今回から始まった坂の途中の家は、見る人を選ぶ内容だと思います。決して明るい話ではありませんし、主人公と状況が重なる人が見たら、見終わった後に気持ちが重くなると思いますので注意してください。
坂の途中の家概要
4月27日から毎週土曜22時よりWOWOWで放送しています。平穏な暮らしをしてた主婦の里沙子に、ある日裁判所から刑事事件の裁判員候補者に選ばれた通知が届きます。自分と同じ年頃の専業主婦が、生後八ヶ月の娘を浴槽に落として虐待死させたという衝撃的な事件の補充裁判員となります。当初被告に嫌悪感を抱いていた里沙子だったが、次第に被告に境遇を重ね自身の心に眠っていた混沌とした感情に惑わされてしまう――
キャスト
- 山咲里沙子(柴咲コウ)
- 山咲陽一郎(田辺誠一)
- 芳賀六実(伊藤歩)
- 安藤寿士(眞島秀和)
- 松下朝子(桜井ユキ)
- 山田和貴(松澤匠)
- 山咲文香(松本笑花)
- 安藤邦枝(倍賞美津子)
- 三沢富路子(高畑淳子)
- 穂高真琴(佐藤めぐみ)
- 芳賀直人(窪塚俊介)
- 山田牧子(玄理)
- 松下忠弘(水間ロン)
- 安田則子(長谷川稀世)
- 青沼隆宏(利重剛)
- 篠田さかえ(酒井美紀)
- 山咲和彦(光石研)
- 山咲里子(風吹ジュン)
- 安藤水穂(水野美紀)
スタッフ
【原作】角田光代「坂の途中の家」(朝日文庫刊)
【脚本】篠﨑絵里子
【監督】森ガキ侑大
【音楽】山口由馬
【主題歌】Musek「silence」
あらすじ
山咲里沙子(柴咲コウ)は、3歳の娘と夫・陽一郎(田辺誠一)と3人で平穏な日々を送っていた。そんな時、裁判所から刑事事件の裁判員候補者に選ばれたという通知が届く。対象となる事件は、里沙子と同じ年頃の専業主婦の母親・安藤水穂(水野美紀)が、生後8カ月の娘を浴槽に落として虐待死させたという衝撃的な事件だった。里沙子は、裁判員が欠席せざるを得ないとき、代わりに裁判員を務める補充裁判員に選ばれる。
公式HPより
ネタバレ
感想
悪いほう悪いほうに話が展開していきます。共感性羞恥の人とか登場人物にシンクロしがちな人は、見ているだけで辛いかもしれません。また、登場人物と同じような環境の人なども、日頃募る不満が爆発しそうな内容だと思います。
事件の内容
まずはどういった事件なのかの説明をしますと
- 被害者:生後8ヶ月の娘
- 容疑者:安藤水穂・35歳・専業主婦
- 罪状:保護責任者遺棄致死
- 殺害方法:湯の張った浴槽内に娘を落として殺害しようとした
といった内容になります。裁判員裁判となっています。
検察側の主張
- 子育てがうまくいかず子供に対して憎しみを覚え始める
- 娘さえいなければと思い始めて殺意が芽生える
- 体を叩くなどの虐待が始まる
- 浴槽に娘を落として殺害
- 精神状態に問題なし
- 明確な殺意あり
弁護側の主張
- 殺意はない
- 事件当時は極度の心神耗弱状態だった
- 夫は仕事を言い訳にして育児に非協力的
- 精神的に追い詰められていた
- 事件当日風呂に入れようとしたが娘が泣く
- 泣き止まないと夫に叱られると思いパニックになる
- その後の記憶はない
- 夫に言われて初めて気がついた
- 極めて限定的な責任能力しかなかった
双方真逆な主張となっています。
ただし、弁護側は母親は子供にしたことは認めていて、その点を争うつもりはないと言うことです。
子供を殺害してしまったのは自分だが、そうなる理由があったという主張です。
夫・安藤寿士の証言
今回は夫の証言が多く出てきます。検察よりも弁護人が聞いているシーンが多かったです。
- 妻が疲れているから義母に助けを求める
- 妻は娘が発育が遅いと思っていたが、自分はそう思わない
- 妻は育児放棄を始め、子供が泣いてもテレビを見てた
- さらに娘を虐待し始めた
- やめろといってもまたやっていた
- 友人に相談して保健士を呼ぶ手配をした
- 子育てが下手な母親だと思われたくなかったのだと思う
- 不妊治療は妻が希望した
- 心療内科の受診は勧めなかった
- 児童相談所に行かなかったのは、存在を知らなかったから
- 友人に相談して土日は娘を自分が預かった
- 平日は22時~23時まで帰らないし、泊まることもあった
- 母親として劣っていると言ったかもしれない
- 育児ノイローゼだと思って励ましたが逆効果だった
- “友人”とは大学時代の彼女
- 妻はセレブ志向があった
今回の証言だけを見ると、基本的に育児は自分から考えて何かはしません。義母なり元カノに投げて、得られた回答を元に動きます。
責任を感じてるような発言をしますが、妻が言ったり感じていたことは「あいつが勝手に思ってた」と否定します。
要するに「妻に対する監督不行き届きですいません」です。
この夫の対応が里沙子の夫である陽一郎にも出てきます。そして、里沙子は水穂に共感を始めます。
夫・陽一郎の場合
- 実はスーパーの惣菜は嫌だ
- 子供に対する扱いで、里沙子の言い分を聞かない
- 「無理しなくていい」は子育てと両立できないから
- 義母に頼んで惣菜を作ってもらうが、自分のことは内緒にして欲しい
- 妻が疲れているから義母に助けを求める
協力的なふりをして、結局のところは自分の主張で里沙子を捻じ伏せます。
基本的に彼女を思いやっているようで、彼女を下に見ています。
そして面倒事は義母に任せようとし、自分で何かはしません。
陽一郎も寿士も“妻”とは、自分に都合の良いための存在であり、義母に対してもそうです。
初回の印象
俯瞰で見ないと本当にフラストレーションが溜まりそうな初回でした。登場人物に感情移入をしようものなら、家庭が破壊されそうな勢いです。
- とにかく男性陣は女性の気持ちを逆撫でます。
- 年配者も同じく女性に対して前時代的です。
- 子供は基本的にいう事をきかないどころか、ワガママです。
- 唯一里沙子の義父が気を遣ってくれます。
このドラマに漂う悪い展開と、ヒステリックな女性陣、そして演技が上手い子役達が、張り詰めた緊張感を生み出します。
今のところ癒しは光石研さん以外見当たりません。
まとめ
この裁判に関わった人たちがそれぞれの家庭で、今まで押さえていた感情を少しずつ出していきます。そのことで不協和音を生み出しますが、それは本来押さえていたことであり、ちゃんと向き合ってこなかったツケが出始める感じです。今後の展開もしばらくは悪い方向に行く気がしますが、最後どう終わるのかを楽しみに見て行こうと思います。