第2話「友引村」のネタバレ
友の死
日比野ヤマト(丈太郎)は振られたときのことを思い出していた。そして、踏切を越えて電車に飛び込んだ。
高橋壮真(水沢林太郎)と一緒に、藤崎凛(原菜乃華)はヤマトの葬儀へバスで向かうことにした。きっかけはヤマトの母、日比野望美(山下容莉枝)からのメッセージだった。彼女は息子とSNSで繋がっている人々に葬儀の案内を送っていた。
バスを降り、山道を歩く2人は、不意に声をかけてくる村民に驚いた。道中には友引人形というものが無数に立っていた。友引人形とは、友引の日に葬儀を行う際、亡者に連れて行かれないように友引人形を身代わりとして棺に入れて火葬するためのものだという。
この村では少し違っていて、人形には協力の証として自分の名前を書いて送り出すのだと、山田斉昭(春海四方)が説明してくれた。ヤマトのために友引人形を作ってくれないかと頼まれたとき、母親が迎えに来た。
葬儀会場に着くと、たくさんの人が集まっていたが、若い人はいなかった。葬儀は妙な踊りと歌で始まり、みんなが声を合わせて歌い始めた。
かやせ かやせ
やまびこ様のこだま響けば 宴の始まり
友を引き連れ
もろとも遊べ
かやせ かやせ
名前刻んで吊るしておかねば
みんながヤマトの顔を見てから去っていく中、ヤマトの顔を見てあげてくれと望美に言われた凛は、それを断って会場を出てしまった。「実は私…」と話そうとするが、山田がやってきて話を聞かせてよと誘ってきた。
通夜ではみんなが黒い食べ物ばかりを食べていた。山田は再び友引人形を作ってくれないかと頼み、それが何よりの供養だとみんなが口々に言った。母も直々に頼み、葬儀に最後まで参加してくれないかと説得してきた。凛は断ろうとしたが、母はヤマトが友引人形を作るのが得意だったことや、この村のことをノートにまとめていたことを話し、「けど、まさか送られる方になるなんて…」と涙ながらに語った。
凛と壮真は最後まで葬儀に参加すると約束した。母は「木の人形があるからそれで作ったらいい」と言い、やまびこ様の木から作る本来の友引人形を見せた。ヤマトの作りかけのものがあると言い、母はそれを持ってくる。
その晩、2人はヤマトの実家に泊まることにした。母が友引人形の木を持ってきたが、それはどう見てもただの棒きれのような木だった。
告白
あの日、凛はヤマトから結婚を前提に恋人として付き合って欲しいと言われた。凛は「ごめん、ヤマトのことそういう風に見れない」と断った。しかし、ヤマトはめげずに「藤崎さんは選ばれたんだよ」と語った。
凛は思い切って「はっきり言うね。私、ヤマトのことは好きじゃない。壮真の友達としか思ってない。ごめんなさい」と言い、帰ろうとした。しかし、ヤマトは「断っちゃだめだ…」と言いながら彼女の腕をつかんだ。「一緒に村に帰って欲しい。そのために東京に出てきたんだ」と言うヤマトの言葉に、凛は嫌悪感を抱いた。
「もしかして…壮真のことが好きなの?分かってるの?僕の友達だよ」と問い詰めるヤマトに対して、凛は答えずに「後から入ってきたのはそっちでしょ。3人の関係続けたいなら、二度とこの話ししないで」と言い残して怒って帰った。
恐るべき人形
凛は自分の名前を人形に書いた。壮真も同様にヤマトが自分と友達になった時のことを思い出しながら、人形に名前を書いていた。ヤマトは、父親の葬儀の時に母親から「村の外に出て、友達を作りなさい」と言われたことを語っていた。
凛が話そうとすると、窓の外に山田の姿が見えて驚いた。窓を開けると、村の人たちが家を取り囲んでいるのが見えた。何かに監視されているようだった。「この村、普通じゃない」と言い、ヤマトがまとめていたノートを捜しに屋根裏部屋へ行った。
そこには友引人形についてまとめられたノートがあった。ページをめくると、「友引村は山びこ村、友びこう村からきている」と書かれていた。古くからこの村の神様として、やまびこ様が崇められてきた。
葬儀では村人は藁で友引人形を作り、名前を刻んで故人を見送る。友引人形は、やまびこ様の力が宿った『やまびこ様の木』で作ることもできる。その場合、名前が書き込まれた人形を棺と一緒に燃やすことで、やまびこ様の力によって故人の友達を死後の世界へ友引くことができる、と記載されていた。
「ヤマトと一緒に、死後の世界に連れていくために、私たちに友引人形を…」と戦慄する凛。すると山田が2人の友引人形を手にして現れた。山田はそれを持って行ってしまい、追い掛ける凛たちを村人が妨害した。山田は人形をヤマトの母に渡し、棺に納めていった。
凛たちは村人たちに捕らえられ、拘束されて監禁されてしまった。「やまびこ様にご挨拶してもらう。迎えに来るまでの辛抱だ」と言い残して村人は去った。2人はなんとかして縄を解こうと試みた。
凛はようやくヤマトに告白されて、断った話を壮真に打ち明けた。そのせいでヤマトが死んだのかもしれないと自責する凛に、壮真は「そうだとしても凛のせいじゃない。正直に気持ちを返した人が、どうしてそんなに責任を感じる必要があるんだよ」と慰めた。ヤマトが友達になりたいと言ってきたのは、凛に近づきたかったからなのかと壮真は思った。
すると壮真は苛立ち始め、「どうしてそんな迷信に、俺たちが巻き込まれなくちゃいけないんだよ。とにかくこの狂った村から逃げ出そう」と決意を示した。
一つの人形には白装束を着せ、もう一つはそのままの状態で棺に納められた。「もう少しだから、待っててね」と母がヤマトに声をかけ、その周りで村民たちは妙な踊りを踊り続けていた。
凛たちは縄を切って逃げ出すことに成功した。村民が蔵に来た時には既に空っぽで、彼らは慌てて凛たちを探し出すことになった。暗い山道を逃げ惑う二人。声がこだましてどこから人が来るのか分かりにくい状況が続いた。足元には蛇がうごめき、白骨が散らばっていた。
一方で、棺桶が鳥居をくぐると、そこにやまびこ様と思われる人物が現れた。凛と壮真は何度も同じ道をぐるぐると巡り、ようやく抜け出せたと思った瞬間、壮真が急に「熱い!」と苦しみ出した。その頃、ヤマトは火葬されていたのだ。
壮真が倒れたまま動かなくなると、山田たちが現れ、凛は気を失った。
ドラマの結末
目を覚ますと、凛はヤマトの祭壇前にいた。そこにヤマトの母がやってきて、「もう大丈夫。火葬は無事終わりました」と言いながら、ヤマトの骨壺を持ってきた。ただの迷信だったのかと安心する凛に、母は「わかったの。ヤマトはこの村のために、あなたたちを連れてきてくれたんだって」と語った。
その時、壮真が目を覚まし、凛は喜んだ。壮真は母の顔を見るなり笑い、母もゆっくりとうなずいた。やまびこ様の木で作った友引人形に白装束を着せて一緒に焼き上げると、逆さ事が起きるという。白装束を着せたのは、壮真の人形だった。
逆さ事とは、亡くなった人間の魂を友引人形の作り主の肉体に入れ替えることを指していた。「人形は友人を死後の世界に連れていくだけじゃないんだよ、藤崎さん」と壮真は笑った。藤崎さんと呼びかけられてようやく分かる凛、「まさか…ヤマト!」と中身が入れ替わったことに気づいた。
凛は「私の人形は焼かなかったの?」と聞くと、母は「一緒に連れていかれないようにきちんと焼いたわ」と答えた。じゃあなんで?と問う凛に、ヤマトは「藤崎さんは選ばれたんだよ。友達じゃない。この村で僕のお嫁さんになる人なんだから」と答えた。
「ねえ、お母さん」と語りかけると、母は「よかったわね、ヤマト」と答えた。凛は恐怖に戦慄した。
感想とまとめ
ホラー系の話です。古い因習の残る閉ざされた村で、やってきたよそ者が生贄になるという、おなじみホラーです。
具体的には説明はありませんが、葬儀の参列者が高齢者ばかりなので、恐らく過疎化している村と思われます。さらに村に若い娘がいないので、ヤマトは自ら嫁探しに出てきたのではないかと想像できます。
ヤマトは村の伝統などに興味があった人物なので、もしうまくいかなかったら、逆さ事をすればいいと最初から考えていたのかもしれません。だから木の人形を2体用意しておいたのか?男2人女1人という友情関係は、振られた時の保険だったのかもしれません。
凛が自分の家に戻ることはもうないのだろうと、絶望で終わる話でした。