【相棒22】4話のネタバレと感想|芝居の神様が下した判決

2023秋ドラマ
記事内に広告が含まれています。

【相棒シーズン22】4話「天使の前髪」のネタバレと感想をまとめています。

女優がオーディション審査員を殺害してしまう事件が発生する。すべての証拠は彼女が正当防衛であることを意味づけるものだった。だが右京はあまりにもできすぎている状況に違和感を抱き……。

スポンサーリンク

【相棒22】4話のあらすじ

劇団W所属の女優・久保崎美怜(藤井美菜)は、日米合作映画の出演をかけたオーディションに参加した。しかし、その会場に来ていた審査員・工藤祐一(大内厚雄)にテスト演技を酷評されてしまう。

杉下右京(水谷豊)は亀山薫(寺脇康文)と、新しく出来たホールのこけら落としで催される、クラシックコンサートを聞きに行こうとしていた。道端に様子がおかしい女性を発見し、声をかけると「警察を呼んでください」と言われる。彼女の手には血がべったりとついていた。

右京たちがマンションの部屋に行ったところ、そこには果物ナイフで胸を刺されて死んでいた工藤の姿があった。

警察で事情を聞くと、オーディションを受けた後、工藤からメッセージで執拗な食事の誘いがあったという。立場を利用したセクハラだと感じた美怜は断り続けたが、今度は電話がかかってきたという。

それでも拒否し続けていた美怜だったが、ある日突然マンションに工藤が直接訪ねてきた。そのまま強引に部屋の中に押し入った工藤は、いきなり襲い掛かってきたという。必死に抵抗を続けた美怜は、そこにあった果物ナイフで刺してしまったと供述した。

現場を改めて確認した右京は、あまりにも出来すぎていると違和感を抱く。なぜなら、彼女は女優だからだと言うが……。

←3話5話→

スポンサーリンク

【相棒22】4話の見逃し配信

『相棒シーズン22』の見逃し配信は、TVerテレ朝動画で配信しています。無料配信終了後はTELASAで視聴できます。

本ページの情報は2023年11月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

スポンサーリンク

【相棒22】4話のネタバレ

関係者への聞き込み

右京たちはまず、彼女の所属する劇団の稽古場にやってきた。しかし、開いていなかったので、劇団員募集のチラシにあった連絡先に電話をし、やってきた有村凜(朝井瞳子)に開けてもらい話を聞く事にした。

美怜は1人で脚本、演出、主演をこなすという。以前は演劇集団ホタルに所属していたが、10年前に美怜1人で劇団を立ち上げた経緯があった。

美怜にはワンマンなところがあったため、劇団員は現在、凜ただ1人という状況で劇団は休業中だった。稽古場の家賃も滞納しがちになり、先月はアルバイト先から前借をして支払ったという話を聞いた。

そこで次は美怜のアルバイト先に右京たちは向かった。洋風居酒屋の店長・中村修(瀬口寛之)の話だと、バイト料の前借でトータル30万ほど貸しているという。何とか支援してあげたいとは思うが、芽が出ないみたいで芝居の才能がないのかもと、美怜は悩んでいたという。

続いて右京たちはオーディションを主催していた、映画の配給会社に向かう。皆川隆二(島丈明)にどんなオーディションだったのか話を聞くと、日米合作映画のオーディションで脇役の日本の俳優を探していたという。

ちなみに亡くなった工藤は本作のプロデューサーではなく、審査員でもないという。工藤はアメリカ在住で、在米日本人俳優のマネージメントをしている人物だった。本作では日本ロケのコーディネーターとして参加していただけだった。

女癖が悪いという噂が以前からあっただけに、皆川は最初から反対していた。その噂はどこからかと聞くと、演劇集団ホタル座の女優がどうとかこうとかという話があったと語った。それは以前、美怜が所属していた劇団だった

神様が証明?

右京たちは再び美怜に話を聞く事にする。美怜にホタル座にいたことを確認した右京は、その時の舞台演出を頻繁に担当していたのが工藤だということも掴んでいた。つまり、美怜と工藤は以前から知り合いだったのではと問うが、当時の工藤は売れっ子演出家で、端役の自分の事など覚えていないと美怜は主張する。

事実、工藤はオーディションの時に美怜のことを覚えていなかった。だから知り合いだと言えなかったのだと美怜は供述する。

そこで右京は「刑法第36条1項をご存知ですか?」と問いかける。急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するためやむを得ずにした行為は罰しない。いわゆる正当防衛のことだった

工藤は予告なく部屋に押しかけ、美怜は自分を守るために一度だけ刺し殺害してしまった。正当防衛成立の要件が、余すことなく全てそろっていると右京は訝しむ。自分を疑っていると感じた美怜は「真実は神様が証明してくれます」とだけ答えた。

謎の音声データ

角田六郎(山西惇)かられいのセクハラプロデューサーとの事件の時の音声が、匿名で送られてきたという報せが入る。右京は鑑識の益子桑栄(田中隆三)の所へ行き、その音声を聞かせてもらった。確かに美怜の供述どおり、工藤が襲い掛かってきているようだった。

問題はこの音声データが入っていた端末は、録音型盗聴器のものだった。押収品リストを確認した右京は「なるほど」と合点し、どこかへ2つ調べて欲しいものがあると電話した。

その後、美怜の部屋を再び訪れた右京たちは、鍵穴にピッキング痕跡がないことを確認する。つまり合鍵を使用して侵入していたことになる。部屋を見渡した右京は、以前訪れた時にはあったが今はないものに気付いた。それは押収品リストにも載っていない電卓だった

出雲麗音(篠原ゆき子)から電話が入った右京は、頼まれた件を調べたという報告を受ける。1つは美怜が誰かに合鍵を渡していたかどうかだった。美怜には親しい友人や恋人が現在いないため、その可能性はゼロだと出雲は言う。

2つ目は映画関係者に録音を聞いてもらったところ、男の音声は工藤に間違いないという証言を得れたと言う。密かに誰かが侵入して盗聴器を回収したのであれば、ますます美怜の正当防衛の可能性が強まる。

仕掛けた人物が既に心当たりあった右京は、美怜のバイト先に行って中村に再び話を聞く。店に置かれていた電卓と、美怜の部屋にあったはずの電卓は同じものだと右京は記憶していた。店長ならば隙を見て、美怜の部屋の合鍵を作ることも造作も無いだろうと、亀山も納得していた。

中村は電卓を2つ用意し、1つは美怜にあげて、ある程度録音したところで電卓ごと交換していた。店にある電卓の中を見てみると、盗聴器が案の定仕掛けられていた

「見逃してよ。知らんぷりもできたんだよ。けど、あの子の将来のために、いや正義のためにわざわざ送ってやったんだよ、俺は」とまるで悪びれない態度に右京は、「勝手な理屈を並べるんじゃありませんよ!正義を振りかざす前に、自分の卑劣さを恥じたらどうですか!」とキレた。

偶然

右京が電卓を回収しようとすると、あることに気付いて亀山に上着を脱ぐよう命じる。上着で電卓を覆って中を見て右京は確信した。

美怜に店長が盗聴をしていたと報告した右京は、美怜は盗聴に気付いていたのではないかと疑う。そもそも中村が電卓をあげたのも、劇団を主宰している美怜なら、会計や確定申告などで使用する可能性が高いと考えていたからだった。

頻繁に電卓を使っていたはずの美怜が、この違和感に気付かないはずがないと右京は続ける。それは、ボタンの隙間から赤い光がもれていたのだ。あの時、右京は違和感に気付いて、上着で覆って暗くすることで赤い光を確実に視認した

気付いていたなら放っておくわけがないと反論する美怜に、ならば今起きていることをどう説明すればいいのかと追及する。全てが正当防衛を裏付けていると言う右京に対して美怜は、全て偶然だと主張した

亀山は押収品を改めて確認すると、埼玉県にある店のレシートがあることを発見する。何のためかと思って調べたところ、美怜の妹の美由(石崎日梨)が亡くなっていたことが分かった。寺の住職に話を聞いたところ、いつものご婦人が来て花を生けていったという。

やがて美怜は釈放された。その間も右京はれいの音声を聞いていた。亀山が工藤殺害の強い動機が見つかったと報告すると、右京もやっとトリックが分かったといい、リバーブが鍵だという

事件の動機

稽古場で発声練習をしている美怜のもとに右京たちはやってくる。亀山は寺に行って話を聞いてきたと言い、妹の墓前に花を生けたのは、演劇集団ホタル座の元劇団員の女性が手向けたものだったと教える。亀山はその女性に話を聞いていた。

美怜は17歳の時に高校を中退し、上京して女優を目指した。妹は「幸運の天使は、前髪しかないんだって。あとのことは任せて」と駅で姉を見送った。

それから5年後、両親が共に他界したため、妹は姉を頼って上京する。美由もまたホタル座に入り、研究生となった。しかしある日、美由が工藤に強姦されてしまう

稽古場で傷つき泣いている美由を発見した美怜は、その事を知って工藤と劇団に激しく抗議した。だが、みんなで作り上げた舞台をぶち壊す気かと、逆に文句を言われる始末だった。ならば警察に訴えるという美怜だが、警察沙汰にすることを美由は望んでいるのかと言われて戸惑う。

美由に話をすると「私のためにお芝居をやめないでね。私、忘れることにしたから」と笑って答えた。美怜は美由の芝居に気付く事ができなかったと悔やむ。その後、美由はビルの屋上から飛び降りて亡くなった

たった1人の妹を守ることができなかったと、激しく後悔した美怜だが、工藤はその直後に劇団の公演資金を持ち逃げしてアメリカに渡ってしまった。そのせいで資金繰りが悪化してホタル座は解散し、美怜は1人で劇団を立ち上げた。

「お芝居をやめるな」というのが、美由の最後の言葉だったから、それからの美怜はどんなことも芝居の糧にしたという。

事件の真相

今回の件はオーディションで思わぬ再会をした、工藤を巻き込んで打った芝居だと右京は指摘する。音声データの前半と後半のリバーブが違うと説明した。

リバーブとは残響で、音が発せられてから消えるまでの時間をいう。リバーブの長さは空間の広さに比例し、空間が狭ければリバーブは短く、空間が広ければリバーブは長い。工藤が押し入って刺されるまでのリバーブと、美怜が工藤に取りすがり「工藤さん」と叫ぶ声のリバーブがわずかに違っていた。

右京はリバーブの長さから空間の広さを逆算することも可能だという。鑑識に盗聴録音のリバーブを分析してもらったところ、前半はこの稽古場ぐらいの大きさで、後半は美怜の部屋ぐらいのものだと判明した。

盗聴器が仕掛けられていたことに気付いた美怜は、逆にそれを利用して工藤殺害の復讐計画を立てたのだろうと。なぜなら、2人きりで起こったことの証明は難しいが、第三者が録音していれば証明できると考えたからだ。妹への性被害をもみ消した側の理屈を、工藤への復讐に使った

しつこく連絡してきた工藤に、稽古場なら会ってもいいと言ったのではないか。次の舞台の読み合わせを手伝って欲しいとでもいって、盗聴器をここに移動させたのだろう。下心のある工藤はまんまと稽古場にやってきた。

右京の推測どおりあの日、やってきた工藤に読み合わせの相手を美怜は頼んだ。チャイムの音を合図に演技を始める美怜は、自宅と同じ間取りで小道具も配置して行った。襲われて必死に抵抗する演技をし終えた後、美怜は立ち上がるとそこにあった果物ナイフで刺し殺した

音で反応する盗聴器なため音声には芝居部分だけを残し、痕跡を片付け、工藤の遺体とその他の小道具を自宅に運び、そして後半を一人芝居で演じた

全て完璧に思えた計画だったが「ただ、あなたにはリバーブの知識がなかった」と右京は告げた。

スポンサーリンク

【相棒22】4話の結末

亀山はなぜセリフに天使の前髪のセリフを書いたのか疑問だった。上京の背中を押してくれた妹の言葉を汚すようなことをしたのかと、亀山が美怜に聞く。美怜は「美由と一緒に、復讐をしたかったんです」と語った。

右京は盗聴された録音を盗聴魔が送るかどうかは、何の保証もないのになぜ賭けに出たのかが疑問だった。あれ賭けではなくあえて言うなら、芝居の神様のジャッジを受けたかった。自分に芝居の才能があるかないかのジャッジをと美怜は語る。

自分に才能があれば、切羽詰った感情を盗聴している人に伝える事ができるはず。伝わればきっと行動に移す。でも才能がなくて伝わらなければ、盗聴を聞いて楽しんで終わるだけ。自分の芝居の才能に見切りをつけられると、美怜はあの芝居に込めた覚悟を教えた。

「美由まで巻き込んで、傷つけ死なせてしまった芝居の夢を…夢を諦めることがやっとできますから」と語る美怜に右京は「それは夢ではありません。もはや呪縛ですよ」と言う。「妹さんがお芝居をやめないでほしいと、あなたに言った瞬間からそれが呪縛となって、あなたをからめとってしまったようですねぇ」と憐れんだ。

そして「美怜さん。人を殺すための芝居など、この世にはありませんよ。芝居は本来、人を幸せにするものではないでしょうか。人生の悲しみや喜びを見せ、立ち向かう勇気を与える。妹さんがみたかったのは、あなたのそんなお芝居だったんじゃありませんかねぇ。いえ僕はそう思いますよ。非常に残念です」と右京は諭しながら悔やんだ。

それを聞いた美怜は笑い出し、やがて泣き出して崩れ落ちた。

←3話5話→

スポンサーリンク

【相棒22】4話のまとめと感想

妹の復讐をするため、正当防衛を偽装した姉の話でした。

そもそも遺体を移動させていたことに、鑑識なり右京さんなりが真っ先に気付きそうですが、それは最後まで分かりません。そういった突っ込みは気にせずに見ると、中々に憐れな話です。

昨今の立場を利用した性被害を逆手に取り、復讐をしようと考えた姉が、自分の身を削ってでも成し遂げようとする強い意志を感じます。よくある2時間ドラマと違い、最初に憎い相手はちゃんと殺せているので美怜も本望でしょう。

妹が姉に対して打った芝居を真に受けた結果、妹は自殺をしてしまいました。レイプをされて大丈夫な人などいるはずもなく、姉も心のどこかでこのまま舞台公演ができたらいいなと思っていたのではないか?と疑いたくなります。そのせいで逆に妹の呪縛に囚われます。

一大事が起きた時、絶対に相手が何と言おうと妥協すべきではないのでしょう。ここは引いてはいけないタイミングなんだと、それこそ天使の前髪を掴み損ねたゆえの悲劇でした。

【相棒22】4話のいいセリフ

勝手な理屈を並べるんじゃありませんよ!正義を振りかざす前に、自分の卑劣さを恥じたらどうですか!

←3話5話→

タイトルとURLをコピーしました