた。「伊達原を法廷におびき出す」と明墨は語った

明墨が考えた作戦は自らが逮捕されることだった。世間が注目する法廷で伊達原を追い詰めることができれば、もみ消しようがない証拠になると赤峰も納得した。そして緑川は改ざんの証拠となる鑑定書をみんなに見せた。

平塚が残した改ざんの証拠があると聞き、伊達原が科捜研から書類を持ち出した。明墨は「この行為こそが、あなたが改ざんをしたという何より確かな証拠です」と指摘した。改ざん前の書類を知って廃棄しようとする者は、改ざんに関与した人間以外にはあり得ないと主張した

明墨は殺人の重要な証拠である鑑定書が改ざんされていた事実を持って、志水の再審請求をするつもりだと語った。「志水さんはあなたの不正によって無実の罪を着せられた。この罪は…殺人犯を無罪にするのと、どちらが重いのでしょうか」と問い詰めた。

伊達原はゆっくりと立ち上がり、緑川は涙を流しながら「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれ」とつぶやいた。そして緑川は裁判長に向かい、検察庁としてその真偽を明らかにすると訴えた。伊達原はふらふらと歩き、外に出て行った。

再審に向けて

瀬古は12年前の証拠改ざんについて、強く再調査を願うと記者会見を開いた。記者の麻希に「もし疑惑が事実なら、下した判決は誤りになるのか」と聞かれた瀬古は「はい、そうなります」と認めた。他の記者から「収賄に誤審だなんてとんでもない」と非難されると、瀬古は「どう捉えていただいても構いません。人は弱い。だからこそ、人が人を裁くことの危うさが司法にはつきまとう。そのことを決して忘れてはならないのです。一人の尊い命がかかっています」と立ち上がり、「どうか、慎重に再調査を行っていただけるよう、切に願っています」と深々と頭を下げて訴えた。

瀬古の告発のお陰で世論が動き始めた。緑川は瀬古と歩きながら感謝の意を伝え、不正を暴く覚悟を口にした。瀬古は「やっぱり強い人ね」と言い、自分に近づいたのも桃瀬のためだろうと瀬古は見抜いていた。明墨と同期であり、嫌々伊達原のところにいるのも知っていたという。なぜ黙っていたのかと驚く緑川に、瀬古は「うらやましかったの。同じ女性でも伊達原のそばにいても、あなたは自分の信念を曲げなかった。私のような弱い人間とは違う。あなたならやり遂げるわ」と胸の徽章に手を添えて励ました。

緑川は急いで彼女の後を追い、腕を掴んで足を止めさせ、「瀬古さんは閉鎖的な司法の世界で常に女性たちの先頭に立って道を切り開いてきた。今も過去の過ちと向き合おうとしている。強い人だと私は思います」と告げた。瀬古は緑川の手を握り、深々と頭を下げて再び歩き出し、振り返らずに手を振って緑川を鼓舞した。

緑川の尽力もあり、伊達原の起訴が決まったと赤峰と紫ノ宮は明墨に面会して報告した。緑川は江越を尋問し、志水のアリバイ動画の存在とそれを伊達原に渡したことを証言させた。明墨は再審につながる重要な証拠を、隠滅した罪として立件できると述べた。

赤峰は弁護側が出した鑑定書は、偽造されたものではないかと尋ねる。紫ノ宮も緑川があの書類を伊達原より先に入手したのではなく、青山が作った偽造書類を資料室に仕込んだだけではないかと指摘した。明墨は笑いながら「人の善意なんてたかが知れてる」と答えた。赤峰は「ちゃんと、分かってますよ」と返した。

地獄へ道連れ

伊達原の裁判が始まるが、「記憶にありません」とばかり繰り返して答えなかった。倉田功(藤木直人)も証人として呼ばれ、動画の話を聞いた時の伊達原の対応について証言した。倉田は伊達原から「動画は発見されなかったことにしろ」と言われ、証拠隠滅を認めた

倉田は動画を見るまで、伊達原は志水が犯人だと信じていたのだろうと言い、その理由は伊達原があまりにも動揺している姿を初めて見たからだと述べた。「犯罪者を憎むあまり、刑罰を与えなければという使命感のあまり、行き過ぎた正義感が暴走することがある。我々にはそれがある。しかし、それも全て言い訳だ。伊達原さんと私は、国家権力の盾を利用して自分たちの都合のいいように物事を動かしていた。それが無実の人を苦しめ、真犯人を逃がすことになった。残りの人生をかけて償っても到底足りるものではない」と倉田は反省する。

倉田は立ち上がり、傍聴席に向かい「志水裕策さんとそのご家族の皆様、信頼を裏切った国民の皆様に深く、深く謝罪いたします」と深々と頭を下げた。その姿を紫ノ宮は涙目で見守り、志水の娘・牧野紗耶(近藤華)も涙ぐんだ。

明墨が証言台に立ち、今の気持ちを聞かれる。彼は「ずっと後悔してきました。無実の志水さんを自白に追い込んでしまったことを。彼の自由と尊厳を奪い、家族との絆を壊してしまったことを。この罪は消えません。私が初めて志水紗耶さんに会ったのは、まだ母親の早苗さんがご存命だった頃です。早苗さんは5歳だった紗耶さんを連れて千葉地検を訪れました」と述べた。

その時、早苗は明墨を呼び止め、「志水祐作は本当に人を殺したんでしょうか」と尋ねた。明墨は「検察はそう考えています」と答えた。すると幼い紗耶が「違うもん!パパは優しいもん。悪い人なんかじゃない!」と泣きながら叫んだ。「父親を信じ、帰りを待ち続けた彼女の希望を奪ったのは、我々です。彼女は誰よりも家族を求めていた」と。

明墨は伊達原に向かい、この12年間どうだったのかと問い、「志水から幸せを奪った上で成り立っている」と追求した。すると伊達原はキレて、「きれいごと言うな。誰もが勝ち上がるために必死な世の中で、足を踏み外した人間を踏みつけにする。それが真理だ。現実なんだよ!」と叫んだ。

明墨はそれを受け、「その同じ言葉を娘さんにも言えますか?法によって白となったことが、本当に白なのか?黒の奥には実は、限りない白が存在しているのではないか?それを考え続けることこそが、こんな世の中をつくってしまった我々の役割なのかもしれません」と話した。

伊達原は手を叩いて笑い、「傑作だね。散々法を犯してきた君がそれを言うとは」と皮肉った。明墨は「大切な人を守るためなら、誰しも人を殺す。確かに今の私は殺すでしょう。しかしそれだけではありません。地獄へと引きずり下ろし、二度と這い上がれないように見張り続けます。あなたが自分の罪を悔い、償いたいと思うその日まで。共に、地獄に落ちましょう」と凄んだ。

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【アンチヒーロー】最終回の結末

第二回公判では、伊達原が否認から一転し、罪を認める発言が見られた。証拠動画の隠滅や薬毒物鑑定書の改ざんなどの罪を認めたことで、志水の再審に向けて大きく動き出すこととなった。

緋山は拘置所から手紙を書いていた。逮捕前に明墨が会いに来て、「全てを話して構わない」と告げたことを思い出す。明墨は「私はあなたを利用したまでです。人を助けたからといって、あなたの罪が軽くなることはありません」と言われ緋山は、「犯罪者は希望を持つべきじゃないんですかね」とつぶやいた。

明墨は「被害者遺族のことを考えれば当然でしょう。あなたが傷つけた人々に、何を思い、どう行動するか。目を背けず向き合い続けることが、あなたに残された使命です。必ず生きてください」と答えた。緋山は被害者遺族の羽木春子(馬渕英里何)に向けて手紙を書いた

紫ノ宮は父に面会し、緑川の協力もあり、まもなく勾留が解かれることを伝えた。虚偽告訴幇助の件も再調査が行われる見込みだと教えた。父は自分の弁護を降りるよう娘に言い、正当な裁判をしてもらうために他の弁護士を依頼すると述べた。紫ノ宮が「自分じゃ頼りないということ?」と尋ねると、父は「違うよ。娘に守られる父親なんて、かっこ悪いだろ」と笑った。紫ノ宮は「わかった。でも、また来るから。お父さん」と泣き笑いの顔で答えた。

緑川は桃瀬の墓を参り、「礼子、私たち。頑張ったよね」と話しかけた。風が通り抜け、礼子の答えを聞いたように感じて緑川は微笑んだ。

志水の再審が決定し、拘置所の前で紗耶は父を待っていた。12年ぶりに親子が再会し、志水は急いで駆け寄り、娘を泣きながら抱きしめた。紗耶も「パパ、お帰りなさい」と泣きながら抱きしめ、「ただいま、紗耶」と志水も抱き返した。

無事に釈放されたことを明墨に報告する赤峰。再審はこれからだが必ず無罪を勝ち取ると約束した。明墨は「ありがとう。ここまでこれたのは君たちのおかげだ」と感謝を述べた。

赤峰は「ずっと気になっていたことがあります。なぜ僕を事務所に入れてくれたんですか?」と尋ねた。明墨は「初めて君を見た時、君の信念が志水さんの冤罪を晴らすための力になると思った。人は2通りに分かれる、真実と向き合う者と、そこから目を背ける者。君は見込んだ通りだった。君は言ったよな、大事な人を守るためなら人を殺すと。必ずやり遂げてくれると思っていた。君を部下に持てたことを誇りに思う」と答えた。

赤峰は「ずっと考えてました。法律とは一体何なのか。罪を償い、やり直すためにあるのが法律だと前は思ってました。でも今は知ってます。罪を償ったからといって、許してくれるほど世の中甘くない。公平でもない。そんな不条理と戦うために、アンチヒーローが必要なのかもしれません。だから今度は僕が、あなたを無罪にして差し上げます」と言った。それを聞いた明墨は笑った

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最後の対決全文

明墨と伊達原の2人が、お互いに現実について語り合います。その言葉は長いのですが、とても考えさせられる内容なのでこちらに別記しました。

伊達原の言い分

戯言だよ、バカバカしい。きれいごと言うな。競い合い、奪い合う、それがこの世の中だ。守りたいものを守るためには、他人を蹴落としてでも、勝ち上がるしかない!

志水は容疑をかけられるだけの原因があった。横領に手を染めた犯罪者だぞ!社会的信用を失い、家族を失って当然だろう。それを全て私のせいにするのか!

この社会は一度でも道を踏み外した者に、二度とチャンスを与えない。誰もが勝ち上がるために必死な世の中で、足を踏み外した人間を踏みつけにする。それが真理だ。現実なんだよ!

明墨の反論

その同じ言葉を娘さんにも言えますか?ふとした瞬間、意図せず足を踏み外すことは誰にでもあります。その時、彼女が踏みつけられたとしても、父親としてそう言うんですか?仕方のないことだと、それが世の中だと。

確かにあなたのおっしゃるとおり、この世の中はちっとも公平なんかじゃない。何の落ち度もなく命を奪われる者がいる。何年、何十年悪事を重ねても隠し通し、富と権力を欲しいままにする者もいる。

こんな不平等な世の中で、誰もが気づかないうちに自分の物差しで人を裁き、罰を与えている。時には二度と立ち直ることができないぐらい厳しい罰を。本当に恐ろしいことですが、これが現実です。だって、人は人を裁くことが快感ですからね。

法律とは一体何なんでしょう?我々は法律によって白か黒かを公平に判断することができます。しかしそれもしょせん、人間が作り上げた尺度です。法によって白となったことが、本当に白なのか?黒の奥には実は、限りない白が存在しているのではないか?

それを考え続けることこそが、こんな世の中をつくってしまった我々の役割なのかもしれません

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【アンチヒーロー】全ての謎の解明

全ての謎について、どうなったのか記載しました。

不明のまま終わった謎

  • 明墨が語った事例の人物は誰なのか?(1話)→ドラマの演出で発言しただけ
  • 小国智浩とは誰なのか?(1話)→ドラマの演出で記載されただけ
  • 白木はなぜこの事務所を選んだのか?(8話)→不明
  • 事件の真犯人は誰なのか?(9話)→糸井一家殺人事件の真犯人は不明

解明された謎

  • 赤峰が会いに行った人物は誰なのか?(1話)→松永理人
  • 獄中で絵を描いている男性は誰なのか?(1話)→志水裕策
  • 紗耶は誰の娘なのか?(1話)→志水裕策
  • 赤峰がノートに書いていた事件は何なのか?(2話)→松永理人の冤罪事件
  • “REIKO MOMOSE”とは誰なのか?(2話)→桃瀬礼子はNPO法人「わんはっぴー」の職員。2018年に亡くなっている
  • 獄中の男になぜ明墨は手紙を出し続けるのか?(2話)→弁護を引き受けるため
  • 紗耶は児童施設になぜいるのか?(2話)→母親が死んでしまったため
  • 緋山の動機は何なのか?(2話)→母を侮辱されたため
  • 明墨はなぜ検事から弁護士になったのか?(3話)→内部から探っても潰されるだけと思って検事を辞めた
  • 志水が収監された理由は何なのか?(3話)→糸井一家殺人事件の犯人
  • 倉田は何を隠蔽したのか?(4話)→志水のアリバイ映像
  • 明墨は緋山に何を頼んでいたのか?(5話)→江越の居場所
  • 江越とは何者なのか?(6話)→緋山に闇バイトをやらせていた
  • 明墨が墓参りしているときに来た人物は?(9話)→緑川
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【アンチヒーロー】登場人物のその後

主要な登場人物たちが、最終的にどうなったのか、分かる範囲でまとめました。

  • 明墨正樹(長谷川博己):逮捕・拘留中。証拠隠滅を認める
  • 伊達原泰輔(野村萬斎):起訴されるが拘留はされず。証拠隠滅を認める
  • 志水裕策(緒形直人):再審請求が通って釈放。娘の紗耶と12年ぶりに再会した
  • 緋山啓太(岩田剛典):逮捕・拘留中。控訴審で殺人の罪を認める
  • 瀬古成美(神野三鈴):政治家との癒着で裁判官を罷免され、誤審を認めて志水の再審を訴える
  • 紫ノ宮飛鳥(堀田真由):父の願いで弁護を下りることになった
  • 赤峰柊斗(北村匠海):志水の弁護を紫ノ宮と共に担当。明墨に無罪にすることを約束し、後継者になる
  • 緑川歩佳(木村佳乃):志水の再審へ協力し、桃瀬との約束を果たした
  • 倉田功(藤木直人):緑川の協力で拘留が解かれ、虚偽告訴幇助の件も再調査が行われる見込み
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【アンチヒーロー】最終回のまとめと感想

緑川が明墨と協力して伊達原を追い詰め、志水の再審が決定したという話でした。

緑川と明墨と桃瀬の3人は元々検察の同期で、桃瀬が託したファイルを引き継ぎ緑川と明墨は志水を救おうと考えます。長らく進展がありませんでしたが、緋山の事件がきっかけで全てが動き始めます。

全ては志水を救うため。それぞれ別に見えた裁判ですが、全て再審請求のための布石でした。見事な構成だと思います。

法律とは何なのか?そういった事を考えさせられるドラマです。個人的に法律は緑川も言うように「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれ」が大原則であって欲しいです。

なぜならこれが大原則でなければ、自分が明日いきなり逮捕され、無実なのにそのまま牢屋で一生を終える。なんてことが起きるからです。恐ろしすぎます。

明墨の言う「人は2通りに分かれる、真実と向き合う者と、そこから目を背ける者」のうち、向き合う者が更生し、向き合わない者が再犯するということなのだろうと思いました。つまり、そもそも犯罪を犯す人は、真実と向き合わないから犯す可能性があるのかもしれないと思いました。

赤峰も明墨のようにアンチヒーローとして、生きるのだろうと思わせる終わり方でした。

【アンチヒーロー】最終回のいいセリフ

共に、地獄に落ちましょう。

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