2024年6月28日からスタートしたドラマ、【笑うマトリョーシカ】1話のネタバレと感想をまとめています。
事故に巻き込まれて死亡した父親が死の直前まで調べていたのは、かつて政財界を賑わせた事件のことだった。娘の香苗は父がその日、その場所で待ち合わせしていた人物を突き止めるとある政治家の秘書だった。だが、彼は父の事を知らないと言い……。
【笑うマトリョーシカ】1話のあらすじ
第3次羽生内閣の発足で清家一郎が厚生大臣に任命された日に、香苗の父が交通事故で亡くなった。香苗は父が遺したBG株事件に関するスクラップ記事を見つけ、再び事件の真相に迫る。28年前の収賄事件であったBG株事件には、政治家の関与が疑われたが、真相は闇に葬られていた。父の再調査の記録から、鈴木俊哉が事件に関わる人物であることが判明し、香苗は彼が清家の秘書をしていることに疑念を抱く。
香苗は鈴木が父の事故を仕組んだのではないかと疑い、BG株事件に関わる政治家の黒幕を追い求める。やがて清家から直接連絡が入り、会食に誘われる。香苗は鈴木についての真相を問いただし、彼の真意を探ろうとするが……。
【笑うマトリョーシカ】1話のネタバレ要約
3行でネタバレ
第3次羽生内閣の発足で清家一郎が厚生大臣に任命され、その直後に香苗の父が交通事故で亡くなる。
香苗は父が残したBG株事件のスクラップ記事から、鈴木俊哉が事件に関わる人物であることを知り、真相解明に動き出す。
清家の会見で香苗の意見を反映した発言を聞いた香苗は、清家が操られている可能性に気づき、鈴木の野望を探ることを決意する。
500字ぐらいでネタバレ
第3次羽生内閣が発足し、清家一郎が厚生大臣に任命された日、香苗の父が交通事故で亡くなった。
香苗は父が残したBG株事件のスクラップ記事を見つけ、事件の真相に再び向き合う。BG株事件は28年前の収賄事件であり、父はその真相を追っていたが、事件の中心人物が自殺し、真相は闇に葬られていた。
調査中、鈴木俊哉が事件の中心人物の息子であることが判明し、香苗は鈴木が清家の秘書をしていることに疑念を抱く。
清家の定例会見で、香苗の意見と全く同じ内容を述べたことに驚いた香苗は、清家が他人の意見を吸収し、理想の人物を演じる特別な才能を持っているのではないかと考える。
その才能に気づいた鈴木が清家を操っている可能性を感じた香苗は、清家から送られたSOSを受け取り、真相解明に向けて動き出す。しかし、自室が荒らされ、父の遺したノートが燃やされるなど、香苗はさらなる困難に直面する。
【笑うマトリョーシカ】1話の詳細なネタバレ
交通事故
事故が起きる5時間前、第3次羽生内閣が発足し、清家一郎(櫻井翔)が厚生大臣に抜擢された。その時、道上香苗(水川あさみ)は愛媛にいた。
最近『悲願』という自叙伝を出版した清家は、病気で亡くなった和田島芳孝(加藤雅也)元官房長官が実父であることを告白していた。香苗は元社会部記者だったが、現在は文芸部に所属している。
清家の出身校である私立福音学園高等学校には、後輩記者の青山直樹(曽田陵介)と共に訪れ、現在学園長で当時の担任である一色清彦(東根作寿英)から話を聞く。現在清家の後援会長である佐々木光一(渡辺大)も同級生だった。清家が生徒会長で佐々木が副会長を務めていた時、学年一の秀才だった鈴木俊哉(玉山鉄二)は現在清家の政務秘書官として活動しているが、彼のことは『悲願』では触れられていない。
香苗はなぜ鈴木のことが書かれていないのか気になり、同級生に話を聞きに行こうとした矢先、父・兼髙(渡辺いっけい)からの電話で事態は急変する。話したいことがあるから会えないかと言う父、電話の向こうで大きな音がした瞬間、通話が途切れる。兼高は交通事故に巻き込まれ亡くなってしまう。
香苗は霊安室で母の香織(筒井真理子)と一緒に父の遺体と向き合った。遺留品が極端に少なく、これだけかと香苗は疑念を感じた。事故の原因は運転手が過労で居眠りをしたためだと警察の調べで判明した。父の財布を見ると、家族の写真が入っており、さらに貸金庫のカギも見つかった。
父が残したもの
香苗が金庫を開けると、そこにはBG株事件に関するスクラップ記事がたくさん収められていた。
BG株事件は28年前に発覚した、不動産の利権が絡んだ収賄事件であり、ビッグガリバー社の宇野耕介(河野達郎)社長が中心となった未公開株の賄賂事件だった。事件には政治家の関与が疑われたが、結局起訴されたのは官僚と宇野社長だけだった。
香苗の父がこの事件をスクープした新聞記者であり、事件に関与した政治家の黒幕を突き止めようとしたが、宇野が保釈中に自宅で自殺し、真相は闇に葬られた。父は政治家を突き止められず、一人罪をかぶった宇野を自殺させてしまったことを長年悔やんでいた。
香苗は数多くのノートの中から、新しくて表紙に何も書かれていないノートを見つける。その中には父がBG株事件を再調査していた記録があった。さらに、鈴木俊哉が亡くなった宇野耕介の子供である可能性についての情報も記されていた。
香苗は政治家を恨んでいるはずの鈴木が、なぜ清家の秘書をしているのか疑問を抱く。ノートには鈴木への取材メモも挟まっており、その日は父が亡くなった日で、亡くなった場所で鈴木との待ち合わせが予定されていたことがわかった。香苗は鈴木の写真を見つめながら、何かを思った。
鈴木への疑惑
香苗は鈴木の所に直接行き、父のことを知っているか尋ねたが、鈴木は知らないと答えて去ってしまう。
鈴木は福音学園を卒業し、東大に現役合格して経済産業省に入った後、清家が代議士になる前に秘書になった。香苗は青山からこの話を聞くが腑に落ちず、社会部の先輩記者・山中尊志(丸山智己)に話を聞きに行こうと決める。山中と麻雀で勝負して勝った結果、宇野が会社を立ち上げた時からの古株社員、迫田(高橋豊)の連絡先を教えてもらうことに成功した。
永田町から出入り禁止になっていた香苗は、青山に清家に対するインタビュー申し込みを勧め、自分が代わりにいこうと計画する。その後、山中も現れ、青山の代わりに2人でインタビューに向かうことになった。
事務所にやってきた早苗を見て、鈴木は嫌な予感がした。香苗は部屋にあったマトリョーシカを見て、清家の顔にそっくりだと言い始めた。
佐々木と仲良かった話を始め、父が和田島だと打ち明けたのは、映画『砂の器』を一緒に見た時だと清家は語った。映画を見て自分の境遇と重なった気がして、佐々木に初めて自分の父について話したという。その時、鈴木もいたのかと質問すると、遮ろうとする鈴木に構わず清家は認めた。鈴木の事を『悲願』に書かなかった理由は、秘書なので近すぎると思ったためだと説明した。
香苗は鈴木が宇野の息子だというのを知っていたのか質問すると、清家は鈴木を見て困ったような顔をし、鈴木は首を横に振った。香苗はこのやり取りを見逃さなかった。
実は事前に香苗は迫田に会い、高校時代の鈴木の写真を見てもらった。すると迫田は「ぼっちゃんだ。宇野社長の一人息子だよ」と答えた。鈴木は父の逮捕後、母方の鈴木姓に改姓し松山に移り住んだ。
さらに香苗は父のスマホを修理したら、留守電に鈴木のメッセージが入っていたことを告げる。なぜ知らないと嘘をついたのか質問し、その日、その場所で会う約束をした理由も尋ねた。鈴木はしばらく黙っていたが、清家が「鈴木」と声をかけると、「大丈夫ですよ」と笑った。
その後、鈴木は本当は知っていたことや連絡をしたことを認めたが、ただ取材を申し込まれただけだとはぐらかした。
では本から名前を消したのは、鈴木の指示だったのかと問うと鈴木は認めた。なぜ消したのかというと、犯罪者の父親がいることでマスコミが騒ぎたて、清家に迷惑をかけるかもしれないからだと説明した。香苗はまったく納得せず、父の遺したノートに色々書いてあることを伝えて帰った。
AIと軍師
鈴木が父の事故を仕組んだのではないか、香苗はそう考えていた。BG株事件に羽生雅文(大鷹明良)総理や諸橋育夫(矢島健一)外務大臣が関わっていたとしたら、内閣が解散する可能性がある。そうなると清家も失脚してしまうので、鈴木はそれを避けたかったのではないか、と山中は言う。香苗は「まるでAIと話しているようだった」と清家の主体性のなさを指摘し、逆に鈴木はポーカーフェイスの下に、色んな感情や思惑を隠し持っている策士という感じだったと感じていた。
鈴木が清家のお膳立てをしていたなら、彼は清家を裏で操っているのか?と香苗は疑問を投げかけた。山中は「中身が空っぽの人間が大臣になるなんてありえない」と反論したが、香苗は鈴木が清家を操って何をしようとしているのかがわかれば、父の事故の真相も見えてくると考えた。
1995年、愛媛県松山市。清家が寝ているそばで佐々木が鈴木に「お前がブレーンになって、清家を政治家にすればいいんやねえか?」と提案すると、鈴木は「ああ…こいつを利用して、親父の敵をとってやるよ」と誓った。鈴木はその時のことを思い出していた。
まさかの誘い
香苗は屋上で弁当を食べながら、清家が本当に主体性がないのか疑問に思っていた。その時電話が鳴り、清家から会食の誘いがあった。香苗はその誘いに応じ、店で清家と会うことにした。
店に行くと清家は鈴木を伴わず、一人で来ていた。清家にとって鈴木はどんな存在なのか尋ねると、高校時代からの親友でなくてはならない存在だと話す。鈴木をあそこまで追い詰めたのは、あなたが初めてだと言い、だから話してみたいと清家は思ったという。
香苗はなぜ記者になったのかを聞かれると、父の影響もあるが気になることは調べずにはいられない性格だからと答えた。
香苗は過去を思い出していた。柏木宗男(高松克弥)が救急車のストレッチャーで運ばれ、妻の朋美が泣きながら夫の名前を呼んでいる。そこに香苗がやってくると朋美は、すごい形相で「あなたのせいよ!」とつかみかかってきた。
そんなことを思い出した後、「報道の力を信じたいんです」と香苗は語る。息子からスマホにメッセージが届くが無視をしていた香苗に清家は、返信をするよう促す。香苗が言葉に甘えて返信している様を見た清家は、すごく嬉しそうな顔をしていると指摘した。
香苗は酒を飲みながら、清家との会話を続けた。離婚して息子と離れて暮らしていること、そして自分が良い母親ではなかったことを告白した。清家が児童養護施設について話が及ぶと、香苗は日本の親族里親制度の問題についても語り始めた。記事が反響を呼ばなかったことに落胆しつつ、必要な人々に支援が届くよう訴えたところ、清家は彼女を褒めた。
清家の母は和田島と会った時、ホステスをしていたという。だから母は清家を一人で産み、一人で育てた。「それでも僕は十分幸せでしたよ。親子は一緒に過ごすことだけが、全てじゃないですから」と語りかけ、どんどん香苗は引き込まれていく。「息子さんもきっと、あなたのことを応援しているはずです」と励まされ、香苗は笑った。
店を出ると清家は距離を縮めて香苗に「道上さん。これからも、僕を見ていてくださいね」と語りかけ、まっすぐに彼女を見つめた。香苗は何のことかわからず、動揺した。
謎の論文
小笠原から清家が上創部に電話をかけ、香苗に特別に密着取材を許可すると伝えてきたことを聞かされた。さらに、青山から届いた封筒を渡されるが差出人不明だった。中を開けると、『ナチズムにおける権力の二重構造について エリック・ヤン・ハヌッセンに関する考察』という論文が入っていた。その論文には清家の名前があり、大学時代に書かれたもののようだった。
香苗は論文をすべてばらし、気になる箇所に蛍光ペンで線を引いていった。本当に清家の論文なのかと山中に尋ねられたが、香苗はまだわからないと答えた。ただ、論文を書いた人物がヒトラーの政治手法を賞賛しているのは確かだった。
将来の総理候補と呼ばれる男が実は危険思想を持っているとすれば、非常に深刻な事態だと山中は指摘した。この論文はヒトラーとハヌッセンについて書かれていた。諸説あるがハヌッセンはナチス・ドイツで暗躍したヒトラーのブレーンであり、今で言うメンタリストで、一時期ヒトラーを裏で操っていたとされる重要人物だった。この論文の最大のポイントは、ハヌッセンを肯定していることだった。
清家にとってのハヌッセンは鈴木ではないかと香苗は考えた。すると山中が、危険思想を持っているのは鈴木ということか?と尋ねる。大学時代の鈴木が清家にこの論文を書かせたのではないかとも考えた。しかし、いくら主体性がないとはいえ、大臣にまで上り詰めた男を一秘書が自分の思うがままにコントロールするのは無理ではないかと山中は指摘した。
【笑うマトリョーシカ】1話の結末
清家の定例会見が始まると青山に言われ、香苗はタブレットでその様子を見た。清家は新たな提言として親族里親制度の周知を徹底したいと述べ、その内容が自分が言ったことと全く同じであることに香苗は驚いた。
香苗はそこで考えた。もしも清家一郎という人物が、強い意思を持たない代わりに他人の意見を真綿のように吸収し、理想の人物を演じきる特別な才能を持っていたとしたら。その才能に気づいた者が彼を裏で操り、自分の野望を実現しようとするかもしれないと。
香苗は鈴木俊哉の野望について考えた。このまま清家一郎が強大な権力を手に入れたらどうなるのかと不安を抱いた。青山はこの論文を誰が何のために送ってきたのかを疑問に思い、山中は清家を潰すためではないかと推測した。しかし、青山はそれなら社会部に送るはずで、香苗本人に送る理由がわからないと言った。そこで香苗は会食の時に清家が最後に言った言葉を思い出した。「もしかして、SOSということ?だとすると、これを送ってきたのは清家一郎本人」と気づいた。
香苗は急いで外に出た。自分に助けを求めているのではないかと考えたのだ。その時、母から電話が入り、香苗の部屋がぐちゃぐちゃに荒らされていたことを知らされた。同時に謎の男が河川敷で盗んだノートを燃やしていた。
ノートの内容
遺されたノートはいくつかあり、元々取材していた時のものと、最近新たに書かれたノートがあります。全てを読み取ることはできませんが、わかったことをいくつか記載しておきます。
古いノートにあった内容
逮捕した官僚から押収したものの中に書類 建設大臣の秘書から 内容はBGスカイの株状況
関与した政治家は誰だ
政治家の関与はまちがいない。→官僚曰く30人以上はいる
特捜部はなぜ動かないのか?
新しいノートにあった内容
BG株事件
- 1994年に発覚した土地の利権が絡んだ贈収賄事件
- 1989年に不動産会社:ビッグガリバー社の子会社“BGスカイ”の未公開株が賄賂としてばらまかれた
- 未公開株の譲渡は、目黒駅周辺開発における目黒スケープトウルム地区建設予定の都有地を、ビッグガリバー社が鑑定価格よりも安く購入することを目的として行われた
- ビッグガリバー社長 宇野耕介は大蔵省理事局長に売却益1億円が見込まれた株の購入資金をBGスカイから融資。
理財局長は価格が急上昇した株を売却し、多額の利益を得た - 東京財務局の局員も未公開株を受け取り、店頭登録直後に株を売却
- 結果、ビッグガリバー社に便宜が働き、都有地売却交渉時に鑑定価格が7億2800万円のところ、1億2500万円で売却。さらに建設工事代金を水増しされた金額で契約された
宇野耕介:自殺
BG株事件に関与か
志和会に2億円の収支
政治資金報告書に記載なし
当時の会計責任者が行方不明
ビッグガリバースカイ BGスカイ社長岡本弘 フィリピンの建設会社を設立
妻:昌子
1994年5月 BG事件発覚 宇野が逮捕
8月 離婚
1995年6月 宇野耕介自殺
1996年3月 病死
長男:俊哉
1994年:苗字が鈴木に
1995年:東京を離れる
1994年当時
民和党・志和会(川村派)
川村茂(72)会長
諸橋育夫(47)
羽生雅文(40)
和田島芳孝(56)
2022年現在
民和党・清池会(羽生派)
羽生雅文(68)
諸橋育夫(75)
清家一郎(43)
原広重(53)
エリック・ヤン・ハヌッセンについての記載
エリック・ヤン・ハヌッセン。本名はヘルマン・シュタインシュナイダー。
ナチスドイツで暗躍したヒトラーのブレーンであり、今で云うメンタリスト。
ヒトラーを一時期裏で操っていたとされる重要人物。
1889年6月ウィーンに生まれる。父のジークフリートは旅芸人、母のアントニエ・ユリエは裕福な毛皮商人の娘。ともにユダヤ人。第一次世界大戦に従軍中に奇術パフォーマンスを披露するようになり、のちに知り合うアドルフ・ヒトラーお抱えの預言者、演説指南役として活躍する。ヒトラーの右腕的存在として知られ、とくに演説時における大きなジェスチャーなどはハヌッセンの指示によるものと言われている。ハヌッセンは、自ら大臣に就任し、国を操ろうとしたが、一連の動向に不安を覚えたヒトラーによって妻とともに43歳で暗殺された。
その生涯はいまも多くの謎に包まれている。
【笑うマトリョーシカ】1話の感想
父が死ぬ直前に会おうとしていた人物について調べていると、より深い闇が見えてきたという話でした。
清家と鈴木が実は何をしようとしているのか、現時点では全く分かりません。鈴木は父を政治家に殺されたようなものだと恨みを抱いている可能性があります。一方、清家は父親は政治家ですが、正妻の子供ではないようです。こちらも恨みを抱いている可能性がありそうです。
単なる2人の復讐話ではなく、もう少し世間に対しての悪意もありそうな雰囲気です。それは清家が書いたのかもしれない論文の存在です。清家がもし総理大臣になったとしたら、鈴木と一緒に恐ろしいことをする可能性があります。
ただ、歴史と同じなら、鈴木は恐らく清家の命令によって殺害されてしまうのかもしれません。今後の展開が楽しみな政治ミステリードラマです。