新しく始まった「神の手」の第1話は、医師の白川が担当した患者の家族の身勝手さに、白川が医師としての決断を迫られるといった回になります。初回を視聴した限り、ちょっと言葉足らずな状態が続いた結果、白川がやらなくてもいい安楽死をしてしまった感じでした。
WOWOWドラマ【神の手】1話のあらすじ
腕利きの外科医・白川泰生(椎名桔平)のもとに、21歳の古林章太郎(葉山奨之)が診察にやって来る。章太郎は肛門がんと診断され手術の後退院するが、数カ月後に転移が判明。がんが進行し悪化するにつれ耐え難い痛みに苦しみ、回復の見込みはなくなっていった。その状況に付き添っていた伯母の晶子(坂井真紀)も精神的に追い込まれ白川に安楽死の処置を懇願。白川はそれを拒否し、章太郎に寄り添い懸命に治療を行なうも、手の施しようがなくなる。そしてついに、苦悩の末、安楽死の処置を行なう。しかし章太郎の死を知った母親でジャーナリストの康代(鈴木砂羽)により白川は告発されてしまう。
公式HPより引用
白川の行為は殺人か過失致死かと連日取り沙汰される中、すでに議論されていた安楽死法案の成立が現実味を帯びる。その背後で日本の医療改革を企てる団体、さらに反対派の医師やマスコミを使って安楽死法案の阻止を図る康代。白川はやがて激流にのみ込まれていく。
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WOWOWドラマ【神の手】1話のネタバレ
- 376日前:古林章太郎という患者が白川の病院に検査に来る。調べたところ恐らくがんで、かなり進行しているのがわかった。
- 112日前:章太郎のがんが転移していた。そのため放射線治療と抗がん剤での治療になる。付き添いは伯母の晶子だけで、実母の康代はテレビに出演していて忙しいと理由をつけて来ない。姉と妹の仲は悪く、章太郎は小4の時に育児放棄されて、姉である晶子の所に身を寄せていた。
- 白川の同僚である山名はJAMOに行き、さっそく会員になる。
- 81日前:章太郎は夜中に痛みに耐えかねて暴れて叫び、看護師たちに押さえつけられる。放射線量に耐えられず組織が壊死していた。北野はターミナルケアに切り替えたほうがいいのでは?と提案する。なぜならがんに侵されていない臓器が活発に動くせいで、そこにがん細胞が食い込み相当な痛みなはず。これが死ぬまでずっと続くのは生き地獄だという。
- その後、晶子にもターミナルケアをお願いされて切り替える。
- 67日前:モルヒネの使用を開始する。しかし効きが悪くもっと強い薬に切り替えを検討する。康代に電話をするが治療してくれと言って、白川の話を聞きもせずに電話を一方的に切ってしまう。
- 2日前:薬は効いているようだが、意識が朦朧としてうなり声を上げるだけの章太郎。安楽死をしてくれないかと晶子は白川に頼む。しかし、北野も白川も殺人になるといって断る。晶子は食い下がり章太郎も「殺してくれ」と言っていると言うが、白川と北野はやはり断る。晶子は助かる見込みもないのに、誰の何のための治療だと嘆く。
- 1日前:薬の量を増やす。すでに危険な量なので、何かあったらナースコールしてくれと病室に残る晶子に白川は告げる。白川は康代に電話をかけるが相変わらず繋がらない。章太郎の病室に行くと、晶子が勝手に点滴の薬の量を増やしていた。章太郎はそれによって危篤になる。懸命に呼びかける白川、章太郎は目を開けると瞳に涙を浮かべていた。
- どういういう意味か悩む白川だったが、それが「殺してくれ」というサインだと受け取り、自ら薬の量を増やす。やがて章太郎は息を引き取った。
- 白川は晶子に「あなたは何もしていないし、何も見ていない。いいですね」と言う。
- その頃、佐渡原のところに行っていた新見と柴木は、安楽死の処置をした医師がいると白川の名を聞かされ調査に乗り出す。
- ある日、病院の休憩室でテレビを見ていた白川は、康代が「主治医の勝手な判断で、自分の息子は殺された」とテレビで言っているのを見る。
WOWOWドラマ【神の手】1話の感想
晶子と康代の家族の揉め事に白川が巻き込まれたというのが、見終わった後に抱いた感想でした。まず康代は自ら距離を置いておきながら、いざ章太郎が死ぬと大騒ぎします。そして晶子は嫌がる白川に安楽死させろといい、さらには勝手に点滴を調節します。この二人に板ばさみになった白川は、結局やらなくてもいいことをしてしまいます。章太郎は治る見込みがなかったので、わざわざ手を下す必要はありませんでした。それを晶子が点滴をいじったものだから、仕方なく安楽死をさせたように見えます。
患者とその家族について
患者の章太郎は自分の境遇を恨むでもなく、普通の青年として描かれています。しかし、実母とその姉がヤバくて気の毒でした。
古林章太郎とは?
- 小4の時に実母である康代に育児放棄され、晶子の家に身を寄せる
- 21歳で肛門がんを患う
- 白川の所に検査に来た時には、かなりがんが進行していた
- 転移したので放射線と抗がん剤治療に切り替わる
- それも効果ないので、ターミナルケアに切り替わる
- 最終的に安楽死
古林康代とは?
- 章太郎の実の母親
- 小4の時に手放して章太郎を晶子に預ける
- エッセイスト、ジャーナリスト、医療評論家、メディア評論家
- 著書は「医療革命」「失敗しない医師の探し方」など
- 姉の晶子とは仲が悪い
- 章太郎と晶子に負い目を感じている
- 白川の電話にあまり出ない
- 章太郎を“治療”して欲しいと言っていた
古林晶子とは?
- 康代から章太郎を預かって育てていた
- 康代とは仲が悪い
- 痛がる章太郎を見て“安楽死”を願う
- 自分で点滴をいじって殺そうとした
とにかく康代は電話に出ないわ病院に来ても病室に顔を出さないわで、晶子と章太郎に負い目を感じているらしく仕事を理由に逃げます。そして晶子は晶子で自分が見るに耐えられないからか、章太郎に望まれたからか殺したがります。
白川は実母である康代に今後のことや許可をもらいたくても、治療してくれと言って勝手に電話を切ります。晶子は白川に安楽死という名の殺人を依頼してくるしで、二人の板ばさみになってしまいます。章太郎の意思を確認したくても、章太郎自身がもう痛み止めの薬で意識が朦朧としているのでできません。
白川はどうにかすることはできなかったのか?それぞれ言い分が違う二人のせいで、汚さなくてもいい手を汚してしまいます。初回はちょっと白川が気の毒な展開でした。
JAMOとは?
ドラマ内で出てくる架空の団体です。どんな団体なのか?まだ詳しくはわかりませんが、現時点で判明していることを記載します。
- Japan All Medical Organizationの頭文字を取って“JAMO”
- 日本名は“日本全医療機構”
- 正式名称は公益社団法人JAMO
- 会長はドイツ帰りの心臓外科医、新見偵一
- 副会長はフリーの麻酔科医、柴木香織
- 後見人は元内閣総理大臣、佐渡原一勝
主に何をする団体なのかは今回はわかりません。しかし新見が「今の医師社会は不整脈のような状態だ。その古い血管にバイパス手術を行うつもりです」と心臓外科医っぽいことを言います。要するに医師社会を改革しようとしているようです。その一つが“安楽死法法案”なのかもしれません。
また、色々な医療関係者を取り込もうとしているようで、山名は自らJAMOに足を運びさっそく採用されます。今の医療界に不満があるような人を主に狙っているみたいです。
積極的安楽死の法的扱い
劇中で晶子がネットで調べたといって持ってくる紙に書いてあったことです。
自分で積極的安楽死を行った(未遂も含む)場合は自殺なので犯罪にはならない。日本では他人による積極的安楽死は法律で明確に容認されていないので、他人が積極的安楽死を行った(未遂も含む)場合は刑法上殺人罪の対象となる。
一般的に他人(一般的には医師)が行う場合は下記の四条件を全て満たす場合に容認される(違法性を阻却され刑事責任の対象にならない)。ドラマ内より引用
□ 患者が肉体的苦痛に苦しんでいること
□ 死が避けられずその死期が迫っていること
□ 患者の肉体的苦痛を除去、あるいは緩和するための方法を尽くし他に代替手段がないこと
□ 患者本人の明確的な意思表示があること
この4つの条件が揃わなければ犯罪になるということです。今回の場合、4番目の明確的な意思表示が今の章太郎からは、得られないから無理と白川は断ります。それでも晶子は食い下がり「殺してくれって、苦しい殺してくれ」と章太郎は言っているといいます。晶子が嘘をついているのかわかりませんが、“明確な意思表示”扱いにはならないようです。
WOWOWドラマ【神の手】1話のロケ地
武蔵野総合医療センターの舞台はこちらの病院です。
水戸赤十字病院
WOWOWドラマ【神の手】1話のまとめ
安楽死が起きないことには始まらないといった感じで、まず患者が死んでからがこのドラマの本当の始まりとなりそうな雰囲気でした。産みの母親と育ての母親、それぞれ言い分が違う二人との板ばさみになって、白川は結局安楽死という処置をします。しかし、病室には晶子と白川しかいなかったのに、誰がこの情報を流したのか?よくわかりませんが、白川が“安楽死処置をした”と広まります。次回以降どういった話になるのか、楽しみに視聴してみたいと思います。