【世にも奇妙な物語 35周年スペシャル~秋の特別編~】『ハッピーバースデー・ツー・マイホーム』のネタバレと感想

世にも奇妙な物語 スペシャルドラマ
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2025年11月8日にフジテレビ放送された【世にも奇妙な物語 35周年SP~秋の特別編~】の4話目、役所広司さん主演の『ハッピーバースデー・ツー・マイホーム』ネタバレと感想をまとめています。

子供が育ち手狭になった住居を引き払い、勉はとうとうマイホームを購入する。そこは偶然にも父親がかつてスケッチした家だった。姉からもらった実家で使っていたテーブルに残った傷を消そうとするが……。

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『ハッピーバースデー・ツー・マイホーム』のネタバレ

食卓に座る父親が嫌だった。だから彫刻刀で机に傷をつけたと勉は言う。食卓に縛り付けられたくなくて勉は父親と喧嘩し、そのまま出ていって戻らなかった。その後父は脳溢血で亡くなった。

今、父親が座っていた席に自分が座り、妻や子供と話しているうちに気付く。自分がそうしていたいように、父も食卓が好きだったのだと。酷いことをしたと勉が嘆いていると、机の傷が風と共に消えていた。

ふと窓の外を見るとススキに囲まれて父が立っていた。驚いた勉が父を家に招こうとするが、ここから眺めることしかできないと父は言う。そこで勉はテーブルを外に出して父と酒を飲む。

父に対しての後悔を告げる勉に父は「生まれてきたことで、お前は親孝行したんだよ」と言いながら、昔勉が描いた父の似顔絵を見せた。その様子を見ていた妻は涙した。

5年後、娘は成長し新たに弟の真彦も生まれた。真彦は勉に似顔絵を描いて見せた。

家を購入

結婚して子どもが生まれ、家族が増えたことで今の部屋が手狭になった。坂口勉(役所広司)は家を買うことを考えるが、自分の収入では東京ではなく郊外にしか家を持てないと知る。思えば父親(河原崎建三)も、今の自分と同じ年頃に家を買っていた。そんな折、ある一軒の家に心を惹かれた

購入を決めて新居に移ると、娘の絵美()が父親の形見だというスケッチブックを持ってくる。その中には、この家のスケッチが描かれており、勉は驚く。偶然では片づけられない縁を感じた。

引っ越しパーティーを開くことになり、勉は部下たちを招く。電車やバスを乗り継いでようやくたどり着いた新居には、風呂から上がった勉の目に懐かしい光景が映る。部屋の中央に置かれていた大きなテーブル――それはかつて勉の実家で使われていたものだった。テーブルの表面には幼い頃に自分が彫刻刀でつけた傷跡が残っており、勉はその傷をなぞる。思い出に触れるように、彼はその跡を削って直そうとするのだった。

父との思い出

翌朝、勉が削って消したはずのテーブルの傷が、元通りになっていた。夜になると、彼は再び傷を削って直そうとする。その後、父のスケッチが描かれたスケッチブックを眺めながら思いにふけっていた。妻の典子(岩崎良美)が「あの傷、そんなに嫌なの?」と問いかけると、勉は静かに語り始めた。

「あそこは父親の席だった。僕が嫌いだったのは、あの食卓に座っていた親父なんだ」と。父はいつも自分や姉が食事をしている姿を眺めていた。なぜかそれが好きなようで、日本酒を飲みながら会社の話や旅行の思い出を語っていた。勉はその光景がどうしても好きになれなかった

高校に入ってすぐ、父は事業に失敗し、自信を失った。家の空気は重く、最悪の時期だった。父は以前よりも家族を食卓に縛りつけようとし、息苦しさに耐えられなくなった勉は、16の夏に家を出た。その朝も喧嘩をして家を飛び出したが、出る直前、父はいつものようにあの席に座っていた。何かに取り憑かれたように腹が立ち、振り返らずに家を出た。その後まもなく、父は脳溢血で亡くなった。

後悔

その日、会社の木村から「行けなくなった」という電話が入る。続いて他の同僚たちからも欠席の連絡が相次ぎ、結局誰も来られなくなった。勉と典子はたくさんの料理や飾りつけを用意していたが、すべてが無駄になってしまう。東京から遠くて面倒だったのだろうと典子は落ち込み、結局、自分たちだけで静かに乾杯をして新しい生活を祝った。

会社に行く途中の話を聞かせてと典子と娘にせがまれ、勉は思い出話を始めた。話しているうちに、ふと気づく。自分が今しているのは、かつて父が食卓で語っていたのと同じような話だった。「そうか、だから親父は食卓が好きだったんだ……」勉は呟く。

ようやく父がいつもあの席に座っていた理由を理解した気がした。どうしてもっと早く気づかなかったのか。あの頃、父にひどいことをしたと深く後悔する。家を飛び出して以来、父が亡くなるまで二度とあの食卓には座らなかったのだから。「もうどうにもならないな、今さらこんなこと言っても……」と呟いたその時、風が吹き抜ける音とともに、削ったはずのテーブルの傷が再び元に戻った。

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『ハッピーバースデー・ツー・マイホーム』の結末

勉が窓の外を見ると、ススキの中に父が立っていた。驚き、家を飛び出して駆け寄る。「入ってくれないか?見てほしいんだよ。あのテーブルもあるんだ」と勉が言うと、父は穏やかに笑って、「父さんの席はもうお前のものだ。父さんはここから眺めることしかできないんだ」と答えた。勉は「ちょっと待ってて」と家に戻り、あのテーブルを外へ運び出した。そして父を座らせ、自ら酒を注いだ。その様子を、典子と娘は家の中から静かに見つめていた。

勉は父に問いかける。「家出した日のこと、覚えてる?ほんとは寂しかったんだね。もっと早く気づいていれば……せめて一緒に食卓に座って、話ができたのに。父さんに何一つしてあげられなかった……」父は微笑みながら言った。「親不孝など一つもしなかったよ」顔を上げた勉に、父は続けた。

「生まれてきたことで、お前は親孝行をしたんだよ」と。そう言って、昔勉が描いた父の絵を見せた。「父さん……」と勉は笑い、涙をこらえた。その光景を見て、典子も静かに涙を流した。

あの日から5年。絵美は成長し、弟の真彦が勉に自分の描いた絵を手渡す。近所には新しい家が建ち並び、かつて遠かったこの土地にも賑わいが戻っていた。友人たちは相変わらず遊びに来ないが、勉たちは近所の人々と笑い合い、穏やかな日々を送っていた。

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『ハッピーバースデー・ツー・マイホーム』のまとめと感想

感動系の話です。1991年の作品なので役所さんも岩崎さんもみな若く、時の流れを感じます。父親との軋轢があり、家を出て行ってしまった勉が、自分が子供を持つようになって父の気持ちが分かります。

そして後悔の念を口にすると、父親が許すかのようにやってきました。もう強がらずに父へちゃんと思いを伝える勉、そんな彼を妻は涙ながらに見守ります。

母親ではなく父親というのが絶妙で、やっぱり父親とはうまく話せなかった人も多いのではないかと思います。

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