【海に眠るダイヤモンド】8話のネタバレと感想をまとめています。
採炭を停止したことで端島から去る人も増え、鉱員たちの気力も削がれていた。鉄平は新たな石炭層を掘り当てることで、端島の復活と朝子との恋愛を成就させたいと願うが……。
【海に眠るダイヤモンド】8話のあらすじ
採炭が停止して4ヶ月、約2000人が端島を去った。新たな石炭層を求め、会社は採掘を始める。しかし石炭層には中々到達せず、鉱員たちのやる気は日に日に削がれていった。
島の状況が暗い中、鉄平(神木隆之介)は朝子(杉咲花)と時折長崎に行ってデートをしていた。鉄平は朝子に島が復活したら、その時は必ずと約束をする。
夫である進平(斎藤工)を失ったリナ(池田エライザ)は、病にかかった幼子の誠(小林昌樹)を連れて長崎の病院へ行く。しかし、健康保険証もなく、それどころか出生届も出していなかった。そこで鉄平が協力をすることにし……。
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【海に眠るダイヤモンド】8話のネタバレ要約
進平を失っただけでなく、一平の病状も悪化する。母は鉄平にリナと一緒になれと言うが、鉄平は朝子がいるので戸惑う。
リナが出生届も婚姻届も出していないことを知った鉄平は、何とか出生届を出した。
朝子は結局、鉄平ではなく店の料理人と結婚したという。
端島の古いフイルムを持つ人物に連絡すると、それは賢将と百合子の子供だった。
【海に眠るダイヤモンド】8話の詳細なネタバレ
眠る端島
採炭が停止してから四ヶ月が過ぎた。事故の直後、北海道や他の炭鉱への配置転換が行われ、約400名が島を去った。希望退職者も多く、合計で約2000人が端島を離れた。
その中には鶴岡(生田俊平)の姿もあった。彼は静かに荷物をまとめ、仲間たちに別れを告げた。金太(阿部亮平)と銀太(羽谷勝太)も同じように、重たい足取りで島を後にした。かつて笑い声が響いた鉱員宿舎の一角は、静寂に包まれた。
映画館も変わり果てた。娯楽の中心だったその場所は、テレビの普及により成人映画専門の上映館へと転向せざるを得なくなり、大森(片桐はいり)も島を離れる決断を下した。見送りの場で百合子(土屋太鳳)と町子(映美くらら)が大森に花束を渡し、感謝の言葉を述べた。町子自身も来週には諫早へ帰ることが決まっていた。
「映画は死なん、端島も死なん」と大森は力強く言い残し、遠ざかっていった。
一方、端島の地下650メートルの層はすでに水没し、もはや回復の見込みはなかった。しかし、島は新たな挑戦を始めていた。目指すは三ツ瀬区域。端島の南西3キロに浮かぶ岩礁の下には、まだ手つかずの石炭層が眠っている。
島の復活を賭け、鉱員たちは昼夜問わず岩盤を掘り進んだ。しかし、いまだに石炭層には到達できず、徒労感が心を蝕む。期待と不安が交錯する中、やる気とプライドが静かに削られていった。
日々増える喧嘩、疲労がにじむ顔、沈む視線。それでも端島はまだ息をしている。誰もがそう信じた。まだ、島は目覚めていないだけだと。
悲願
一平(國村隼)の肺はすでに限界に達していた。医者の診断は厳しかった。両肺とも肺炎を起こしており、進行性広汎性線維化病変が見られる。これは炭鉱夫特有の塵肺症の患者の中でも、ごく一部にしか現れない深刻な症状だった。医者は治療法がほとんどないと伝え、せめてたばこを控えるようにと忠告した。隣で聞いていたハル(中嶋朋子)は、涙をこらえきれなかった。
爆発事故で命を落としたのは2人。最初の爆発で重度のやけどを負った職員、そして兄の進平(斎藤工)だった。一酸化炭素中毒で倒れた彼は、最期まで仲間を助け続け、端島の未来を信じていた。その姿は、今もみんなの記憶に深く刻まれている。
リナ(池田エライザ)は深い憔悴に沈んでいた。赤ん坊の誠(小林昌樹)が泣くたび、「この子、進平さんの顔も覚えてないのよ」とこぼす姿は見る者の胸を締め付けた。荒木家にとって、誠の存在だけが唯一の救いだった。
端島にはまだ3000人の人々が残っていたが、彼らの生活は厳しさを増すばかりだった。銀座食堂でも昭吉(谷川昭一朗)の具合も悪くなり、虎次郎(前原瑞樹)が店の厨房を任されるようになった。
ある日、朝子(杉咲花)は「明日、長崎に行くから店を頼む」と言い残し、翌朝船に乗り込んだ。彼女の隣には鉄平(神木隆之介)の姿もあった。2人は何かを隠すようにこそこそと話していた。
「今の状況でデートなんて浮かれてる場合じゃなか」と朝子は思いつつも、長崎の街でのひとときは心の支えだった。銀座食堂で食事をし、鉄平は「銀座食堂の味が一番うまい」と笑顔を見せた。
次に2人はガラス細工のギヤマンを見に行った。朝子はそれが大好きで、展示を目を輝かせて眺めた。「ダイヤの指輪より、ギヤマンが欲しか」と照れくさそうに語る朝子の表情は、鉄平の心に深く焼き付いた。
夕方、帰りの港で2人は静かに話した。鉄平は真剣な顔で「ダイヤモンドもギヤマンも買えるかわからないけど、端島が復活したら必ず」と約束し、指切りを交わした。
端島の復活。それは彼ら2人にとってだけではなく、島民全員の切なる願いだった。端島はまだ眠っている。けれど、目覚める日を信じて、彼らは希望を捨てなかった。
ドブいしクズい
いづみ(宮本信子)は脳神経外科の診察を受けていた。和馬(尾美としのり)に連れられて、不安げな表情を浮かべながら診察室を出る。家に戻ると、ミカエル(内藤秀一郎)が現れた。ライト(西垣匠)を脅してここへ連れてきたという。
「遺産をもらえるかもしれない」と玲央(神木隆之介)は必死に言い訳するが、ミカエルは耳を貸さない。「50万、持ってこい」と冷たく言い放つ。その場面を見ていた星也(豆原一成)は戸惑った様子で、「本当に返さないといけないの?店におかしなとこ、ないの?」と尋ねる。
その時、いづみがやってきた。一緒にファミレスで話し、端島の昔のフィルムをオークションで落札したことを打ち明けた。「少し怖いのよ。いいことばかりじゃなかったから…」と過去の記憶に怯えるように呟く。
同じ頃、澤田(酒向芳)は玲央に和馬の動向を警戒するよう告げる。「彼は何か良からぬことを企んでいるかもしれない。協力してくれ」と頼み、玲央は真剣な表情で頷いた。
玲央は和馬をアイリ(安斉星来)のいる店へ連れて行った。澤田もその場に現れ、「水を水で割ってください」と頼む奇妙な行動で和馬の気を引く。焦り出した和馬は逃げようとするが、玲央と澤田に押さえ込まれる。
澤田は和馬が認知症のテストを受けさせた事実を指摘した。「認知症なら社長を解任できるからでしょう。個人病院の院長は雅彦さんの学友でした」と非難する。
観念した和馬は「母親が自分の子供を訴えたりしないと思った。姉が考えたんだ、やっちゃえば何とかなるって…」としぶしぶ口を開いた。「会社のためには、母さんが社長を辞めたほうがいいと言われて」と消え入りそうな声でつぶやく和馬に、澤田は「こんな卑怯な手を使うとは…見損なった」と言い放った。
その間、アイリは静かに話す。「この店、今月で辞めるの」と言い、虚ろな目で笑った。「もう何もないんだよね。ミカエルしかいない…」
彼女の言葉が玲央の胸に突き刺さった。「通うのをやめようとしてたのに、引き止めたのは俺だ。言われるままに協力して…実行したんだ…」自責の念が玲央を締め付ける。「あんたと同じ、俺もドブいしクズいね…」と呟く。
ふと、玲央の頭に鉄平の姿が浮かぶ。「鉄平だったら、どうしてたんだろう…」その問いが、玲央の心に重くのしかかった。
妊娠と不安
誠の熱が下がらず、医者の指示で長崎の病院へ行くことになった。母は心配そうに、「リナといっしょになれ。リナと誠だけじゃ不安だし、私たちもいつどうなるか…誠は進平のたった一人の子供だから」と鉄平に訴えた。
鉄平はメガネに立ち、進平の面影を思い浮かべながら考え込む。その時、賢将(清水尋也)がやってきた。「父さん、4月から東京に行くことが決まったよ。でも俺と百合子は残る」と話す。だが、「石炭が出なければ、結局みんな解散だ」と苦笑する賢将。
一方、百合子は朝子と話していた。「海水を抜くのが難しい場所なら、諦めることもある」という百合子はふと、「着炭と着床…響きが似てる」と呟いた。朝子は百合子が妊娠したことを知り、素直に喜んだ。
家に戻った百合子は「昔のことは話してないわよ。墓場まで持っていくつもり」と語る。だが、子供を持つ覚悟は固めていた。「賢将が集めてくれた資料を全部読んだわ。被爆した妊婦には影響があったけど、その後に妊娠した場合には影響は見られなかった」と説明する百合子。だが、「10年先、20年先の未来はどうなるか誰にもわからない」と呟く。
賢将は静かに百合子を抱きしめ、「つまり、神様にだってわからないってことだ」と囁いた。
一方、長崎の病院では、誠の診察が行われていた。だが、受付で健康保険未加入であることを指摘される。「端島では鷹羽の付属病院で無料だったんです」と鉄平が話す。役場で加入手続きをするように言われたが、リナは焦って札束を出した。その様子に鉄平は思わず絶句する。
リナは涙ぐみながら「なんで進平さん、死んだのよ…」と声を震わせた。鉄平は彼女をなだめながら、「手続きしに行こう」と提案するが、リナは「誠の出生届がない」と告白する。「端島にいる分には問題なかったけど、この子が学校に行くまでには何とかしようと進平さんと話していたの」とつぶやいた。
「婚姻届は?」と尋ねる鉄平に、リナは首を振る。鉄平は静かに頷き、役場に行って誠の出生届を出してきた。その足で再び病院に戻り、「健康保険証が発行されたらすぐに持ってきます」と約束した。誠の命を守るため、鉄平は全力で動き続けた。
朝子の夫
朝子は「石炭が出ますように…」とつぶやき、かつての夢と希望を思い返した。その思いは時を超え、現代のいづみと重なっていく。
いづみは最近の出来事に疲れ、「自分がボケているのかしら…」と不安を吐露する。しかし澤田は毅然と言い放った。「社長、認知症に仕立て上げられそうになっています。警戒してください」子供たちに邪魔者扱いされていることを嘆くいづみは、「裏切られるのは慣れてるもの」と、寂しげに笑う。
澤田は納得していなかった。「私は何もできないなんて思いたくないし、そうありたくもないです」玲央にぼやいていた。
鉄平のノートの最後の一冊には、リナと誠のことばかりが書かれていた。しかし、ページのいくつかは黒く塗りつぶされ、時には切り取られていた。まるで何かを隠すための改ざんのようだった。
「心変わりしたと思わせるために誰かが改ざんしたんだ」と玲央は推測する。「鉄平と朝子を引き離したいと思う誰かが、犯人だ」
いづみの亡くなった夫は、端島で働いていた料理人、池ヶ谷虎次郎だった。鉄平がリナと長崎へ頻繁に行くのを虎次郎は面白く思っていなかった。朝子もその態度には納得がいかなかったが、「余計なことは言わないで」と虎次郎に忠告した。
いづみは古びた結婚式の写真を手に取り、「昔のこと思い出しちゃった、虎さん」と呟いた。
その頃、いづみはちゃんぽんを作っていた。和馬は端島生まれで「ちゃんぽんは親父が作ったのを食べた」と懐かしそうに語った。
「虎次郎が鉄平の日記を改ざんしたのなら、ヤバい」と焦る玲央。しかし、なぜいづみがそんな虎次郎と結婚したのか疑問に思い、「なぜ結婚したの?」と尋ねると、いづみは微笑んで答えた。
「虎さんは真面目で優しかったのよ」
笑って生きる
いづみは会社の会議室に立ち、静かな決意を胸に話し始めた。「この会社を興したのは私が48歳の時でした。最初は友人に援助してもらって、小さな庭専門の会社から始めました。それが軌道に乗って、屋上緑化事業にまで手を広げることができたんです」彼女の声にはこれまでの苦労と誇りがにじんでいた。
そして次の瞬間、「この会社を売却します」と発表した。その場が一気にざわついた。鹿乃子(美保純)が「今すぐ解任の手続きをしましょう!」と声を荒げると、いづみは静かに微笑み、「やぐらしか。文句があるとやったら、自分で好きな会社ばつくればよか」と長崎弁で一蹴した。
和馬は黙って医者の診断書を差し出し、その場で破り捨てた。紙片が舞う中、笑みを浮かべながら、「さっぱりした」と言い放った。
玲央は全速力で「ももいろAngel」へ向かった。エレベーターに乗ろうとするアイリの腕を掴み、「友達になって、俺と。俺のせいで切れちゃった友達…その友達の代わりに言わせてほしい。やめよう、もうやめよう」と切実に訴えた。
アイリは困惑し、「どうしたの、今更…」と手を振りほどこうとした。しかし玲央は諦めなかった。「笑いたいんだよ。本気で笑って、生きたいんだ」と力強く言った。
その足で店に入り、書類の写真を撮る玲央。そこへミカエルが現れ、「金持ってきたのか?」と不敵に問い詰める。
玲央は抵抗する。「生きてて楽しいんすか、ミカさん。俺、楽しくないんですよ。ここで騙して騙されて、それいつまで続けるんですか?いつ死ねるんですか?」
彼は拳を握りしめ、「思い切り笑って、誰かのために泣いたり、幸せになってほしいって祈ったり…石炭が出てほしいって心の底から願ったり…俺だって、ダイヤモンドが欲しいんです!」と叫んだ。その瞳には熱い決意と希望が宿っていた。
端島の復活
ついに石炭が出た。三ツ瀬の四枚層、掘削距離2345メートル。端島が再び息を吹き返した瞬間だった。
街中にサイレンが鳴り響き、人々は歓喜の声を上げて外へ飛び出した。鉱員たちは仲間と抱き合い、力強く拳を突き上げた。「石炭が出たぞ!」その叫びは夜空にまで届くようだった。
朝子と百合子も笑顔で手を取り合い、涙ぐみながら喜んだ。「やったわ…!」と声を震わせる朝子。その表情には希望が輝いていた。
鉄平はその知らせを聞いて、夢中で現場へと走った。足が地面を蹴るたびに胸が高鳴る。「端島が生き返る!」息を切らしながら駆けつけると、鉱員たちが誇らしげに手にした黒い塊――石炭を掲げていた。
「これで一平も元気になる!」西村(池下重大)が目を輝かせた。進平を思い出し、静かに感謝を口にする者もいた。
その頃、病院のベッドで横たわる一平のもとへ、ハルが駆け込んだ。「石炭が出たよ!出たんだよ!」その言葉を聞き、一平は目を閉じ、こぼれる涙を隠そうとした。「出たか…やっと、出たか…」
一方、玲央とアイリは息を切らしながら警察署へと駆け込んでいた。玲央は必死に警官に証拠のデータを差し出した。「ホストクラブが風俗に斡旋して、バックマージンを取っている証拠です!」声に力を込める。
警官がデータを確認する間、玲央は続けた。「俺も店に協力してました…だから逮捕してください」覚悟を決めた表情だった。
隣でその言葉を聞いたアイリは思わず涙ぐんだ。「ごめんね…」玲央は静かに笑ってアイリを見つめた。
石炭を手にする鉄平の顔には、喜びと誇りが溢れていた。「端島の復活だ!」その声に応えるように、鉱員たちの歓声が再び上がった。未来への希望が、熱い涙とともに彼らの胸に満ちていた。
【海に眠るダイヤモンド】8話の結末
玲央は警察署の外で肩を落としていた。「逮捕されに来たのに、とりあえず帰れって…」と苦笑する。その時、いづみが静かに迎えに来た。
「心配したのよ」と声をかけるいづみ。その目はどこか遠くを見ているようだった。「端島が復活したら、必ず。そうい言ってたんだけど、行ってしまった」と懐かしむようにつぶやいた。
かつて、鉄平は船を漕ぎ、リナと誠を乗せて端島を後にした。その後、彼らが島に戻ることはなかった――まるで運命が別の道を選ばせたかのように。
落札した端島のフィルムがキャンセルされたという知らせが入った。子供が勝手に出品していたらしい。玲央は失望の表情を浮かべたが、電話の向こうの相手は思いがけない返事をした。
「どうしても見せてもらえませんか?調べ物をしているんです」千景(片岡凜)の真剣な声に、相手はしばらく沈黙した後、「そういうことなら…」と応じた。その名は古賀孝明(滝藤賢一)両親がかつて端島で暮らしていたという人物だった。
古い写真立てには、百合子と賢将、そして3人の子どもたちが並んでいた。その姿は、時間を超えて変わらぬ家族の絆を語っているかのようだった。
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【海に眠るダイヤモンド】8話のまとめと感想
端島は新たな石炭層を掘り当てて復活するが、鉄平はリナと島を出て行ってしまうという話でした。
色々話が詰め込まれている回な上に、明確な説明がないので分かりにくい部分があります。恐らくリナと鉄平が入籍して、2人の子ということで誠の出生届と保険証を取得したと思われます。つまり、鉄平は朝子とは結婚できなくなったのではないか。
ただ、すぐに籍を抜いて朝子と結婚すればいい気もしますが、鉄平のことなのでそうしなかったのかもしれません。いずれにしても、荒木家は子供を失い過ぎました。その思いが鉄平の決断にも繋がった気がします。
次回が最終回ということですが、色々な謎が残ります。2時間で端島復活からの閉山までを描き、現代の話も完結させる必要があります。
綺麗にまとまらなくてもいいですが、玲央が何者なのかぐらいは、明かしてから終わって欲しいものです。
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