【相棒シーズン23】2話「警察官A~逆転殺人!真犯人は二人いる!!」のネタバレと感想をまとめています。
元・国家公安委員長殺人事件に続き、現役総理大臣の爆破事件まで起きる中、右京は2つの事件の犯人は別人ではないかと考える。それぞれの事件は誰が、何のために起こしたのか?
【相棒23】2話のあらすじ
藤原龍一総理(柴俊夫)を狙った爆弾事件の現場に残った遺留品や、足跡を見て杉下右京(水谷豊)は芦屋満議員(並樹史朗)刺殺事件と同じ犯人とは思えないと考えていた。
右京は亀山薫(寺脇康文)と高田創(加藤清史郎)と一緒に、再び事件の足取りを調べる。血痕があった場所に行き、怪我からしたものではなく、吐血なのではないかと右京は推理し、近所の病院に話を聞きに行く。
すると病院の集中治療室に入院する、日高行人(中村歌昇)という人物が事件の後に病室を抜け出し、戻ってきたら倒れたという話を看護師から聞く。
日高はかつて警察官だったが、中野無差別殺傷事件で負傷した後、警察を辞めていた。
その後、亀山と高田が事件現場近くにあった空きビルを、調べていると閉じ込められてしまう。慌てる高田と対照的に亀山はガスが充満する室内で、ある手がかりを発見する。
真の相棒とは何か?右京と亀山が暴いた真実とは……?
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【相棒23】2話の見逃し配信
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【相棒23】2話のネタバレ要約
同僚が刺されたのを切欠に病気になったのを逆恨みし、警察官の二科は芦屋議員を殺害した。
一方、党の支持率が低下したため、爆弾事件を起こして支持率がアップしたところで、幹事長の利根川は解散総選挙を目論んだ。
右京は今は証拠はなくとも追及すると利根川に宣告し、利根川は追及から逃れるため自ら引退を選んだ。
【相棒23】2話の詳細なネタバレ
闇バイトの仕業か?
ステージの下に仕掛けられていた爆弾は、市販品を寄せ集めて作られたもので、遠隔操作によるものであった。巧妙に地面の中に埋められていたため、当初は誰もその存在に気づかなかったが、現場にはサンダルのゲソ痕が残されていた。その痕跡を見つけた杉下右京(水谷豊)たちだったが、捜査の現場からは追い出されてしまう。
「寄せ集めの爆弾、サンダル、そしてカメラがない…」と、つぶやく右京。捜査一課は芦屋議員の事件との同一犯による犯行ではないかと考え始めていた。右京は部署に戻った亀山薫(寺脇康文)から推理の答えを求められると、静かに語り始める。「カメラはネット経由で起爆できる爆弾を作りながら、現場に来るなど矛盾しています。となると、何者かに持たせたカメラで目標を捉え、起爆したと考えるのが普通」
「共犯者がいたということか…」と亀山が納得すると、右京はさらに続ける。「二つ目。市販品を寄せ集めた爆弾について、爆発物原料取扱い事業者は警察に登録されています。安全に手に入れるためには、誰かに買わせる以外ない」
「共犯というより、犯人に使われている?」と亀山は推測し、右京は続ける。「最後に樹脂製のサンダルについて、これから犯罪を行おうというには、あまりに動きづらいもの。目的を知らされていなかったのではないでしょうか」これらの事実を総合して、右京はいわゆる闇バイトの存在を推理する。
その一方で、藤原龍一総理(柴俊夫)が退院し、記者会見を開いた。彼は芦屋満議員(並樹史朗)との関係を否定するような発言について謝罪し、「彼とは学生時代から志を共にする盟友でした」と話した。記者の美和子(鈴木砂羽)が「総裁選を前に、そのような発言をされるのは?」と問いかけると、藤原総理は涙を拭いながら、「今回は…芦屋くんが守ってくれたのだと思います。彼を裏切ることなどできません」と、静かに答えた。
実行犯が逮捕?
捜査が進む中、伊丹憲一(川原和久)は爆弾の材料を購入した容疑者、和田豊晴(長谷場俊紀)の取り調べに入る。和田は肥料はただ植物を育てるために買っただけだと主張するが、やってきた右京はすぐに疑念を抱く。「水耕栽培ですか?」と問いかけると、和田は「そうだ」と答える。
右京はその瞬間、彼が購入したものの性質を知らないことを見抜いた。「この肥料は流亡性で、水に流れやすい。だから水耕栽培には使わないんです。口を割らないところまでが、あなたの仕事なのでしょう?報酬は後払いですか?」と冷静に指摘する。
亀山はすぐに理解し、「闇バイトだよな?」と確認する。右京は「もう連絡は取れないと思いますよ」と言い、亀山は「こういう時にトカゲのシッポにできるから、闇バイトなんだよ」と説明する。
その後、出雲麗音(篠原ゆき子)が和田に問いかける。「誰かに頼まれて、購入したものはどこにやったの?」と。和田はついに、コインロッカーに預けたことを明かし、鍵は指示通りロッカーの上に置いたという。右京はふと近くのバス停留所の時刻表に目を向けて考えた。
その後、路線バスのドライブレコーダーを確認し、ついにコインロッカーから荷物を回収する人物の姿を映像で捉える。その映像を見た角田六郎課長(山西惇)は、映っているのが山東會の工藤敬(高田賢一 )だと認識する。しかし、工藤は最近破門されたと聞かされる。「暴対法対策かもしれないな」と角田はつぶやく。
その時、テレビから速報が流れる。藤原内閣が国会で衆議院の解散を発表したのだ。その後、工藤は逮捕されるが、彼は完全黙秘を貫く。角田が新聞を読み上げると、そこには「中野無差別殺傷事件の犯人の死刑が執行された」との記事があった。衆議院解散前に死刑が執行されたのだ。
「工藤が今回の事件を両方ともやったのでしょうか?」と右京が問いかける。彼は続けて、芦屋事件の際には犯人が簡易宿泊所で集めたゴミを現場にまいて、別の犯人に見せかけようとしていたことを指摘する。しかし今回の事件では、闇バイトで集めた人員を直接犯行に加担させている。
右京は静かに言った。「僕にはとても同じ犯人は思えないんですよ」
事件を再確認
右京たちは工藤の写真を手に、目撃者である高田創(加藤清史郎)の元を訪れた。「この男、現場で追いかけた男に似ていないか?」と尋ねると、高田は写真を見つめ、しばらく考えたが「なんとなく、違うような気がします」と返事をする。その反応に満足はしなかったが、高田は興味を示し、「そろそろ上がるので、一緒に現場を見てもらえませんか。右京さんの捜査を学んでみたいんです」と申し出た。
その後、右京と亀山は芦屋議員が宿泊していたホテルへ向かうことに。9月1日の夜、議員はホテルにチェックインし、その後、馴染みのバーへ向かった。滞在時間はおよそ1時間で、午前1時前にはバーを出た。しかし、ホテルへ戻る途中、暗い路地を歩いていた際に、何者かに突然刺されてしまう。使用された凶器は、中野無差別殺傷事件の犯人が使ったものと同じ型のナイフであった。
議員の身体には大小合わせて16箇所もの刺し傷が残され、犯人はその後、簡易宿泊所で手に入れたおにぎりの包み紙や紙おしぼり、さらには試食品の袋を現場に散乱させていた。右京は眉をひそめ、「しかし、どうしていくつもばらまいたのでしょう」と疑問を抱いた。「罪を一人に着せるつもりなら、一人の物に絞るべきではありませんか?一緒に住んでいたのだから、誰のものか分かりそうなものですけどねぇ……」
さらに、犯人はその後、別の場所へ移動し、そこで血を流していた形跡がある。しかし、高田の報告によると、付近の病院を当たっても怪我の急患は見つからなかったという。右京は思案しながら、「果たして本当に怪我だったんでしょうかね?」と問いかける。「怪我であれば、血痕がもっと続いているはずです」
事件の被害者
右京と亀山は近くの病院に向かい、看護師の松井香奈子(荻野みかん)に話を聞く。看護師は集中治療室にいる日高行人(中村歌昇)という患者のところへ案内する。彼は3ヶ月前から入院しているが、9月2日には突然病室を抜け出し、戻ってきた直後に倒れ込んだという。
「血液型はAB型ですか?」と右京が確認すると、看護師は頷いた。日高の病名は食道静脈瘤破裂で、医者の金沢壮士(赤堀二英)も「よく自力で病院に戻れたな」と驚いていた。
日高はかつて警備員として働いており、その前は警察官だった。しかし、中野無差別殺傷事件に巻き込まれ、一般市民をかばって刺されてしまった。その時の刺し傷が原因でウィルスに感染し、慢性的な炎症を患っていた結果、肝硬変や肝臓がんを発症し、現在の病状に至ったという。
「こうなる前から、歩くのもやっとの状態で、弟さんが世話をしに来ていたんです。実際、ホスピスに切り替えるべき状況なのですが…」と看護師は説明する。日高の病状は深刻でありながらも、なぜ彼がわざわざ病室を抜け出し、事件に関与したかの理由がまだ見えない。
解雇
右京は、高田を特命係に呼び出し、これまでの捜査状況を整理する。亀山が人事から調べてきた情報によれば、日高は2014年に警察に入庁し、その4年後に中野無差別殺傷事件が発生した際、勤務していた交番の近くで騒ぎを聞いて現場に駆けつけたところ、犯人に刺されてしまったという。
右京は、以前から気になっていた点について考えを述べる。「以前から気になっていましたが、都知事の講演で犯人はよく簡単に会場に侵入できたものだと、ずっと疑問だったんです」その日、警備が手薄だった理由は、別の行事に警備が割かれていたからだった。それは、国家公安委員長が主催するパーティーで、ちょうどその時の公安委員長は芦屋議員だったという。
「日高さんはその警備体制に問題があったことを報告しようとしたが、その後、依願退職したようです」右京は続ける。「形式上は依願退職となっていますが、実際は圧力がかかったのかもしれません。日高さんが芦屋議員を恨んだとしても不思議ではありませんが、現在の彼の健康状態では、歩くのがやっとで犯行を実行できたとは思えない」
さらに、右京は弟の存在にも疑念を抱く。「記録によると、日高さんには弟はいません。彼の世話をしていた人物は、弟を名乗る別人だったということになります。この人物を探し出し、事情を聞く必要があります」
こうして、右京たちは新たな手がかりを追い、それぞれ再び捜査に向かうことになった。
真の相棒
右京は病院に向かい、日高の病室を訪ねた。一方で、高田と亀山は現場で聞き込みを続けていたが、新しい情報は得られず、右京が戻るまで待つことにした。待っている間に、高田は亀山に「どうやって特命係に入ったんですか?」と質問する。亀山は「脛に傷を持つ、というか…」と話し始めたところで、ふと刺傷事件について考え始めた。「あんなナイフで16箇所も刺したら、返り血が相当かかるはずだ」亀山は疑念を抱き、「その格好で逃げるのは目立つ。どこかで着替えた可能性があるな」と推測する。
そこで、高田の案内で廃ビルに向かうことになった。不思議なことに、廃ビルの鍵は開いていた。2人が地下に降りると、ガスが充満していた。しかし、その瞬間、誰かに外から鍵を閉められてしまい、電波も通じない状況に陥る。
プロパンガスそのものには毒性はないものの、濃度が高まると酸欠になる危険があった。地下には窓もなく、換気扇もない。「換気口から出られるかも」と高田は提案するが、換気口に設置された網を取り外すことができなかった。亀山は「上で待っていてくれ」と高田に指示し、右京が来るまで手がかりを探すことを決意する。
高田が「杉下さんが来てくれる保証なんてどこにもない」と不安を口にすると、亀山は自信を持って応える。「俺は、杉下右京って人を知ってる。行け」と高田を促した。
その後、亀山は地下で落ちていたボタンを発見し、手に取る。すると、ドアの外から右京の声が聞こえてきた。高田は懸命にドアを叩き、右京に知らせた。右京は近くにあった鉄パイプを使って鎖を壊し、扉を開けることに成功する。
高田は「なぜここだと分かったのですか?」と驚きながら尋ねると、右京は冷静に説明した。「君たちが待ち合わせ場所にいなかったので、亀山くんに電話したところ繋がらなかった。ということは、電源を切っているか、電波が届かない地下にいると考えたんです。周辺を調べたところ、そのような建物はここしかありませんでした。あまり考えずに行動する亀山のことだから、大方調べに行ったのだろうと思いました」
亀山がボタンを差し出すと、右京は「なるほど、そういうことでしたか。全てが繋がりました」と、事件の全貌を理解したかのように呟いた。
事件の真相
藤原総理が自生党の議員、上野保(原田隼人)の応援演説に駆けつけた。その場には警護として二科征司(内野謙太)が配置されていたが、右京は彼に声をかけた。「殺害現場の近くに建て替え予定のビルがあるのを知っていますか?」と尋ねると、二科は「いいえ」と答える。右京は「恐らく、犯人はそのビルで準備をして、待ち構えていたのではないかと思います」と推測する。「近々鑑識に調査をお願いすると思いますが、選挙が終わってからになるかもしれませんね」と右京は告げた。続けて「お互い、これが終わらないことには仕事になりませんね」
その後、右京と亀山は例の建て替え予定のビルで、誰かが現れるのを待ち伏せしていた。やがて、やってきたのは二科だった。亀山が見つけたボタンを見て、右京はすぐに二科の袖のボタンがないことを思い出していた。
芦屋議員が死亡した推定時刻、二科は警邏中だった。しかし、右京は「制服姿で犯行に及ぶのは目立ちすぎますし、返り血を浴びるわけにもいかなかった。だからこのビルで着替えた。その際にボタンが取れたんです。そして、芦屋議員を殺害した後、ここに戻り再び勤務に復帰したんでしょう」と推理を述べた。
二科は静かに「覚悟はしていました」と呟く。右京は彼に問いかける。「なぜ芦屋議員を殺害したのですか?その動機は6年前の中野無差別殺傷事件に関係しているのでは?」と。亀山が補足する。「6年前、二科さんは中野中央署の地域課で日高さんと同じ交番に勤務していましたよね」
右京は続ける。「その時に中野無差別殺傷事件が起きました」と問いかけると、二科は口を開いた。「本当は、警察官になれなかったんです。訓練についていけなくて、警察官になる夢を諦めかけていました。でも、あいつがいつも励ましてくれて…同じ交番に配属された時は、運命だと思っていました」
しかし、事件が起きたその時、二科は恐怖に立ちすくんでしまった。「犯人が近くにいたのに、あれが刺さったら死ぬんだって思ったら、足が動かなかったんです。僕の方が犯人に近かったのに…」と二科は悔しさを滲ませた。
その後、日高が警察を退職したことについて、右京は「理由は聞かされなかったんですか?」と尋ねると、二科は「後悔はしてない。市民を守るのは、警察官の役目だって教わってきたからな」と言われたと答える。日高は、二科が辞めると話した時に「それじゃ、意味ねえだろ。お前は続けろ。俺の代わりにな」と励ましたという。
しかし、6年が経ち、日高が突然倒れたと聞いた時、二科は面会を求めたが断られ、弟だと嘘をついて面会にこぎつけた。医者から話を聞いた二科は、事件で受けた傷が原因で日高の状態が悪化し、彼がもう長くないことを知り、愕然としたのだった。
動機
二科はその時、全てを知ってしまった。中野無差別殺傷事件が起きた当日、同じ管内で当時の国家公安委員長だった芦屋議員のパーティーが行われていた。右京は冷静に続ける。「そちらへの警備を優先させたために、あの事件が起きてしまったのです。日高さんはその事実を告発しようとしていた」
「そうなんです。あいつは辞めたんじゃない、辞めさせられてたんです」二科は痛々しい思い出を語り始めた。「どんどん、あいつは弱っていったんです。でも僕には何もできなかった。あの事件の時と同じで…」
日高の見舞いに行った時、二科の手帳から、一枚のメモが現れた。そこには「警察官は人民の為には その依頼する勇強の保護人なり」と書かれていた。
そんな折、警邏中に芦屋議員の姿を見かけた二科は、調査を進め、毎週彼が自分の管内のホテルに宿泊していることを知った。「その偶然がまるで運命のように感じたんです。やはりやらなくてはならない、そう思いました。それが、あの時一歩も動けなかった自分への罰だと…」
二科は目を細めながら、刺した時を思い出したかのように呟いた。「芦屋議員は僕をにらんだんです。まるで僕の罪を責めるように。何度刺しても死ななかった、怖かったんです」
右京は冷静に「何度も刺したのは、恨みからではなく恐れからだったのですね」と指摘する。亀山は、いら立ちながら「逆恨みだって分かってるのか?芦屋議員が一体何をしたっていうんだ?」と問いただす。
二科は目を伏せながら答えた。「殺したのは、国家公安委員長だったからです。本当は芦屋議員じゃなくてもよかった。警察庁長官でも、警視総監でも…日高があんな目に遭ったのは、警察官になったからだ。警察官は私を捨て、市民を守るために命をかけなければならない。日高はそれを信じていた。でもその結果、彼は辞めさせられ、犯人はいつまでも刑を受けないまま…正義って一体何なんですか?誰が決めて、何に命を捧げるべきなんです?」
二科の声には怒りがこもっていた。「あのままじゃ終わらせるわけにはいかなかった。あいつの命に意味を持たせたかったんです」
右京は静かに「なるほど。あなたの真の目的は、神山の死刑執行だったのですね」と語った。中野無差別殺傷事件の犯人である神山成夫(千葉雅大)を死刑にしないことへの憤りが、二科の行動の動機だったのだ。
右京はネット上で話題になっていた「犯人は中野無差別殺傷事件の模倣犯」「神山を死刑にしないからだ」という書き込みを思い出す。「だからこそ、中野無差別殺傷事件の模倣犯のように偽装したんですね」
二科は「だから言っただろう…神山を死刑にしないからこうなったんだ」とネットでさらにつぶやいていた。
幕引き
「日高さんはこのことを知っていたのでしょうか?」と右京は二科に問いかけた。
刺殺後、二科は電話を取り出し、日高に電話をかけた。「そっちに落とし物なかったか?」と聞く二科に、日高は困惑した様子で答える。「ないと思うが、どうした?」と。二科は静かに語り始めた。「警察学校の時、俺が訓練についていけなくて、諦めようとした時に、お前がくれたメモだ。気持ちが弱った時に、それを何度も見てたんだ」
日高は「それがどうした?」と問いかけるが、二科は「全部終わったよ。多分、俺自身も」と告げた。その言葉に驚いた日高は、「お前、まさか…!」と叫ぶが、二科は静かに続けた。「さっき話したメモ、現場に落としてきたよ。ありがとうな、お前と組めて良かったよ」その言葉を聞いて、日高は驚き、事件の翌朝、病室を抜け出してしまう。そして戻って来るなり倒れ込み、集中治療室に運ばれた。
おそらく、二科が現場で落としたメモを探しに行こうとしていたのだが、その途中で吐血してしまったのだろう。右京はそのメモを取り出し、「これが現場で落としたものということでしょうか?」と二科に見せた。右京が見つけたメモは、日高の病室のベッドの下から出てきたものだった。そこには『警察手眼』の言葉が刻まれていた。
「これを見失って探していたとは、なんとも皮肉な話です」と右京は静かに言った。亀山が重い口を開き、「ついさっき、日高さんが息を引き取った」と伝えると、二科はその知らせに動揺し、深く息を飲んだ。日高を思い、その正義に裏切られた二科の心は、重く揺れていた。
「信じたかった正義に裏切られ、パートナーを思うがあまりに罪を犯し、結果、その死期をも早めてしまった。残念でなりませんね…」右京の言葉が静寂を破った。
その瞬間、二科は銃を抜き、引き金を引こうとするが、亀山がすかさず止めに入った。「ふざけるんじゃない!」と右京が叫び、「そんなことのために、使う道具じゃないだろう!」と怒りを込めて叱責する。
さらに厳しい声で「これ以上、警察官の名を汚し、日高さんに恥ずかしくないのですか!?」と問い詰めた。その言葉に、二科は崩れ落ち、涙を流しながら泣き崩れた。
黒幕
右京と亀山は、捜査の進展を報告するために利根川吉伸(でんでん)に会いに行った。藤原総理に関する事件については、二科が「知らない」と供述していることを伝えると、利根川は冷ややかに「犯罪者の言うことを信じるのか?」と返した。右京は続ける。「そもそも、2つの事件を同一犯の仕業と考えるには無理があると感じていました。それに加えて…」
亀山が話を引き継ぐ。「一課が取り調べていた工藤という暴力団員が、一転して容疑を認めました。ただ、脅すつもりで殺意はなかったと。総理が袖に寄ったタイミングを狙ったと供述しています。動機はごく個人的な政治的心情の相違からだそうです」
利根川は興味深そうに聞いていたが、右京が続けた。「藤原内閣の支持率は低迷していて、次の選挙では政権交代が囁かれるほどでした。その時、芦屋議員の疑惑が浮上し、支持率はさらに落ち込むことが予想されていたんです。事件直後、藤原総理は芦屋議員を遠ざけるようなスピーチをしましたが、その後、総理自身が襲撃され、九死に一生を得ました。そして、その時のスピーチは、芦屋議員との絆を強調するものに変わり、国民の同情を引きました」
右京は淡々と語る。「その結果、内閣の支持率は回復し、選挙に向けて追い風が吹いたわけです」
右京が利根川を見つめながら言った。「結局、藤原総理はこの事件を利用して、解散総選挙に踏み切り、党を勝利に導こうとした。党としては、誰が総裁であろうと政権を握り続けることが最も重要だったのではないでしょうか」
右京はさらに踏み込む。「最終的な勝負に出るためには、最後の一手が必要だった。だからこそ、工藤を使って爆発事件を引き起こしたのです」
利根川は冷笑しながら「工藤がそう自白したのか?ただの妄想じゃないか」と問いかける。右京は冷静に答えた。「現時点ではまだ」亀山も強く頷き「けど、追及しますよ」
利根川は一瞬沈黙し、冷たい目で彼らを見つめながら「勝手にしろ、無駄だ。その男も覚悟を持ってやったんだろうからね!」と捨て台詞を残して、その場を去ろうとした。
追及
右京は最後にもう一つだけと切り出した。「芦屋議員を殺害した犯人の目的は、中野無差別殺傷事件の犯人、神山の死刑執行を実現させることでした。そのために、生活困窮者の犯行に見せかけ、SNSを通じて世論を扇動しようとしたんです」亀山が補足する。「そして、先日突然神山の死刑が執行されました。解散総選挙が始まる直前のタイミングで、なぜ今だったのでしょうか?」
利根川は苛立ちを隠せず、「私が知るわけないでしょう」と答える。亀山はさらに詰め寄る。「批判を避けようとしたんじゃないですか?このタイミングには何か問題があったのでは?」
利根川は薄く笑い、「なんか問題があるの?」と軽く受け流す。右京は静かに問いかけた。「政局と党利党略のために使われたのだとしたら、それは果たして正義といえるのでしょうか?」
亀山も続けて挑発するように、「妻がフリーのジャーナリストをしているんです。もしこんなことが記事になったら、選挙にも影響が出るかもしれませんよ」
すると利根川は苛立ちを露わにし、椅子に戻って腰を下ろすと、「思い上がるなよ!」と声を荒げた。「そもそも警視庁っていうのはな、政府を守るために作らたんだ。正義?末端の兵隊が考えることじゃない。おとなしく上に従ってりゃいいんだ!」
亀山は一歩踏み出し、「思い上がってるのはあんただろう!キングメーカーなんて持ち上げられてその気になって!」
利根川は冷ややかに言った。「もう一つ教えてやる。権力ってのはな、口で言って分からないバカを、従わせるためにあるんだ!」
右京は一瞬考え、「どういう意味でしょうか?」と尋ねる。
利根川は冷たい笑みを浮かべて、「全部の力を使って、君らを消すって意味だよ」と告げた。
右京はまっすぐに利根川を見つめ、静かに語り始める。「世に兇悪の徒 なきを得ず。人に兇悪の心なきを得ず。ただ、警察の手眼をもって是を抑制するのみ」
それは川路利良の言葉だった。「賊よ、汝為さんと欲せば為せ。汝が為さんとするところは、我が眼ことごとく視る。汝が為さんと欲する心は、我ことごとく知れり。汝何をか為さんや」
そして右京は冷静に言った。「どうぞお好きになさってください。どこまでも追いかけて必ず真実を明らかにしてみせます」そう告げると、亀山と共にその場を去った。
後日、「こてまり」のカウンターに小出茉梨 (森口瑤子)が盃を置き、甲斐峯秋 (石坂浩二)から芦屋への献杯を捧げていた。「あの議員には色んな噂があったが、国家公安委員長としては大真面目な人だった。もしかしたら、一緒にやれたかもしれなかったな」と甲斐は言っていたという。
美和子はそれを聞き、「だから特命係に頼んだってことだったんですね」と納得したように頷いた。
【相棒23】2話の結末
亀山は利根川の言葉が頭に残っているようで、右京に問いかけた。「利根川が言ったように、もし警視庁が政府を守るために作られたのだとしたら、正義って一体なんなんでしょうかね?」
亀山は続けて「時代とともに変わって人それぞれで…、正義と正義がぶつかりあった時、一方が悪に見えることもある」
右京は、亀山に優しく諭すように続けた。「正義は一つだと思いますよ。信じていたものを、見失ってしまいそうな瞬間は誰にもあります。そんな時のために『相棒』がいるんじゃありませんか?」その言葉に、亀山は感慨深げに「そうでした」と微笑み、納得した。
すると、ニュースが流れ、利根川が辞任を表明したという報道が入る。彼は引退を決意したようだ。利根川の言葉が耳に残る。「だから辞めるんだよ!お前らだって、いつかは辞めんだろ!」と息巻いていた。
亀山はふとつぶやいた。「俺たちの勝ちってことなんでしょうかね?」すると右京が即座に答えた。「事件に勝ち負けはありませんよ、亀山くん」選挙の結果についても尋ねる亀山に、右京は静かに言った。「分かりません。ただ、明日はきっと今日より良い日、せめてそう思えるようになると、信じたいものですねぇ」
その後、大久保利通(松澤仁晶)と川路利良(松田洋治)のやりとりがふと頭をよぎる。大久保は「我々がやったことは、後世まで残っていくのだろうか?」と不安げに尋ねた。川路は答えた。「警察学校を作ります。そこで学んだものたちは、私より公を尊重し、正義がなんたるかを理解し、何より私達がそうであったように、互いに信じ、支え合うことの大切さを受け継いでくれるでしょう。未来へ…そのまた先の未来へと」
未来を見据えた川路の言葉が、静かに余韻を残していた。
一方で、右京と亀山は高田の元を訪ねた。高田は頭を下げて言う。「今回のことがあって、希望していた刑事課に異動になりそうです」そして亀山に向かい、「この間はすみませんでした。どこかで杉下さんの相棒は、自分のほうがと思っていたんです」と詫びた。高田は続けて、「それが間違いだって、本当に分かりました」と自分の未熟さを認めた。
右京は高田に優しく微笑み、「これは僕の経験から言うのですが、君も相棒を見つけるべきです。君自身の」
編纂を終えた夜、亀山は右京を誘い、「祝杯をあげにいきましょうか」と提案した。右京は笑みを浮かべ、「今夜はサシで行きますか」亀山はもちろんと答え、二人はそのまま夜の街へと消えていった。
「いつかまた、2人の精神を受け継いだ誰かが、警視庁200年史を書いてくれるだろう。未来に向けてこの筆を擱く」と右京はまとめた。
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『警察手眼』一文の現代訳
右京さんが利根川に向かって、『警察手眼』の一文を言うシーンがあります。現代語訳が知りたかったので、AIに訳してもらいました。
以下の文の現代語訳は次のようになります。
この訳は、原文の厳しい口調や警告的な内容を保ちながら、わかりやすくしています。とのことです。
簡単に言うと、どんな悪事を働こうと必ず暴くということだと思います。なので、これ以上追及されたくない、利根川は引退したというわけです。
【相棒23】2話のまとめと感想
芦屋議員殺人事件と、藤原総理爆弾事件は別人が起こしていたという話でした。
謎が全て回収されていないといいますか、ドラマ内で説明がないのでどうなったのかと思うものがいくつかあります。1つ目は高田が追いかけた人物は誰だったのか?ということです。工藤の写真を見せると、違うと言いますが、真犯人の二科だとしたらさすがに分かると思います。よって、二科以外の人物と思われますが、誰かは不明のままです。
2つ目は違法民泊にいたバックパッカーは誰なのか?二科の可能性はありますが、明確には語られません。また、右京さんが言うように、一人に罪を着せればいいのに、なぜか色んな人の分を置いていきます。これについても明確な説明はありません。
シーズン途中でまたこの話に触れる機会があるのか、それとも単純に語られないだけなのか?現時点では謎のままです。
右京さんと亀山の絆を確かめるような、そんな回でした。今シーズンも磐石なようです。
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