【警視庁ゼロ係 出張捜査スペシャル】のネタバレと感想|犬神家の一族?

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2021年1月25日に放送されたスペシャルドラマ【警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜出張捜査スペシャル】のネタバレと感想をまとめています。

龍神家という資産家の財産を巡り、謎の連続殺人事件が勃発!その裏側に隠された古くから続く“龍神家の呪い”とは何なのか?ゼロ係メンバーが出張捜査へと向かう。主に『犬神家の一族』のような話で、所々に横溝作品へのオマージュが散りばめられています。

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キャストとスタッフ

レギュラー

  • 小早川冬彦…小泉孝太郎
    元科警研のキャリア組。階級は警視
  • 寺田寅三…松下由樹
    元捜査一課の刑事。階級は巡査長
  • 本条靖子…安達祐実
    事務員
  • 太田文平…戸塚純貴
    サイバー捜査官。階級は巡査長
  • 横山建夫…片岡鶴太郎
    係長
  • 谷本敬三…石丸謙二郎
    杉並中央警察署の署長
  • 国仲春吉…加藤茶
    居酒屋「春吉」の店主
  • 国仲遥…加藤綾菜
    春吉の娘

ゲスト

  • 龍神薫…とよた真帆
    龍神家の長女
  • 龍神静香…奥菜恵
    龍神家の次女
  • 龍神剣一郎…浜田晃
    龍神グループの会長で薫と静香の父
  • 田所三郎…村田雄浩
    弁護士
  • 沢庵…六平直政
    寺の和尚
  • 岩井利光…田中要次
    静岡県警の管理官・警部
  • 大林秋彦…石田明(NONSTYLE)
    「よろこんで相談室」の従業員
  • 井上美優…小野真弓
    優太の父が営む工場の従業員
  • 龍神洋一…阪田マサノブ
    静香の夫
  • 片岡竜二郎…和田聰宏
    龍神グループの秘書
  • 龍神雅史…田川隼嗣
    薫の息子
  • 安田大輔…山本直寛
    須那署の刑事
  • 下柳優太…鳥越壮真
    三女・由美の息子

スタッフ

  • 原作:富樫倫太郎『生活安全課0係』シリーズ(祥伝社刊)
  • 脚本:吉本昌弘
  • 監督:倉貫健二郎
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あらすじ

ゼロ係に相談にやってきた男の子・下柳優太(鳥越壮真)は「おじいちゃんちに行きたくない」と言う。そこで寺田寅三(松下由樹)小早川冬彦(小泉孝太郎)は、優太の父親が営んでいた工場へ行き、従業員の井上美優(小野真弓)に話を聞く。

優太の父は2週間前に病死し、母親は6年前から行方不明なため、祖父の龍神剣一郎(浜田晃)に引き取られることになっていた。テレビ電話で冬彦らと話している最中に、剣一郎は突然倒れて死亡してしまう。冬彦は以前、「龍神の呪い」というレポートを科警研で作成していたが、途中で止めていたことを思い出す。

龍神家一帯には江戸時代から伝わる呪いがあるといい、30年前には2人の女性が湖で心中をしていた。今回の剣一郎の死も龍神の呪いなのか?冬彦と寅三は優太の叔母である龍神薫(とよた真帆)に優太を連れてきて欲しいと言われ、龍神家がある静岡県須那郡へ向かった。

弁護士の田所三郎(村田雄浩)により遺言状が読み上げられる場に、長女の薫、薫の息子である雅史(田川隼嗣)、次女の静香(奥菜恵)とその夫である洋一(阪田マサノブ)らが同席した。全財産を孫の優太に譲ると書かれていた内容に一同は驚き憤った。

そしていなくなったはずの由美が現れるが、顔は包帯で巻かれていて判別しない。DNA鑑定の結果、優太と母子であること証明されても、静香と洋一は納得していなかった。

やがて、洋一が愛の鐘で殺害後に吊るされてしまう。その後、静香も橋の上で刺殺体で見つかる。冬彦はこの殺人の裏側にあるものに気づくが……。

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ネタバレ

ネタバレは4つになります。

  1. 四神信仰
  2. 龍神の呪いの真相
  3. 事件の真相
  4. ドラマの結末

結論から言うと、連続殺人犯は薫の息子である雅史です。

なぜ彼は殺人を始めたのか?それは“龍神の呪い”を解くためでした。

1.四神信仰

冬彦は静香と洋一が殺害された方法から、四神信仰が背後にあると推理した。東西南北を青龍・白虎・朱雀・玄武の四つの神が守っているのになぞらえ、事件が起きていると考えた。

  • 青龍:街の東にある龍神家で、剣一郎が青いカプセルを飲んで殺害
  • 玄武:街の北にある愛の鐘で、洋一が黒い布に包まれた状態で吊るされていた
  • 朱雀:街の南にある橋で、静香が赤い花びらの中で死んでいた
  • 白虎:街の西にある森で、白骨遺体が発見された

殺人事件を当てはめてみると、見事に方角と色が合っていることが分かる。冬彦は犯人が何らかの意図があってやっていると、今回の事件の真相に迫り始めていた。

四神信仰になぞらえて殺害されていた

2.龍神の呪いの真相

冬彦と寅三は弁護士の田所のところに話を聞きに行く。田所は他言は無用と前置きして話し始めた。

薫・静香・由美の母親はそれぞれ別の人で、薫と静香の母親は広大な土地を持つ地主の娘だった。2人の母親との結婚は、土地をたやすく手に入れるための手段でしかなかった。龍神家は代々そうして婚姻関係を結んで土地を得るやり方で降盛を誇っていた。龍神池の埋め立ても、実は一族の土地を広げるためのものだった。

ただ、由美の母親である美佐子との結婚だけは別だった。彼女だけは唯一愛した女性だった。剣一郎は2人の母とは勝手に離婚をして、美佐子と籍を入れていた。2人の母は実家の土地を二束三文で奪われ、娘を持つ身だったため甘んじるしかなかった。それをいいことに、剣一郎は美佐子と結婚してからは、2人の母にこれまで以上に酷い仕打ちをした。行き場のない2人を下女のように扱って働かせ、飼い殺しにしたのだ。

やがて肉体的にも精神的にも追い詰められた2人は、龍神湖で心中してしまう。しかし、事件が表に出ないよう剣一郎は警察に手を回し、2人を無縁仏として葬らせた上で神隠しにあったと吹聴した。龍神の呪いのせいにしてしまった

母親をずっと探していた薫は2人の遺骨を引き取り、真相を探り当てた。2人の母親が亡くなった後、美佐子が子を身篭って生まれたのが由美だった。だが、美佐子は由美を生んでまもなく病で亡くなった。剣一郎は美佐子の忘れ形見である由美だけをかわいがった

薫と静香の2人に対する扱いも、母親同様に冷たいものだった。孫の雅史に対しても同じだった。剣一郎は由美以外は操り人形ぐらいにしか思っていなかったのだ。

龍神の呪いは人間が勝手に作ったものだった

3.事件の真相

会長が殺害前に釣りをしていた場に行き、冬彦は犯人に迫りつつあった。後は証拠を固めるため、ゼロ係のみんなに頼んで手分けして調べる。ただ、30年前の心中の原因は、剣一郎に追い詰められたことだけが理由なのか、いまだに引っ掛かっていた。

その頃、優太は誰に育ててもらうのか、自ら決めるよう薫に選択を迫られていた。だが、優太が連れ去られ、由美を名乗る女に薫はナイフを向けていた。そこに冬彦たちが現れ、犯人は自分だという薫に対して犯人は雅史だと言う

ゼロ係のみんなの手により、雅史が犯人である証拠が見つかる。薫の離婚した夫が経営していた化学工場で、雅史が青酸カリを入手していた。会長に飲ませた青いカプセルも雅史の部屋から見つかり、青酸カリの成分が一致した。雅史が警察に洋一が山に向かっているという電話もしていたことも分かった。

雅史は会長が釣りをしていた時、魚を釣るのに夢中になっている隙をついて、カプセルを毒入りのものとすり替えていた。薫は会長が死んだ時、雅史が犯人ではないかと思っていた。洋一と静香が死んだことで、疑念が確信に変わった。もし雅史が逮捕されそうになったら、自分が身代わりになろうと決意していた。

雅史は遺言状の内容を聞いた後、薫と静香が話しているのを盗み聞きしていた。それは、静香が実は由美を殺害していて、薫も共犯に巻き込もうとしている内容だった。雅史は洋一が由美の遺体を掘り起こしに行くのをつけていき、車の中で首を絞めて殺害した。そして、由美に警察の目が向くように生前に彼女がつけていたペンダントを置いていった。さらに静香を呼び出して、薫を脅迫している音声を聞かせるとすぐにナイフで刺し殺した

事件の真相を暴露された雅史は、優太を連れて龍神湖へ逃げる。追いかけた冬彦は、雅史がなぜこんなことを始めたのか、それも見抜いていた。それは、龍神の呪いを解くためだと。

連続殺人の犯人は薫の息子の雅史

4.ドラマの結末

昔から周辺で伝わる手毬唄『龍神様のお怒りじゃ 五色の団子を供えませ』という節が鍵だった。この手毬歌はその昔、須那を訪れた陰陽師が龍神の呪いの解き方を村人に教え、いつしか手毬唄として後世に伝わっていた。

龍神の呪いにみんな追い詰められていた。だから手毬歌の内容を現実にして、呪いを解こうと雅史は考えていた。四神信仰の東西南北にそれぞれの色に対応した生け贄を捧げて。だが、唄では“五色の団子”と歌っている。最後の一色とその場所、それは四神に囲まれた中心にある龍神湖だった。

四神の長である黄龍、その真ん中にある龍神湖。30年前、薫と静香の母が心中した際、身につけていた着物の色は“黄色”だったのだ。彼女たちは龍神の呪いを解いて欲しいと願い、自ら人柱となり生け贄になった。それを雅史が知ってから今回の殺人事件は始まった。

そこまでして呪いを解きたいのかと問われた雅史は言う。母も自分がこんなに苦しむのは龍神のせい、呪いを解いて龍神の家に復讐したかったと。優太を殺して母も殺し、自分も死ねば龍神の血は終わる。それが雅史の狙いだった。

しかし、優太は龍神の家の子ではないと冬彦は言う。そこでずっと包帯を巻いていた由美が素顔を晒すと、由美の夫の工場の従業員である井上美優だった。優太は美優の子だったのだ。

美優は結婚するつもりだった男性と別れた後、優太の妊娠が判明した。元々由美と親友だった美優は育てる自身もなく、子どもができない体質の由美に手渡すことにした。だが、優太を渡してから少しして由美は失踪してしまった。由美の夫は妻が戻ってくるまでの間、優太を預かっていて欲しいと美優に頼んだ。

何も知らなかった剣一郎は、てっきり優太は由美の子どもだとばかり思っていたが、実際は龍神家とはなんら血縁のない人物だったのだ。それを聞いた薫は笑い出し、今頃あの世で驚いて悔しがっているでしょうねと皮肉った。あてが外れた雅史はナイフを落とし、優太は無事確保された。

雅史と薫は逮捕され、優太は美優と一緒に暮らす道を選んだ。そして美優は龍神家の遺産500億を全額寄付することにした。

龍神の呪いを解こうと雅史はしていたが、優太は美優の子どもで龍神家の血縁者ではなかった

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まとめと感想

龍神の呪いを解いて復讐するため、四神信仰になぞらえた殺人を起こすという話でした。大筋はゼロ係版『犬神家の一族』です。

所々に横溝作品へのオマージュがこめられ、BGMも犬神家になっていたり、ゼロ係メンバーの名前の出方も今ではエヴァンゲリオンでお馴染みのあの表記です。冬彦が足だけ出してドラム缶にはまっていたり、由美の顔を明かさないなど色々あります。さらに手毬唄を入れてきたりと盛りだくさんです。中でも鶴太郎さんが金田一のコスプレをして出てくるのは、かつて本人が演じていた関係でしょう。

現代でこういう話を再現すると色々無理があります。防犯カメラがとかGPSがとか、気になりだしたら負けです。気にせず雰囲気を楽しんで見ることをオススメします。意外と脚本も練られていて、最後は皮肉なオチなのが良いです。

春から再びドラマシリーズで戻ってくることが、番組最後に報じられました。どうやら桜庭は鑑識のほうへ異動になったらしく、レギュラーから外れたようです。新メンバーが加入するのか?

今回のいいセリフ

名前ってね、親がくれる世界でいちばん愛情のこもった手紙なんだよ。

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