白い巨塔 2019 1話ドラマ感想 腹腔鏡のスペシャリストな財前

今回から5夜連続で「白い巨塔」の放送が始まります。散々ドラマ化されている作品ですが、今回の新キャストはどんな感じになるのでしょうか？以前の作品や原作との比較ではなく、このドラマ自体の感想を主に書いていきます。

白い巨塔概要

5月22日から5夜連続で放送する「白い巨塔」はテレビ朝日系列で21時より放送されています。野心家の医師財前と対照的な医師里見を通して描かれる、金や権力といった欲望が渦巻く医療の世界を描いたドラマとなっています。

キャスト

• 財前五郎（岡田准一）
• 里見脩二（松山ケンイチ）
• 花森ケイ子（沢尻エリカ）
• 東貞蔵（寺尾聰）
• 鵜飼裕次（松重豊）
• 大河内恒夫（岸部一徳）
• 柳原雅博（満島真之介）
• 佃友弘（八嶋智人）
• 金井達夫（長谷川朝晴）
• 安西太郎 （尾上寛之）
• 亀山君子（美村里江）
• 野坂奈津美（市川実日子）
• 財前又一（小林薫）
• 財前杏子（夏帆）
• 黒川キヌ（市毛良枝）
• 里見三知代 （徳永えり）
• 里見好彦 （鳥越壮真）
• 東政子（高島礼子）
• 東佐枝子（飯豊まりえ）
• 鵜飼典江（浅田美代子）
• 船尾徹（椎名桔平）
• 佐々木庸平（柳葉敏郎）
• 佐々木よし江（岸本加世子）
• 佐々木庸一（向井康二）
• 関口徹（斎藤工）
• 国平幸一郎（山崎育三郎）
• 岩田重吉 （岩松了）
• 鍋島貫治（山田純大）

スタッフ

• 【原作】山崎豊子『白い巨塔』（新潮文庫刊）
• 【企画協力】野上孝子、一般社団法人山崎豊子著作権管理法人、新潮社
• 【脚本】羽原大介、本村拓哉、小円真
• 【監督】鶴橋康夫、常廣丈太
• 【音楽】兼松衆
• 【チーフプロデューサー】五十嵐文郎
• 【エグゼクティブプロデューサー】内山聖子
• 【プロデューサー】船津浩一、秦祐子

1話ゲスト

• 滝村恭輔（小林稔侍）
• 山田音市（本田博太郎）
• 小西由香里 （雛形あきこ）

あらすじ

　腹腔鏡手術のスペシャリストとして医学界に名を馳せる、浪速大学医学部第一外科・准教授の財前五郎（岡田准一）。逞しい体と精悍な顔つきに加え気さくな人柄は、付属大学の学生や医局員たちに慕われ、浪速大学のスター准教授として君臨していた。

ある夜、浪速大学・滝村名誉教授（小林稔侍）の喜寿を祝うパーティの最中、“スペ患”である近畿新聞会長・山田音市（本田博太郎）の容態が急変。 膵がんを患う山田は、執刀医に財前を指名する。本来、山田は第一外科・東貞蔵教授（寺尾聰）の“スペ患”。上司である東を差し置いて自分が執刀するわけには…と躊躇いを見せる財前だったが、心の中では期せずして舞い込んだチャンスにほくそ笑んでいた。

手術は無事成功し、財前には山田から高級ワインと数百万の現金が贈られる。財前によって自分の“スペ患”が救われたことに、表面上では平静を装いながらも、東はその事実を苦々しく受け止めているのだった…。

そんな中、浪速大学医学部では東の退官に伴う教授選挙が近づいていた。「君を次期教授に推薦しようと思う」――そう、恩着せがましく財前に囁く東だったが、その実、腹の内では財前ではない人物を、と考え始めていた。

その矢先、同期である第一内科・准教授の里見脩二（松山ケンイチ）から胃がん再発患者のカルテを見せられる。財前の診断では、原発巣は胃ではなく膵臓。再発は誤診断である、と指摘するが、その診断を下したのが、浪速大学医学部長の鵜飼裕次（松重豊）だとわかった途端、翻意する！教授選に備え、上層部に楯突くようなことは避けようとする財前を非難する里見だったが…？

やがて、東が財前以外の人物を教授選候補に擁立することが判明。財前は、義父である財前又一（小林薫）の財力と政治力を最大限に活かし、浪速大学医学部第一外科教授という悲願に向けてさまざまな工作を開始する。

欲望が渦巻く教授選は、思いもよらぬ展開へ…。そしてその後も、過酷な運命が財前を翻弄していくことになる！

公式HPより

感想

初回を見た限り、普通に見て楽しめました。出ている人の豪華さはもちろんのこと、エキストラも十分に使ってリアリティを出していました。この後、ドイツへロケに行ったりもするらしいので、ちゃんとお金をかけているのは見て取れます。また、現在の医学の話も盛り込み、原作をただ焼き直してやるだけでない試みもしています。

財前五郎とは？

この物語の主人公になります。医師の腕はありますが、同時に野心もあります。次期教授戦に向かって、色々と根回しをしたり野望のためには手段を選ばない男です。

義父が産婦人科の開業医をやっていて、その父の悲願が第一外科教授の座であります。自分がなれなかったため、教授の父になろうという目論見です。この義父が中々のクセ者で、財前のバックアップをするため、金だけでなく根回しを色々します。

外科医としての腕があるというのもあって、結構不遜な態度を取ります。東や鵜飼には強く言えませんが、下の者には偉そうです。患者に対しても今回里見から手術を頼まれた人に対し、ガンが再発したのかと不安そうにしていると「胃ガンとは新たな腫瘍です。再発転移ではなく膵臓にできた腫瘍です」と、サラっと言ってしまいます。そして後は里見に聞いてくれと丸投げします。

東に手術をさせて欲しいと土下座までして頼みますが、この患者の症状が珍しいので、その手術を教授戦に向けてアピールするためにしたいだけです。自分の野望のため患者の命を“ついで”に助けるだけです。

しかし、“腹腔鏡のスペシャリスト”という名称が、どうしても同局で放送していた「ドクターX」の加地の“腹腔鏡の魔術師”を思い出してなりません。財前が加地に見えてきそうです。

里見脩二とは？

財前とは全く正反対のタイプの医者で、もう一人の主人公とも呼べる存在です。里見がいることで財前の野心家さが際立ちます。

患者ファーストなため鵜飼の見立てを疑い、原因を突き止めた結果、財前に手術をしてもらうよう頼みます。出世に興味がないので、疑問があれば相手が誰であっても気にせず提言します。また、財前は義父が金持ちですし、袖の下もよくもらうので愛人すら囲えますが、里見は団地住まいでつつましい生活をしています。

医師会の三羽がらす

義父のフィクサー振りは、ちょっとやそっとの相手では太刀打ちできない磐石さです。その三人を合わせて又一は医師会の三羽がらすと自称します。

大阪中央医師会の会長と副会長、そして金の統制をしている議員の三人で結託します。そして東が財前以外の候補者を擁立しようとするので、鵜飼に近づき何とか教授戦に勝つための根回しをします。

敵に回すとなれば、学長の椅子が遠のくこと間違いなしです。いくらフェアに投票とうたっていても、票に気持ちが左右しないわけがありません。

その他気になったこと

ドラマの補足

膵神経内分泌腫瘍とは？

非常に珍しいということで、手術をしたがる財前ですが、どんな症状なのでしょうか？

具体的にはインスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍などを含めた神経内分泌腫瘍の総称です。ホルモン症状があるものを機能性、 ないものを非機能性と呼びます。進行は比較的穏やかですが、急激に進行するものもあり、注意が必要です。最近ではiPhoneで有名な Apple社のCEO スティーブ・ジョブズ氏が罹患した病気です。膵NETの年間初診数は人口10万人あたり2.7人と稀な疾患です。

引用HP：膵神経内分泌腫瘍（P-NETS）：膵臓の病気と治療 | 東京医科歯科大学肝胆膵外科

人口10万人あたり2.7人ということなので、確かに珍しい病気です。あのジョブズがかかった病気として広く認知されました。

NASHなどの生活習慣因子とは？

Non-alcoholic Steatohepatitisの頭文字をとってNASHは、非アルコール性脂肪肝炎と呼ばれるものです。お酒を飲まないのに脂肪肝になってしまい、それが炎症を起こしてしまうことをいいます。NASHになると肝硬変に進行し、さらには肝不全や肝がんで亡くなってしまう可能性が高まります。

よって、食事療法や運動療法、薬の投与などをしてNASHの進行を止める必要があります。

なぜ炎症が起きてしまうのかについては、脂肪肝が起きてから炎症を起こす因子が分泌されると思われてましたが、最近では遺伝的な体質が重要ということがわかっているそうです。

お酒を飲まないから大丈夫ということはなく、食生活の乱れや運動不足で脂肪肝になりますので、日常生活に注意が必要です。

参考HP：NASH(ナッシュ) (非アルコール性脂肪肝炎) (なっしゅ) 病名から探す| 社会福祉法人 恩賜財団 済生会

まとめ

野心家な財前と里見の対比がうまく出ていると思いました。映像化される度にそれぞれイメージがあるので、キャストが問題となる作品ではありますが、初回を見た感じですとそんなに気になりませんでした。ただ、財前のタフさを強調したいのか、愛人役である沢尻さんをやたら抱き上げては、最終的に放るという演出は笑いそうになります。良いところで終わってしまうので、また明日も見てみたいと思います。