【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜2】2話のネタバレと感想|絶望のヤングケアラー

2024秋ドラマ
記事内に広告が含まれています。

【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜Season2】2話のネタバレと感想をまとめています。

中学校に刃物を持って侵入した男が、暴力教師を刺して重体にする。まるで悪びれずに自分が世間の代弁者だと、開き直る男の目から見えた感情の色は【信頼】だった。彼が【信頼】していたものとは、絶望の果てに選んだものだった。

スポンサーリンク

【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜2】2話のあらすじ

中学校に刃物を持って侵入した矢田部聡(淵上泰史)が、数人の教師を切りつける事件が発生する。被害者の1人・高橋真人(加瀬信行)という教師だけ、矢田部は何度も刺していた。

心野朱梨(飯豊まりえ)と滝沢美空(影山優佳)が取調べを始めると矢田部は何も悪びれず、暴力教師を自分が代わりに処分したのだと語る。そんな彼の目から見える感情は【信頼】だった。

彼は何を信頼していたのか?捜査を進めていくうちに分かってきた、矢田部の絶望に朱梨は共感し……。

←1話|3話→

スポンサーリンク

【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜2】2話のネタバレ要約

母校の中学校に刃物を持って侵入した矢田部聡は、暴力教師とSNSで指摘されていた教師を何度も刺して重体にする。そんな彼の目から見えていた感情は【信頼】の色だった。

矢田部は中学生の頃から、母親の介護を一人で30年間担った。そして母親の死後、中学に卒業証書をもらいに行くが追い返される。

生きている意味を感じられず、絶望した矢田部は首を吊るが死に切れず、国に殺してもらおうと思って事件を起こした。殺人はできなかったが、それでも刑務所に入るだろうと【信頼】していた。

スポンサーリンク

【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜2】2話の詳細なネタバレ

感情が見える男

事件が発生したのは、ちょうど10日前だった。被害者は都内に住むエンジニア、一ノ瀬伸明(西中ひさあき)。頭部を何者かに鈍器で殴られ、命を奪われた。凶器はまるで文鎮のような金属の棒で、現場に指紋付きのまま残されていた。

捜査の結果、西新宿警察署管内で起こったこのエンジニア撲殺事件には、クリット・ウォンラット(Sapol Assawamunkong)というタイ国籍の実業家が関与していることが判明した。クリットは飲食店をプロデュースする傍ら、日本食の買い付けのために来日していた男だった。凶器の指紋と入国審査の際に採取されたデータが一致し、容疑者として逮捕された。

取り調べの初め、クリットは一切口を開こうとせず、黙秘を続けていた。だが、ある日、彼は突然語り始めた。「自分は犯人じゃない。犯人は誰かを守るために、殺したかもしれない」と。そう言い放ったクリットの目は、何かを見透かしているかのように輝いていた。「わかるんだ、俺には」と、自信を持って彼は言い切った。

その後、風早涼(浅香航大)は心野朱梨(飯豊まりえ)を同席させた。そして、時田里菜(若月佑美)が朝比奈慶太(水石亜飛夢)を刺した時に使ったナイフを取り出し、クリットに見せた。クリットは驚くことなく、ナイフの柄に手を伸ばし、ゆっくりと撫でる。彼が感じ取った感情は【期待】だった。

その後、風早はさらにいくつかの物証をクリットに試させたが、どれも朱梨と同じ結果にたどり着いた。クリットは、物に残る感情、いわゆる“残留感情”を読み取ることができるという。風早は次第に彼を信じ始め、事件の背後に何か大きな陰謀が隠されているのではないかと考えるようになった。

警視庁に朱梨を呼び寄せたのは、2人を引き合わせることで、事件の謎を解く手掛かりが見つかるかもしれないと期待してのことだった。朱梨は困惑しながらも、協力を申し出る。しかし、彼女の心の中にはまだクリットに対する疑念が残っていた。

クリットが金属の棒状の凶器から読み取った感情は【愛】だという。凶器に指紋が残っていた理由について、クリットは「感情を読み取るために触っただけだ」と主張した。

朱梨にはもう一つの疑問が残っていた。クリットが話している間中、彼の感情には【喜び】が見えていた。一体、彼は何を喜んでいたのか? 朱梨は気になった。

今回の事件概要

  • 発生日時:令和6年9月3日(火)午後1時15分頃
  • 発生場所:東京都足立区西塚にある足立区立西塚中学校
  • 現場状況:午後1時15分ころ、現場中学校にて被疑者は約15分間に渡って刃物を振り回し、教師3名が刺傷、うち1名が重体
  • 被害者:高橋真人(53)西塚中学校教員。刃物で全身を刺され重体
  • 被疑者:矢田部聡(43)アルバイト勤務。犯歴なし。30年間自宅で母親を介護していた

事件の動機

滝沢美空(影山優佳)と朱梨は、取り調べ室に通された矢田部聡(淵上泰史)を前に、緊張感漂う中で黙々と座っていた。「動機は?」朱梨が静かに尋ねると、矢田部はすぐに答えた。「高橋真人(加瀬信行)という教師が生徒に体罰を与えていた。それを知って、彼を処分したんです。結局、学校は何もしないで済ませようとしていたんですよ。だから、僕が代わりに処分してやったんです

西塚中学校は、矢田部の母校でもあった。しかし、彼は高橋という教師と個人的な関わりは一切ないと主張していた。SNSで偶然、生徒による投稿を目にしたという。その投稿は高橋教師による体罰疑惑を告発しており、学校側もその件で高橋に対する調査を検討していたが、矢田部はその前に行動を起こしてしまったのだ。

「生徒を傷つけたわけではない。止めようとしてきた先生たちを傷つけただけだ」と矢田部は続けた。その声には全くの後悔もなく、まるで自分の行為が正義だと言わんばかりの冷静さがあった。矢田部は静かに「僕は、何の後悔もありません」と答えた。

彼の言葉は、空気を冷たく凍りつかせた。

【信頼】の色

取調室を出て部署で話し合う。事件の前日、矢田部の姿が校門前の防犯カメラに捉えられていた。彼は30分近く、じっと学校の入り口を見つめていた。明らかに異常な行動だ。美空がその映像を見せながら、朱梨に問いかけた。「これ、下見だったのでは?」

一方で、今西湊人(岩瀬洋志)は別の角度から疑問を投げかけた。「もし高橋を狙っていたなら、なぜ昼間の学校を選んだんだ?他に会える場所があっただろうに」

「もしかして、他に会える場所を知らなかったのかも」と坂東俊之介(浜野謙太)が続けた。「自宅もわからなかったし、もし高橋が謹慎処分を受けたら、もう会えなくなると焦ったんじゃないか?」風早もまた推測を重ねた。

朱梨が矢田部から見えた感情は【信頼】だった。それは通常心配のない状況で感じる、安心して任せられる気持ちを表す。しかし、朱梨の頭の中には疑念が渦巻いていた。この状況で【信頼】とはどういうことだろうか?体罰を行った教師への「制裁」を果たしたことで、彼は安心感を得ているのか?

「一人の教師が重体で、まだ助かるかどうかもわからない状態だ。これでやり遂げたと言えるのか?」坂東が眉をひそめながらつぶやく。

朱梨はさらに深く考えた。「もし彼が本当に制裁を完了したと思っているのなら、喜びのような感情が現れるはず」朱梨の疑問は深まるばかりだった。矢田部の心の奥に潜む【信頼】が、何を意味するのか。

【不安】の色

朱梨と美空は事件現場となった、足立区立西塚中学校に向かった。事件の当日、矢田部は警察が到着する前に教師たちによって取り押さえられたという。しかし、意外にも矢田部は抵抗することなく、大人しく捕まったと案内の教師(堀丞)が語った。さらに、動機についても既に聞いているという。

SNSに投稿した生徒は元々特定していなかったが、こうなってしまうとますますできないと教師は語った。その瞬間、教師のスマホに通知が入った。SNSで拡散された新たな動画、高橋が生徒に対して暴力を振るっている映像だった。

その後、朱梨と美空は2度目の矢田部の取り調べに臨んだ。矢田部の行動が広まり、世間では彼の動機に同情したり、時には称賛する声まで上がっていた。それを知った矢田部は、取り調べの中で不敵な笑みを浮かべた。「僕は世間の代弁者です。みんなが望んだことをしただけですよ。」

その言葉に、朱梨はさらに疑問を感じた。「あなた自身の経験が、この事件に関係しているのでは?」と問いかけた。しかし、矢田部は体罰は受けたことがないと否定した。

取り調べを終えた後、朱梨と美空は廊下で言葉を交わした。朱梨は矢田部の周囲に浮かび上がった感情が【不安】であることを感じ取っていた。「体罰の動画について話した時、彼の不安が見えたんです」と朱梨は静かに語った。あの学校が母校だったことや、矢田部の過去についてきくと、さらに不安の色が増した。

矢田部が本当に何を抱えているのか、まだ全てを明かしていない。その背後には、彼が隠し続けている何かがあると、朱梨は直感していた。それが事件の真相に近づくための鍵なのかもしれない。

【愛】の色

半年前まで、矢田部は母親の介護をしていた。近所の人の話では、いつも疲れ果てた顔をしていたという。母親の景子(吉澤実里)は脳出血で倒れ、その後寝たきりとなっていた。矢田部は父親を早くに亡くしており、誰の助けも借りることなく、ずっと母親を一人で世話していたのだ。

母親は精神的にも不安定で、外部のヘルパーを拒否していた。そのため、矢田部が自ら介護をするしか選択肢はなかった。しかも、その介護は30年にもわたって続いていた。中学生の頃から始めた長い介護生活が、矢田部の人生を支配していた。彼は中学を卒業して以来、母親の世話に追われるあまり、学業を諦め、定職に就くこともできなかったのだ。

3回目の取り調べで、美空は核心を突いた質問を投げかけた。「介護のストレスが、今回の事件につながったのではないですか?」と。美空はだとしても罪を償うべきだと糾弾する。

しかし、矢田部は眉一つ動かさず、冷静に答えた。「どうして僕が罪を償わないといけないんですか?悪いのはあの教師です」矢田部は母親の介護についても話し始めた。「確かに、母の介護にはうんざりしていました。いつまでこんなことを続けなければならないのか、どうして僕はこの人の息子に、生まれてきたんだろうと何度も思いました」彼の言葉には、長年の疲れと苦悩が滲んでいた。

「そんな時にSNSを見て気づいたんです。悪いのは僕じゃない。困っている人に耳を傾けない社会の方が間違っているんだって。僕が償うべき罪なんてありません。償うべきはあの教師です、そうでしょう?」

彼の言葉は強い確信に満ちていたが、朱梨には違和感があった。母親について話していた時、矢田部から感じ取った感情は【愛】だった。

さらに奇妙なことに、その後も矢田部からは怒りや悲しみの感情ではなく、ずっと【信頼】の感情が見えていた。彼が語る言葉とは全く一致しない感情だ。朱梨はその理由を知るために、美空と一緒に矢田部の自宅へ向かうことにした。

見えた色

美空と朱梨は、矢田部の自宅にやってきた。彼の生活の痕跡をたどることで、事件の背後に隠された真実に近づけるかもしれないと考えてのことだった。アパートのドアを開けた瞬間、二人は部屋の中の雑然とした様子に圧倒された。使い古された家具が無造作に並べられたその部屋は、まるで中学生の頃から時が止まってしまったかのようだった。

朱梨は部屋の中を見渡しながら、「わかる気がする。私も昔、似たような経験があるから。私は、支援してくれる人がいたおかげで、生活を取り戻すことができた。でも…矢田部は30年間、この部屋で母親と2人きりだった」

朱梨の目が、母親と中学校の校門で写る入学式の写真と、無造作に置かれた一枚のはがきに留まった。そこには、「卒業証書の受け取りについて」と書かれていた。矢田部が中学を卒業してからすでに何年も経っているはずなのに、このはがきがまだこの場所に残されているという事実に、朱梨は何かを感じ取った。

その瞬間、朱梨は何かに気づいた。彼女は急に部屋を出て、アパートの外へと向かった。美空も驚いて後を追いかけた。

矢田部が30年間、この部屋で母親と過ごしてきた日々。その中で彼が何を感じ、何を信じ、何に囚われていたのか。やがて朱梨は矢田部の色が見えた。

スポンサーリンク

事件の真相

4回目の取り調べが始まった。美空は一枚の写真をモニターに映し出す。それは、中学校の入学式の日に撮影されたもので、校門の前で母親と一緒に写る矢田部の姿が映っていた。

「進学も就職も、全て母親の介護のために諦めてきたんでしょう?」美空は静かに問いかける。「本当のことを話して欲しい。なぜ、あの日学校に行ったのか」

朱梨もまた、矢田部の苦しみを感じ取っていた。「私も15年間、家族を看病してきた。後悔はしていないけれど、その代わりに多くのものを失った」と、彼女は優しく続けた。

美空は卒業証書受け取りの通知書を机に出して話す。証書はすぐに取りに行かず、ずっとそのままになっていた。前日学校に行ったのは、襲うために下見をしていたわけではなく、卒業証書を受け取りに行こうとしてたのではないかと。

矢田部は「母が亡くなってから、何もする気が起きなくて、ずっと家にいた。でも、ある日写真を見つけて、この通知書も見つけた。それで受け取りに行こうかと思った」と語り出す。

矢田部は学校に行き、応対した高橋に通知書を見せたら、「ないですよ、こんな前のもの」と突き返された。「それで気付いたんです。ああ、僕の人生には本当に何にもないんだなあって」

矢田部の声には、深い絶望が滲んでいた。「母のために生きてきたけど、その母も亡くなった」

朱梨は矢田部の自宅に、千切れたロープが天井にかかっていたことを話す。矢田部は首を吊って死のうとしたが、ロープが切れてしまい死ねなかった。

「自分で死ねないのなら、誰か他の人に…国に殺してもらおうって」死刑になりたくて、矢田部は大きな事件を起こすことにした。

「高橋を狙ったのは、ただ検索して見つけたから。体罰の話も後で使えるかと思った。でも結局、誰も殺せなかった。ただの殺人未遂で終わってしまった。けど、それでも刑務所には入れると思った」

だから信頼の色が見えた。彼は自分が刑務所に入ることを、信じていたからだと朱梨は悟った。そして同情や称賛の声が集まると、刑が軽くなるかもと不安を覚えた。

朱梨の説得

「ふざけないでください!」美空は感情を抑えきれず、怒りをぶつけた。「そんな理由で自分を正当化できると思っているんですか?生徒たちは本気で恐怖を感じたんです。その心の傷は、簡単には消えないかもしれないんですよ!」

その言葉に対し、矢田部はため息をつき、無言でメガネを外した。そして、静かに話し始めた。「もういいんです。謝ったところで許されるなんて思っていません。僕は刑務所の中で、死ぬまで生きるだけです。それ以外にどうすればよかったんですか?生きてて、何かいいことなんてありましたか?僕なんか…どうせ、死ぬために生きてるだけなんです

美空がさらに責めようとしたその瞬間、朱梨がそっと彼女の腕をつかんで制止し、矢田部に向き直った。「矢田部さん、この先どんな判決が下ったとしても、どうか責任を感じたり、人生を諦めて自ら命を絶つようなことはしないでください

「そんなの、僕の自由でしょ」と、矢田部は低い声で答えた。

朱梨は優しく続けた。「確かに、警察は事実を公表するでしょう。そして世間は、あなたを自分勝手な犯罪者として非難するでしょう。でも、思い出してください。あなたは、誰かのために生きることができる人です

「でも、母はもういない…」矢田部はかすかな声でつぶやいた。

朱梨は穏やかに矢田部に語りかける。「報道を目にする人の中には、あなたと同じように孤独を感じている人がいるはずです。もしも命を絶てばそのことも伝えられる。あなたが諦めないことが、どこかの誰かが諦めない理由になるかもしれないんです

矢田部の表情が少し変わり、朱梨はさらに続けた。「裁判や報道を通して、あなたが30年間抱えていた心のうちを話して下さい。あなたと同じような子どもたちがそのニュースを見ます。あなたの言葉が届きます。その子にひとりじゃないと伝えてください。その子のためにも反省して、罪を償う姿を見せてください。生きることを諦めないでください」と朱梨は訴えた。

朱梨の訴えが響いたのか、矢田部の目には、徐々に涙が溢れてきた。そして、彼はその涙を抑えきれず、静かに泣き始めた

スポンサーリンク

【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜2】2話の結末

取調べを終え部屋を出た美空は朱梨に、矢田部が自殺するかもしれないと考えずに、追い詰めるようなことをしてすまなかったと謝罪する。朱梨は間違ったことは言っていないと、美空を責めることはなかった。

矢田部は今、悲しみや後悔の感情を抱いていた。その感情は朱梨にしっかりと見えていた。もう彼が命を絶つ心配はなかった。

やってきた風早に連れられ、朱梨は屋上で話をする。おとといの夜、午後10時頃、大田区の公民館の近くで、女性の遺体が発見されたという。被害者は二見智子(和田光沙)だった。

彼女は階段から突き落とされたらしい。つまり殺しだった。近くの防犯カメラに逃走する女性の姿が映っていて、警察はその人物を容疑者として追っていると風早は話す。

その容疑者とは、朱梨の姉である紫織(松井玲奈)だった

←1話|3話→

スポンサーリンク

【オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜2】2話のまとめと感想

【信頼】していたのは、殺人はできなかったが、それでも刑務所には入れるという信頼でした。

なかなかに残酷な話です。母親の介護をたった1人で中学生の時から30年間するなんて、考えるだけで苦しくなりそうです。矢田部は学業を捨て、就職を捨て、恋愛も青春もなくただ年老いていく人生でした。

彼を支えてくれる大人は誰もいなく、彼はただ母親の介護を続けた結果、母親が亡くなった後に自分の今までの人生に絶望します。死ぬために生きているだけ、自分の人生は何もなかったと彼は嘆きます。そして朱梨も姉の看護をしていた経験があったため、矢田部のことを丁寧に説得しました。

どうすればよかったんだと、開き直りとも後悔とも取れる矢田部の叫びが、中学生の時に誰かに届いていれば、彼もまた違った人生を歩めたのかも知れません。

←1話|3話→

タイトルとURLをコピーしました