WOWOWドラマ版【シャイロックの子供たち】1話のネタバレと感想をまとめています。
1話は西木が失踪する1ヶ月半前の話で、ある行員が副支店長に暴行を受けてしまいます。その背後に隠されていたのは彼なりの復讐でした。
【シャイロックの子供たち】1話のあらすじ
西木雅博(井ノ原快彦)が失踪する1ヶ月半前、各部署が業績の報告をする朝礼で異変が起きる。副支店長の古川一夫(萩原聖人)は融資課が業績が悪いことを叱責した。同部署の小山徹(森永悠希)はその場で古川に反論した。キレる古川だが開店時間となり一旦は収まった。
西木は普段とは違う様子の小山を気にかける。何か他に理由があるのではないかとたずねるが、小山は何も答えなかった。
やがて古川が融資課に対して業績が悪いことを理由に絡み始める。小山は再び叱責されるが一歩も引かなかった。それにキレた古川が小山を突き飛ばしてしまい、倒れこんだ小山は頭を打ってしまう。西木が心配して駆け寄るが、小山はその場を立ち去った。
後日、小山は警察に被害届を出すと言い、慌てた古川が西木と一緒に謝罪に向かうが……。
【シャイロックの子供たち】1話のネタバレ
小山がなぜ古川に復讐しようと思ったのか?その理由は西木がやられたことと同じでした。
静かなる怒り
朝礼で投資信託の販売目標が達せられていないと、副支店長の古川一夫(萩原聖人)は苛立っていた。営業部の西木雅博(井ノ原快彦)は話の最中にあくびをしてしまう。すると古川はキレて西木を叱責する。西木は大人しくし謝罪をした。
さらに怒りの矛先は融資部へ向かう。一番業績が低かったからだ。同部署の小山徹(森永悠希)に対し、古川は怒りをぶちまける。だが小山は現状の投信は客のためにならないと毅然と反論する。普段とは違う小山の反応に古川は一瞬怯む。言い返そうとした矢先、開店時間となり一旦はその場は収まった。
いつもの小山と様子が違うことを察した西木は、昼休憩の時に声をかける。以前から一緒に釣りに行ったりする仲だった西木は、釣りの話をするついでになにげなく「何かあった?」とたずねる。小山は「色々あったんです」と言うだけで、それ以上語ろうとしなかった。休憩室に古川がやってくると、小山は逃げるように去ってしまった。
事件発生
西木は偶然通りがかりに、業務課の滝野真(加藤シゲアキ)が5000万の契約を取った話を耳にする。皆が拍手を送るように西木も拍手した。聞きつけた古川が滝野を褒める反面、同じフロアにいた小山に絡みだす。朝のこともあって執拗に絡み続ける古川だが、小山は負けじと反論を続けた。
やがてキレた古川は小山を突き飛ばしてしまう。その場に小山は倒れこみ、頭を床に打ち付けてしまった。それを見ていた西木は急いで駆け寄り心配する。小山はその間、古川を鋭くにらみ付けた。
翌日、小山が病院に行って検査を受ける。小山の父親は激怒していた。そのことを知った支店長の九条馨(前川泰之)は古川を叱責した。検査の結果は異常なしだったが、全治2週間のケガだった。小山の父は警察に被害届を出すと怒りが収まらなかった。事の重大さをようやく分かった古川は慌て、小山と交流がある西木に一緒に謝罪に行って欲しいと頼む。西木は渋々応じた。
小山の家は大豪邸で、父親は会計事務所をやっている人物だった。頭に包帯を巻いて首にギプスをはめる、痛々しい姿の小山が応対し、応接間で話が始まる。古川は一応の謝罪はするものの「君にも問題があった」など言い出す。反省の色が感じられないと判断した小山は、診断書を見せながら警察署に被害届を出すと宣言した。
それぞれの問題
西木の所に融資課の竹本直樹(三浦貴大)がやってきて、古川に飲みに誘われているので付き合ってもらえないかと頼む。断ろうとする西木だが、後輩の頼みを無碍にもできず応じることにした。さらには、部下の北川愛理(西野七瀬)まで古川は誘って連れ出す。
飲みの席は古川の愚痴を聞くだけの会で、他の3人はげんなりとしていた。泥酔した古川は自分の生い立ちを語り始める。父を早くに亡くし、女手一つで育てられたこと。家が貧しく大学に行く金がなかったことなど語る。そろそろお開きにしようと西木が気を利かすと、古川は小山の同期である愛理に「小山は被害届を出すと思うか?」とたずねる。愛理は「多分出すと思う」と答えた。
小山に何とか話してもらえないかと古川に縋られ、西木は困っていた。タクシーに乗せて古川を帰し、残った3人でベンチに座って話し始める。竹中は古川のことが分からないでもないと言う。なぜなら、竹中も古川同様高卒だったからだ。
竹中は高校球児だったこともあり、銀行にはスポーツ推薦枠で入行した。だが、周りは一流大学を卒業したエリートばかりで、すぐに現実の厳しさを思い知る。高卒は必死に頑張らないと出世はできない。古川も必死だったのだろうと同情した。
やがて竹中が先に帰り、愛理と西木は話をする。愛理が給与の半分を家に入れていることを褒めると、なぜそれを知っているのかと驚いた。西木は様々な話が耳に入ってくるんだと言うと、みなが西木を信頼しているからだと愛理は言った。しかし西木は「逆だよ。俺がみんなを信頼してんだよ」と否定した。
後日、西木は小山と喫茶店で話を聞く。気持ちは変わらないという小山に、何か訳があるのかと西木はきく。すると小山は「これは復讐なんです」と告げた。
復讐の真相
西木は人事部調査役の坂井寛(玉山鉄二)に電話をし、支店に聞き取りに来る前に、小山と直接会って話を聞いて欲しいと頼んだ。
坂井は長原支店を訪れ、古川と九条と話す。小山のケガの具合から言って、起訴には至らないだろうというのが、顧問弁護士の見解だった。よって、示談を進める方向になったと報告する。それを聞いた古川は安心し、小山は問題がある人物だと言い始める。
黙って聞いていた坂井だが、小山が担当していた融資先の話を始める。その会社は融資した3ヶ月後に倒産してしまった。報告書によると小山が粉飾決算に気付かず、融資を強行した結果だった。だが、それは小山から聞いた話と違うと坂井は言う。
実際は古川主導で行われ、粉飾に気付いていた小山は反対していた。なのに融資が行われ、挙句の果てに責任を取らされてしまっていた。小山は偶然、古川の机の上にあった報告書を目にし、自分に責任がなすりつけられたことを知ってしまう。そこで復讐を決意した。
「このまま銀行にいても、出世はできないだろうと思っていました。だったら最後に仕返しがしたかった。古川さんを破滅させてやりたかったんです」と小山は坂井に語っていた。それを聞かされた古川は、何も反論できなかった。
西木は坂井と喫茶店で話をする。お陰で真相を知る事ができたと坂井は感謝した。古川はどうなるのか西木がたずねると、大きな“バッテン”がつくことは間違いないという。小山を慰留したが意思が固く、退職することになった。
西木は自分も今回の小山のような思いをしたと語る。自分たち下の人間は不正を証明する手立てがないが、小山は偶然報告書を見れて良かったという。ほとんどは知らないまま上にあがり、不適合者というレッテルが貼られてしまうのだからと嘆いた。
話を終えて別れた後、坂井は西木の後姿に、かつての親友・河野彰彦(窪塚俊介)を重ねていた。
ドラマの結末
長原支店で100万円が足りない事態が発生する。行員たちは慌て、西木も愛理と一緒にゴミ袋を漁るが見つからない。やがて個人の私物をチェックするという支店長命令が下り、女子ロッカーに行き愛理は同僚と互いに荷物を調べることになった。
すると愛理の持っていた本の間から、帯封がひらりと床に落ちる。その場は凍りつき、愛理に疑念の目が向けられた。
西木失踪した翌日、愛理は坂井にその時疑われた話をする。「西木さん失踪の裏には、あの現金紛失事件が絡んでいると思います」と語る。それを聞いた坂井もまた、これは単なる失踪事件ではないのかもしれないと思い始めていた。
【シャイロックの子供たち】1話のまとめと感想
責任を押し付けられた復讐に、わざと反発して仕返ししたという話でした。
銀行の恐ろしい内部事情が垣間見える話です。ノルマを達成するために、無謀な融資を見て見ぬふりをした結果、案の定融資先が倒産してしまいます。それだけでも問題なのに、部下に責任をなすりつけるという暴挙に出ました。
下の人間はそのことを知る事もなく、いわゆる“バッテン”をつけられ出世コースから外されてしまいます。魑魅魍魎が蠢く世界でバッテンがつかずに生き抜く事が、いかに難しいかを感じさせられます。出世した人は本当に清廉潔白な人なのか?むしろより悪人が生き抜けるのではないのかと、思わずにいられません。
所々にそれぞれが抱える問題が短いシーンで差し込まれます。西木は誰かからの電話を受け、融資が通った報告を受けます。しかし妻には詳細は話さずごまかします。滝野は取引先との会食で札束を差し出されますが、受け取りませんでした。しかし、何やら怪しい雰囲気です。
愛理は交際相手の三木と経済格差があり、デート帰りに偶然居合わせた融資課の半田と何かありそうです。三木が半田と実はデキているのかもしれないというような、怪しげな雰囲気です。そのせいか、愛理に災いが降りかかります。100万円紛失の疑惑が浮上しました。
坂井と普通に話しているところを見ると、愛理の疑いは恐らく晴れるのでしょう。ただ、犯人はいまだ分かっていない状況のようなので、誰が何のために取ったのか気になるところです。