【世にも奇妙な物語’22夏の特別編】全4話のキャストとネタバレ感想

世にも奇妙な物語 スペシャルドラマ
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2022年6月18日に放送された【世にも奇妙な物語’22夏の特別編】全4話のキャストとネタバレ感想をまとめています。

今回は「オトドケモノ」「何だかんだ銀座」「メロディに乗せて」「電話をしてるふり」の4話構成となります。

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第1話「オトドケモノ」

キャストとスタッフ

  • 山辺タクヤ…北山宏光(Kis-My-Ft2)
    ゆかりの夫・Webデザイナー
  • 山辺ゆかり…小島藤子
    タクヤの妻・看護師
  • 配達のお姉さん…樋口日奈(乃木坂46)
    オトドケモノの配達員
  • 塚本良雄…綾田俊樹
    ゆかりの勤める病院の入院患者
  • 原作:「オトドケモノ」オクスツネハル
  • 脚本:荒木哉仁
  • 演出:淵上正人

あらすじ

山辺タクヤ(北山宏光)は妻のゆかり(小島藤子)に言われて出前を取ることにする。出前アプリを探していると、2秒で宅配と書かれた怪しいアプリが見つかった。半信半疑でアプリを使いタクヤが出前を頼むと、配達のお姉さん(樋口日奈)が現れて本当に2秒で頼んだものが届いた。

便利なアプリがどこまで何を運んでくれるのか、2人は色々注文してみることにするが……。

ネタバレ

Webデザイナーの山辺タクヤ(北山宏光)は稼ぎは少ないものの、在宅勤務ができる環境に満足していた。妻のゆかり(小島藤子)は看護師の仕事をしていて、タクヤよりも稼いでいた。くたくたになって帰って来たゆかりがタクヤに出前を注文するよう頼む。タクヤが出前アプリを検索していると、「オトドケモノ」という2秒で宅配することをうたった怪しいアプリを見つけた。半信半疑でタクヤが出前を注文してみると、すぐに配達のお姉さん(樋口日奈)が現れて届けてくれた。

ゆかりにアプリの話をしても信じてもらえなかったが、再びその場で今度は買い忘れた乳液を頼んでみる。すると同じ配達のお姉さんが現れて注文の品を届けてくれた。ゆかりとタクヤはそれからもアプリを使い注文をする。何度注文しても2秒で同じ配達員のお姉さんが届けてくれた

そこで2人はどこまで何を届けてくれるのか、検索してみることにする。現金100万円と検索すると、100万円と送料がかかることが分かった。さらに一繋ぎの財宝と検索してみるが、具体的でないものは断られた。また、どこでもドアと検索してみたが、存在しないものは見つからなかった

ゆかりはタクヤが以前なくした結婚指輪と検索してみる。すると送料だけで配達してくれるという。早速注文すると配達員がすぐに届けてくれた。確かになくした結婚指輪だった。なぜ送料だけで配達してくれるのかゆかりが導いた結論は、自分たちの物だからではないかというものだった

ならばとゆかりが注文したのは以前飼っていたが、逃げ出して行方知れずになった犬だ。送料だけで持ってきてくれたが、既に遺骨になっていた。諦めきれないゆかりは生きている状態でと指定する。すると生きた状態の犬を配達してくれた

ゆかりはさらにエスカレートし、亡くなった母親を生きた状態で配達してもらおうとする。だが、金額は1億6000万という値段だった。恐らく人間の場合は生涯年収が、人間の価値なのではないかとタクヤが言う。母親に会えるならいくらでも払うと注文するゆかりだが、支払い限度額を超えていると表示されて注文できなかった

タクヤはふとテレビで見たプロ野球選手の名前を注文検索してみる。すると37億円というとてつもない値段が表示された。生きている人を配達するには、平均年収の40倍が相場なのだろうと考えた。タクヤはオトドケモノの奇妙な仕組みが怖くなり、アプリを使う事をやめた。

ある日、上映時間近くになっても映画館にやってこないゆかりにタクヤは電話する。仕事で遅くなったゆかりをオトドケモノで注文すると送料だけで届けてくれた。ゆかりは自分の価値がタダだった事に不満をもらすが、2人が夫婦だったからお互いの持ち物という判断だったのではないかとタクヤが言う。

そこで2人はある使い方を思いつく。満員電車に乗らなくて済むように、タクヤはゆかりを毎回注文してあげることにした。さらに旅行先に1人が先着し、片方を注文するという使い方を思いつく。どんなに離れていても、やはり一瞬で届けてくれた。交通費が1人分浮いたのだ。オトドケモノのお陰で夫婦の絆も深まった。

しかし結婚記念日の夜、またゆかりの帰りが遅くなりタクヤが電話すると口論になってしまう。お互い、自分の今いる所にアプリで同時に呼び寄せてしまう。すると扉だらけの部屋にタクヤは飛ばされてしまった。やがて1つの扉が開き、ゆかりが配達された。そして今度はタクヤが連れ去られ、すぐに別の扉からゆかりの元に届けられた。2人が同時に注文したせいでバグが起きてしまった

何とかこの場から出ようとしてタクヤは友人に電話をし、自分をアプリで呼び出してもらおうとする。だが、代金が2億円もするため注文してもらえなかった。そこでここから出る方法を書かれた紙を配達してもらおうとするが、そもそも“ここ”はどこなのか分からなかった

1年がたち妻は病院をクビになり無職の状態になった。幸いタクヤはネットが繋がるこの空間で仕事をすることはできた。2人の立場は逆転した。僅かながらの金で食事を配達してもらい、生活を続ける2人だが夫婦関係は最悪な状態になっていた。ある日、口論になった際、タクヤはゆかりに手を上げてしまう。それ以来、同じ空間で一緒に過ごすことはなくなった。

さらに時間が経ち、タクヤは脱出する方法を思いつく。それは、ゆかりと1回別れて別の女性と結婚し、その人に呼び寄せてもらった後、再びゆかりと結婚して呼び寄せるという方法だった。ゆかりは自分だけ置いて行かれると思って反対する。しかし、他に方法もなく最終的に受け入れた。

タクヤがオンラインで知り合った女性を必死に口説き、何とか結婚にこぎつけようと頑張るが全く相手にされない。ゆかりの姿がないことに気付き、タクヤが電話をかけるとゆかりは既に脱出していた。なぜなら、ゆかりが看護していた塚本(綾田俊樹)という男性が、妻の形見の時計を取り寄せてくれたことに感謝して、2億円払って呼び寄せてくれたのだ。

自分を呼び寄せてくれと頼むタクヤだが、ゆかりは嫌だと言って離婚届を提出しに向かう。ならば、ゆかりを再びこの場に呼び寄せようとするが、一足先に離婚届が提出されてしまい、その瞬間に料金が2億円に変わってしまう。そしてゆかりは金目当てで塚本と籍を入れた

取り残されたタクヤは配達のお姉さんに縋りつき、何でもするからここから出して欲しいと頼んだ。するとお姉さんは「1つだけありますよ。ここから出る方法」と教えた。ゆかりは塚本に高い買い物をせがみ、アプリで絵を注文する。オトドケモノの配達員を見てゆかりは戦慄する。なんと注文の品を持って来たのはタクヤだった

感想とまとめ

ブラック系の話でした。何でも瞬時に届けてくれる出前アプリに頼り、気軽に様々なものを夫婦は頼みます。未来に存在するものは持って来れませんが、過去にあったものに関しては持ってきてくれます。ただ、人間は夫婦でない場合、生涯収入分の料金がかかります。

それを知った2人は、お互いにお互いを呼び寄せて交通費を浮かします。場所は国内に限らず海外でも瞬時に呼び寄せられるので、交通費は1人分しかかからない計算になります。ただ、1人は必ず自力で行き来しなければなりません。

同時に呼び寄せたことによりバグが発生して、謎の空間に2人は飛ばされてしまいました。夫婦仲は最悪になり、なぜか妻は脱出した後、夫を呼び寄せてはあげません。謎空間で過ごした際の恨みつらみがあったのか、とにかく夫を置き去りにしました。

夫があの空間から脱出するための唯一の方法、それは自分が配達員になるという『恐怖新聞』的なオチでした。あの配達のお姉さんもそうだったのか?と思いたくもなりますが、タクヤ以外は大量の配達のお姉さんがいました。なのでお姉さんは謎世界の人なのでしょう。

個人的には2人が謎空間に飛ばされた時点で終わりにするか、ゆかりの離婚をタクヤが阻止して逃げられないという終わり方で良かった気がします。あまりオチに至るまでの説明が多いと余韻に浸れないため、明確な答えを示して終わらない話のほうが印象に残っていいです。

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第2話「何だかんだ銀座」

キャストとスタッフ

  • 銀座のお金持ち・ニホンオオカネモチ…有田哲平(くりぃむしちゅー)
    一流企業の社長
  • 羽鳥昭夫…東根作寿英
    祐介の父
  • 羽鳥美津子…紺野まひる
    祐介の母
  • 羽鳥祐介…岩田琉聖
    10歳・ニホンオオカネモチの飼い主
  • 明美…伊礼姫奈
    祐介の友人・コガネモチの飼い主
  • 石井…渋江譲二
    祐介が面接しにいった会社の社員
  • 成城のお金持ち…大桑マイミ
    明美に飼われているニホンコガネモチ
  • 六本木のお金持ち…うえきやサトシ
    神谷に飼われているニホンアブクゼニ
  • 羽鳥祐介(22)…松田悠我
    大学生。就活中の22歳になった祐介
  • 神谷…齋藤勇真
    祐介の友人
  • 原作:村崎羯諦 「何だかんだ銀座」(小学館文庫「余命3000文字」収載)
  • 脚本:相馬光
  • 演出:植田泰史

あらすじ

羽鳥昭夫(東根作寿英)は息子の祐介(岩田琉聖)誕生日のプレゼントとして“野生のお金持ち”を捕らえるため、一緒に罠を仕掛けに行く。木に銀座で買ったハチミツを塗ると、わらわらと野生のお金持ちが現れた。遠くでその様子をうかがっていた祐介たちは、以前から欲しかったニホンオオカネモチ(有田哲平)の姿を発見した。

捕まえて家に連れて帰った祐介だが、ニホンオオカネモチは銀座で買ったものしか受け付けないという奇妙な生態だった。家計を圧迫するニホンオオカネモチに頭を悩ます母親の美津子(紺野まひる)だが、渋々飼うことを認めることに。祐介と“お金持ち”の奇妙な生活が始まる。

ネタバレ

母親の美津子(紺野まひる)は家にお金持ち(有田哲平)を連れて帰って来たことに呆れた。しかし、昭夫(東根作寿英)の説得もあり渋々飼うことを許した。お金持ちは自分たちが食べないような、高級食材を餌とする。食べる姿をまじまじと観察する祐介(岩田琉聖)だが、お金持ちは皿を床に落として食べない。なぜなら、買った牛肉は銀座で購入したものでなく、戸越銀座で買ったものだったからだ。改めて銀座で買ったフォアグラを与えると、お金持ちはちゃんと食べた。

祐介はお金持ちの生態について記述する。お金持ちは食や家具に強いこだわりがあること。縄張り意識が強いこと。気に入らないものはテリトリーから排除するといった生態について専用ノートに書いた。祐介の捕まえたお金持ちは週に3日銀座に散歩に連れていかないと、ノイローゼになってしまうという特徴もあった。そこで祐介はお金持ちが経営している会社まで、散歩に連れて行くことにした。

道で会った明美(伊礼姫奈)は祐介が連れているニホンオオカネモチを見て興奮する。ニホンオオカネモチは捕獲も飼育も大変だからだ。明美が飼っていたのはニホンコガネモチ(大桑マイミ)で、成城で見つけて捕獲したという。お金持ちと飼い主の間で強い絆が深まれば、名前を呼んでもらえると明美は教えてくれた。名前を呼ばれている明美を祐介は羨んだ。

いざ飼育したものの、ニホンオオカネモチはやはり大変だった。高い知能がある反面プライドが高いのでしつけが難しい。ジムやサウナ、ゴルフにパーティーなど定期的にしないとすぐに弱った。それでも祐介はお金持ちを飼育するため、一緒にゴルフに連れて行ったりした。ある晩、花火を見ながらスイカを食べる祐介は、生ハムが乗ったメロンを食べるお金持ちと、一緒に楽しげに笑いながら食べた

美津子はお金持ちを飼育するための出費が、家計を圧迫していることに頭を悩ませていた。それを偶然聞いてしまったお金持ちは乗馬に行っても乗らずに帰ってしまう。祐介はお金持ちがなぜ喜ばないのか、他のお金持ちよりも色んなところに連れて行ってあげているのに不思議だった。

偶然道で会った神谷(齋藤勇真)に祐介は絡まれる。ニホンオオカネモチを飼っている祐介を神谷は妬んでいた。自分はニホンアブクゼニ(うえきやサトシ)を飼うのが精一杯だったからだ。むかついた神谷は祐介の持っていたお金持ちの生態を記したノートを取り上げる。そしてビリビリに破いて捨ててしまった

その晩の食事の時にお金持ちは自分の食事に手をつけず、祐介たちが食べるコロッケを欲しがった。銀座で買ったものではない普通のコロッケを食べたお金持ちは、拒絶反応でじんましんが出て倒れてしまった。お金持ちがなぜこんな行動をするのか、祐介は分からず混乱した。

翌日、お金持ちがいなくなっていた。心配した祐介が探しに行き、明美も一緒に探してくれた。中々見つからずに祐介が弱音を吐くと、明美が励まして再び一緒に探す。運悪く機嫌が悪い神谷に遭遇してしまい、祐介は絡まれてしまう。するとどこからともなくお金持ちが現れて、神谷を撃退した

お金持ちは祐介の持っていたノートを差し出す。ビリビリに破かれたところは修復されていた。お金持ちはノートを探すために家を出て行ったことが分かった。感動した祐介は自分の名前を呼んでくれないか試してみる。しかし、お金持ちは名前を呼んでくれなかった

ある日、昭夫と美津子はお金持ちがもう飼えないと祐介に伝える。なぜなら、昭夫がリストラ対象になってしまったからだ。祐介はお金持ちを躾ければ、自分たちの環境に慣れるはずだと言って聞かない。しかし、昭夫にそれはお金持ちにとって幸せなことなのかと言われると、祐介は何も返せなかった。

昭夫と一緒にお金持ちを連れて野生に返す日が来た。銀座のハチミツを木に塗ってお金持ちの気をひいた隙に2人は帰ろうとする。次の飼い主のために祐介は観察記録ノートを置いていった。お金持ちは気付いて「ゆう…すけ…」と名前を呼んだ。祐介は再び情がわいてしまいお金持ちを置いていくことを拒み始める。しかし、昭夫に連れられてその場を離れた。

それから月日が経ち祐介(松田悠我)は22歳になっていた。就職活動をしている祐介は、面接したある会社の人から呼ばれる。会長直々に会いたいと言われ祐介は驚いた。社員でも滅多に会えない伝説の経営者と呼ばれるその人物は、なんとお金持ちだった。祐介は子供の時の記憶が蘇り、お金持ちとの再会を喜んだ。するとお金持ちは虫取り網を使って祐介の頭に被せる。祐介は捕獲されて動けなくなり、お金持ちに飼われることになった

感想とまとめ

感動系の話と思わせますがブラックなオチで終わります。なぜ人を捕まえて飼えるのか、設定に違和感を覚えてしまうと見られないシュールな話でもあります。理由は分かりませんが、この世界では人を捕まえて飼うことができる世界です。

虫取り網で捕らえられるとなぜか言葉も喋れなくなり、飼われることになってしまいます。お金持ちを飼うには経済力がないと飼えず、祐介は最終的に野生に放します。そのことをお金持ちはずっと覚えていたのか、今度はお金持ちが祐介を捕まえて飼うことになりました。

今後祐介は自宅に戻ることができるのか?お金持ちを飼っていた時と同じように、週に何回かは散歩させて戻す的な飼い方なのかもしれません。身の丈に合わないペットを飼う人のことを皮肉っているような、そんな話にも感じました。

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第3話「メロディに乗せて」

キャストとスタッフ

  • 村野叶海…生田絵梨花
    OL
  • 進藤充…稲葉友
    叶海と同じ会社の経理部員
  • 三上秀夫…金剛地武志
    道で絡まれていた男性
  • 山田隆…三浦獠太
    叶海の後輩社員
  • 佐久間博…濱津隆之
    医師
  • 脚本:天本絵美
  • 演出:城宝秀則

あらすじ

ある日突然、村野叶海(生田絵梨花)は脳内に流れる音楽に合わせた行動を取らないと、最悪死に至る“脳内メロディ症候群”という奇病が発症してしまう。時と場所を選ばず突然流れるメロディに翻弄され、叶海は毎日神経をすり減らしていた。

偶然会社でおかしな行動を取る進藤充(稲葉友)に出会い、彼もまた同じ病にかかっていると分かるが……。

ネタバレ

コーヒーチェーン店を運営する会社で働く村野叶海(生田絵梨花)は、新店舗オープンのため視察に来ていた。後輩の山田隆(三浦獠太)が適当な音楽を流して遊んでいるのを見て注意する。やがて、店舗に合った曲が流れ叶海はそれにするよう指示する。しかし、山田にはその曲は聞こえていなかった。叶海が会社へ向かう途中、中年男性が男に絡まれ口論になっていた。叶海は仲裁に入って助けようとする。しかし、激しい頭痛に襲われてその場で倒れてしまった

目を覚ますとそこは病院だった。医者の佐久間博(濱津隆之)の診断では、脳内メロディ症候群を発症しているという。それは珍しい病気で現在発症しているのは、叶海も含めて3人という難病だった。脳内に流れる音楽の曲調に合わせた行動をとらないと、脳が異常反応を起こして最悪の場合死に至るという。

倒れた時に流れていた曲と違う行動をとったため、叶海は倒れてしまったのだと佐久間は指摘する。すると新たな曲が流れ、叶海はそれに相応しい行動をするよう言われる。佐久間は外部装置を叶海の頭につけ、流れている曲を自分にも聞こえるようにした。戸惑う叶海だが言われたとおり、曲のような悲劇のヒロインを演じると頭痛が治まった。

毎回こんなことはできないと言う叶海だが、治療法がなく現時点ではそうする以外ないと佐久間は言う。ただ、唯一聞いてはいけないメロディーというものが存在し、それを聞いたら最後、全てが終わるらしい。その曲が何なのかは誰にも分かっていなかった。

いつ曲が流れるかも分からない中、叶海はプレゼンを任される。社長ら役員がいる前でプレゼンを始める叶海だが、突然脳内で流れてきたのは『笑点のテーマ』だった。こんな時にどうすればいいのか、悩んだ叶海は山田に向かって社長に座布団を持って来るよう指示する。当然、場違いな雰囲気に包まれてしまう。脳内で曲が止まると叶海は取り繕い、何事もなかったかのようにプレゼンを進めた。

新プロジェクトを提案する叶海に部長が反論を始める。叶海はそのまま部長の言う通りにしようとしたが、今度は脳内で『WE WILL ROCK YOU』が鳴り始めた。曲に合った行動をとる叶海は、部長の反論を押し切り熱く語り始める。1杯1000円のコーヒーのみを売る専門店を作ると主張する叶海を、部長は笑い飛ばした。だが、社長は叶海の熱い心意気に感心し、プレゼンは無事終了した。

思いがけぬ自分の一面に気付いて驚く叶海だが、またいつなにが鳴るかと思うと疲弊した。すると社内で変わり者として有名な経理部の進藤充(稲葉友)が、ミュージカルのような歌を歌いながら歩いていた。その様子を見た叶海は、彼もまた脳内メロディ症候群ではないかと思って声をかける。同じ病を持つ相手との出会いに驚く進藤は、叶海と2人でドラマティックに歌った

やがて2人は共に食事をしている時にお互いの脳内で『365日』が流れ、曲に合ったロマンチックな行動をとった結果2人は交際することになった。ある晩、叶海が夜道を歩いていると、ホラー調の音楽が流れてくる。ただでさえ怖い状況だったため、叶海は急いで自宅に戻った。すると今度はサイレンが鳴り響く。なぜかいつまでも止まらない音に恐怖する叶海は、物音が聞こえて叫んだ。ぬいぐるみが落ちてきた音だった。

日々音楽に翻弄され続ける叶海は、進藤とのデートでも浮かない顔をしていた。そんな叶海を進藤は慰めていると、叶海の脳内で『おジャ魔女カーニバル』が鳴り響く。落ち込むことも許されないのかと呆れる叶海だが、進藤は彼女の脳内に流れる曲に合わせて前向きに歌ってあげた。それを見ていた叶海は、自然と笑顔になり前向きな気持ちになった

映画館でデートをしている時、今度は進藤が苦悩していた。脳内でスリラー系の曲が流れていたからだ。ここで騒ぐわけにもいかず、叶海は一緒に席を立って外に出ようとした。すると扉の向こうから覆面をつけた男が、片手に包丁を持ってやってくる。慌てる観客たちに向かい男は、叶海と進藤以外は外に出るよう命じた。

緊迫した状況の中、叶海の脳内で鳴り始めたのは『スネ夫のテーマ』だった。のんきな曲に合わせた行動を今しなければ自分が死んでしまうかもしれない、叶海はとぼけた行動をしてみたら覆面男に怒られた。男が覆面を取ると現れたのは、以前絡まれていたのを叶海が助けた男だった

覆面男の三上(金剛地武志)はあの日、脳内で壮大で崇高なメロディー『トッカータとフーガ』が流れたという。脳内メロディ症候群3人目の発症者は三上だった。どういう行動をとればいいのか迷っていた三上は、叶海を崇拝することで痛みが治まったという。進藤を消して叶海を手に入れれば、音楽も鳴り止むに違いない。そう思って三上は叶海の行動をずっと監視していたのだ。

メロディに引きずられて犯罪を犯すなんてバカげていると叶海が言うが、三上は合わせた行動をしているうちに感情まで同調していた。進藤を殺そうとする三上を止めなければ、しかし脳内ではのんきな音楽が流れている。叶海はメロディに支配されるのはもう嫌だと決意し、進藤を助けにいった

『アメージング・グレース』が叶海の脳内に流れ始める。進藤は三上が持っていた包丁で叶海を刺していた。スリラー系の音楽に合った行動をしたためだった。どうしてと叶海が聞くと、こんな病気で死にたくないと進藤は答えた。そして叶海は意識を失ってしまった。

目を覚ました叶海は死なずに済んでいた。音楽に合わせた行動をとったお陰で助かったのだ。やってきた警官に進藤が捕まり、叶海と進藤の脳内で『ガラモン・ソング』が流れる。どう行動すればいいのか悩む叶海。これが佐久間が言っていたそれを聞いたら全てが終わる曲だった

「メロディに乗せて」で使用された曲一覧

「○○な曲」や「○○系の曲」はオリジナルのそういう感じの曲です。サイレンは警報のサイレン的なものです。

  • 不穏な曲
  • ヘヴィメタル系の曲
  • 『おもちゃの兵隊のマーチ』
  • 『Rё∀L』
  • 『ザナルカンドにて』
  • 『笑点のテーマ』
  • 『WE WILL ROCK YOU』
  • 『SINGIN’ IN THE RAIN』
  • 『365日』
  • ホラー調の音楽
  • サイレン
  • 『おジャ魔女カーニバル!!』
  • スリラー系の音楽
  • 『スネ夫のテーマ』
  • 『トッカータとフーガ』
  • 『アメージング・グレース』
  • 『ガラモン・ソング』

感想とまとめ

シュール系でブラックに終わる話です。脳内メロディ症候群という奇病にかかった人たちが、それぞれめぐりあって悲劇が起きます。進藤は前向きな思考の持ち主で、メロディが鳴ったらそれに合う行動をするだけだと割り切っていました。叶海も最初はそうしていましたが、音に支配されるのは嫌だと、最後は自分の意思で行動します。

しかし、音に支配されたままの進藤によって刺されてしまいました。このまま死ぬのかと思っていた叶海ですが、たまたま曲に合った行動をとったため命は助かります。そこで流れてくるのがこのドラマのテーマ曲『ガラモン・ソング』で、彼らはみな奇妙な世界の住人となってしまいました。つまり、もう日常には戻れません。

あらゆるところに溢れている音楽に感化され、自我を失ってはいないか?そんな問いを投げかけてくるような話でした。

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第4話「電話をしてるふり」

キャストとスタッフ

  • 川崎望…山本美月
  • 望の母…森口瑤子
  • 望の父…神尾佑
  • ナンパ男…土佐和成
  • 原作:『電話をしてるふり』バイク川崎バイク
    (ヨシモトブックス『BKBショートショート小説集 電話をしてるふり』所収)
  • 脚本:天本絵美
  • 演出:吉村慶介

あらすじ

川崎望(山本美月)はナンパされた時に使う、ある撃退方法があった。それは父親(神尾佑)と電話をしているふりをすることだ。ある日、ナンパ男(土佐和成)につきまとわれ、いつもと同様に父親と電話をするふりをする。しかし、男が望の電話を取り上げてふりをしているのを見破ろうとする。

バレたと思った望だが、男は本当に父親と話していた。だが、父親は望が11歳の時に既に他界していて……。

ネタバレ

望(山本美月)の電話をしているふりを見破られたはずなのに、男(土佐和成)はなぜか父親(神尾佑)と話をしていた。既に亡くなっている父と話せるはずもないのになぜなのか、望が男に確認すると確かに父と思われる人物と話していた。不思議に思った望は自宅に帰って考える。警察官だった父は11歳の時に殉職し亡くなっている。しかしさっきの男は父親が警察官だと知っていた。本当に父と話していたのか、気になって仕方がなかった。

そこで望は電話をかけるふりをして、友人や会社の同僚など様々な人にその後代わってもらった。するとやはり父親と会話をしていた。急いで自分が代わってみるが、電話はどこにも繋がっていなかった。ただ、周りに気付かれないようにするため、電話を切るふりをして会話を終えた。

そうして3年の月日が流れ、望は結婚式前日を迎えた。母親(森口瑤子)に父と話がしたくないかと望は聞く。唖然とする母だが、望はいつもと同じように電話をかけるふりをして代わる。電話を代わった母は驚きながら、父と会話を始めた

自分とだけはいつも話せないのを知っていた望は、母がそのまま電話を切ってくれることを願う。それを知らない母は望に電話を返した。いつものように切るふりをする空しさを感じていた望だが、「結婚おめでとう」と父親の声が聞こえた

ようやく父と話せた望は感極まって涙を流しながら話を聞く。今日で最後の電話になるという父、ずっと見守っていると伝え、最後に「愛している。お前はパパの誇りだ」と言って通話を終えた。その後、父の仏壇に飾られた写真は、ウエディングドレス姿の望が父の遺影を持っている写真だった

感想とまとめ

感動系の話です。死んだはずの父親と自分は直接声が聞けないが、他人を通して繋がるという奇妙な出来事が起こります。声を聞きたいならスピーカーにすればいいのではないか、と思わずつっこみたくはなりますが、細かいことを気にしても仕方ありません。とにかく自分だけは聞けないのです。

そんな娘が最初で最後、一度だけ声が聞けたタイミングが結婚式前日でした。父は娘の成長を喜び、これからも見守っていると約束して電話を終えました。人生の節目の場面で、娘のことを送り出してくれたのです。他の話に比べて短い話なのですが、重要なとこだけ圧縮されていて見やすい話でした。

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【世にも奇妙な物語’22夏の特別編】感想とまとめ

シュール系をベースにしたブラックなオチのが3つ、感動系の話が1つという構成でした。今回はどれもとびきり面白いわけでもないが、つまらなないという平均的な話が多かったです。怖い話が1つもなかったのが残念で、次回放送予定の秋に期待したいところです。

シュールな配達アプリの「オトドケモノ」の話は、以前放送された「3つの願い」や「コインランドリー」的な展開になるのかと思いきや、「恐怖新聞」なオチで終わります。もう少し手前で終わってもよさそうに感じますが、原作つきの話なのでこうなったのでしょう。

おなじくシュールな「何だかんだ銀座」は風刺的な話で、一瞬感動系の話かと思わせます。しかし、最後は今度は自分が飼われる側になるというブラックなオチでした。お金持ちとの絆が生まれ始めていたのに、家庭の事情で捨ててしまいました。それを恨んだのか、それとも今度こそずっと一緒だという意味なのか、どちらにしても怖いオチです。

今回、再放送が一番難しいと思われるのが、3話目の「メロディに乗せて」です。既存の曲を使用しているので、ソフト化や再放送の際には差し替えられてしまう可能性があります。オリジナルの話で見るには、下手すれば本放送が最初で最後の可能性すらあります。とはいえ、別の曲に変わったとしても、それっぽい曲をあてていれば話は成立するとは思います。4話目の「電話をしてるふり」はいわゆる感動系の話で、この話だけハッピーエンドで終わります。

今回どれが一番面白かったかと問われると、即答できない構成です。前回の秋のほうが面白かったと感じました。ここ数年、秋は毎回面白いので次回の放送を楽しみにしています。

タモリさんのまとめ

ほんの少し見方を変えるだけで、人によってまったく別の現実が見えてしまうこともあるのです。

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