2019年9月30日に放送されたスペシャルドラマ【あの家に暮らす四人の女】は、三浦しをんさん原作の同名の小説をドラマ化したものです。
一つ屋根の下に住む4人の女性の日常や恋などを描いたドラマです。しかし、開かずの間を開けたことにより、しまいには不思議なことが起き…
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】の基本情報
- 放送局:テレビ東京 月曜21時
- 放送開始日:2019年9月30日(月)21時~
- 原作:三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社 刊)
- 脚本:吉田紀子
- 監督:深川栄洋
- 音楽:福廣秀一朗
- チーフプロデューサー:中川順平(テレビ東京)
- プロデューサー:黒沢淳(テレパック)、雫石瑞穂(テレパック)
- 製作:テレビ東京、テレパック
- 公式HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/anoie/
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】の登場人物とキャスト
- 牧田佐知(中谷美紀)
- 上野多恵美(吉岡里帆)
- 谷山雪乃(永作博美)
- 牧田鶴代(宮本信子)
- 本条宗一(中村蒼)
- 立花修(橋本さとし)
- 雨森勇樹(金井浩人)
- 三上翔太(前原滉)
- 警官(井上肇)
- マスター(川瀬陽太)
- ナレーター(萩原聖人)
- 梶啓介(要潤)
- 山田一郎(田中泯)
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】のあらすじ
ここは、東京杉並の古い洋館。刺繍作家の牧田佐知(中谷美紀)と気ままな母・鶴代(宮本信子)、佐知の友人で毒舌な谷山雪乃(永作博美)と雪乃の後輩でダメ男に甘い上野多恵美(吉岡里帆)の4人が暮らす。同じ敷地内に長年住み続ける謎の老人・山田一郎も交わり、笑いと珍事に事欠かない牧田家の日々。そこに多恵美の元カレでストーカー化している本条宗一の影が迫り…。さらには、佐知に恋の訪れか!?そして、洋館にある“開かずの間”を開けたことをきっかけに、平穏な日常がにわかに変化して…。家族のようで家族でない人々の、奇妙で不思議でかしましくも和やかな日々の物語。
公式HPより
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】のネタバレ
- 一つ屋根の下に住む4人の女性。佐知は刺繍作家で鶴代と親子、雪乃は佐知の友人で多恵美は雪乃の会社の後輩。
- 離れには山田という曽祖父の代から住む秘書兼作男も住んでいる。しかし、山田は雪乃と多恵美が住んでいることは知らなかった
- 多恵美には元彼がストーカーとなり、会社のそばで待ち伏せしていた。そのため、佐知の家に雪乃を頼って間借りする
- 壁紙の張替えに来た業者の梶に佐知は一目惚れする
- 鶴代が留守の時、雪乃は好奇心で開かずの間を開ける。中にある大きな箱を開けるとそこにミイラがあった。
- 多恵美と佐知も雪乃の叫び声を聞いて駆けつける。確かにあるミイラに動揺する3人、佐知の父ではないのか?と疑念も持ち上がる
- やがて鶴代が帰宅し開かずの間を空けたことがバレ、中のミイラについて問うと作り物だと言う。開かずの間は昔鶴代と父が暮らしていた部屋だった。ミイラは父が佐知が誕生記念に旅先から送ってきたものだった。それをきっかけに鶴代は堪忍袋の緒が切れ離婚した
- 雪乃にお陰で契約が取れたと雨森はレースのハンカチをプレゼントする。少し嬉しげにしていた雪乃に、立花が離婚が成立したと復縁を迫るが、雪乃はあまりいい顔をせずに断る
- 壁紙が届いたので貼りに来た内装業者の梶に恋心を抱く佐知だったが、昼食に食べていた弁当が明らかに愛妻弁当っぽく、連れの翔太に話を聞くと奥さんの手作りだという。佐知はあっという間に失恋してしまう
- 多恵美は見つけた河童のミイラをリビングに飾ることを提案する。しかし佐知は猛反対した
- 歩いていたら偶然出会った梶に戸惑う佐知だが、河童をリビングに飾りたいからやってもらえないかとお願いする
- 梶に河童を飾るための土台などを注文し、梶に支払いを済ませる佐知。去っていく後姿を涙ながらに見送った。
- 山田が突然ぎっくり腰になってしまい、佐知は慌てて救急車を呼ぶ
- その頃雪乃はまた立花に迫られていた。食事に誘ってくる立花だが、キッパリと雪乃は断り今後一切関わらないで欲しいと告げる
- 救急搬送された山田は自宅で安静にしてれば治るということで安心する佐知。山田の話を鶴代から聞かされ、自分の父親代わりのようにしてくれていたことを聞く
- 多恵美が帰宅しようとすると、元彼の宗一が待っていた。雪乃は三人で喫茶店へ行き、そこに佐知も加えて4人で話す。多恵美に結婚しようという宗一に対し、雪乃は軽々しく口にするなと怒り、金目的だと宗一の考えを見抜く。
- まだ宗一に想いが残る多恵美は、宗一の手に触れる。それを佐知と雪乃は心配げに見ていた。だが、多恵美は手を押し返して拒み、宗一を店から追い出す
- 自宅に戻った多恵美は鶴代に泣きつき、宗一が金目的だとわかってはいたが、でも好きだと泣きじゃくる。鶴代は優しく諭して多恵美の話を聞いてあげた
- 多恵美を励まそうと雪乃は高級な牛肉を買ってきて、すき焼きパーティーをしようと提案する。すると多恵美も迷惑をかけたからといって同じくすき焼き用の牛肉を買ってきた
- 肉が余ってしまうため梶でも呼べばと言う鶴代、しかし佐知はためらって呼ばない。その代わり山田の元へ持って行き、寝たきりの状態のため佐知が食べさせてあげる。山田は感謝をしいつも以上に饒舌に話す。佐知もまた山田がいたから父がいなくても寂しくなかったと感謝した
- 夜に一階で物音がするので佐知は見に行く。すると見知らぬ男が室内にいて、包丁を喉元に添えたまま金の場所を問う。佐知は恐怖に声も出せず必死に助けを願う。するとリビングに飾られていたはずの河童が、動いたのかいつもの場所ではないとこにあった。河童を見た泥棒は驚き逃げ出す。その後、みんなが来て警察に通報し泥棒は逮捕された
- しかし泥棒は妙なことを言っているという。河童が動いたとか喋ったとか、錯乱しているらしいと警察はいう。佐知はあの時、河童から「お父さんが助けに来たぞ」という父の声を聞いていた。
- 佐知は鶴代に父のこと好きだったか?と問う。この世に大切な佐知を授けてくれたのだから、今でもあの人のことを嫌いではないと母は答えた
- 鶴代が嫌っていないとわかって嬉しい。佐知のことを一度だって忘れたことはない。幸せに暮らして欲しいとカラスが誰に告げるでもなく呟く
- 佐知の刺繍の個展を自宅で開くことになった。多恵美の計らいで雪乃に気がある雨森がやってくる。そして多恵美と仲良くなった喫茶店にいた“たーくん”がやってくる。
- それぞれを案内して楽しそうな二人の姿を見ていた佐知、そこへ花束を持って梶が現れる。既婚者だと勘違いしていた佐知は受け取れないと断ると、独身ですけどと梶は答える。喜ぶ佐知が個展を案内していくと一つの刺繍作品に梶が目を留める、そのモチーフは家の守り神である河童だった。その説明をする佐知に梶はしっかりと耳を傾けてくれた。
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】の感想
4人の女性とそれを取り巻く男性たち、それぞれとの出会いと別れを通じて物語が進んでいく話でした。
好きという感情だけではうまくいかず、誘惑に負けそうになりながら突っぱねたり、女性ならではの複雑な恋心が一人一人にあります。
何気ない日常を描いてはいるのですが、女が4人集まれば日々何かしら起きます。
お互い支えあい励ましあい、辛い時には何も言わずに寄り添い話を聞く、そんなシーンが何度となく出てきます。
それぞれ抱えた不満などを吐き出し、次の日には全く引きずらずにまた一日が始まる、そんな女性の力強さも描かれます。
河童が物語の鍵となり父の存在のようにもなります。しまいには何か話したり、キュウリを食べたりしているシルエットなども出て来ます。この部分でドラマの好き好きが分かれそうです。
個人的には河童なしで進んで欲しかったですが、だからと言って話がつまらないということはありません。ドラマ自体は見ていて面白かったです。
河童がなくても話は十分面白いのに、なぜ河童を前面に出して推すのか?作者のこだわりなのか?不思議です。
登場人物はどのキャラもしっかりと個性が確立されています。
中でも田中泯さん演じる山田が所々に出て来ては、笑いや泣きのいいアクセントになっていました。【サギデカ】でもいい味を出していた田中泯さん、そこにいるだけでついつい目が行ってしまいます。
登場人物の詳細とそれぞれの恋の話、ロケ地やドラマ内で出て来た本など、分かった範囲でまとめました。ネタバレ前提となりますので、未見の方はご注意ください。
登場人物詳細
公式のHPにも人物紹介の詳細がなく、ドラマ内でわかったことと公式のツイッターから合わせてまとめました。
牧田佐知(中谷美紀)
- 鶴代の娘
- 職業:刺繍作家
- 性格:純粋・ズボラ
自宅で刺繍教室を開いたり、忙しく日々を過ごしている。しかし、母には「針仕事している地蔵」扱いされたり、仕事の大変さをあまり理解されていない様子。
恋愛もせずに刺繍に命をかけてやってきた。刺繍の大変さを語るが、世間は「フリーは楽でいい」とか「綺麗ね」とか、刺繍を趣味の延長上にしか思っていないと愚痴を零す。
内装業者の梶に一目惚れするが、妻帯者だと思って想いを伝えられない。恋する乙女状態。
谷山雪乃(永作博美)
- 佐知の友人
- 職業:保険会社社員
- 性格:毒舌な姉御肌
- 弱点:水、昔の恋
- 佐知との出会い:ナンパ
自宅アパートの水漏れ事故から避難して、牧田家に転がり込んできた。後輩の多恵美や佐知の話を聞いたり面倒見がいい。
以前不倫関係だった立花が離婚をきっかけに迫ってくるが、その時の苦労を思い出してキッパリ断る。多恵美の元彼の宗一に対しても自分の経験から、厳しく接して多恵美から遠ざけようとする。
上野多恵美(吉岡里帆)
- 雪乃の後輩
- 職業:保険会社社員
- 苦手:夢を見ること
- 好きなタイプ:夢がある人
愛嬌がありモテるが、なぜかダメ男ばかり好きになってしまう。ストーカー化した元彼・宗一から逃げる為に牧田家にやってきた。
待ち伏せしていた宗一に困っているのを雪乃が見つけて、佐知も含め4人で話をする。自分が利用されていることを雪乃に認めろと言われ、頭では理解してたものの心では宗一が好きだったため離れられなかった。
牧田鶴代(宮本信子)
- 佐知の母
- 趣味:天気予報・サスペンスドラマ鑑賞
- 性格:お嬢様育ち故か気まま
佐知が生まれて、すぐに夫と離婚。真面目な話を茶化してしまう癖がある。父との話を一切佐知にはしておらず、今回雪乃が開かずの間に入ったことで、佐知に言われて父の話をやっとする。
本条宗一(中村蒼)
- 多恵美の元彼
- 職業:なし
- 好き:ラップ
- 特技:子犬みたいな目
多恵美と別れてから、ストーカーのように多恵美に付きまとうようになる。多恵美が自分を好いていることを知った上で、金を無心するヒモ男。雪乃にその手口を見抜かれ指摘される。
山田一郎(田中泯)
- 牧田家のボディガード…?
- 日課:朝の乾布摩擦
- 好き:高倉健さま
- 尊敬:高倉健さま
牧田家の敷地内にある守衛小屋の住人。寡黙だが、牧田家を常に見守っている。鶴代の祖父に世話になり、それ以来家族で住んでいた。鶴代が生まれる前から知っており、佐知の父代わりのように色々世話をしてくれた。
立花修(橋本さとし)
- 雪乃の元不倫相手
- 性格:ポジティブ、人たらし
- 必需品:リップ
- 特技:バブル期を思わせる口説き方
離婚が成立したため雪乃に復縁を迫る。だが、雪乃が色よい返事をしないので、度々絡んできてはバブルっぽい食事の誘い方をする。
雨森勇樹(金井浩人)
- 雪乃と多恵美が勤める保険会社の営業課長
- 性格:真面目で一生懸命。堅実的
雪乃のことが好きで、営業を取れたお礼に雪乃の好きなレースのハンカチをプレゼントしたりする。多恵美が気を利かせて佐知の個展に招待した。
梶啓介(要潤)
- 梶内装勤務
- 性格:穏やか。職人気質
雪乃の部屋の壁紙を貼替えに来た事をキッカケに佐知と出会う。鈍感な所があり、不意にドキッとする一言を放つが、本人は気づいていない。
刺繍に対して理解があり、同じ職人だからかその苦労をわかってくれる。佐知の気持ちを知らずに発する言葉に、佐知は翻弄されまくる。
三上翔太(前原滉)
- 梶内装の見習い
- 性格:明るい。元気。ちょっとおばかさん
梶がお客様にモテてしまうため、お客様から言い寄られて仕事に支障が出たりしないよう、ある手を使って梶を守っている。それが原因で佐知は失恋したと勘違いしてしまう。
家の間取り
家のある場所は東京杉並区の善福寺川沿いにある、築80年の洋館という設定です。住む家の間取りはこんな感じでした。
- 2階(3部屋)
- 佐知の部屋
- 雪乃の部屋
- 多恵美の部屋
- 1階
- 階段下に鶴代の部屋
- 台所
- リビングダイニング
- 廊下の奥の部屋は開かずの間
- その向こうに洗面所と風呂場
- 敷地内の離れ
- 山田の住む家
佐知の父のこと
佐知は生まれた時に父は出て行ったとしか知りません。
名前も顔も年齢も今何しているかも知りません。そのことを鶴代に聞いても特に教えてくれなかったと言います。
しかし今回、“開かずの間”を雪乃が開けたことで、父の話をようやく鶴代から聞くことができました。どんな人物だったのでしょう?
- 父と母は大学の同級生で学生運動の闘士だった
- 神田幸夫というのが父の名前
- 幸夫は牧田家の婿養子になった
- 新婚生活を送ったのがあの開かずの間だった
- 結婚当初、幸夫は頑張って働いていた
- 祖父が亡くなると幸夫は骨董を求める旅に出てしまう
- 旅先から得体の知れない書画や陶器が送られてきた
- 牧田家の財産は目減りしたが幸夫は変わらず買い続ける
- 鶴代が身ごもった時、誕生祝に旅先から河童のミイラを送ってきた
- 鶴代は子供が生まれたのに、そんなものを送ってくる夫に愛想を尽かした
- 佐知が生まれて間もなく帰ってきた幸夫に離婚を切り出す
- あっさり「わかった」と言って出て行った
- 佐知が小学生に上がってしばらくして、心筋梗塞で道で倒れてそのまま亡くなった
鶴代はいわゆる金持ちのお嬢様で、大学で知り合った幸夫と結婚します。しかし、祖父が亡くなると幸夫はのびのびとし始めて、仕事もしないで骨董を買いに旅に出てしまったそうです。
そんな自由人な父は、あまり家にいなかったのか、鶴代の不満が爆発します。
そのきっかけとなったのが、河童のミイラでした。子供の誕生祝にそんなものを送ってくる幸夫に、鶴代はキレてしまいます。そうして離婚し幸夫を家から追い出したというのが真相です。
その後、幸夫と佐知が会うことはなかったようで、佐知は父のことを知りません。
鶴代も語らなかったようで、夫婦で過ごしていた部屋を開かずの間にして、37年間ずっと立ち入ることはありませんでした。
室内はほこりとクモの巣で汚れていましたが、その当時のまま変わらず保管していたようで、河童も結局捨てずに持っていました。
その河童に父が乗り移ったのか、佐知が泥棒に襲われた時、河童を見た泥棒が驚いて逃げていきます。
泥棒いわく河童は喋ったとかなんとか、佐知も河童から父の声を聞きます。以来、牧田家の守り神扱いになりました。名前は誰がつけたのか“川太郎”という名です。
山田さんの存在
仁侠映画からそのまま抜け出て来たような山田さんは、昔から牧田家にいた人物だと言います。
佐知が小さい頃からいて、家族で牧田家の敷地内にある家に住んでいるようです。
女性しかいない牧田家のボディーガード的存在で、内装屋の梶が家で仕事をしているのを見張りに来たりします。どんな人物なのか?
- 曽祖父の代からいる秘書兼作男
- 鶴代の祖父が戦災で家が焼かれた山田を一家で住まわせてくれた
- その祖父がすき焼きを食べさせてくれて以来大好物
- 70年以上住んでいて、鶴代が生まれる前からいた
- 佐知が生まれた時に立ち会ってくれた
- 佐知が生まれた後、父の代わりに色んなところに連れて行った
- 佐知のナイトだと思っている
部屋には『昭和残侠伝 死んでもらいます』のポスターを貼り、襖には何やら座右の銘なのか文字が書かれています。
高倉健さんが大好きなようで、普段も着流しに刀のようなものを持っています。
見るからに危ない感じの人ですが、鶴代と佐知を守るのが自分の役目だと思い、男が室内にいようものならじーっと見張ります。
そんな山田さんの部屋の襖に書かれていた文章をいくつか紹介します。
- 『人間が人間のことを想う これ以上に美しいものはない』
- 『人生というものは 人と人との出会い 一生の間にどんな人に出会えるかで 人生は決まるんじゃないですか』
- 『人が心に想うことは 誰も止めることはできない 不思議ですね 人間って』
全て高倉健さんの名言です。敬愛している健さんの言葉を、山田さんの部屋の襖に書いてあったのです。
その他の名言はこちらのサイトにあります。
それぞれの恋愛
佐知、雪乃、多恵美それぞれ恋愛を経験して来ました。良い相手にめぐり合えば結婚したのかもしれませんが、三人とも残念な相手としか出会えなかったようで、不満をぶつけます。
佐知の場合
刺繍作家として昼夜問わず作品作りをしていました。以前付き合っていた男性は、刺繍というものに理解がなかったようです。
- 結婚しても刺繍もやっていいと趣味にしか思われていない
- 彼と会うため寝ずに刺繍をし、目の下にクマを作ってきたら文句言われた
- 「俺と刺繍どっちが大事?」など言い出す
相手に会うために頑張って仕事の刺繍を片付けていたら、自分に会うよりも刺繍が好きなのかといった調子で言われたようです。どうやら趣味の刺繍をしているとしか思われていなかったようです。
佐知は刺繍に理解がない人たちに対し、さらに愚痴を零します。
頑張って作ったものを「綺麗ね」「目が疲れそう」など言うだけで、作るまでにどれだけの労力を費やしているかわかっていないといった感じです。
気に入らなければ全て解き、一からまた一針一針縫っていく、そういった作業の結果出来上がったものが佐知の刺繍です。
また、会社勤めと違ってフリーは気楽でいいなど言われ、会社員と違い土日も関係ないし、夜通しやっていたりもします。
昼寝なかったらいつ寝るんだと、雪乃に話していたら会社員を代表して雪乃が謝るなんてシーンもありました。
そんな佐知にようやく理解者が現れます。内装業者の梶です。
その見た目の格好よさから、鶴代はイ・ビョンホンに例えてビョン様呼びをします。
梶は職人気質な人物なため、刺繍の精巧さや苦労を理解してくれます。
佐知は一目惚れのような状態で恋をします。しかし、梶には妻がいるのでは?と昼食の愛妻弁当のような弁当を見てガッカリします。
そんな梶は佐知の気持ちを知らず、思わせぶりな言葉を言います。
「綺麗だ」→「刺繍が綺麗だ」
「好きだな」→「この作品」
主語がなく倒置法で話すため、佐知は自分のことを言われているのかとドキドキします。天然な梶に振り回される佐知です。
実はこれには裏がありまして、梶はその見た目からお客にモテるため、仕事に支障がないよう会社のほうで気を利かせます。
それは、妻帯者のように思わせるということです。見習いの翔太がさらに後押しをし、弁当は誰が作ってるのか?と聞かれたら「奥さんです」と答えます。
あっという間に終わった恋を佐知は“一日失恋事件”として後世に語り継がれるといいます。
恋が実ったのかはわかりませんが、最後に佐知が個展をやったとき、梶が来てくれます。
そして独身ですとちゃんと佐知に言いました。2人の恋はここから始まるのかもしれません。
雪乃の場合
以前、不倫関係であった立花が妻と別れたらしく、雪乃に復縁を迫ってきます。
自分と不倫していた時には別れずに、関係が終わってからそんなことを言われても、雪乃としては微妙な気分です。
- 絡む立花に気持ちが動かないよう自分に言い聞かせる
- また絡んでくるので「今後一切関わらないで」と言う
- 食事の誘いに「他の人にキャンセルされたからでしょ」と距離を取る
- 強引にキスをしてくる立花に怒る
- 丁度佐知から電話を受け、食事には行かず家へ戻る
立花の誘いに乗らないよう、自制してちゃんと距離を取ります。そしてキッパリと断ります。
そんな雪乃は多恵美と宗一の関係を見て、自分の経験からまくし立てます。
- 追い詰められると結婚しよう、それで女がなびくと思ってるの?
- うまくいってないのに子供が生まれるかっていうの
- 結婚なんてする気もないクセに軽々しく口にするんじゃない!
立花が恐らくそうだったのか、宗一に対して激しく怒りをぶつけます。
“結婚”をダシに女性から金を奪ったりする詐欺師もいますし、不倫関係で何も進まない苛立ちも経験したのでしょう。雪乃の言葉には非常に説得力がありました。
そんな雪乃に恋心を寄せる男性が現れます。会社の営業課長である雨森です。
雪乃はごく当たり前の対応をしていたつもりですが、そんな姿に雨森は余計に心惹かれたようです。
雪乃の好きなレースを使ったハンカチをプレゼントし、佐知の個展にも多恵美の気遣いもあって呼ばれます。そこで雪乃は作品の案内をしてあげます。
2人の恋もこれから始まるのかも知れません。
多恵美の場合
元彼である宗一がストーカーになったということで、佐知の家に居候することになった多恵美です。
好きになる男性はどうにもダメなタイプの人が多いようで、この宗一もダメな男でした。
- 自分には夢がない
- だから夢がある男性を応援したい
- お金は自分が稼ぐから、男性には夢を追ってもらいたい
そんなようなことを言う多恵美です。ダメな男以外、寄って来ない気がします。
宗一は金づるを手放したくないのか、しつこく会社の前までやってきます。それを見かねた雪乃が佐知も呼んで喫茶店で4人で話します。
- ストローの空き袋で作った結婚指輪を多恵美に差し出す宗一
- 結婚しようと言い出して多恵美の心が揺れる
- 雪乃が宗一に怒る
- お金がないの?と聞くとうなずく宗一
- 手に触れる多恵美は握るのではなく押し返して拒む
- 店から出て行ってとハッキリ言う
- 帰りの電車賃をせびる宗一
- 渡さずに追い出す
- すぐに追いかけようとする多恵美をみんなで止める
- 雪乃が店の外にいた宗一に住所を聞きだし、警察にこれを持って行こうという
完全にヒモ男です。
金目的で利用されていたんだと認めな、と雪乃が言います。多恵美はもちろん分かっていました、だけど宗一のことが大好きだったのです。だから離れられなかったし、追いかけそうになってしまったのです。
雨に濡れて帰った3人を鶴代が迎えます。多恵美は鶴代に抱き付いて泣きながら言います。分かっていた、お金目的だと知っても大好きだと。
そんな多恵美に鶴代は、多恵美は何も悪くないと言って慰めました。
気持ちが吹っ切れたのか、多恵美は早速新しい恋と出会ったようです。
佐知の個展に来た人物はあの喫茶店でスケッチをしていた人物です。たーちゃんなんて愛称で呼び親しげに話し、佐知の個展の案内をしてあげていました。
2人の恋はもう始まっているのかもしれません。
劇中に出てきた本など
花の名前事典
佐知が刺繍の参考に見ていた本です。
開かずの間にあった本の数々
ドラマで出て来たのは古書のため、出て来たものと全く同じ本ではありません。鶴代の書棚の雰囲気を味わってもらう感じで紹介しています。
書棚に実際あったのは、鶴代の卒論が三島由紀夫だったためか、『三島由紀夫全集』が多数と『横光利一全集』と『十六文からす堂』という書物がありました。『十六文からす堂』は書籍が絶版なので、DVDを紹介しています。
その他、学生運動をやっていた関係か、マルクス・エンゲルスの本などがあったことを雪乃が口頭でのみ言います。
九十歳。何がめでたい
鶴代が読んだといってた本
昭和残侠伝 死んで貰います
山田さんの部屋にあったポスターの映画
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】のロケ地
旧足立正別邸
この家に住む4人の女が住む家となります。1933年(昭和8年)に建てられたものです。神奈川県の葉山にあります。マップがなかったので詳細を乗せているHPを探しました。
ジョーヅカ内装
梶の内装屋として出て来た場所です。
古民家カフェ 蓮月
佐知の個展を当初開こうと考えていた場所です。宗一含め4人で話していた場所でもあります。
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】のその他気になったこと
- 天気予報の平井さんのジャケットに文句言う鶴代
- 多恵美は目力が大事
- 下着も取り込んでくれる山田さん
- 敷地内別居していると思われていた山田さん
- 「ビーフジャーキーみたい」と言われるミイラ
- 父親が河童と思われる佐知
- 翔太は眼中にない佐知
- 梶の貼った壁紙に頬を寄せる佐知
- 不倫は非文化と言う佐知
- 平井さんの番組を梶に予約させる鶴代
- 「自分、不器用だから役に立ちません」と背後に立つ山田さん
- 拭いてたらミイラの手が取れてしまう
- 隠れ肥満と言われて腹を摘まれる佐知
ドラマスペシャル【あの家に暮らす四人の女】のまとめ
女性4人がそれぞれの過去の恋について語り清算して、新たな恋が芽生えるような感じで最後は終わります。
母鶴代と佐知は実の親子ですが、多恵美と雪乃は血縁関係ではありません。
ですが、女4人集まると楽しく、時に励ましあいながら日常を過ごしていきます。
何気ない会話でも楽しげで、微笑ましい日々を描いてます。
ところが、突然の河童です。
これをどう受け止めるか?父の存在を見えない力として、登場させたかったのかもしれませんが、なぜか河童とカラスです。
大人の女性が視聴者層に多そうなドラマなのに、この展開をどう受け入れるのか?それがこのドラマの好き好きの分岐点になりそうです。
出ている俳優さんがいいだけに、余計にこの展開なくても面白かったのでは?と思いたくなります。
河童の件があったとしても、ドラマ自体は大変面白く視聴できました。
原作つきのドラマなので、続編はないのでしょうが、この4人の日常ドラマをもっと見たいと思いました。