【かばん屋の相続】第1話「十年目のクリスマス」結末までネタバレ解説|仕組まれた倒産と復讐の真相

WOWOW
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WOWOWで放送された「かばん屋の相続」は、池井戸潤原作による全4話・完全オムニバス形式のドラマです。

この記事では、第1話「十年目のクリスマス」の結末までを含め、物語の全貌と“仕組まれていた真相”をネタバレありで解説します。

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第1話の結論

  • 神室電機の社長・神室彦一が、倒産を前提とした行動を選択した
  • その結果、神室電機は倒産し、工場火災によって事業は完全に終焉を迎えた
  • 表面的には経営判断を誤った末の破綻に見えるが、実際には再生のための出口戦略が用意されていた
  • 銀行側は担保回収と自己保身を優先し、融資を見送る判断を下していた
  • 中小企業側は、資金繰りの限界と銀行融資の非情な現実に直面することになった

第1話は、企業が行き詰まったときに「出口を用意していたかどうか」が明暗を分けるという現実と、中小企業と銀行の力関係を描いた物語です。

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第1話のネタバレあらすじ

クリスマスの再会

クリスマスの夜。街角でサンタクロース姿の男がチラシを配りながら、こう語りかける。

日本の会社の99%は中小企業。
このドラマは、中小企業の融資にまつわる4つの物語です。

その夜、東京第一銀行・融資部調査役の永島慎司は、妻の恭子と宝飾店を訪れる。
そこで偶然、10年前に担当していた企業の社長・神室彦一とすれ違う。

永島は声をかけようとするが、神室はそのまま車で立ち去ってしまった。

10年前 ― 神室電機の危機

物語は10年前に遡る。

永島が西大井支店の融資係だった頃、神室電機の社長・神室は3000万円の追加融資を求めていた。

直前の9月には5000万円を融資していたが、それは予想外の仕入れ代金に消え、資金繰りはさらに悪化。他行からの調達も見込めず、融資が通らなければ不渡りという切迫した状況だった。

永島は即答を避け、上司に相談する。

銀行内の判断 ― 「貸さない」決断

支店長の政岡、課長の小坂は神室電機の数字を精査する。

銀行側は、次の点を問題視していた。

  • 今期の売上は20億円を切り、赤字見込み
  • 技術的な優位性は見当たらない
  • 前回融資時の業績改善も達成されていない

小坂は「今回の融資は見送るべき」と主張し、政岡も「倒産しても担保処分で回収できる」と判断する。

倒産するかどうかは取引先の問題。
うちは貸すか貸さないかを決めればいい。

永島は神室電機の取引関係や将来性を必死に訴えるが、結論は変わらなかった。

神室の後悔 ― 銀行に乗せられた過去

融資不可を告げられた神室は激しく落ち込む。

原因は、3年前に行った5億円の設備投資だった。その際、支店長と課長は「運転資金も保証する」と背中を押していた。

しかし返済と金利の負担だけが重くのしかかり、約束は反故にされた。

口車に乗った自分が馬鹿だった。

保証の覚書など、証拠は何も残っていなかった。

稟議と裏事情

永島は「今倒産すれば銀行に損失が出る」ことを材料に稟議を書き、支店長と課長の印をもらう。

しかし10日後、本部判断で融資は正式に見送りとなり、債権回収に切り替えられる。

同僚の木村は、「支店長は本店栄転を控えていて、今は損失を出したくないだけだ」と指摘する。

永島は「俺は絶対にああならない」と誓った。

決定打 ― 工場火災

その直後、神室電機で火災が発生する。

人的被害はなかったが、工場の一部と納品前の商品が全焼し、被害額は4億円。火災保険の補償は1億円に過ぎなかった。

焼け跡を前に、神室はどこか穏やかな笑みを浮かべる。この表情が、後に大きな意味を持つことになる。

結果として銀行は数億円の損失を出し、支店長は出世コースから外され、関連会社へ飛ばされた。

10年後 ― 再会と疑問

現在。永島は本店へ栄転していた。

調査の結果、神室は京浜エレクトロン株式会社という年商300億円規模の会社に関わり、その90%を保有する筆頭株主になっていることが判明する。

倒産し、自己破産したはずの男が、なぜ――。

永島は過去の資料を洗い直し、「コンサルティング料」という不審な支出に行き着いた。

真相 ― 仕組まれた出口

調査の末、そのコンサル料は実質的に火災保険だったことが分かる。支払われた保険金は1億2000万円だった。

神室は3年前、銀行に勧められた大型投資が将来、会社の首を絞めると見抜いていた。

そこで、

  • 架空在庫に火災保険をかけ
  • 倒産時に表に出ない形で資金を確保
  • 再起と社員の再雇用に備えた

すべては出口を用意するための計算だった。

さらに神室はこう語る。

復讐だよ。
支店長と課長をどうしても許せなかった。

地価下落を織り込み、銀行に損失が出ることまで計算済みだったのだ。

ラストシーン

神室は、元社員のほとんどを京浜エレクトロン関連会社に再就職させていた。
孫の姿もあり、娘・千春は結婚して幸せに暮らしている。

永島は「それが確認できれば十分です」と握手を求め、千春に会うことなく、その場を去る。

神室は静かに「ありがとう」と告げた。

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見どころ・印象的なポイント

  • 中小企業融資の冷酷な現実と、銀行論理の描写
  • 「出口を用意する」という経営者の覚悟
  • 善悪が単純に割り切れない構造
  • 工場火災後の神室の微笑みという象徴的な演技
  • 上川隆也の静かな迫力が際立つクライマックス

※なお、本作では『遺留捜査』で知られる俳優陣の共演も注目点のひとつ。

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まとめ

第1話「十年目のクリスマス」は、中小企業経営において「出口を持つこと」の重要性を突きつける物語でした。

救いのある再生譚でありながら、その裏にある復讐と計算は決して爽快ではありません。

だからこそ、この物語は現実的で、重く、強く印象に残ります。

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