2025年9月14日の本放送にさきがけ、先行配信された【夜の道標―ある容疑者を巡る記録―】1話の感想をまとめています。
1996年、塾講師が殺害され、かつての教え子が容疑者として捜査線上に浮上する。だが、彼は逃走を続け指名手配されていた。窓際刑事の平良と新人刑事の大矢の2人は、一から事件を再び洗い直すが、被害者を悪く言う人物は誰一人おらず……。
【夜の道標】1話のあらすじ
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— WOWOWオリジナルドラマ (@drama_wowow) September 1, 2025
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『連続ドラマW #夜の道標
-ある容疑者を巡る記録-』
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9/14(日)午後10:00放送・配信スタート!#吉岡秀隆 #野田洋次郎 #瀧内公美 #高杉真宙 #和田正人 #キムラ緑子 #芦沢央 pic.twitter.com/B8KTythTkt
1996年、横浜市内で塾講師の戸川勝弘(宇野祥平)が、殺害される事件が発生する。塾に通う生徒だった阿久津弦(野田洋次郎)が、容疑者として浮上する。だが、2年たってもまだ、阿久津の行方はつかめずにいた。
捜査が縮小する中、窓際刑事の平良正太郎(吉岡秀隆)と新人刑事の大矢啓吾(高杉真宙)に、戸川殺しの犯人を追うよう課長の井筒勲(和田正人)が命じる。
2人は一から捜査を洗い直し関係者への聞き込みを続ける。だが、戸川を悪く言う人は誰もおらず、まるで動機が分からず平良は頭を悩ませ……。
2話→
【夜の道標】1話のネタバレ
阿久津の行方を追って、平良と大矢が一から捜査を洗い直すが、誰も戸川のことを悪く言う人物はいなかった。
一方、スーパーのパートから戻ってきた長尾豊子は、食事を運びに地下室へ向かう。そこには阿久津がかくまわれていた。
事件概要
1996年、横浜市旭区美平で塾講師殺害事件が発生した。被害者は障害を持つ子供を対象とした塾を経営していた戸川勝弘(宇野祥平)で、殺害は2年前の11月に行われた。第一発見者は授業に訪れた子供とその母親であり、現場には凶器のブックエンドが落ちていた。付着した指紋から、建設現場作業員の阿久津弦(野田洋次郎)が容疑者として浮上した。指紋は彼が15歳で補導された際に採取されたものと一致している。
また、事件直前には阿久津が塾の前に立つ姿を、生徒と母親が目撃していた。阿久津は軽度の精神障害を抱えており、小学校高学年から高校まで戸川の塾に通っていた経緯がある。事件後、阿久津は署に向かう途中で姿を消し、それ以降行方は不明となった。2年間の聞き込みにもかかわらず有効な手がかりは得られず、専従捜査員も現在は配置されていない。
1998年現在、阿久津は指名手配中である。井筒勲(和田正人)は平良正太郎(吉岡秀隆)に阿久津の情報を伝え、四季の丘第三公園に向かうよう指示した。大矢啓吾(高杉真宙)も同行し、車内で事件の概要を語った。公園に到着後、一行はトンネル内にいた人物に声をかけたが返答はなかった。動き出した人物を追ったところ逃走を図り、捕らえたものの阿久津本人ではなかった。
事故と金
仲村桜介(小林優仁)が橋本波留(小谷興会)に声をかけたことで、波留は車にはねられてしまった。その後、父親の橋本太洋(吉岡睦雄)は波留を伴い、加害者である高齢女性と対面する。橋本は波留が今後バスケットボールを続けられなくなるかもしれないと語り、女性が「保険会社に任せてほしい」と言うのを拒絶する。保険会社は子供の価値を顧みず処理を進めるからだと主張した。
女性が「どうすればよいのか」と問うと、橋本は訴訟や大事にするつもりはないと応じた。さらに、離婚後は男手ひとつで借金まで背負いながら子供の夢に賭けてきたが、それもすべて台無しになったのだと涙ながらに訴える。女性は一度席を外し、札束を手に戻ってくると父親にそれを渡し、波留に土下座して謝罪した。
左遷の理由
署に戻った平良は、不審者が阿久津とは別人であったと報告した。その後、平良は戸川殺しの追跡捜査を大矢と共に行うよう命じられる。井筒は「逮捕したところで自分の罪もわからないような犯人では、被害者の味方としては不満かもしれませんが」と嫌味を言い放ち、平良は黙って会釈をして去った。
不審者を帰した後、大矢は課長の言葉の意味や、平良の異動理由と関係があるのかを問いかけた。平良は「よくある話だ」と前置きし、過去の出来事を語り始める。
かつて相模大野球部で傷害事件が起き、1年生の部員が上級生から指導と称してバットで殴られ、背骨を骨折したという。被害者には右手に麻痺が残り、野球部を退部、さらに大学も休学を余儀なくされた。
上層部から平良に示談を進め、被害届を取り下げさせるよう指示があった。加害者の一人が大物政治家の親族だったからである。しかし平良はその指示に従わなかった。結局、被害者は告訴を取り下げ、不起訴となったが、その裏で誰かが示談を仕向けたのだろうと平良は推測する。結果として平良は異動となったのだと語った。
平良は「そんなに正義感が強いわけでもない」と淡々と述べるが、大矢は「それでも従わなかったじゃないですか。戸川事件、検挙しましょうよ。阿久津を挙げてクソみたいなやつらを見返してやりましょうよ」と熱を込める。平良は小さく笑い、「じゃあ、とりあえず一から聞き込みするか」と告げた。
阿久津の生い立ち
波留が学校に姿を見せると、桜介はすぐに駆け寄って謝罪した。桜介は「波留が大会に出ないのに自分だけ出るわけにはいかない」と告げるが、波留は「俺が大会に出ないのは別の理由だから」と意味深な言葉を返す。そして「治ったらまた戻る。その間は勝ち進んどいて」と励ますように語った。
平良と大矢は2人は食堂で、食事をとりながら事件について話し合う。阿久津が「問題児」と呼ばれるようになったのは、小学校に入学してからであった。一度つまずくと先に進めず、周囲から取り残されていった。母親が自宅でつきっきりで勉強を見ても授業についていけず、阿久津は教師に反抗したり、授業中に飛び出したりするようになった。
阿久津が戸川の塾を訪れたのは、小学6年生のころである。同級生との喧嘩が増え、家庭でも全く勉強しなくなった息子に困り果てた母親が、最後の頼みの綱として塾に通わせたのだった。中学3年生の時には校内で同級生に暴力を振るい、補導された記録もある。戸川の塾は高校3年生になる時点で辞めており、それは「どうせ進学しないのだから」と判断した父親の意向によるものだった。
目撃者に聴取
平良と大矢は阿久津を目撃したとされる、加藤祐子(瀬戸さおり)の自宅を訪ねて話を聞いた。祐子の息子・大輝()が戸川の授業を受けていたのは、午後3時から4時までの1時間であった。一度帰宅した大輝が4時5分前に塾へ戻った際、門の前に男がじっと立っているのを目にしたという。
祐子は戸川に「門の前に業者のような人がいる」と伝えたが、戸川には心当たりがなく、外へ確認しに行くこともなかった。その後、大輝が授業を終えて塾を出たときも、男は同じ場所に同じ姿勢で立ち続けていた。呼び鈴も鳴らさず10分以上も外で待つ様子は不自然で、不気味さを感じたが声をかけることはなかった。
祐子は戸川について「本当にいい先生だった」と語り、親身になって息子のことを考えてくれた恩師への感謝を口にした。そして「もし先生に出会えていなかったら、私たちは無理心中していたかもしれません」と打ち明ける。その最中、大輝が祐子の手を引っ張りに現れ、祐子は一旦席を外した。
聴取を終えて家を出た平良と大矢は「戸川を悪く言う人は誰もいない。それなのになぜ殺されなければならなかったのか」と、強い疑問を共有した。帰途につく2人を、大輝が窓からじっと見つめており、平良はその姿に気づいて静かに見上げた。
事件当時の時系列
旭西警察署に戻った平良と大矢は、阿久津の犯行当日の行動を整理した。11月5日の朝、阿久津は上大岡の建設会社に出勤し、同僚の車で港南台の工事現場へ移動。午前8時30分に作業を開始したが、正午に雨天のため作業は中止となった。その後、一度会社に戻り、京急本線で品川へ、さらに京浜東北線に乗り換えて東十条の実家を訪問。午後2時50分から3時20分ごろまで、約40分間滞在している。
実家を訪れたのは、2日前に母親から「足を怪我したので買い物をしてきてほしい」と頼まれていたためだった。しかし母親の証言によれば、その際に阿久津に不審な様子はなく、戸川のもとへ向かうという話もなかった。塾を辞めて以来、母親の知る限り、阿久津が塾を訪れたこともなかったという。当初は協力的だった母親も、現在は聴取を拒否している。事件後、マスコミの押しかけやいたずら電話により、精神的に追い詰められていたからだった。
阿久津の実家から戸川の塾までは相当な距離があり、平良は「なぜ18年間何もせず、この時期になって動いたのか」と疑問を抱く。一つ考えられるのは復讐であった。障がい児の中には、感情の表現が苦手な子供もいる。授業での出来事が心の傷となり、それが時を経て復讐につながった可能性もある。平良はその真偽を確かめるため、阿久津と同時期に塾へ通っていた生徒たちに話を聞こうと考えた。
関係者への聴取
平良と大矢は、阿久津と同時期に戸川の塾へ通っていた久保田(大村わたる)を訪ねた。久保田は1975年5月1日から1979年12月23日まで塾に通っていたが、阿久津と会話を交わした記憶はないという。戸川については、見た目の印象や勉強を丁寧に教えてもらった事実を淡々と語り、授業の思い出を述べた。また、一度だけ他の生徒と一緒に授業を受けたことがあり、その際の相手が3学年下の山下玲人であったと付け加える。久保田はその話を繰り返そうとしたが、大矢が思わず話を遮った。
平良はさらに、戸川に厳しく叱られた記憶があるか尋ねたが、久保田は「ないです」と答えた。暴力を振るわれたり嫌なことをされたことがあるか問うと、「嫌なこととは?」と逆に問い返し、「体を触られたりとか」と補足すると、「体は沢山触られました」と答えた。ただしそれは「先生がいつも頭を撫でてくれた」という意味であり、不快な記憶ではなかったという。
なぜそんなことを聞くのかと不思議がる久保田に、平良は戸川が親に告げられない子供を選んで、体罰や虐待をしていた可能性を探っていると説明する。その場合、共感した誰かが阿久津をかくまっているのではないかと推測を語った。動機の線が見えれば、阿久津を庇う人物像も浮かび上がるかもしれないからだ。だが久保田は「戸川先生は優しい先生です。今の仕事につけたのも先生のお陰です」と断言した。
話を終え、署へ戻る道すがら、平良は「聴けば聴くほど戸川は人格者だ」と舌を巻いた。なぜそんな人物が殺されなければならなかったのか。戸川に原因を求めるのは難しく、そうなると阿久津側に問題があるのかもしれない。しかし、肝心の動機は依然として見えてこなかった。
【夜の道標】1話の結末
波留が父と共に食事を終えて店を出ると、一人の女性が「お父さんは?」と声をかけてきた。父はその女性を抱きしめ、波留を置いて行こうとする。波留が「家に帰らないの?」と問うと、父は千円札を渡し、女性と共に姿を消した。
一方、スーパーではバイトの高橋が和田の鬱陶しさを口にし、長尾豊子(瀧内公美)はおどけて「もったいないオバケ」の話を持ち出した。その後、それぞれが廃棄品を持ち帰っていった。
平良は署内で考え込み続けていたが、どうしても動機が見えてこない。先に大矢が帰宅し、平良は一人思案に沈んだ。
夜、自宅に戻った平良を迎えたのは、居間のソファで眠る妻・澄子(映美くらら)の姿だった。高校生の息子・孝則(坂元愛登)は不登校の状態で、部屋にはバリケードを築いて立て籠もり、呼びかけに反応せず、CDウォークマンを耳にしていた。
同じ頃、豊子も自宅に戻っていた。スーパーの残り物を温め直し、仏壇に供えられた両親の遺影に向き合う。しかし豊子は食事を二人分用意し、地下室へと向かう。そこで「ただいま」と声をかけた先にいたのは、映画を観ている阿久津の姿だった。
【夜の道標】1話のまとめと感想
行方がわからない阿久津が、豊子の家にかくまわれていたという話でした。
1話を見ただけでは豊子が何者なのかも分かりませんし、波留がどう話に関わってくるのかも全く分かりません。阿久津を追う平良がいて、阿久津をかくまう豊子と、当たり屋をしている波留がそれぞれ同時進行で話が進みます。
最終的には全ての点が線で繋がるのだと思いますが、今のところ想像がつきません。ただいえるのは、全体的に薄暗く陰鬱な空気が作品全体を覆っています。原作未読ですが、よくないことしか起きないだろうし、殺人の理由はそうせざるを得ないような凄惨な事実が隠されている気がしてなりません。
つまり、日曜の夜に明日から今週も頑張るぞと思って見るには、ちょっと辛い雰囲気のドラマです。ですが、引き込まれていくものを1話から感じました。例えば近所の人と両親の話をしている豊子ですが、実は両親とも故人だと仏壇の遺影で判明したりするシーンなどはゾクっとします。
全5話と短いですが、どういう終わり方をするのか、今から楽しみにしています。
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