2019年11月9日に【世にも奇妙な物語 ’19秋の特別編】がフジテレビで放送されました。今回は前回よりも全体的に話が面白くキャストも良かったです。怖い話が名作揃いの回でした。
第1話「鍋蓋」のネタバレ
- 直美は会社で仕事を断っても聞いてもらえず、女子との昼食も会話に入れない地味な女子だった。ある日、“おすすめプラチナム”というメールが届き中を見る。“鍋蓋”を勧めてくる理由が分からずとりあえず放っておいた
- その後、会社の憧れの先輩である荒井のスマホカバーにあったキャラクター“ネジネコ”のタオルハンカチを勧められて購入してみる。使っていたハンカチを見て荒井に声をかけられた
- モバイルバッテリーを勧められたがそれは高額なので無視する。しかし、荒井がある日、誰かバッテリーを持っていないかと聞いてきて、買っておけばよかったと後悔する
- 今度勧められたのはプロジェクターだった。いらないと思いつつも買う直美、荒井が困っているタイミングでそれを渡すと喜ばれた
- さらにマルチリモコンなどを勧められ、購入してみると喜ばれる。こんな自分でも人の役に立つ、直美はおすすめプラチナムを信頼していた
- お勧めされた香水をつけたところ、すれ違い様に荒井に声をかけられる。服なども勧められるまま買うと、女子たちとも会話がスムーズにできるようになった
- コンタクトレンズを勧められて眼鏡からコンタクトに変える。それを見た荒井からメッセージが届き喜ぶ直美
- 鞄なども買いどんどんオシャレになる直美、プロポリススプレーなるものを勧められ何となく買ってみた
- 荒井とカラオケデートをし、咳き込む荒井にプロポリススプレーを渡す。その手を握られ良い雰囲気になり、直美は荒井とキスをした
- 残業になったから会えないというメッセージが届き、直美はいつなら会えるかと返事をするが返って来ない。そして偶然同僚の由佳と荒井が仲良さげに歩いているのを目撃してしまう
- お勧めでICレコーダーを勧められて購入し、荒井の鞄にそれを忍ばせる。後日回収して聞いてみると、由佳と荒井で自分のことをウザったく思っている会話が録音されていた
- 憤る直美は荒井を待っていて直接話す。するとしばらく会うのをやめようと言われてしまう
- 由佳と荒井の仲はどんどん進展していき、直美に届くお勧めはレインコートやスコップなどに変わる
- それらを購入する直美、しまいには包丁や手袋、睡眠導入剤なども勧められるままに購入した
- 由佳と荒井はとうとう婚約をする。直美は由佳に連絡して、お祝いと称してコテージに一緒に行く
- 薬を入れた酒を飲み眠くなった由佳に包丁を持って襲い掛かる直美、由佳は逃げ惑い手元にあった鍋蓋で攻撃を防いだ
- 直美が買った鍋蓋が由佳の手に渡り、由佳はその蓋を直美に向けて放り投げる。直撃した直美はその場に倒れた
- おすすめプラチナムの会社では、生活を豊かにするためのものなので、殺人者にならないよう最初から防御用の商品をお勧めしていたという。それが“鍋蓋”だった
- アメリカ大統領へのお勧めは核兵器衛星で、その他のお勧めに“鍋蓋”があった
第1話「鍋蓋」の感想
ブラックユーモアな話です。最初は単なる恋愛話かと思いきや、最後にブラックな話でオチとなります。
鍋蓋は何でも万能に使えるのか?放射能は無理な気がします。あの場合、シェルターなどを勧めたほうが良かった気がします。
杉咲さんが段々綺麗になっていって、かわいい女の子になるのが面白いです。話としては気の毒な話で、目的を遂げさせてあげたいものですが、おすすめプラチナムがそれを阻止します。
デートでなぜか荒井役の岩永さんが「I LOVE YOU,OK」を歌いだすのは笑いました。よりよい人生は自分の手で掴むもの、そんな教訓ならぬネットショッピングへの皮肉をこめた話でした。
第2話「恋の記憶、止まらないで」のネタバレ
- 村瀬志保は新たな曲を作りたくともできずに悩んでいた。そんな折、偶然閃いた曲を急いで書きとめ曲を作る。タイトルは「恋の記憶、止まらないで」という曲だった
- その曲を披露すると今までと客の反応が違う。みんな聞き入り拍手喝采となった
- シングルチャートも上がり、取材なども舞い込み志保は忙しくなる。さらにCM出演まで決まった
- 自宅で物音が聞こえたほうを見ると、一本のビデオテープがあった。それは自分が子供の頃、喉自慢大会に出場した時のテレビ番組を録画したものだった
- 再生してみたところ番組の間に入るCMに自分の発表した曲が流れる。完全オリジナルだと思っていた曲は実は、他人が既に発表していた曲だった
- 慌てる志保が事務所の社長に言いに行こうとするが、今の状況を捨てられずに結局言わずに終わる
- ラジオに出演した時、曲をかけてもらうが自分の声ではなく、CMで歌っていた宮島素子の声が聞こえてくるが幻聴だった
- 志保はあのCMのことをネットで調べてみる。すると、“呪われた曲”として都市伝説的扱いとなっていたことが分かる。理由は素子が死亡したことにより、CMは一度しか放送されずお蔵入りとなったということだった
- 志保は映像も残っていないということを知り、「恋の記憶はもう、私の曲」持っていたビデオテープを切り裂いてなかったことにする
- CM撮影後に画像をチェックしてみると、素子のCMが流れ始めて志保は驚く。スタッフたちも自分が盗作したと責め、非難しているように感じてしまいパニックになる。志保はその場にいられずスタジオを飛び出す
- 廊下に出ると素子が立っているのが見え、志保は急いで走り出すがどこの扉も閉まっている。追い詰められた志保にあの歌を歌いながら迫る素子、背後の扉が開いた時、実は事務所の社長だったが志保は素子と勘違いして叫ぶ。志保は曲を盗るつもりはなかったと、何度も謝った
- 自宅に戻りぼんやりしていたところ、突如テレビがついてあのCMが流れる。「この曲盗らないで」と歌が変化し恐怖に震える志保、だが、画面の素子も何度も謝っていた。素子も誰かの曲を盗作したから、謝りながら死んだに違いないと気付く
- 画面に映るオリジナルの曲の人物が現れ、志保の耳元で「この曲盗らないで。私の曲よ」と囁いた
- 後に、このCMは出演者の死亡もあって、たった一度の放送でこのCMはお蔵入りになってしまったという
第2話「恋の記憶、止まらないで」の感想
【リング】とかのようなホラー系の話です。非常に怖いです。呪われるかは分かりませんが、過去にどこかで見たものを知らない内にパクっていたということは普通にありそうです。
後にどうなったのかは、タモリさんの説明が最後に入ります。ネタバレ内の最後に記載しているのがそうです。
この話を見た時、盗作とかそういう話は全く関係ないのですが、都市伝説的なCMという意味で某ティッシュのCMを思い出しました。もちろん何の問題もないCMなのですが、ちょっと不気味な感じがするため今でも都市伝説CM的扱いになっています。
『恋の記憶、止まらないで』の歌詞
曲自体は確かに良い曲で、CMに使うには良さそうな短い曲です。作詞作曲が実際のところ誰なのか?ちょっと分かりませんが、番組内で歌っていた歌詞を引用します。
恋の記憶 止まらないで
あなたの声 風に乗せて
その手 その指 私が見つけた
心が焼きつくほどに
恋の記憶 止まらないで
信じたときから 恋だから
恋の記憶 止まらないで
非常に短い曲だということが分かると思います。CMとかにピッタリな短いながら、印象的なメロディーでつい口ずさみたくなるような曲です。
第3話「コールドスリープ」のネタバレ
- 余命三ヶ月の病と宣告されるが治療法が現時点ではない病だったため、吾郎は冷凍冬眠であるコールドスリープをし、治療法が見つかるまでの間、眠りにつくことにした
- 50年間眠ることができて、間に4回だけ覚醒することができるという。4回のタイミングは慎重に選択するようにと言われ、吾郎は息子の恭平を残して冬眠に入った
- 一度目の覚醒は2032年9月25日だった。息子恭平は25歳になり、結婚相手の家族に会ってもらいたいという理由で起こした。監視装置のネックレスがつけられ、吾郎は12時間以内に戻ってくるよう言われる
- 総務大臣の娘との結婚ということで、吾郎も会いに行ったところ、突然絵里香という女性がやってくる。恭平と付き合っていた女性で、手切れ金を渡して他の女のところに行ったことを許せず乗り込んできたのだった
- しかし、吾郎は時間がなくなり戻らないとならず、恭平に総務大臣の娘と何とか結婚しろと言い残して再び冬眠に入る
- 二度目の覚醒は2042年5月23日だった。治療法はまだ見つかっていない。今回は絵里香が起こした。恭平が粉飾決算で逮捕され、裁判に出廷してもらうためだった
- まず面会に行った吾郎はなぜ絵里香と結婚したと責める。しかし、吾郎は自分が絵里香を選んだんだと言う。既に孫の太一もいる状況だった
- 裁判に出廷後、絵里香から話を聞く。会社を任せていた大岩がノウハウを盗んで、大量の社員を引き連れて独立したと。そのせいで会社は傾いてしまったということを。吾郎は怒って大岩の元に行くが、警告音が鳴り始めた上に頭が痛くなって倒れてしまう
- 三度目の覚醒は2052年10月17日だった。治療法は見つかったが実用化されるまで6年かかるという。大岩は去年死んだと言う。なぜ6年後でなく今起こすんだと怒る吾郎だったが、恭平は父親と同じ歳になったと自分の誕生日であることを告げる
- 恭平の自宅は古いアパートで、家族3人で慎ましい生活を送っていた。恭平と孫に当たる太一は今日を楽しみにしていたという。誕生祝が終わった後、吾郎が買ってくれた天体望遠鏡を持って星を見に行く。それは30年越しの約束だった
- 吾郎は恭平に言う。自分と同じ病にかかったんだろうと。余命があまりないから、最後に会うために起こしたに違いないと。警告音が鳴り始めるが吾郎は引きちぎって捨てる。そして、自分の代わりにお前が冬眠に入れと言う
- なぜなら恭平は十分やってくれた、親より先に死ぬなんて許さない、お前が生きて絵里香と太一を幸せにするんだという。夜空を見上げこれでやっと夢だった宇宙に行けると、恭平に告げた
第3話「コールドスリープ」の感想
感動系のお話です。自分の夢を息子や孫に託す感じになります。父吾郎は優秀な人物ですが、息子恭平は残念ながら父ほどできる男ではありません。ですが、慎ましくも幸せに生きている家族を見て、吾郎は今までの考えを改めます。
もちろんいいお話なのですが、『猿の惑星』的なブラックなオチでも面白そうな設定です。ふと思うのは2人共冬眠するという選択肢はないのか?と思いますが、恭平に金がなさそうなのでそれは無理なのかもしれません。しかし、吾郎は治療法が見つかったら手術するため用に金を残しているはずなので、全く不可能とも思えません。なので、あえて選択しなかったと判断します。
第4話「ソロキャンプ」のネタバレ
- 仕事を終えて山奥に一人でキャンプに来た藤原は、誰にも何も邪魔されない自由を楽しんでいた
- 物音がして現れたスーツ姿の男が、自分の身の上話をし始める。困惑する藤原だったが、話を一応聞いていた
- だが、男はナイフを手に取りどこかへ行ってしまう。暗い中、ナイフを手にした男がどこにいるかも分からない、そんな恐怖を感じ始める
- また物音がして現れた人物は女子高生だった。彼女もまた自分の身の上話をしてくるのを、藤原は困惑しながらも話を聞く
- 物音が聞こえたほうへライトを手にしに向かうと、さきほどの男がナイフで自分の腹を何度も突き刺していた
- 藤原が止めに入るが男は既に絶命していた。救急箱を持って来た女子高生は、なぜか突然ガーゼを口の中に詰め始める。そして窒息して死んでしまった
- 何が起こったのか分からない藤原のところに、今度は老婆が現れる。また身の上話をし始めたので、「頼むから死なないでくれ」と藤原は願う
- しかし、老婆は「いいえ、死にますよ」と答え燃え盛る焚き火に自ら入ってしまう
- 藤原が再び目を覚ますと夢かと思うが、衣服には血の跡が残っていた。テントの向こう側に見える3つの影、「死ぬなってどうして言ってくれなかった」と言ってテントを揺する
- 藤原は慌てて飛び出し暗い山の中を走っていく。その時、藤原は過去を思い出していた。過去に起こした医療ミスのことを。今回やってきた3人は自分が関わった患者だったのだ
- 藤原は滑落して怪我を負う。目覚めた時は病院で手術中に医師が話しているのが聞こえてきた。「これはちょっと厳しい」「無理っぽい」「閉じちゃおうか」と言っている。藤原はどうして真剣に向き合ってくれないんだと、かつて自分が患者にした仕打ちを自分がされてしまった
第4話「ソロキャンプ」の感想
ホラー系のお話です。今回一番面白い話だと個人的に思っています。不条理な展開からのオチはこれぞ「世にも奇妙な物語」と感じさせる話です。
最初のシュールな展開が最後、どう繋がるのか?その理由が分かると、なるほどと納得の行くオチにブラック感もあって面白さを感じます。山奥に全く不似合いな格好で現れる人物たちが、お構いなしに自分の身の上話をしてきます。せっかくのソロキャンプを台無しにする登場人物たち、しかも勝手に死んでいくという不可解さ。迷惑通り越して恐怖に変わっていきます。
オチまで何でこうなるの?とただ視聴者は見てるしかないのですが、それが分かった時にスッキリしつつもちょっと怖いという脚本がよくできています。
「ソロキャンプ」登場人物の詳細
- 1人目の男:手術中に医療ミス。どこか切断してしまって亡くなる。そのことを「うまく処理してくれ」と隠ぺいした
- 2人目の学生:10年前にオペで使用したガーゼが体内に残っていた。しかし摘出手術はせず、敗血症を起こして亡くなってしまう
- 3人目の老婆:近くで火事が起きたが受け入れをせず、自分の会食を優先した。その結果、被害者は亡くなってしまう
全ての患者に藤原が関わっていて、亡くなった時に関わる死に方をキャンプに現れてします。
第5話「恵美論」のネタバレ
- 恵美が授業中居眠りをして目が覚めたら自分の話を授業でしていた
- 教科のタイトルは“恵美論”。自分の生まれてから現在までの話が教科書に載っていたのだ
- 生まれた時から今に至る引越しの状況を“恵美の大移動”と名付けられ、テストに出るという
- さらに授業中、失恋の話をされその時の相手は誰だ?と生徒が挙手して答えるという状況に、恵美は恥ずかしくてたまらなくなる
- あの恵美は自分のことだと友人の莉花に言うと、自分もリカだから教科になってると理科の教科書を見せて取り合ってくれない
- 恵美が歩いていたとき学年一のイケメンという亮介とぶつかる。亮介は恵美論が好きで将来恵美に関わる仕事がしたいという。恵美は自分のことを言われているようで嬉しくなり、帰りに亮介と恵美論のクイズをする
- 当然恵美は自分のことなのでどんな難問でもすらすら正解する。そんな恵美に亮介は感動して2人は良い雰囲気になる。そして恵美は亮介とキスをしたのだった
- 恵美はある日、体育の授業に行く途中に亮介の教室の前を通りかかる。そこでは亮介学基礎授業で生態についてやっていた。亮介は教室で女の子を両手に抱えていちゃいちゃしていた。亮介はハーレムを形成することで知られている生物だと授業で説明している
- それを見て怒った恵美は教室に乗り込み、亮介を殴ってしまう。後に恵美はこの失恋をバネにして学問に打ち込み、哲学や物理の教科書にその名を残す人物となった
第5話「恵美論」の感想
シュールな話です。前回で言えば「大根侍」などと同じで、なぜそういう世界なのかということを気にしたら見れません。この世界では恵美は教科書で勉強するような人物だということを、黙って受け入れないと見れません。気にせず見れた自分としては、大根侍同様に楽しく笑って見れました。
恵美論のテストに出るような問題というのも面白く、恵美本人にしてみれば簡単な問題でも、知らない人たちにすれば超難問です。考えてみれば偉人がどうしたこうしたとか、ある意味恵美論と同じところはあります。この教科書とかもちゃんんと作りこまれていて、恵美論とはどういうものなのか?そこから導く教えというものがあります。
イギリスの比較文化恵美学者のマイケル・フリードキンはこんな言葉を残します。
恵美を知ることで逆に社会を知る事ができる。言うなれば、恵美は万物を映す鏡である。
ということだそうです。流行に流されやすい恵美を見れば、その時代に人々が何を考えどう影響を与えたかなどが分かるようです。
【世にも奇妙な物語 ’19秋の特別編】のまとめ
今回は5話構成で前回放送した時よりも、全体的に話の内容が面白いですしキャストも良かったです。30年以上前からあったこのドラマシリーズを、現代でも変わらず面白く見れるのがすごいです。やはり時代が変化しても人の感情は変わらないため、そこを刺激する話はいつ見ても面白いのだと思います。
個人的には「ソロキャンプ」が一番面白く、次に「恋の記憶、止まらないで」が面白かったです。怖い系の話がどうしても面白く感じてしまうのは、この番組に求めているのはそういう話という個人的な気持ちです。「世にも奇妙な物語」が戻って来たなと感じさせてくれました。
似たような構成で同じ局で作られている「ほんとにあった怖い話」はあくまで本当にあったといわれる話を元にしているので、「世にも奇妙な物語」とはまた違う怖さとなります。どちらも面白くてやってるとつい見てしまいます。
こういった番組はもう他局があまり作らないので、今後とも変わらず放送していって欲しい番組の一つです。