WOWOWで放送している【セイレーンの懺悔】もいよいよ最終回を迎えます。
前回逮捕された4人が犯人かと思ったら、真犯人が最終回で明らかになります。
なぜ、殺したのか?そしてマスコミの使命とは何か?
【セイレーンの懺悔】最終回のあらすじ
関連会社に出向を命じられた朝倉多香美(新木優子)だったが、里谷太一(池内博之)が彼女の責任を取って異動になり、多香美は残留することになった。
警察の発表の場に向かう多香美、そこで聞かされた内容に疑問が残っていた。同じように宮藤賢次(高嶋政伸)もまた事件は終わっていないと感じていた。
東良綾香(川島鈴遥)の直接の死因は首を絞められたことによる窒息死だが、逮捕された4人は首を絞めていないと供述していたからだった。
綾香が殺害された動機は他にあるのではないか?そう考え被害者遺族周辺の聞き込みをする。
一方、宮藤は現場に落ちていたパチンコ玉の鑑定結果を見て確信する。
多香美は殺害現場へ向かい、そこに現れた人物に直接疑問をぶつける。
【セイレーンの懺悔】最終回のネタバレ
最終回のネタバレは3つです。
- 真犯人の動機
- 罪なき罪
- ドラマの結末
結論から言うと綾香殺害犯は父親の伸弘です。
なぜ、彼は綾香を殺害したのか?さらに犯人逮捕後も続く話がやるせないです。
1.真犯人の動機
ジャパンテレビの父親に対する独占インタビューを見て、多香美は違和感を覚えます。
それは、綾香のスマホの待ち受け画面のことを伸弘が知っていたからです。
以前、母に話を聞いた時、綾香はスマホを誰にも触らせなかったと言っていました。
それなのになぜ伸弘は待ち受け画面のことを知っていたのか?
見つからないスマホを彼が持っているのではないか?と、多香美は考えて賭けに出ます。
殺害現場で以前も父親に会った多香美、今回も行ってみるとまた伸弘は何かを探しています。
一旦は隠れて伸弘が出て行った後、彼が探していた辺りを確認すると、なんと伸弘が戻って来ました。
多香美は逃げるのではなく、疑問点を正直にぶつけます。
そして、綾香を殺害したのはあなたではないのか?と投げかけると、キレた伸弘は多香美を殺害しようと追いかけて首を絞め始めました。
そこに宮藤が現れて殺人未遂の現行犯逮捕します。
多香美はここに来る前に宮藤に連絡し、自分に危害が及ぶまで待機していて欲しいと告げていたのです。
あの日、綾香と伸弘の間に何があったのか?当時のシーンが挿入されます。
- 伸弘は教材のセールスをやっていたが売れない
- 会社を辞めたいと妻に愚痴る
- 綾香は父や母に対して罵詈雑言を吐く
- 事件の日、綾香から自宅に電話が入る
- 伸弘が綾香を助けに向かう
- しかし、綾香は父親を罵る
- キレた伸弘が綾香の首を絞めて殺害
- 4人が戻って来たのを見てスマホを拾って隠れる
綾香は再婚した母もですが、働きも悪い再婚相手の父親に対しても普段から罵っていました。
近所の人が同情するぐらい、父親は暴言を吐かれていたそうです。
助けに来た父に対しても綾香は「寄生虫」と罵り、とうとうキレた伸弘が首を絞めて殺したのです。
現場に何を捜しに来ていたのかというと、パチンコ玉だったと言います。
普段からパチンコ三昧の伸弘は、耳栓代わりにパチンコ玉を使っていました。
それが、なくなっていることに気づき、捜しに来ていたのです。
結果的のこのパチンコ玉から指紋や耳垢が検出され、伸弘は娘殺害について自供します。
ここまで見ると綾香の自業自得に見えますが、このドラマはまだ続きがあります。
助けに行った伸弘が綾香の暴言にキレて殺害した
2.罪なき罪
真相が分かったところで、宮藤と一緒に多香美は母親の律子の所へ向かいます。
なぜ伸弘が殺害したのか?紛失していた綾香のスマホの履歴を見て考えた、宮藤の見立てはこうです。
- あの日、自宅にかける前に母親に24回も電話した
- しかし、母は電話を無視した
- その後、綾香は自宅に電話をする
- やってきた父親に暴言を吐いた
やってきた父親に暴言を吐かなければ助かったのに、なぜ綾香は暴言を吐いたのか?
最愛の実父をなくし、学校でいじめにあい、唯一の仲間から暴行を受け、たった一人の味方と頼った母親も電話に出ない。そんな境遇の綾香。
それは、母親に助けを求めて電話をしたのに出てもらえなかったことで、裏切られたと絶望したからです。
なので父親へと絶望を向け、結果的に殺害されます。
なぜあの日、母親は電話に出なかったのか?
それは日々の生活に追われ、余裕がなかったからです。
- 朝6時に家を出て夜9時まで働き、週に4回は深夜勤務で休みもない
- 再婚してから綾香はスマホをいじるだけで部屋に閉じこもる
- 愚痴を零したくても夫は5歳児のようなたわ言を繰り返す人物で、相談しても通じない
- 学校から出席日数が足りないとか、疲れて帰ってきた身には堪える
そんな母親はあの日の電話をなぜ出なかったのかと問われ「どうせろくな用じゃない」と語ります。
娘の電話に出なかったことは何か罪に問われるのか?と問う母に、いいえ裁く法律はありませんと宮藤は答え、「それならよかった」と彼女は言います。
母親との話を終えて外に出た多香美は、思いっきり慟哭しました。
母が電話に出なかったのは受け止める余裕がなかったから
6.ドラマの結末
母と綾香にこのことを報道させて欲しいと頼みますが、犯罪ではないため渋られます。
多香美は犯罪ではないからこそ報道でやる意味があると頼み、母親だと分からないようにするならいいとオッケーをもらいまそた。
アフタヌーンジャパンに多香美自身が直接出演し、母親と綾香にあった話をします。
- SOSを受け止める余裕がその人物にはなかった
- 非難をするための報道ではない
- 犯人や動機よりも被害者の思いが大事だ
- どんなに悲惨でもそれを伝えるのが報道の役目
と、今回綾香と母の間にあったことを伝えます。
そして、多香美は誤報について謝罪をし、自分の思いを視聴者へ伝えます。
- 同じ過ちや悲劇を繰り返さないために道しるべを探して伝える
- マスコミ自体も絶えず組織と自分を疑い、権力におもねることなく律する覚悟が必要
- 視聴者から退場を命じられるまで、小さな声なき声を報道し続ける
と、多香美はマスコミのあり方を世間に向けて発し、ドラマは終わります。
誤報を謝罪し、マスコミのあり方を表明する
【セイレーンの懺悔】最終回のまとめと感想
綾香を殺害した真犯人は父親の伸弘でした。
その裏側には日々の生活に追われ、余裕のなさが生み出した悲劇がありました。
誰が一番悪いのかと言えばもちろん伸弘です。働かずに妻の稼ぎに依存し、挙句綾香を殺害します。
そうなると、なぜこんな男と母は結婚したのか?と思いますが、出会った当初はまともだったのかもしれません。
しかしその後、何がどうしてか働かなくなり、娘には寄生虫呼ばわりされます。
綾香は綾香で新しい父親を受け入れることができず、学校でのいじめや仲間からのリンチにあいます。
働きづめでくたくたの母親は、そんな2人の相手をしている余裕もありません。救助の電話を無視した結果、娘は殺害されました。
マスコミの話がメインなのですが、最終的に一番印象に残るのは被害者家族のことでした。
いったい何が悪かったのか?世間のせいか、夫婦や娘のせいか、環境のせいなのか?
ただ一つ言えることは、人間は余裕がないとどんどん悪い方向へ転げ落ちていくんだなと、ドラマを見て感じました。
それは金銭でも精神でも体力でもですが余裕がないと不幸が不幸を呼び、このドラマのように最後には絶望してしまうのかもしれません。
個人的に印象に残ったシーンは、母親が罪に問われないと知り、「それならよかった」と言ったシーンです。
色々と背負ってきた荷物を下ろすような、言葉は不謹慎なのに“家族”という呪縛からの解放感が現れていました。
終わり方も淡々と進んでいくので、勧善懲悪のスッキリした話ではありません。
ある意味視聴者に倫理観や生き方を問いかけてきます。視聴を終えた後に色々考えさせられる内容です。
そういったドラマが好きな人にはオススメですが、気軽に見てスッキリしたい人には向かない内容となっています。