9月8日からNHK BSプレミアムで始まった【盤上の向日葵】1話は、上条と壬生の竜昇戦が行われ、同日に山中で白骨遺体が発見されます。遺体と共に埋まっていた珍しい将棋の駒が、誰のものなのか?刑事たちはその行方を追います。
ドラマ【盤上の向日葵】1話のあらすじ
将棋の奨励会を経ずプロになった異端の棋士・上条桂介(千葉雄大)は、タイトル6冠の壬生と竜昇戦の対局に挑む。同じ頃、所沢山中で白骨遺体が発見され、一緒に将棋の駒も埋められていた。駒が江戸時代の名匠・初代菊水月の作で大変貴重だとわかり、刑事の石破(大友康平)は奨励会の経験をもつ佐野(蓮佛美沙子)と組み捜査する。一方、上条は雑誌の取材を受ける中、恩師の唐沢(柄本明)に救ってもらった子供時代を思い出す。
公式HPより
ドラマ【盤上の向日葵】1話のネタバレ
- 平成6年夏、上条桂介と壬生芳樹の竜昇戦が始まる。同日、埼玉県所沢市の山中で白骨遺体が発見される。
- 遺体の状況から殺人であるとわかるが、身元は特定できないままだった。ただ、一緒に埋められていた将棋の駒が、初代菊水月作の非常に珍しいものであることがわかった。
- 元奨励会会員である佐野と石破刑事は、コンビを組んで将棋の駒の持ち主を探す。記録では現存するのは7組で、その全てを一つずつ地道に潰していくことにする。
- 昭和46年諏訪。元小学校校長の唐沢光一朗は、廃品回収の本の山から将棋の本を持って行く子供に声をかける。子供は怒られるのかと思って逃げてしまう。
- 新聞配達をしていたその子は幼い頃の上条だった。唐沢は上条の身辺を調べてみると、母は亡くなり父親と二人暮らしだとわかった。だが、父はろくに子育てもしない人物だった。そこで唐沢は新聞を持って来た上条にマフラーを与え、将棋を打ちに来るよう誘う。
- 上条が唐沢の家に来て一緒に将棋を打つが勝てない。悔しい上条は「もう一回」とその時やっと喋った。
- ある日唐沢は上条を温泉に誘う。しかしあまり行きたがらない様子に、温泉は心の訓練になるから行こうといって説得する。脱衣所で服を脱ごうとしない上条に、唐沢が脱がしてやると体には無数の痣と煙草を押し付けられて出来た火傷があった。
- 温泉を出た後、休憩所で唐沢と上条は将棋を打つ。子供と大人が戦っているのを見て、興味を持った人たちが集まり上条を応援する。だが、上条は二歩の反則で負けてしまった。それを見ていた別の人物が、自分と打とうと誘う。上条はその人物と打って勝利する。その表情は嬉しさで満ちていた。
- 父親の虐待の事実を知り唐沢は直接話をしに行こうとする。しかし、父と話す上条が笑みを浮かべているのを見てやめる。
- 昭和48年春。今日も唐沢と上条は一緒に将棋を打っていた。上条の打った一手が良い手だと唐沢が褒めると「たまに次に指す場所を教えてくれるんだ、向日葵が」と答えた。
- 筋のいい上条をプロ棋士にしようと、唐沢は自費で奨励会に入会させようと考える。上条もまたプロになりたいと希望する。
- 父親に奨励会に入れさせる話をしに行くと、自分の面倒をみるのがコイツの将来だと父親は手放さない。子供を所有物のように扱う父親にキレた唐沢は、馬乗りになって父親を懲らしめる。そして、自分の養子にするといい、上条にも意思を確認する。答えようとした矢先、父親は妻もいなくなって子供も自分を捨てていくのかと泣き言を言い始める。上条はそんな父を置いていくことができず、奨励会行きは無くなってしまう。
- 佐野と石破は最後の駒がある店へ調べに行く。そこにあったのは初代のものではなく二代目のものだった。店の記録を調べてみると、過去に買いに来た人物がいたことがわかる。
- 昭和55年。上条は東京大学に受かり、東京へ行くことになった。唐沢のところへ挨拶に来た上条は、子供の時にもらったマフラーのお返しに、唐沢にマフラーをプレゼントする。唐沢ははなむけに初代菊水月作の駒を上条に渡す。上条は一生の宝物にすると言って受け取った。
ドラマ【盤上の向日葵】1話の感想
将棋の試合と平行して捜査が行われ、さらに上条の過去の話も入ってくるという、初回にして色々なことがわかります。
埋められた遺体が誰なのか?それを探るには珍しい将棋の駒の行方を探し、最後の持ち主が犯人だといった捜査方法になります。元奨励会会員の佐野と石破の即席コンビが、お互いのことを少しずつ知りながら補い合ていきます。
上条と唐沢との関係が、なんとも切ない関係です。虐待する父であったとしても、上条は捨てていけないというもどかしさ。今だったら児童相談所を介入させればよいのでしょうが、この時代ではそれもできなかったのかと悔やまれます。
主役の上条を演じている千葉さんは、今回殆どセリフがありません。基本的に将棋を打っているだけで、物静かな青年を演じています。セリフを言わずに演技しなければならない難しい役どころですが、どこか陰のある表情が印象的でした。
事件の概要と上条桂介という人物がどういう人物なのか、今回わかったことをまとめました。
上条桂介とは?
奨励会からプロになった棋士ではなく、特例でプロになった棋士です。タイトル戦に挑戦するほどの実力を持っています。ドラマ内のワイドショー番組で紹介していた内容を元にまとめました。
- プロフィール
- 昭和59年 東京大学卒業。ソフトウェア会社を立ち上げる
- 平成元年 IT業界の旗手となる
- 平成3年 突如引退。プロ棋士を目指す
- 獲得したアマチュアタイトル
- 全日本アマチュア王棋戦
- アマチュア竜昇戦
- 読日アマ将棋名棋戦
- 全国アマチュア覇王戦
- 毎朝新聞全国将棋大会
- 全国支部将棋対抗戦個人戦
その後のプロになるまでの活躍はこうなります。
- アマチュア王棋戦を獲得した後、プロ公式戦に参加
- 新人王戦で優勝
- プロ試験に合格
- 戦後初の奨励会を経ないプロ棋士に
- 初のタイトル戦「竜昇戦」に挑戦
アマチュアでは敵無しの凄まじい強さです。しかしなぜプロ棋士になろうと思ったのか?そこのところは今回は説明されませんでした。
タイトルによって様々な条件があり、この竜王戦みたいな名前のタイトルの挑戦権がどういったものかはわかりませんが、プロになってすぐの人が挑戦権を獲得できるものではないと思います。
ちなみに竜王戦の場合、長い長いトーナメントを勝ち進み、それでやっと挑戦権を獲得です。そこから7番勝負が始まり、先に4勝した人が勝者となります。
幼少期の上条について
華々しい経歴の上条ですが、幼少期は酷い生活を送っていました。食べ物もロクになく、着るものも毎日一緒という酷いありさまです。
- 長野県諏訪で父と二人暮らし
- 小学校2年生の時、母親は精神を病んで他界
- 父はみそ蔵で働いているが子育てはしない
- 母が死んでから父は荒れて、毎日酒浸りの雀荘通い
- 父から虐待をされていた
- 小学生で新聞配達をして家計を助けていた
- 学校ではいつも同じ服着てるせいでイジメにあう
- 将棋は独学で覚えた
今だったら確実に虐待で逮捕される父親です。体中に痣があり、煙草の火を押し付けられてできた火傷の痕も無数にあります。
そんな上条を不憫に思った唐沢が、将棋を一緒に打ってあげたり食事を与えたりします。その甲斐あって最終的には東大に行くぐらいまで成長しました。
事件概要
埼玉の天木山中で白骨遺体が発見され、調べてみたところ殺人の可能性が高い遺体でした。どんな内容の事件かまとめました。
- 発生日時
- (110番通報)平成6年7月30日午後3時15分
- 110番通報者 斉藤一男 52歳
- 建設現場の測量中、土中から白骨の骨が出ているのを発見
- 発生場所
- 埼玉県所沢市上馬の山中
- 被害者
- 本籍不詳 住所不詳 職業不詳 氏名不詳
- 性別は男性と思料される
- 年齢は40から60代と思料される
- 白骨死体から身長約165cm位と思料される
- 被疑者
- 現状では不明
- 死因
- 不明 解剖の結果待ち
- シャツに鋭利な刃物で刺されたと思料される裂け目が複数あり
- 腹部の骨にも傷が残っていたことから、腹部を刺されて死亡したと思料される
- その他
- 遺留品
- 着衣 上着1点、ズボン1点、靴1点
- 短刀 血痕や指紋はない
- 将棋の駒 指紋の種類が1種類検出
- 遺留品
発見された将棋の駒を、佐野が将棋に詳しいということで呼ばれて確認します。その駒は江戸時代中期の名工、初代菊水月作の水無瀬島黄楊根杢盛り上げ駒と呼ばれるものでした。
何を言っているのかさっぱりわからない駒の名前です。それぞれを分解してみました。
- 水無瀬=書体の種類
- 島黄楊=伊豆七島で取れるツゲの木のこと
- 根杢=木材の根の部分に表れる木目のこと
- 盛り上げ=漆を乗せて盛り上げる
伊豆七島で取れたツゲの木の根の木目が出ている部分を使用して、漆を乗せて盛り上がった水無瀬書体で書かれた駒ということです。
骨董価値に関係なく、一つ一つ手作りの将棋の駒は高いです。ましてやこの駒は骨董価値があるので、佐野がいうように数百万の価値があってもおかしくないでしょう。
ドラマ【盤上の向日葵】1話のその他気になったこと
- 石破いわく棋士は駒遊びで金もらえる楽な商売
- 捜査に行く先の名物と駅弁を調べることを命じられる佐野
- アタック25みたいな“盤上の向日葵”演出
- 上条の家の障子が破れすぎ
- 寝言で将棋のことをいう佐野
- 心を強くするには風呂
- 300円で2、3日持たせろと無茶言う父
- 子供がいなくなるのは嫌で駄々こねる父
- 近距離ですれ違っても全く上条に気づかない佐野
ドラマ【盤上の向日葵】1話のまとめ
今回の話は初回なので上条の生い立ちと現在の状況、起きた事件についての説明がメインの回でした。
才能があっても毒親の元で育っているせいで、それを生かすこともできずに埋もれてしまう。何とももったいない話です。子供の将来なんて考えず、自分の面倒みるのが将来なんていう父です。ですが、いなくなってしまうとなると、寂しいのか嫌がります。なんだか複雑な関係です。
次回はもう少し上条が会話すると思いますが、まさかのずっと無口なのか?大学生になった上条と東明重慶の出会いの話のようです。次回も楽しみに視聴したいと思います。