2025年6月30日にテレビ東京で放送されたドラマスペシャル【TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係】のネタバレと感想をまとめています。
オートバイによる追跡部隊、通称トカゲ。数々の誘拐事件を解決してきた主人公だが、今は所轄の生活安全課に所属。誘拐事件が発生すると捜査一課長の指示で、アメリカ帰りの女性刑事と組むことになるが……。
キャストとスタッフ
放送まであと7日!
— 『TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係』TVer見逃し配信中! (@tvtokyo_drama) June 23, 2025
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主演 #反町隆史
『#TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係』
📢予告(15秒ver.)公開!⚡️
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謎に包まれた誘拐事件が発生!🦎
バイク追跡班の元トカゲ(#反町隆史)と
エリート交渉係(#栗山千明)の凸凹コンビが
事件の裏に潜む巨悪を追う!🏍… pic.twitter.com/I0NFFMLyjr
キャスト
主要人物
- 上野数馬(うえの かずま)…反町隆史
元・警視庁特殊捜査班(トカゲ)主任
渋谷東署 生活安全課少年係 警部補 - 中原明日香(なかはら あすか)…栗山千明
警視庁特殊捜査 交渉係
FBIで交渉術とプロファイリングを学ぶ
ひので銀行
- 西条順一(さいじょう じゅんいち)…竜星涼
ひので銀行 危機管理室室長 - 佐久間愛梨(さくま あいり)…井上貴美
ひので銀行 法人融資課 - 遠山慎二(とおやま しんじ)…光平崇弘
ひので銀行 危機管理室 - 東田勝(ひがしだ まさる)…森山祥伍
ひので銀行 法人融資課 - 篠田和弘(しのだ かずひろ)…池田努
ひので銀行 江戸川支店 行員 - 飛島寅夫(とびしま とらお)…国広富之
ひので銀行 頭取
警視庁
- 相馬徹郎(そうま てつお)…吹越満
警視庁捜査一課 管理官 - 新田智樹(にった ともき)…波岡一喜
警視庁捜査一課 - 三島拓(みしま たく)…濱尾ノリタカ
警視庁捜査一課 - 田端守雄(たばた もりお)…椎名桔平
警視庁捜査一課 課長
その他
- 湯浅武彦(ゆあさ たけひこ)…正名僕蔵
元新聞記者のフリージャーナリスト - 西田由紀恵(にしだ ゆきえ)…木村葉月
カフェ店員 - 有村静香(ありむら しずか)…文音
東田の元妻 - 有村みひろ…橋本文花
東田の娘 - 臼田康治(うすだ こうじ)…岡田正
旅館経営者。不正融資を受けて自殺 - 臼田健一(うすだ けんいち)…浅井浩介
康治の息子 - 藤山(ふじやま)…
闇バイトで軽トラを運転していた男 - アキラ…永唯人
上野が過去に補導した男 - ジュン…渡辺優哉
上野が過去に補導した男
スタッフ
- 原作:今野敏『TOKAGE 特殊遊撃捜査隊』(朝日文庫)
- 脚本:安井国穂
- 監督:権野元
- チーフプロデューサー:中川順平(テレビ東京)
- プロデューサー:山鹿達也(テレビ東京) 黒川浩行(ユニオン映画) 岡本慶章(ユニオン映画)
- 制作:テレビ東京、UNION
- 製作:テレビ東京、BSテレ東、UNION
- 公式HP
- 公式X
【TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係】のあらすじ
かつて警視庁特殊捜査班の主任だった上野数馬(反町隆史)は、今は所轄の生活安全課に勤務していた。
ひので銀行の行員・東田勝(森山祥伍)が何者かに誘拐され、身代金5億を銀行に要求してくる事件が発生する。捜査一課長の田端守雄(椎名桔平)は上野に捜査に加わるよう命じ、同じくアメリカ帰りの交渉係である中原明日香(栗山千明)と一緒に組むよう命じた。
バイクで追尾する通称トカゲとして、再び捜査に参加することになった上野だが、早速指示を無視して暴走し始める。その行動に明日香は怒り、捜査から外すよう田端に進言するが、結局お咎めなしだった。
再び犯人からの連絡が入り、新たにひので銀行の行員である篠田和弘(池田努)が誘拐されてしまう。身代金要求金額はさらに増して10億円を犯人は要求してきた。
最初に誘拐された東田と篠田の2人は、かつてある支店で部下と上司の関係だった。その支店では不正融資疑惑があった。上野は知り合いのジャーナリストである湯浅武彦(正名僕蔵)に話を聞くと、ひので銀行が新聞社の大口のスポンサーだったため、それ以上の追及記事を書くことを禁じられたという。
再び犯人から連絡があり、明日香はまずは最初に誘拐された東田を解放するよう交渉すると、犯人は解放した場所を教えてきた。だがそこにあったのは、ブルーシートに包まれた東田の遺体で……。
【TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係】のネタバレ
誘拐はそもそも偽装誘拐だった。東田は不正融資で債務者の臼田が亡くなった事をずっと悔やんでいた。それを聞いた西条が、偽装誘拐をして得た金で、債務者たちに金を返そうと持ちかける。東田は話に乗った。
だが、篠田は最初から金目的だった。そこで篠田は臼田健一を殺害し、罪を彼になすりつけようとする。それを知った東田は怒るが、逆に篠田に殺害されてしまった。
西条は篠田を呼び出して刺し殺そうとするが、やってきた上野たちに説得されて殺人に至らなかった。
元々鉄工所の息子だった西条だが、父親が不正融資がきっかけで命を絶ってしまった。その時の融資担当者は、今のひので銀行の頭取である飛島だった。そんな男に銀行を任せられない。西条は飛島を破滅させるため、偽装誘拐事件を起こしたのだった。
田端は管理官の相馬が飛島と繋がっていたことを暴き、さらに捜査二課に飛島の情報を流していた。会見で湯浅が飛島の不正を暴き、逃げ出したところに捜査二課が現れ、飛島を連行していった。
誘拐事件発生
11時10分、ひので銀行の一室に捜査一課の前線本部が設置された。事件の発端は、午前9時ちょうどにかかってきた1本の電話だった。融資課の佐久間愛梨(井上貴美)がその電話を受け取り、「東田勝(森山祥伍)を誘拐した。身代金5億円を用意しろ。期限は本日15時までだ」と告げられる。直後に電話は危機管理室の西条順一(竜星涼)に回され、犯人からは交渉専用の回線を要求され、西条はその番号を伝えた。
その頃、上野数馬(反町隆史)はカフェでスイーツを食べながら、店員の西田由紀恵(木村葉月)と会話していた。かつて上野が補導した、アキラ(永唯人)とジュン(渡辺優哉)の様子を尋ねると、前夜に妙にハイなテンションで連絡があったと由紀恵は話す。上野は2人を呼び出せないかと提案する。
上野はジュンとアキラに会うためにビルの屋上へ向かうが、見つかると2人は車を残したまま逃走してしまう。そこへ警察が到着し、上野は連行されかける。
その後、東田誘拐に使われた車が発見される。発見場所は上野が向かった屋上で、ジュンとアキラが乗っていた車だった。現場に現れた警視庁捜査一課の新田智樹(波岡一喜)は、所轄の警察を見下すような態度を見せるが、上野は「事件に大きいも小さいもないんじゃないかな」と言って反発し、なぜここに来たのかその詳細を明かさない。
新田が本部にいる管理官の相馬徹郎(吹越満)のもとに戻って報告すると、上野はかつて特殊捜査班の主任を務めていた人物だと知らされる。
その後、上野は警視庁の捜査一課長室を訪れ、田端守雄(椎名桔平)に状況を説明する。田端から誘拐事件の捜査本部への参加を打診されるが、上野はこれを拒否する。しかし、上野が追っている2人組の件が本部の目的と重なること、本部が先に捕まえれば単なる窃盗事件として扱われないだろうと田端が指摘すると、上野は沈黙する。
そこに中原明日香(栗山千明)が現れ、田端は上野に対し、本部に合流し中原の指揮下に入るよう命じる。上野は明日香とともに本部へ向かうこととなった。
身代金請求
13時23分、上野たちは捜査本部に合流する。明日香は東田のデスクを見せてほしいと頼み、机の下をのぞくと、くまのぬいぐるみが置かれていた。添えられたカードには「みひろちゃんへ たんじょうびおめでとう」と書かれており、離婚した妻・有村静香(文音)に引き取られた娘・みひろ(橋本文花)への誕生日プレゼントだった。誕生日は先週だったが、仕事が忙しくて渡せなかったと東田は語っていたと愛梨が話す。
14時07分、上野は地下駐車場へ向かい、バイクに乗る。相馬は「あいつには気をつけたほうがいい」と明日香に忠告した。
15時ちょうど、交渉用の電話が鳴る。犯人は「警察に代われ」と要求し、明日香が応答する。犯人は身代金の受け渡し方法を説明しようとするが、明日香が「東田さんが生きているか確認させて」と迫ると、電話は突然切断される。
その後、上野はみひろのもとを訪れ、ぬいぐるみを手渡した。
15時24分、東田から電話がかかってくる。短い会話のあと、犯人が代わり、「16時まで待つから金を用意しろ」と命じる。会話中に汽笛のような音が入り、警察は港周辺の捜索を開始する。
上野は東田の元妻である静香を訪ね、東田が誘拐されたことを伝える。その様子を、バイクに乗った人物が離れた場所から見つめていた。
16時、犯人から再び電話が入り、身代金の受け渡し方法を指示し、警察に尾行をつけないよう強く命じた。
上野の過去と謎の男
10年前、相馬は上野に帰投を命じたが、上野はそれに応じなかった。結果的にすぐに応援が入り、人質は無事に救出されたが、この件で上野は処分され、現場を離れることとなった。
現在、上野は街中で怪しい男に声をかける。そこに明日香も合流するが、その怪しい男はかつて東日新報の社会部に所属していた湯浅武彦(正名僕蔵)だった。
湯浅は事件の様子を探っており、「誘拐事件が起きているんですよね?」と問いかける。なぜなら湯浅はひので銀行にいたとき、偶然引っ越し業者を装った捜査員たちがやってきたのを見ていたからだった。
上野とは以前に面識があるらしく、その縁をちらつかせて話を聞きだそうとする。だが、明日香は報道協定を理由に「協定を結んだのだから、報道は控えてほしい」と念を押した。
上野の暴走
16時22分、ひので銀行の行員である遠山慎二(光平崇弘)が指示通りに身代金を車に積み込み、運搬役を担当する。その様子は捜査本部でモニタリングされていた。犯人からの電話を受け、遠山は車を発進させる。その後を上野が尾行していく。
16時52分、車は指定された場所に到着し、再び別の場所へ移動するよう指示を受ける。次の場所に到着すると、遠山は車を降りるよう命じられる。金を積んだ車はその場に残されたままとなった。
20時34分、2時間が経過しても車には変化がなかったが、そこに一台の軽トラックが近づいてくる。車は盗難車で、降りてきた男が金を運び出し、軽トラックに積み込む。人質の所在が不明であるため、警察はこの男を確保せず、あえて泳がせる方針を取る。車両が後を追い、トカゲも追尾に加わる。
トラックは同じ道を周回し続けていた。それに気付いた明日香はトカゲに対し、単独で追尾するよう指示を出す。
21時58分、犯人のプロファイリングが行われ、銀行に何らかの関わりを持つ人物ではないかとの見方が示される。これを聞いた上野はトラックの隣に並び、運転手の様子を観察する。そして先回りして車の前に立ちはだかり、運転手の男を独断で確保した。
22時27分、戻ってきた上野に対し、明日香は怒りをあらわにする。捕らえた男はネットの闇バイトに応募しただけの者であり、「同じ道を周回していろ」と指示されていたに過ぎなかった。
新たな誘拐
明日香は上野を連れて田端のもとを訪れ、処分するよう求める。これに対し上野は、確保した男は素手でハンドルを握り、車内でタバコを吸っていたことを指摘し、誘拐犯であれば自らの痕跡を残すような行動は取らないと主張する。
さらに、銀行に関わるような高度な教育を受けた人物、というプロファイリングとも矛盾しており、あの男はダミーで、時間稼ぎか撹乱を狙ったものだと見抜いたと説明した。その上で、確保して直接確認する必要があると判断したのだと述べる。
明日香は10年前に上野が、命令を無視した件にも言及する。田端は、その際も現場で人質の悲鳴を聞いたとの報告があり、結果として人質は救出されたと述べる。しかし明日香は、指揮系統を乱したことが問題だと強調し、事件解決後に処分すべきだと主張。田端はこれを受け入れつつ、上野を当面の間捜査本部に残す判断を下す。
その後、しばらく連絡が途絶えていた犯人から久しぶりに電話が入る。犯人は、警察が尾行をつけないという約束を破ったと非難し、ペナルティとして江戸川支店の篠田和弘(池田努)を新たに誘拐したと告げる。東田と合わせて10億円を用意するよう要求し、今後約束を破るたびに、ひので銀行の行員が1人ずつ誘拐されると警告。身代金は1人あたり5億円だと言い残して電話を切る。
相馬は「お前たちのせいで」と不満を口にした。
不正融資疑惑
上野は愛梨に、みひろへぬいぐるみを届けたことを報告する。愛梨は「東田さんの次が篠田さんだなんて」と動揺し、上野は2人の間に何か関係があるのかを尋ねる。
話を聞いた上野は明日香のもとへ行き、小声で「2人はかつて同じ支店で、上司と部下の関係だった」と伝える。2人は以前、ひので銀行川口支店営業部で勤務しており、当時は篠田が営業次長で、東田がその直属の部下だった。
上野は尾行を続けていたにもかかわらず、犯人がなぜ藤山()の確保を知っていたのかに疑問を持つ。軽トラックには何もなかったのに、なぜ把握していたのか。藤山は最初から捨て駒として使われ、あくまで“ペナルティ”を与えるという口実を作るための存在だったのではないか。つまり、犯人は当初から2件目の誘拐――篠田の拉致――を計画していたということになる。
西条がその話を頭取の飛島寅夫(国広富之)に報告すると、頭取は「例の川口支店の…」と苦々しげに漏らす。どうやら警察に川口支店を調べられるのは都合が悪いようだった。
上野は川口支店について独自に調査を始める。その過程で見つけたあるブログに、不正融資疑惑の存在が取り上げられていた。
記者のプライド
後日、上野は湯浅と喫茶店で会う。湯浅は「たまたま銀行で捜査員を見かけた」と言うが、上野は「実際はずっと銀行に張りついていたのだろう」と指摘する。そして、かつて湯浅が書いた川口支店の不正融資に関する記事を見せる。
記事によれば、東京オリンピックの誘致が決定した頃、ひので銀行はある老舗旅館に対し、「ホテルへの改築」を持ちかけた。半ば強引に5億円の融資を受けさせたが、旅館の解体後にコロナ禍が発生し、オリンピックも延期され、ホテルの新築は頓挫。ひので銀行は返済不能となった旅館に5億円の債務を突きつけ、最終的に担保にしていた土地を回収したという。
湯浅はこの件を記事にしたものの、それ以上の追及を止めるよう圧力を受けた。ひので銀行は新聞社に多額の広告を出している大スポンサーであり、会社としては波風を立てたくなかった。その結果、湯浅は信念を貫くため新聞社を辞めたのだった。
動機は復讐か?
上野と明日香は、今回の誘拐事件が単なる身代金目的ではない可能性があるとして、相馬のもとを訪れる。上野は「これは復讐だ」と断言する。
過去に、ひので銀行から過剰な融資を受けたことで自殺に追い込まれた旅館経営者・臼田康治(岡田正)という人物がいた。彼に融資を担当したのが、東田と篠田だった。銀行はこの事実を把握していながら、知らぬふりをしてきた。
臼田康治には一人息子・健一(浅井浩介)がいる。そして、東田の誘拐に使われたセダンの所有者は健一名義であることが判明していた。なお、その車は2週間前に盗難届が提出されていた。
その後、明日香宛にメールが届く。添付されていたのは、東田と篠田が当日付の夕刊を持って写っている写真だった。続けて電話が入り、犯人は「10億の用意ができたか」と確認してくる。明日香が「まず東田さんを解放して」と要求すると、通話は無言のまま切断された。
遺体発見
丸一日、犯人からの連絡はなかったが、ついに新たな指示が届く。犯人は「東田を解放した」と述べ、多摩川の河川敷まで迎えに行くよう明日香に命じた。
現場に急行した捜査班は、ブルーシートにくるまれた東田の遺体を発見する。まさかの展開に、頭取は怒りをあらわにした。
直後、再び電話が鳴る。相馬が応答すると、それは犯人からのものだった。犯人は「東田を遺体で返した。これはペナルティだ」と告げ、さらに「10億を臼田健一名義の口座に振り込まなければ、篠田も殺す」と脅迫する。振込期限は「明日の午後3時まで」と指定された。
相馬はひとまず10億円を振り込むよう指示し、同時にその口座から即座に引き出せないような措置を講じるよう求めた。
一方、明日香は上野に対して「今回の殺害はおかしい」と語る。これまで犯人は“ペナルティ”として新たな誘拐を行ってきたが、今回は突然の殺害に踏み切っている。上野もその違和感に同意し、「これまでの犯人像と明らかに異なる」と指摘する。
さらに、明日香は犯人が最初に提示していた“15時”という時間と、今回の電話での“午後3時”という表現の違いにも注目する。犯人側に何らかの不測の事態が発生した可能性を、2人は疑い始めた。
人質解放
上野と明日香はカフェで話し合っていた。そこへやってきた由紀恵が、アキラとジュンから連絡があったという。2人と直接会って話すことにした上野と明日香は、まず彼らに東田誘拐に使われた車について質問する。アキラとジュンは、「たまたま見つけた車で、キーもついていたから乗った」と答える。
その後、2人の証言で車に乗っていた男が持っていたビニール袋から、購入されたスーパーを特定。上野と明日香は店の防犯カメラを確認し、食料を大量に買い込んでいた様子を確認する。明日香は、食料の量から見て人質が近所に監禁されている可能性があると推測する。
捜索を進めると、汽笛の音が聞こえてきた。明日香は、周辺にひので銀行が管理している不動産がないかを西条に確認し、該当する物件を特定。その場所を調べると、篠田が監禁されているのを発見する。しかし、犯人の姿はすでになかった。
一方その頃、10億円の振込が完了したという連絡が入り、その直後に篠田を確保したとの報告が相馬に届く。警察は、主犯と目される臼田健一をついに公開捜査に切り替えた。
偽装誘拐
上野は明日香とともに、東田の元妻を訪ねる。静香は事件について「納得できないことがある」と語り、臼田が東田を恨んでいたとは思えないと首を振る。
東田は何度も臼田の墓参りに訪れており、息子の健一もその事実を知っていた。さらに、健一は娘のみひろのことを可愛がっていたという。一緒にバーベキューに行ったときの写真も残っていた。
その写真に写っていたバイクを見た上野は、何かに気づき、記憶をたどる。そして妻はようやく現実を受け止め、力なく崩れ落ち、泣き崩れた。
一方、犯人に振り込まれた10億円が口座から消えていたことが判明する。銀行システムの脆弱性を突かれていたのだった。
上野は写真に写っていたバイクが、以前、静香と公園で話していたときに見たものと同じであることを思い出す。そこから導き出された結論は──最初から誘拐事件など存在しなかった。これは偽装された事件だった。
明日香が最初に交渉していた相手は、実は“人質”とされていた東田本人だった。そのため、東田が殺害された後には、交渉の口調や対応が明らかに変化していた。
もしこれが偽装誘拐であったとすれば、篠田和弘もまた「被害者のふり」をしていたことになる。東田、篠田、臼田──この3人が共謀して事件を仕組んだ可能性が浮上する。
そして上野は言う。「もう一人いるはずだ。この事件の“筋書き”を書いた人物が」その手がかりは、東田の元妻から借りたアルバムの中に隠されていた。
犯人の正体
「例の場所で待っている」というメッセージを受け取った篠田は、病院を抜け出し、かつて自らが監禁されていたあの場所へと向かう。そこに現れたのは、西条だった。
すでに臼田は殺害されており、その遺体は床下に隠されていた。篠田は、「事件には“犯人”が必要だ。臼田には消えてもらうしかなかった」と淡々と語る。
その言葉に西条は激しく反応し、ナイフを取り出して篠田に向ける。「あなたは最低の裏切りをした」と言い放ち、殺そうとする――。
だがその瞬間、上野が駆けつける。篠田が「どうしてここがわかった?」と問うと、上野は静かに答える。「“トカゲ”というのは、尾行が専門なんです」と。
上野は篠田をあえて泳がせ、尾行していたのだった。そして、銀行内部のセキュリティ事情や、捜査の内部情報の両方に通じていた人物――その条件に合致するのは西条しかいないと見抜いていた。
さらに、東田の元妻から借りたアルバムのバーベキュー写真には、西条も写っていた。西条はこれまで東田との関係について沈黙していたが、実は同期入行で地元も近く、東田のことを「この人が本当に銀行でやっていけるのかと心配するくらい、優しい人だった」と語る。上野の中で、全てがつながっていった。
誤算
以前、臼田の死を、東田は深く後悔していた。「こんな人生に何の意味があるんだ」と嘆く東田に対し、西条は「意味を持たせることはできるかもしれない」と語りかける。そして、「もし被害者たちに、奪われた金を取り戻して返すことができたら?」と提案する。東田はその言葉に心を動かされ、計画に加わることを決意した。
今回の偽装誘拐事件を企てたのは、西条だった。ひので銀行によって全財産を奪われた被害者たちに、銀行から金を取り戻して還元する――その壮大な計画を立て、主導したのは西条自身だった。「すべては計画通りに進んでいた。篠田が裏切るまでは」と、西条は語る。
篠田は健一を殺害した。東田は「最初から殺すつもりだったのか」と怒りをあらわにするが、篠田は「なぜ自分たちに1円も入らないんだ」と逆上し、東田は「あんたはただの犯罪者だ!」と罵倒する。その言葉に激昂した篠田は、ナイフを振りかざし、東田を刺殺した。
後に西条が「何があったのか」と問いただすと、篠田は「意見の相違だ」と冷たく答える。
東田は、篠田も自分たちと同じ気持ちでこの計画に参加していると思っていた。しかし実際には、篠田は金目当てで動いており、臼田に罪をなすりつけるつもりだった。「こいつのせいで、すべてが狂った」と西条は怒りを爆発させる。
真の目的
そこへ遅れて明日香が到着し、西条に向かって言った。「被害者に金を返すだけが、あなたたちの目的じゃなかったはずです」
西条の本名は、養子に入る前の名前である鈴本順一。彼の父は三河島で鈴本鉄工という町工場を経営していたが、バブル崩壊後、銀行からの借金を返せず、自ら命を絶った。その銀行こそ、現在のひので銀行であり、担当者は飛島だった。
飛島は、臼田の死に打ちひしがれていた東田に対し、冷たくこう言い放った。「たった1人死んだくらいで何だ。融資担当は10人自殺させて、ようやく一人前だ」
西条の本当の目的は、飛島への復讐だった。「あんな男が銀行のトップにいてはいけない。絶頂にある今だからこそ、地獄を見せてやろうと思った。後悔は……していませんよ」と語る西条。
それを聞いた上野が静かに問いかける。「本当に、後悔していませんか?――あなたは東田さんの娘さんに、かつて自分が味わったのと同じ思いをさせたんですよ。大切な人を失う悲しみを、誰よりも知っているあなたが」
さらに続ける。「西条さん、あなたは若くして銀行の中枢にまで上り詰めた実力がある。東田さんには、融資先の人間に寄り添う気持ちがあった。もしあなたたち2人が手を取り合っていたら、ひので銀行を違う形で変えられたかもしれない」上野は西条を諭す。
「あなたなら、それができたと、わかっていたはずです」
その言葉に、西条は持っていたナイフを力なく落とし、その場に崩れ落ちて涙を流した。上野は静かにその背中に手を添え、優しく擦った。
事件の結末
田端に一連の事件の報告が行われる中、相馬は田端に問われる。「なぜ報告書に、東田と西条が誘拐計画を立てた動機が明記されていないのか?」と。相馬は「西条には個人的な恨みがあり、動機について虚偽を述べている可能性がある」と説明する。
それを聞いた田端は問い詰める。「ひので銀行に不正はなかったということか?」しかし相馬は、「経済事件は我々の管轄外だ」と言い逃れようとする。
さらに田端は踏み込む。「飛島と個人的に会っていたな?まさか天下り先の相談でもしていたのか?」と。相馬は動揺しながら否定するが、田端は「ならば、飛島との関係を監察官に説明しろ。癒着していないなら、何の問題もないはずだ」と畳みかける。相馬は言葉を失い、戸惑いの色を隠せなかった。
その後、飛島が記者会見を開き、謝罪の言葉を口にする。しかし、会見で湯浅が鋭く疑問を呈する。「西条の犯行動機には触れないのか?」
西条はすべてを自白していた。彼の目的は飛島を告発することだった。湯浅が記者の前で明かす。「西条は、与党の代議士と癒着していた飛島が、不正に手に入れた首都機能移転の極秘情報を利用して、土地の値上がりを狙い、不正融資を行っていたことを突き止めた。しかも、その被害によって命を絶った人までいた。西条と東田は、その事実を世に告げるために、今回の偽装誘拐事件を決行したんだ」
会見の場がざわめく中、飛島は記者の追及を無視して強引に会見を打ち切り、退席しようとする。しかしその瞬間、捜査二課の捜査員たちが会場に踏み込み、飛島に任意同行を求めた。飛島は無言のまま、警察に連行されていった。
その光景を、上野と明日香も遠くから静かに見守っていた。すべての真実が、ついに明るみに出たのだった。
【TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係】の結末
明日香は田端のもとを訪れ、「捜査二課はいつから動いていたのか」と問いただす。明日香は、今回の偽装誘拐事件の背後に、権力を持った巨悪の影があったことを指摘する。
「捜査本部を頭越しにして、誰かが二課と連携し、最終的に飛島と政治家の逮捕を狙っていた」と明日香は言い、その“何者か”が途中で相馬管理官と飛島の癒着にも気づき、警察内部の腐敗も一掃しようと動いていたのだと、上野が続ける。
だが田端は、その全てを「知らない」と言い張り、とぼけて見せた。
呆れた様子の上野と明日香は部屋を出る。歩きながら明日香が尋ねる。「本庁に戻る気はないんですか?」
上野は少し微笑み、「まだ、少年係としてやるべきことがある」と答えた。そして最後に、明日香に向かってこう言う。「でも、必要なときは、いつでも声をかけてください」
そう言い残し、2人は静かに別れた。
【TOKAGE 警視庁特殊犯捜査係】のまとめと感想
かつて父親を不正融資で失った息子が、銀行の不正を告発するために、偽装誘拐事件を起こしたという話でした。
なんといっても主役の反町さんが、バイクに乗るトカゲ役を演じるのが似合っています。そして二転三転する展開とテンポの良さ、食えない捜査一課長に、アメリカ帰りの女刑事といったキャラの魅力もあって面白いです。ある意味安心して見れるドラマです。
同じ志の4人で集まったかと思っていたら、1人は金目当ての参加でした。その結果、計画は崩壊し、内輪で殺人事件まで起きてしまいます。篠田を仲間に入れなければ、うまくいったかもしれませんし、やっぱり失敗だったかもしれません。しかし結果的には飛島を告発できたのでよかったと思います。
調べたところ原作はまだあるようなので、もしかしたらシリーズが続くかもしれません。その際も同じメンツでぜひやってもらいたいものです。