WOWOWのドラマ【トッカイ~不良債権特別回収部~】3話のネタバレと感想をまとめています。
今回からトッカイでの回収業務が始まります。母体行組と旧住専組との対立がある中で、まずはどれだけ不良債権があるのかを洗い出しました。回収に立ちはだかるのは反社会勢力だけでなく、それぞれの心の中に“覚悟”があるかどうかでした。
【トッカイ】3話のあらすじ
住管機構大阪特別整理部の特命班の班長である柴崎(伊藤英明)は、集められた旧住専組の社員と母体行組の社員との間にある溝に悩まされていた。旧住専組の葉山(中山悠馬)を挑発する母体行組の塚野(萩原聖人)の2人は度々衝突をしていた。
その頃、悪質債務者の金丸(イッセー尾形)は初公判で不敵な笑みを浮かべていた。同じく悪質債務者の仁科(仲村トオル)も帰国し、次なる金儲けの手段を模索していた。
自宅に戻った柴崎は東坊(橋爪功)から届いた手紙に目を通す。他の社員たちの元にも送られていた手紙、感銘を受ける者もいれば冷めた目で見る者もいた。
大蔵省で不破(団時朗)と二階堂(佐野史郎)と話をしていた東坊は、新たな規制緩和をしている彼らに呆れて帰る。不破は好きに言わせておけばいいと、住管機構自体、国民に対する単なるポーズに過ぎないからだった。
担保物件を直接調査しに行くと、実際は空き地だったり廃ビルだったりするものもあった。その中に占有者がいるせいで売却もままならない物件があった。柴崎が直接話をするが相手は暴力団で、命の心配をするよう言われる始末だった。
住管機構は矛盾だらけだった。母体行は探りを入れろと柴崎に命じて、住管機構よりも先に回収しようとしている。悩んだ柴崎は直接東坊と話をするが……。
【トッカイ】3話のネタバレ
3話のネタバレは3つです。
- 不協和音
- 立ちはだかる壁
- ドラマの結末
結論から言うと、悩んだ柴崎は東坊に考えが甘いと怒られ、覚悟がないなら銀行へ戻れと突き放されます。
ドラマラストの東坊の長セリフはバブルが弾けてもなお、以前と変わらぬ考えを持つ人たちへの警鐘のようでした。前途多難のトッカイがどうなるのか?
1.不協和音
塚野はやる気など最初からなかった。2年我慢して母体行に戻った時、前にいた部署よりいい部署に戻るという野心があるだけだった。住専組の人たちを馬鹿にし、奴らと自分は違うと無駄に高いプライドだけ持っていた。当然、血気盛んな葉山と衝突し柴崎は頭を悩ませた。
葉山は住専で働いていた時、金丸興産の件で検察に1週間も聴取を受けて辛かった。いつか金丸にこの借りを返してやると、トッカイでの活動に熱を入れていた。
多村は矛盾を感じていた。15年で回収を目指し、その後再び無職になってしまうのに、回収するために働く意味があるのかと。3人の子を抱える岩永は今仕事があるだけマシだと考えていた。
柴崎は彼らを何とかまとめようと模索しながら、着々と回収への下準備を始めていた。まずは不良債権がどれだけあるのか、債務者ごとに金額を弾き出す。その後、担保の調査を直接行って確かめるという作業を始めた。柴崎と塚野は旧住専の融資担当をした人たちにヒアリングをすることにした。
東坊社長から社員へ手紙が届く。内容は旧住専社員を労う言葉、みんなが頑張れば国民に新たな負担を強いずに済むという激励、そして自分は死に場所をここにしたという決意だった。感銘を受ける者が多い中、塚野はそんな浪花節に辟易としていた。
やがて全て洗い出しが終わり、全容が解明された。86グループ約200社、総額およそ2兆1000億円の不良債権があった。大阪特整には約100人の社員がいて、1人あたり210億円の債権を背負わされている計算だった。できるわけがないと、塚野は柴崎にはっきりと告げた。
不安な状況の中、トッカイが始動する
2.立ちはだかる壁
担保物件を調べに行っていた部下たちからの連絡で柴崎はあるビルへ向かった。そこは既に担保として売却する予定の場所にも関わらず、暴力団のフロント企業が事務所として使って占有していた。強面な組員たちに脅されて怯む部下たち、柴崎は冷静に話し合いを持ちたいと願い1人で事務所に入っていった。
組長と対面した柴崎は怯まず退去してもらえないかを願う。だが、組長は話を聞いているのか、マッチに火をつけては柴崎に向かって投げ捨てることを繰り返した。やがて、お引取りをと言って帰される柴崎、去り際に金を返すよりも人を殺す選択をする者がいるから気をつけろと脅された。
自宅に戻った柴崎は妻から妙な話を聞かされる。銀行の婦人会の間では、柴崎は心の病で長期休暇を取っていることになっていたのだ。驚いた柴崎は銀行に行って人事部の重信と話をする。すると、住管機構がどんな組織か分からないので銀行としては隠したいようだった。
その上、住管機構が取り立てる債務者の情報を流すよう迫る。なぜなら、銀行にとっても重複する債務者だったからだ。住管よりも先に銀行が取り立てに向かおうと企んでいた。住管への背任行為にあたると言う柴崎だが、銀行への忠誠心を見せろと重信は強要してきた。
占有者が担保に居座っている上に、銀行は住管よりも先に回収しようとスパイ行為を命じた
3.ドラマの結末
柴崎は悩んでいた。旧住専組の部下たちと出向組との意識の差を。塚野に銀行へ報告をしているのかを問うと、当然だと彼は答えた。「バブルのツケを払うために死ぬなんて、犬死もいいとこでしょ」と言う塚野に、柴崎は思わず胸倉を掴んでしまう。古賀の死を侮辱されたような気がしたからだった。しかし、すぐに離して謝罪をした。
悩んだ末に柴崎は東坊へ会いに行く。住管機構は大丈夫なのか?と単刀直入に切り出した。東坊は社長にと打診された時から、与えられた駒しかないのを承知で引き受けたと言う。旧住専組の社員はいっぺん盤上から弾かれた駒であり、回収にはうってつけだと自身の考えを話す。それを聞いた柴崎は「彼らは駒じゃない」と反論した。すると、東坊はそんな甘い考えではもう立ち行かない状況だと、そんなことも分からないのかと怒った。
なぜなら東坊には確固たる思いがあった。
- サラリーマンが家族を作り、持ち家を買ったら一生安泰という時代は終わった
- いい会社に入って一生その会社のために尽くす、という時代は終わった
- バブルがかつての価値観を全て壊した
- そんなものは幻想で簡単に壊れるものだとバブルが教えた
- 悪質債務者だけでなく、彼らを野放しにした銀行・大蔵省・政治家の全てと戦う
- 住管機構は矛盾した人間の集まりだが、ここが最後の砦
これは戦争だと東坊は宣言する。そして、最後の一円まで死に物狂いで回収する、その覚悟がないなら、元いた銀行にさっさと帰れと柴崎を突き放した。
住管機構は悪質債務者・銀行・大蔵省・政治家たちとの戦争だと東坊は考えていた
【トッカイ】3話のまとめと感想
社員たちともうまくいかず主人公も悩み始めてしまい、問題山積みな住管機構のスタートでした。
塚野はこれでもかというぐらい嫌な男で、社員たちの和を乱しまくります。住管を踏み台にして銀行でいい椅子を手に入れることしか頭にないため、手伝わないどころか銀行に情報を流すという酷さです。他にどこも行くところのない旧住専組と、帰るところがある出向組の対立が深まるばかりです。
柴崎も熱い思いはあるものの空回りして悩み、東坊に話をしに行ったら返り討ちにあうという状況です。大義のために死ぬことができるのか?という覚悟を問われ、ないのなら去れと突き放されます。名もなき兵士として兵を率い、密かに散る。現代でそんな覚悟を持てというほうが、難しい状況に迫られます。
バブル後も現実に目を向けられない人々へ、東坊が痛烈にダメ出しをしてくれました。いまだに長期ローンを組んで家を建て、会社に忠誠を誓い一生面倒をみてもらおうと考えている人たちに向け、そういう時代は終わった、幻想だとはっきり言い切ります。
今後の展開予想として、古賀の無念を晴らしたい、その思いを胸に柴崎は退路を断つのか?そして犠牲者が出てしまうのか?人を殺すこともいとわない連中相手に、どこまで奮闘できるのかに注目です。