【かばん屋の相続】第2話「芥のごとく」結末までネタバレ解説|救えなかった会社と、その理由

WOWOW
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WOWOWで放送された「かばん屋の相続」は、池井戸潤原作による全4話・完全オムニバス形式のドラマです。

この記事では、第2話「芥のごとく」の結末までを含め、1人の若手銀行員と倒産した中小企業をめぐる物語の全貌を、ネタバレありで解説します。

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第2話の結論

  • 若手銀行員・山田一が、土屋鉄商の再生に全力で取り組んだ
  • その結果、一時的に再生計画は承認されたが、最終的に土屋鉄商は姿を消した
  • 表面的には資金繰りの失敗による倒産に見えるが、実際には家族の連帯保証という隠れた負債が経営を圧迫していた
  • 銀行側は感情に流されず、結果として「救えない会社」と判断する立場を取った
  • 中小企業の現実として、努力や誠意だけでは救われないケースがあることが突きつけられた

第2話は、懸命に生きてきた経営者であっても淘汰されてしまう現実と、銀行員が背負う「救えなかった責任」を描いた物語です。

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第2話のネタバレあらすじ

新人担当と不信感

産業中央銀行・中原支店の新人行員山田一は、業績不振の中小企業・土屋鉄商の担当に就く。

社長の土屋年子は、新人が担当になったことに露骨に不満を示す。先輩の松岡は会社を訪れるが、その目的は業務よりも別にあった。

土屋鉄商は、いつ倒れてもおかしくない――周囲からはそう見られていた。

理想と現実の洗礼

酒席で課長の斉藤から「なぜ銀行に入ったのか」と問われた山田は、「中小企業の力になりたい」と答える。

しかし松岡はそれを「青い」と笑い、斉藤は金貸しとしての心得を淡々と説く。

山田が「土屋鉄商を立ち直らせてみせます」と宣言すると、その場は半ば嘲笑に包まれた。

初めての資金繰り危機

ある日、土屋鉄商が 残高不足(350万円超) を起こす。
約束の時間になっても入金はなく、山田は焦りと苛立ちを募らせる。

ようやく窓口に現れた土屋に、山田は感情を抑えきれず厳しく言葉をぶつけた。

その夜、土屋から電話が入る。

怒ってくれたのが嬉しかった。

その一言に、山田は心を動かされた。

土屋の過去と夢

高級なうなぎを前に、土屋は自らの半生を語る。

  • 元は鉄鋼商社の事務員
  • 営業に転じ、結婚と離婚を経験
  • 慰謝料と貯金で独立
  • しつこい営業で取引を拡大
  • しかし鉄価格の下落で利益が出なくなった

姪の佑子に会社を継がせることが、土屋の夢だった。

その思いに、山田は深く胸を打たれた。

再生計画と一時の成功

堀川鉄鋼の手形割引をめぐる問題をきっかけに、山田は土屋に「会社のすべてを教えてほしい」と申し出る。

2人は必死に再生計画を練り上げ、それは銀行で正式に承認される。

電話口で、土屋は安堵の涙を流した。山田は「守った」と実感し、充足感に浸った。

崩れ始める現実

しかし再び残高不足が起きる。
期限直前、土屋は不備のある手形を持ち込み、割引を懇願する。

山田は、銀行員としてそれを断るしかなかった。

締切直前、土屋は札束を持って現れ、なんとか入金は間に合う。
だが、その金は街金から借りたものだと、斉藤は見抜いていた。

余命三か月かな。

斉藤の言葉が、重くのしかかる。

消えた会社

やがて土屋鉄商は、もぬけの殻となる。
他の債権者も集まり、手形が街金に流れていた噂は現実だった。

床に落ちていた数珠の玉を拾い上げながら、山田は呆然と立ち尽くす。

あんなに頑張って生きてきたのに。

斉藤は言う。

救える会社ばかりじゃない。淘汰される会社もある。

山田は、何も言い返せなかった。

1年後 ― 明かされる真実

1年後、山田は以前より大きな融資を任されるようになっていた。

そこへ佑子から連絡が入る。

喫茶店で佑子は、すべてを打ち明ける。
土屋鉄商が行き詰まった最大の原因は、弟・利雄が連帯保証人になっていた借金だった。

その借金を肩代わりしたことで、土屋自身の会社が限界を迎えていたのだ。

街金に手を出したのも、その結果だった。

ラストシーン

土屋は脳梗塞で倒れ、リハビリ施設に入っていた。

山田は花束を手に面会し、あの時床に落ちていた数珠の玉を差し出す。

土屋は涙を浮かべ、麻痺した手で必死に「OK」の形を作る。

山田はその姿を前に、深く頭を下げた。

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見どころ・印象的なポイント

  • 「救いたい」という理想が砕かれていく過程
  • 銀行員としての正しさと、人としての葛藤
  • 家族の連帯保証がもたらす重すぎる現実
  • 努力してきた人間ほど、静かに消えていく残酷さ
  • 最後まで土屋を責めきれない余韻の残るラスト
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まとめ

第2話「芥のごとく」は、誠実に生き、必死に会社を守ろうとした経営者であっても、救われないことがあるという現実を描いた物語でした。

銀行員は奇跡を起こす存在ではなく、現実を見極め、線を引く役割を担っています。

その冷たさと必要性を、新人行員・山田の成長とともに突きつける一編です。

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