【相棒23】10話のネタバレと感想|一樹の陰も他生の縁

2025冬ドラマ
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【相棒シーズン23】10話「雨やどり」のネタバレと感想をまとめています。

急な雨に降られた右京が雨宿りをしていると、隣に傘を持っているにも関わらず雨宿りをする男がいた。右京は殺人現場にあった痕跡を見て、男の持っていた傘を思い出すが……。

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【相棒23】10話のあらすじ

美術館を出た杉下右京(水谷豊)は傘を持っていなかったため雨宿りをしていた。隣には傘を持っているのに雨宿りをする男がいた。右京は注意深く男を観察していると、突如走り出して赤い傘を差す人物に駆け寄る男。だが、人違いだった。

一方、スナックのママである佐伯美鈴(冨田直美)が何者かに店で殺害される事件が発生する。床に広がる血溜まりの中に何かが置かれていた痕跡が見つかる。その現場写真を見た亀山薫(寺脇康文)が頭を悩ませていると、右京はすぐに傘だと答えた。

それは右京が雨宿りしていた日に、隣にいた男が持っていた傘のチャームだと右京は思い出す。彼は一体何者なのか?そして事件との関連は……?

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【相棒23】10話のネタバレ要約

ある日突然姿を消した桐山塔子をずっと待っていた福丸健吾は、彼女が育ての親である佐伯美鈴に操られていることを知らなかった。

金に困る塔子に家宝を渡そうとする健吾だが、塔子は拒み受け取らなかった。だがその後、家宝は家から盗み出されてしまう。

美鈴は店の常連客である岡を使い、盗みを働かせていた。それを目撃した近隣住民の石橋が岡に殺害され、岡は塔子に盗みをしていることを知られて焦る。

しかし美鈴は構わずに岡に暴行していたところ、キレた岡が美鈴を殺害した。

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【相棒23】10話の詳細なネタバレ

雨宿りと事件

雨のしとしとと降りしきる中、杉下右京(水谷豊)は軒先で雨宿りをしていた。周囲を眺めていると、ふと目に留まったのは一人の男性。傘を持っているのになぜか雨宿りしていた。そんな彼の視線が一瞬、通りがかった赤い傘を差した女性に釘付けになる。しかし、彼女が振り返ると明らかに人違いだと悟った様子で、足早に去っていった。

その場面が不思議に心に残り、右京は後にこてまりでその話をする。「連絡も取れないまま雨の中待ち続ける男の人を見て、何か胸を打たれるものがありました」と語る右京に、小出茉梨(森口瑤子)はふと尋ねた。「その後、その二人は会えたんですかね?」

その静かな問いがまだ頭の片隅に残る中、次の事件が右京と亀山薫(寺脇康文)を呼び寄せた。スナック「サーティナイン」の店内で、店主の佐伯美鈴(冨田直美)の遺体が発見されたのだ。

一課が臨場し、現場検証が始まる。凶器と見られるのは店にあった灰皿。死因は脳挫傷、死亡推定時刻は昨日の午後3時から5時とされた。裏窓の外には微かに血液反応が見つかり、益子桑栄(田中隆三)は「犯人が裏口から逃げた可能性が高い」と分析する。

一方、芹沢慶二(山中崇史)は「犯人が窓から逃げる際に負傷したのでは?」と推測するが、現場の状況には未解明の点が多かった。さらに、店の現金や被害者の財布、スマホもなくなっており、伊丹憲一(川原和久)は強盗の線を疑う。しかし、血溜まりの中に不自然に濡れていない箇所があり、芹沢は「犯人が何かを持ち去ったのかもしれない」とつぶやく。

部署内では角田六郎(山西惇)と亀山が血溜まりの写真を見ながら、何が起こったのか想像を膨らませていた。そこへ右京が現れ、写真を覗き込むなり、即座に「傘です」と指摘する。その形状が、昨日右京が雨宿りしていた際に見た、男性の傘についていたチャームと一致しているというのだ。

右京は亀山とその傘を追い、美術館を訪れる。職員にその男性のことを尋ねると、「雨の日によく見かける」と証言が得られた。半年ほど前から、雨が降るたびにほぼ欠かさずやってくるのだという。そして、右京の記憶を頼りに、その男性が「福丸」という名である可能性が浮上した

赤い傘の女性

右京と亀山は「フクマル洋傘店」を訪ね、店主の妻・貴子(速水今日子)に話を聞いた。貴子は笑顔で応対し、息子・健吾(碓井将大)が傘職人であり、チャームを作ることもあると語る。しかし、夫の行紀(澤田誠志)は「うちには息子はいない」と言い切り、健吾を「芸術家気取りのバカ息子だ」として勘当したと打ち明けた。だが、右京たちは健吾が店の近くのアパートで一人暮らしをしていると知り、そこへ向かう。

健吾のアパートを訪れると彼は不在で、部屋の前に赤いチャームが落ちているのを右京が発見する。拾い上げて裏側を見ると、そこには乾いた血痕が付着していた。このチャームが事件現場に繋がる証拠である可能性を感じた右京は、健吾が美鈴の殺害現場から傘を持ち去ったのではないかと推測する。

後日、右京は偶然を装い健吾に声をかけた。「何か悩んでいませんか?もしよければ話を聞かせてください」と穏やかに誘いかける右京に、健吾は少しずつ自分の話を語り始めた。彼の語る内容は、雨の日の出会いと別れに満ちた切ない物語だった。

健吾は隅田川沿いでよくスケッチをしており、そこで散歩をする桐山塔子(青島心)という女性に密かに憧れていたという。ある雨の日、偶然同じ場所で雨宿りをしたことがきっかけで、二人は親しくなり、何度も会うようになった。塔子は自分を「雨女」だと称し、「人生もいつも土砂降りみたい」と笑いながら話していた。そんな彼女に健吾は「僕は、雨…好きだよ」と告げた。

塔子が大切にしていた紺色の傘は、かつて大事な人にもらったものだと話していた。健吾は「好きな傘を持つと雨の日も好きになれる。僕はそんな傘を作りたい」と語り、彼女に自分が作った赤い傘をプレゼントした。だが、塔子は突然姿を消し、半年ほど前、七夕の日に「さよなら」とだけ告げた電話を最後に連絡は途絶えた。健吾が雨の日に美術館に通っていたのは、塔子が「雨の日は美術館が静かで心が落ち着く」と言っていたからだった。彼は未練を断ち切れず、雨が降るたびに美術館で彼女を待っていたのだ。

健吾と別れる間際、右京の態度は急変した。部屋に駆け寄り「昨日、彼女が来ることを切に願っていたように見えましたが、何かあったのですか?」と尋ねるも、彼は「別に何も。忘れてください」とだけ答えた。

右京は玄関にあった赤い傘を示し、「この傘は塔子さんにプレゼントしたものでは?」と尋ねる。さらに、チャームに血が付着していることを指摘すると、健吾は「チャームは自分のものではない」と否定し、傘は自分のものだとごまかそうとする。その言葉の裏に隠された真実を、右京は鋭い視線で探り続けた。

塔子の秘密

亀山は「フクマル洋傘店」を再び訪れ、健吾の母・貴子に話を聞いた。さらに近所の住人によれば、健吾が家を出たのは半年前だという。それまでは熱心な傘職人で、父・行紀のもとで真剣に修行を積んでいたという。しかし、半年前に何があったのかを問われると、貴子は言葉を濁し、「夫から口止めされています。身内の恥だからって」と苦い顔をした。

署に戻った亀山は、右京に貴子から聞いた話を共有した。健吾は幼い頃から父のもとで修行を始め、その才能は折り紙付きだった。しかし、職人気質の行紀は期待の裏返しとして息子に厳しく接しすぎ、ここ数年は親子関係が悪化していた。そして半年前、二人の関係を決定的に壊す出来事が起きたという

貴子によれば、行紀には年齢的な焦りがあった。福丸家では代々受け継いでいる骨董品があり、中でも特に高価とされるのが、17世紀フランスで作られたゴブラン織りのタペストリー「王宮」という作品だった。その価値は総額で3000万円以上ともいわれ、行紀はそれを家宝として守り続けてきた。

ところが、半年前に物置を整理していた際、そのタペストリーがなくなっていることに気付いた。さらに追及すると、健吾が「自分が売った」と認めたという。売却の理由を問うと、「困っている友人のためだった」と話したきり、具体的なことは明かさなかったというのだ。

「その友人というのが、桐山塔子さんじゃないか」と亀山は推測する。右京もその可能性を見据え、美鈴と塔子の関係を掘り下げるため情報を洗い始めた。そして驚くべき事実にたどり着く。

被害者である美鈴は過去に結婚詐欺の容疑をかけられていたことがあり、証拠不十分で逮捕には至らなかったが、疑わしい余罪が多かったという。資産家に近づき、詐欺や窃盗を繰り返していた疑いがあり、警察の資料には美鈴に関する調査記録が残っていた。

さらに右京が掘り下げると、17年前、美鈴が「子供に募金詐欺をさせていた疑い」で取り調べを受けていた記録を発見する。その資料には、当時10歳の子供として募金箱を持たされていたのが「桐山塔子」であると記されていた。塔子は美鈴の身元引受人によって保護されていたが、その背景には悲しい事情が隠されていた。

塔子は幼少期に実の母親を亡くし、母の友人であった美鈴に引き取られて育てられたのだ。つまり、美鈴は塔子にとって育ての親であり、同時に彼女の人生に深い影響を与えた人物でもあった。

毒親すぎる毒親

捜査は新たな展開を見せた。一課が佐伯美鈴の自宅を捜索した結果、複数の用途不明の鍵が発見された。そのうちの一つは近所のトランクルームのものであり、そこを調査すると、中には現金や盗難届が出ている宝飾品が複数見つかった。右京と亀山はその様子を背後から覗き込みながら状況を分析する。

「これは強盗ではないようですね」と右京は静かに言った。被害者のネックレスなどはそのまま残されており、所持品が奪われたのは強盗に見せかけるためのカモフラージュだと指摘した。そして押収品の中から、福丸家のタペストリー「王宮」が発見される。「つまり、佐伯美鈴は塔子に詐欺をさせていたのではないか」と右京は推測する。

さらに調査が進む中、美鈴が経営していたスナックの女性従業員の中で、一人所在不明の人物がいることが判明した。その人物は「トーコちゃん」と呼ばれていたという情報を出雲麗音(篠原ゆき子)から得た。

その手がかりを追い、右京たちは居酒屋「藤吉郎」を訪れる。そこでは美鈴の店の従業員、浅田友莉亜(石田パトリシア)が常連客たちと美鈴に献杯を捧げていた。右京たちは友莉亜に話を聞く。塔子の連絡先を知っているのは彼女であり、事件後にメールを送った木本三郎(脇知弘)が返事がないと話した。友莉亜は、「塔子は他の従業員とはあまり親しくなく、やり取りしていたのはママぐらいだった」と語った。

右京が「二人はどういう関係でしたか?」と尋ねると、友莉亜は少し躊躇した後でこう答えた。「もしかして娘なのかなって思ってました。薄々はわかってたんです。ママがあの子には遠慮がなかったので」

友莉亜の話によれば、ある日塔子が「もうそういうの嫌なんです」と美鈴に訴えたことがあったという。その時、美鈴は激怒し、塔子を脅したのだ。「娘っていうよりは、従順な犬みたいな感じでしたね」と友莉亜は苦々しそうに言う。さらに、木本は「美鈴に『トーコちゃんとデートしたかったら金を払え』と言われたことがある」と打ち明けた。

木本はおととい塔子と一緒に美術館へ行った。デート中、突然男が現れると、塔子は驚いてその場から逃げ出したという。その男は「待ってるから、美術館で待ってるから!」と叫びながら塔子を追いかけていた。驚いた木本は、その後男の勢いに押される形でスナックの場所を教えてしまったと語った。

「これで福丸さんがスナックを訪ねた理由が繋がりますね」と右京は結論づけた。塔子を探すために美鈴を訪ね、そこで何かが起こった――この新たな事実が、事件の核心に迫る鍵となるのは明らかだった。

同時期に起きた死亡事故

右京と亀山は再び健吾の家を訪れ、事件当日の行動について尋ねた。健吾は美術館で塔子を待っていたが、彼女は現れなかった。その後、スナックを訪ねたと語る。右京は事件現場に健吾の傘が落ちていたことを指摘し、その傘に付着していた血液が被害者のものであると伝えた。そして、塔子が美鈴から悪事を指示されており、健吾も騙されていたのではないかと告げる。

しかし、健吾は「彼女はタペストリーを盗んだりしていないし、僕を騙したわけでもない」と否定する。右京は健吾が塔子を庇っているのではないかと揺さぶりをかけながらも、「塔子さんが最初から騙すつもりなら、本名を使うことはなかったでしょう」と推測し、彼女が本心では騙す気持ちはなかったのだろうと話す。

亀山が「塔子さんのためにも、知っていることがあれば話してほしい」と促すと、健吾はようやく口を開き始めた。

半年前、美鈴は塔子の叔母を名乗り、塔子が父親の借金で苦しんでいると健吾に訴えた。健吾は美鈴に会い、福丸家のタペストリーを渡そうとしたが、そこに塔子が現れ、「ダメ!」と止めた。塔子は「傘作りができなくなるよ」と健吾を説得したが、健吾は「別にいいよ、傘職人なんて」と応じた。その言葉に塔子は「嘘つかないで」と言い、タペストリーを健吾に返却した。そして「私のことはいいから、心配しないで」と健吾に告げた。

しかしその翌日、塔子から別れの電話があった。その2日後、福丸家にあるはずのタペストリーがすべてなくなっていることに気づいた。健吾は「彼女が関わっているのではないか」と疑い、再び彼女に会って話をすることを望んだ。

それが叶ったのは3日前だった。健吾が「タペストリーが盗まれたことは誰にも言ってない」と話すと、塔子は驚いた表情を見せ、「盗まれた…?ごめんなさい」とだけ言い残し、その場を去った。その反応から、健吾は塔子が盗みに関与していなかったのではないかと思い始めた

事件当日、健吾は夜まで美術館で彼女を待ったが、現れなかった。諦めきれずにスナックを訪ねたところ、美鈴が頭から血を流して倒れており、傍らには自分が塔子に贈った赤い傘が落ちていた。健吾は「塔子が美鈴と揉めた末、殺してしまったのではないか」と考え、彼女を庇うためにその傘を持ち帰ったと語る。

「雨宿りなんかしなければ、彼女と出会わなければ良かった」と悔やむ健吾。最後に「彼女を見つけてください」と右京たちに頼み、赤い傘を亀山に渡した。

その後、右京は福丸家のタペストリーが盗まれたタイミングに疑問を抱く。それは塔子が去った2日後だったが、タペストリーは長い間ホコリをかぶり、人目に触れることもなかった。それなのになぜそのタイミングで気づいたのか?右京が問いかけると、健吾は「たまたまです」と答えた。

「親父が急に『いつ死ぬかわからないから財産を整理する』と言い出して発覚した」と説明する健吾。近所で同年代の人がジョギング中に転倒して亡くなったことが、父の心境を変えたらしい。同時期に起きたその事故について、右京は何か引っかかるものを感じた。

署に戻った右京は、事故死した石橋大祐(松村明)に関する資料を調べた。彼は7月8日早朝に転倒して死亡しており、事件性がないと判断されていた。タペストリーの紛失が発覚したのがその翌日、7月9日だった。石橋の亡くなった場所は福丸家の近くであり、右京はこの二つの出来事に関連性を疑う

「佐伯美鈴は半年もの間タペストリーを売らなかった。それは単なる窃盗ではなかったのではないか」と右京はつぶやいた。そして、現場の写真を見た右京の目が鋭く光り、真相にたどり着いたことを示唆した。

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事件の真相

右京と亀山は居酒屋「藤吉郎」を訪れ、店主の岡昌宏(松本実)に話を聞いた。右京は、美鈴が窃盗の容疑をかけられていたこと、そしてトランクルームに盗難品が保管されていたことを伝えた。それを聞いた岡は、あくまで無関係を装い、「そんなの俺には関係ない」と言い張る。

しかし亀山は、「盗んだのは彼女じゃない」と教える。「当時佐伯美鈴が逮捕されなかったのは、彼女にはアリバイがあり、犯行が不可能だったからです。つまり、窃盗の実行犯となる共犯者がいたことになる」と右京は指摘する。そして続けた。「共犯者は半年前に福丸家から高価なタペストリーを盗み出したが、その際、近隣住民に目撃されてしまった。その住民が転倒事故として処理された石橋大祐さんです。本当は窃盗犯に突き飛ばされた事件だった

さらに右京は「住人の衣服には犯人のものと思われる毛髪が付着していました。それが、あなたと同じ紫色の毛でした」と詰め寄る。そして右京は冷静な口調で、「タペストリーを盗んだのはあなたですね、岡さん」と断言した。

岡は表情を歪めたが否定を続けた。「知らないね、そんな話」だが右京は続ける。「先日気づきましたが、あなたの手に怪我がありますね。あれはスナックの裏窓から逃げ出す際に負傷したのではないですか?」と指摘する。

「現場から血液反応は出ている、言い逃れはできないぞ」と亀山が迫ると、岡はついに観念した様子で言葉を漏らした。「あの女が悪いんです。ずっとこき使われてきた。盗みだって全部あいつの指示だった」そう言って、美鈴の悪行を語り始めた。

岡は福丸家からタペストリーを盗み出した際、石橋に目撃され、慌てて逃げ出した。しかし石橋が追いかけてきたため、もみ合いとなり、突き飛ばした拍子に石橋を転倒させてしまい、そのまま命を奪った。岡は罪の意識に苛まれつつも、美鈴の指示で窃盗を続けていた。

しかし、塔子にその事実が知られ、「もうおしまいだ」と思った岡は、美鈴に会いに行った。美鈴は「塔子が最近生意気になってきた。例の男(健吾)と会って、全部話すと言っている」と口にした。それを聞いた岡は「大丈夫なのか?」と尋ねたが、美鈴は取り合わず、「ビビるんじゃないわよ」と軽くあしらった。

岡は「もう自首しようと思う」と告げたが、それを聞いた美鈴は激怒し、岡に手をあげた。「あんたが自首なんかしたら私も危なくなる!黙って言う事聞いてりゃいいのよ!ビビってんじゃないわよ、このクズ!」そう言い放ちながら、美鈴は岡を殴り、蹴りつけた。その言葉に、これまでの不満と怒りが爆発した岡は、そばにあった灰皿を手に取り、美鈴の後頭部を殴った。倒れた美鈴をさらに何度も殴り続けたのだった。

事件は解決へと向かったが、右京と亀山の心には、塔子の存在が引っかかり続けていた。彼女はどこで何を思っているのか。そして、塔子の苦しみが癒える日は来るのか。真実は明らかになったものの、彼女の未来に思いを馳せる二人の姿がそこにあった。

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【相棒23】10話の結末

一課が居酒屋「藤吉郎」に到着し、岡を連行していった。その際、麗音が厨房の奥から見つかった被害者のスマホや金銭を見せる。その中には美鈴のスマホだけでなく、塔子のスマホも含まれていた。その事実に、右京は美鈴が岡に言っていた「あの子はもう、どこへも行けない」という言葉を思い出す。右京は、美鈴が塔子のスマホを取り上げ、どこかに監禁している可能性を示唆した

右京は健吾にその可能性を伝え、美鈴にタペストリーを渡しに行った際に何か気づいたことがないか尋ねた。健吾は「亀有の喫茶店に呼び出された」と答える。その近くに貸し倉庫があったという話から、右京たちは塔子がそこに監禁されている可能性を考える。

塔子が美鈴に直接、健吾に会って話すと告げた際、美鈴は「あんな男は忘れろ」と激怒し、塔子を許さなかった。塔子が「もう嫌!もういいなりにはならない!」と叫ぶと、美鈴は彼女の頬を容赦なく殴り、その後も蹴りつけて、そのまま貸し倉庫に監禁してしまったのだ。

右京、亀山、そして健吾は貸し倉庫に急行し、塔子を発見。無事だった塔子を、健吾は抱き寄せ、安堵の涙を流した。

事件解決後、無事回復した塔子に再び会う右京たち。しかし、塔子は健吾とは連絡を取っていないと言う。塔子が大切にしていた紺色の傘には、持ち手の部分に「フクマルケンゴ」と彫られていた。

塔子は幼い頃、雨宿りをしていた路地裏で健吾と出会ったという。健吾は「これ、あげる。僕の作った傘」と言って塔子にその傘を渡した。その傘をもらった塔子は嬉しそうに雨の中で傘をくるくる回し、跳ねて遊んだ。それ以来、いつかまた彼に会えたらと思い、去年福丸洋傘店の近くに引っ越したのだという。彼がスケッチしているそばを何度も通ったものの、話しかける勇気が出ず、あの雨の日に美術館で彼を見つけ、思い切って飛び込んだのだ

「雨が背中を押してくれたってわけだな」と亀山が微笑むと、塔子は涙を浮かべながら、「でも、出会うべきじゃなかった」と呟く。「私のせいで彼が家を追い出されて、傘職人の道を諦めることになって…」と悔やむ塔子に、亀山は「福丸さんは父親に頭を下げて、店に戻ったよ」と告げる。

さらに、健吾から預かった傘を塔子に渡す亀山。「試作品だけど、君に使ってほしい」と健吾の言葉を伝える。それは木陰をイメージしたデザインで、商品名は「一樹之陰(いちじゅのかげ)」。濃い緑の外側、内側に描かれた色鮮やかな花々が印象的だった。

「彼はあなたのおかげで傘作りの魅力に気づいた。出会うべきじゃなかったのかどうか、その答えはこれからのお二人次第じゃありませんかね」と右京が静かに語りかける。亀山も「あいつずっと待ってると思うよ」と塔子を励ました。

その後、健吾は晴れた日に空を見上げながら傘を開いた。同じく塔子もその傘を広げ、そっと空を見つめた。外側には深い緑が、内側には鮮やかな花々が広がる傘。二人にとってそれは、新たな一歩を象徴するものだった。

「傘を使う日が、待ち遠しいですねぇ」と右京が微笑みながら呟いた。

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【相棒23】10話のまとめと感想

育ての親に詐欺を強要されていた女性がかつて自分に傘をくれた人物と再会して、親の呪縛からやっと逃れられたという話でした。

塔子を使って金を稼いでいた美鈴は、さらに岡に命じて泥棒もさせていました。自分は一切手を汚しませんが、手に入れたものは全て自分のものにします。

そんな美鈴はスナックのママというよりも、反社の人のようです。殴る蹴るの暴力で人を従わせ、しまいには監禁して自由を奪います。その辺の普通の店にこんな人がいるなんて怖いです。

しかしかつて自分に傘をくれた人に再び会い、そこで塔子は美鈴の呪縛から必死に逃れようとしました。結果的に美鈴が殺害されたことで、彼女は本当の意味で自由になれたと思います。

うまくいかないことだらけで雨ばかりの人生でも、傘を差し出してくれる人がいれば、困難にも立ち向かえるのだろうと思わせてくれるいい話でした。

【相棒23】10話のいいセリフ

一樹の陰も他生の縁。

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