【世にも奇妙な物語’24夏の特別編】全4話のキャストとネタバレ感想

世にも奇妙な物語 スペシャルドラマ
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第3話「人類の宝」

謎の組織

佐倉エイスケ(高杉真宙)が壁に絵を描いていると、急に現れた三嶋左近(新納慎也)に「あなたはまさに、人類の宝だ」と声をかけられる。三嶋はWCCO(世界文化遺産保全機構)日本支部事務局長の三嶋左近だと名刺を渡し、活動は公にされていない秘密組織であると説明した。ゴッホのように才能に恵まれながらも、生前に評価されなかった不遇な人を一人でも減らし、文化遺産として永久に保存するのが組織の目的だという。

エイスケは呆れて立ち去ろうとするが、「あなたを保護させて頂きます」と言って連れ去られる

佐倉エイスケ、25歳。高校在学中から地元の不良グループに所属し、警察に補導されること無数。高校卒業後はアルバイトを転々とし、グラフィティアートを描きながらその日暮らしの生活を送っていた。エイスケは真っ白な部屋に保護され、白いキャンバスだけが置かれ、作品制作を促される。

「さっさとここから出せ」と怒るエイスケに対し、三嶋は外の世界がいかに危険かを説明し、作者と作品を保護する義務が我々にはあると説いた。「いずれあなたも必ず気づきます。保護される幸せに」とモニターを見ながら語る三嶋。

エイスケは24時間監視されていることに反発し、「制作意欲なんて湧かない」と言う。三嶋は消灯時間以降はカメラを切ると約束したが、エイスケはなんとか脱出しようと試みる。その時、換気口から綺麗な歌声が聞こえてきた

エイスケはその声の主に助けを求めるが、その人物もまた三嶋によって保護された人だった。彼女の名前はミハル(恒松祐里)で、施設には100人ほど様々なアーティストが収容されているという。ミハルは3年前に連れてこられたが、自分はまだ短い方だと言った。

ミハルは「ここから出た人は、自分が知る限り一人もいない」と話し、エイスケは一生この施設に閉じ込められるのかと絶望した。

自由を求めて

別の日、テレビで「日本のバンクシー」と呼ばれ、見物客が殺到しているグラフィティアートが紹介されていた。それはエイスケが描いたものであり、彼はその映像を見せられて驚いた。三嶋がそれをバズらせたのだ。三嶋は、「ここから先はエイスケの力次第だ」と言った。

ミハルはエイスケの心の支えになり始めていた。ミハルはいつかエイスケの作品が見てみたいと言い、エイスケは脱出する方法をずっと考えていた。ミハルは外の世界にいい思い出がないため、出たいとは思わなかった。「人は歌いたいから歌う。描きたいから描く。誰かに指示されたり監視されてやることじゃない。少なくとも俺はゴメンだ」とエイスケは言った。

ミハルの歌を聞くと創作意欲が湧くエイスケだったが、ミハルが襲われたことを知ってやめた。ミハルは「Nori」という覆面アーティストで、3年前に彗星のごとく現れた有名歌手だった。そのことを知ったエイスケは驚いた。

三嶋はミハルとの交流を許す代わりに、新作を描くようエイスケに取引を持ちかけた。エイスケはやっと描くようになり、描き終えた絵をキャンバスから剥がし、こっそり奪った電子キーを使って部屋の外に出た。ミハルのところに行って描いた絵を渡し、一緒に逃げようとする

あと一歩というところで、三嶋たちがやってきた。ミハルは足を止めて「エイスケ君、ごめん。私行けない」と謝る。ミハルは三嶋たちの協力者だった

ミハルは外の世界で認めてもらえず、衣食住全て保証されて守られている環境を選んだのだ。「こんな恵まれた環境ないのに出たいなんて」と言うミハルに対し、エイスケは「だったらなんでそんなに苦しそうなんだよ」と指摘した。

全ては三嶋が仕組んだことだった。エイスケは「人の心弄んで楽しいのか」と怒るが、三嶋はこれも保護活動の一環だと説明する。カップルをつくって優秀な遺伝子を次世代につなぎ、絶滅を防ぐための活動だという。「才能がある人に限って早くに亡くなる。才能がある人はいつだって絶滅に瀕している」と三嶋は続けた。

「まだ分からないのですか。あなたは我々に永遠に保護される運命なんですよ。永遠に」と三嶋が言ったその時、他のアーティストたちが反乱を起こし逃げ出そうとした。その隙をついてエイスケは脱走した

三嶋はミハルから絵を受け取り、「迫真の演技でしたよ」と褒めたが、ミハルはどこか困惑していた。

外の世界

外に出たエイスケは公衆電話から警察に電話をし、保護を求めた。しかし、そこに三嶋が現れた。エイスケが警察に通報したことを話すと、三嶋は警察とWCCOが協力関係にあることを教えた。「何が不満なのか」と尋ねる三嶋に、エイスケは「俺は、自由に生きたいだけだ!誰の指示も受けない。俺の人生は俺のもんだ!」と抵抗した。三嶋は「いいえ。あなたの価値は、あなたが決めるものではありません」と否定した

その時、武装した集団が現れ、エイスケを拉致し、三嶋を射殺した

エイスケが連れてこられたのは、何もない壁の前だった。集団は「描け」と命じ、5秒以内に描かないと頭を吹き飛ばすと脅した。そこに殺されたはずの三嶋が現れた。この集団は世界文化遺産保全機構の宿敵、文化人の密猟組織だと説明した。彼らの目的はエイスケをさらい、奴隷のように働かせて才能を搾取し続けることだと言う。

三嶋はエイスケの解放を要求し、相手はエイスケを人質に取った。三嶋は「エイスケが心から保護を求めてくれれば、必ず守る」と約束した。相手は「こいつらは自分たちよりたちが悪いから後悔するぞ」と脅した。

エイスケは悩んだ末、三嶋に「保護してくれ!」と頼んだ。すると、三嶋はスティック一本で戦い、銃撃を受けてもものともせず敵を次々倒した。エイスケは「強すぎだろ」と驚き、三嶋は「保護活動の最低限のスキルです」と笑って答えた。

「ありがとう。助けてくれて」と感謝するエイスケは、三嶋の差し出した手を握って立ち上がった。「帰りましょう」と三嶋が言い、エイスケはその手をしっかりと握り返した。

富と名声

半年後、サザビーのオークションで、ミハルにあげたエイスケの絵に2億ドルの値段がついたというニュースが流れた。エイスケは「まだまだだな」とぼやいたが、三嶋は「半年後にはさらに倍になるだろう」と予想した。

なぜなら、エイスケは20週連続でSNSの世界トレンド1位を獲得していたからだ。さらに、エイスケはノーベル平和賞の候補にもなっていた。彼の絵がきっかけで、3つの紛争が停戦したからだった。

「もはや世界情勢も俺次第か」とつぶやくエイスケ。エイスケの一言で株価も決まるほど、世界はエイスケ一色になっていた。「だったらもっと世の中を変えないとだめだな。俺の力で」と語るエイスケに、三嶋は「今夜ホールで晩餐会をするので来るように」と言った。

その夜、通気口からミハルがエイスケに呼びかけてきた。「今更何だよ」と冷ややかに言うエイスケに、ミハルは「私はあの時、エイスケ君と一緒にここを出なかったことをずっと後悔してる。今度は私からお願い。一緒にここを出よう」と訴えた。

エイスケは冷ややかに「目的は何?金?名誉?俺が成功したからって、擦り寄ってくんなよ」と蔑んだ。ミハルは「そうじゃない!人は歌いたいから歌う、描きたいから描くんだって、エイスケ君そう言ったよね。エイスケ君、今やりたいことをしてる?」と問いかけた。

「私は、エイスケ君と一緒に自由になりたい」とミハルは強く訴えた。その言葉にエイスケは一瞬考え込んだ。

ドラマの結末

エイスケは一人部屋で考え込んでいた。その間にミハルは職員から電子キーを奪い、エイスケの元に駆けつけるが、エイスケはすでにホールに向かっていた。

ホールに到着したエイスケは三嶋に「あなたの言う通りだ。才能ある人間には保護が必要だ。俺もようやく気づいたよ。保護される幸せに」と語りかけた。三嶋が手を鳴らすと、職員がやってきてエイスケを椅子に固定した

「エイスケさん。あなたは才能を開花させ、見事に我々の期待に応えてくださいました。しかし、あまりにうまくいきすぎてしまった。あなたの影響力は私の予想をはるかに超えていました。気づけば世の中、右も左もあなたの作品であふれている。若者たちはこぞってあなたの作品を愛し、あなたを目指してグラフィティアートを始めています」と三嶋が言う。

「いいことだろ、感謝しろよ」とエイスケは反論するが、三嶋は「うーん…それはどうでしょう。この多様性の時代に全員が同じ趣味・嗜好を持っているというのはいささか気持ちが悪い。あなたの影響力はもはや、既存の文化芸術のエコシステムを変えてしまう脅威になったのです。日本のみならず世界の政財界から、もうあなたの作品を増やすなとお達しが出てしまったのです。あなたは在来の文化遺産を食いつぶす外来種のブラックバスとみなされたというわけです」と冷ややかに説明した。

「人を何だと思ってるんだよ」と怒るエイスケに、三嶋は「だから言ったでしょう。あなたの価値はあなたが決めるものではないと。全ては文化遺産を守るためです」と冷静に返した。職員が注射器を持ち、エイスケに注射をすると、彼の意識は次第に遠のいていく。その中でミハルの歌が聞こえてきた。

「あなたとの約束は守ります。ちゃんと保護させて頂きますよ。永久不滅の文化遺産として」と三嶋は冷凍保存されたエイスケを見ながら告げた。「やはりあなたは、人類の宝だ!」と喜ぶ三嶋の周りには、たくさんの装置に保存されている人たちがいた。

エイスケはそのまま冷凍保存され、永遠に文化遺産として保護される運命を迎えた

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感想とまとめ

シュール系の話です。それでいてブラックに終わります。

最初は自由を求めて嫌がっていたエイスケですが、最後は保護される喜びに浸ります。一方、ミハルは最初は保護されることを喜んでいましたが、やがて自由を求めます。対照的な2人です。

価値を決めるのは何なのか?三嶋は他人が決めるものだと言います。価値があるかないかは、全てその時の需要によるのです。バズるのも他人が決める、絵の価値も他人が決める。欲しい人が多ければ多いほど高くなるわけです。

需要と供給、このバランスが崩れない限り、もてはやされるわけです。しかしエイスケは供給過多により、外来種扱いされてしまいました。

エイスケの人生はいったい何だったのか?人に振り回された人生だったように見えます。現代のSNS時代を皮肉ったような話でした。

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