WOWOWのオリジナルドラマ【I, KILL(アイキル)】の3話のネタバレと感想をまとめています。
お凛とトキは再会し、士郎も一緒に源三郎の所へ戻る。源三郎はかつて自分が行っていたことと、士郎が生まれた経緯について明かす。話を聞いた士郎は、次第に疑心暗鬼になり……。
【I, KILL】3話のあらすじ
◢◤『連続ドラマW I, KILL』◢◤
— WOWOWオリジナルドラマ (@drama_wowow) May 31, 2025
📍6/1(日)午後10:00放送・配信
▕ ▌Episode3 復讐
お凛(#木村文乃)は士郎(#田中樹)と一緒にいたトキ(#田牧そら)と再会するも、源三郎(#高橋克実)を救い出すため、十兵衛(#山本耕史)率いる討伐衆と対峙する―
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士郎(田中樹)により助けられたトキ(田牧そら)は、ようやくお凛(木村文乃)と再会することができた。源三郎(高橋克実)を探しているという話を士郎から聞き、お凛たちは一緒に源三郎の所へ戻る。
十兵衛(山本耕史)たちに捕らえられていた、源三郎をなんとか救出したお凛たち。源三郎は士郎に誕生の経緯を話す。
だが、源三郎の話を聞いていくうちに、士郎は疑心暗鬼になり始め……。
【I, KILL】3話のネタバレ
徳川家康は“猿の手”という異物を使い、不死の兵を生み出そうとしていた。源三郎は命に従い、死人に猿の手をすり潰した薬を与え蘇生させるが、人としての意識は失われていた。
その後、城に双子が産まれ、その片割れは殺害される。家康が自分の血を引く者に、猿の手を用いろうと考えたためだった。源三郎は命に従うしかなく、赤子に猿の手を煎じた薬を与えると、やがて赤子は蘇った。
徳川の手に子どもを渡すわけにはいかないと思った、源三郎と仁志は赤子を連れて城を脱走する。なんとか逃げのびると士郎を仁志の妻の子として育てることにした。だが、人を噛み始めたため、座敷牢に入れるようになる。
三代将軍・徳川家光の双子の兄弟、それが士郎だった。だから討伐衆たちは士郎を連れて帰ろうと躍起になっていた。
源三郎は士郎の体から、薬が作れるかもしれないと考えていた。士郎はただ、人として愛されたかったため源三郎に失望して噛み付いた。
群凶化し始める源三郎は自ら死んで、お凛に介錯を求める。躊躇っているうちに群凶化する源三郎、トキが襲われそうになりお凛は源三郎を斬った。その瞬間、トキの記憶が蘇り、父の敵がお凛だと思い出す。
外では士郎が十兵衛を追い詰め、刀で貫こうとするが咄嗟に十兵衛はかわした。そしてその剣先は、障子を突き破りトキの胸を貫いた。お凛が泣き叫ぶ中、トキは息を引き取った。
探し人
お凛(木村文乃)はトキ(田牧そら)を探しに向かう途中、道中で群凶たちと遭遇し、これをなぎ倒しながら進んだ。トキは偶然現れた士郎(田中樹)に助けを求める。しばらく様子を見ていた士郎だったが、やがて刀を抜き、群凶をすべてなぎ倒した。
そのまま立ち去ろうとする士郎に、トキが声をかける。士郎は足を止め、「ここに源三郎という医者はいないか」とたずねた。
理不尽な要求
二ヶ月前の岡田村。士郎は牢の中で素振りを繰り返し、ときには書物を読んで時を過ごしていた。ある日、仁志(金山一彦)に呼ばれて牢から出される。そこには苦しむしの()の姿があり、仁志は「もう長くはもたない」と告げたうえで、士郎にしのを噛むよう命じた。
士郎は群凶でありながら、人としての意思を保っていた。仁志は「お前が噛めば、しのは必ず甦る」と言い切るが、士郎は動揺し、その命令をすぐには受け入れられない。仁志は抵抗する士郎を無理やりしののもとへ連れていき、再び命じる。士郎はしののかすかな鼓動を耳にし、思わずその首筋に噛みついた。
やがて、しのは群凶として甦った。
自由の身
しかし、しのは士郎のように人としての意思を保つことはできなかった。十兵衛(山本耕史)はそう説明する。絶望した仁志は、患者たちをしのに食わせるようになった。その混乱のさなか、士郎はお救い小屋を抜け出し、自由の身となった。
十兵衛は、捕らえた源三郎(高橋克実)にその経緯を語り、「一緒に元いた江戸城へ戻るぞ」と告げる。源三郎は「お凛とトキには手を出さないでくれ」と懇願するが、十兵衛は「大人しくしていれば手は出さない。その代わり、一働きしてもらうけどな」と答えた。
同じ境遇
逃げ延びたトキは、士郎と共に行動をしていた。川辺で顔を洗いながら、トキは今回の出来事を振り返り、「人なんてろくでもない。もう信じることなんてできない」と呟く。
「源三郎先生のこともか?」と問う士郎に、トキは「先生は別」と答える。血の繋がらない自分をここまで育ててくれたからだと語る。お凛が拾ってくれ、先生がふたりの面倒を見てくれたのだと。
「どんな用事できたの?」と尋ねられた士郎は、「ただ会いたかった。それだけだ」と答える。トキは士郎の頬についた血をそっと拭い、名前を尋ね、そして自らも名乗って、助けてくれたことに礼を述べた。
士郎は、自分もまた捨て子だったと明かす。トキは「わかるよ」と共感し、そして言った。「一緒にいてくれない?みなしご仲間でしょ?」
再会
その頃、お凛は道場を訪れていた。だが、そこにいた者たちはすでに皆、斬り殺されていた。トキの姿を求めて山中を進んだお凛は、やがて士郎と共にいるトキを発見する。
お凛は駆け寄ってトキを抱きしめ、その様子を士郎は不思議そうに見つめていた。トキは士郎を紹介し、「源三郎先生を訪ねてきた人」と説明する。
「あいつらはなんなの?」と問うトキに対し、お凛は答えなかった。ただ、傷ついたトキの手に布を巻きながら、「トキ、もう大丈夫だから。大丈夫だから」と優しく手を擦った。
トキはその言葉に安心し、士郎が助けてくれたことを話したうえで、「源三郎先生は診療所にいる」と伝える。そして士郎の手を握り、「行こう、士郎さん」と促した。
罠
夜、お凛たちは宿場へと戻った。すると、源三郎が木の杭に縛り付けられ、無惨に放置されているのを見つける。士郎はそれを一瞥し、「ここを離れろ」とだけ言い残し、どこかへ姿を消した。
トキが助けに行こうとするが、お凛は「罠かもしれない」と言って彼女を止める。すると遠くから、討伐衆の一人が矢を放ってきた。お凛はとっさに落ちていた服を使ってかわす。
その背後に、士郎が音もなく現れ、討伐衆の男に噛みつく。そこへ十兵衛が現れ、「やっぱり抜け忍か」と口にする。
「どうして先生を?放して!」と叫ぶお凛に、十兵衛は「仕事なんだよ」と静かに返した。
士郎は討伐衆を次々に噛みついて倒していく。そして士郎が十兵衛の前に現れると、十兵衛は討伐衆たちに士郎をけしかけた。
救出
お凛とトキは、士郎と十兵衛が交戦している隙をついて、縛られていた源三郎を助け出す。その頃、激しく斬り結ぶ士郎を見つめながら、十兵衛は「そっくりだ、まったく同じ面をしている」と呟く。
十兵衛は指笛を鳴らして合図を送るが、周囲からは何の反応もない。異変を感じながらも、十兵衛は士郎との戦いを続ける。
やがて、群凶化した討伐衆たちが出現し、お凛たちに襲いかかってくる。3人はなんとか自宅に逃げ込み、ひとまず身を隠す。咳き込むトキを、机の上に横にした。
約束
外では、士郎が群がる討伐衆たちと激しく応戦していた。しかし、隙を見てその場を離れ、姿を消す。
一方その頃、ヒデロウ(西村拓哉)が駆けつけ、「討伐衆はみんな群凶になった」と報告する。十兵衛は「またおやじに叱られちまう」と嘆きつつも、態勢を立て直すべく命を下す。火を持ってくるよう指示し、士郎と源三郎の捕獲を目指す。そして冷たく告げた――子供は殺していい。さらに、「お凛は俺がやる」と宣言する。
その頃、小屋ではお凛がトキに薬を飲ませ、苦しみを和らげていた。「何があっても守る。私にはあなたしかいないの」と、強く優しく語りかけ、トキに約束を交わした。
士郎は何者か?
士郎が小屋に戻ってくると、源三郎はそっと襖を閉め、別室へと移った。士郎はその後を追い、源三郎のもとへ向かう。
源三郎の怪我した足に巻かれていた包帯が緩んでいるのに気づいた士郎は、無言でそれを丁寧に結び直した。
「先生、私は……私は何者なのでしょうか?」と、士郎は静かに問いかける。外の世界に希望を捨てずにいられたのは、先生、あなたがいたからだと語る。
「苦しいのです。過去を持たずに生きるのは」と、士郎は心の内を吐露する。
それを聞いた源三郎は、ゆっくりと口を開いた。「お主は、江戸城にいた」
源三郎の過去
31年前、家康は異国の地よりもたらされた「猿の手」と呼ばれる異物を用い、自らの意のままに操ることができる不死の兵を生み出そうとしていた。
源三郎はその計画の一端を担っていた。彼は「猿の手」の小指を折り、乳鉢で細かく砕く。そしてそれを液体に溶かし、鼻からチューブを通して一体の遺体に投与した。
やがて、その手が動き出し、遺体はうめき声をあげながら身をよじらせた。しかし、そこに人としての意識はなく、ただ肉体だけが不気味に反応していた。
士郎誕生
やがて江戸城に双子の嬰児が誕生した。しかし、その片割れの赤子は生まれてまもなく葬られた。表向きには、世継ぎを巡る争いを未然に防ぐためとされたが、実際には家康が自らの血族に「猿の手」を用いるという興味から、その赤子を殺害したのだった。
源三郎はこの行為を強く批判する。「命を守るために医師になったのに、これはもはや畜生の所業だ」と。仁志もまた、「もし赤子が甦ったら、徳川は人を食わせ、この世を地獄に変えるぞ」と語った。
しかし、命には逆らえず、源三郎たちは実験に従うしかなかった。「猿の手」を含ませた赤子は腐敗することなく、そのまま時を止めたかのような姿を保ち続けた。
そしてある夜、赤子は甦った。しかも、人としての正気を保ち、完璧な姿のままで。
「この子を徳川に渡してはならない」と、仁志は見張り役を殴って気絶させ、源三郎は赤子を抱き、そのまま城を逃げ出した。
双子
なんとか落ち延びた源三郎たちは、赤子を仁志の妻の子として育てることにした。本来その赤子は、徳川家のある人物と酷似していたためだった。正体を隠すため、病を装い、常に顔に布を被せて育てられた。
しかし年月が経つうちに、赤子は人を噛むようになり、やむを得ず座敷牢に閉じ込めることとなった。徳川の追手は執拗であり、以後は滅多なことでは会いに行くことさえできなくなった。
「その幼子こそ、士郎……お主だ」と、源三郎は静かに明かす。「お主は三代将軍・徳川家光様の双子の兄弟なのだ」と。
「わしらにとっても、お主は希望だった」と語りながら、源三郎は士郎を抱きしめる。
「長い間、苦しませてしまったな……。だが、わしにとってはお主は息子同然だった。忘れた日など一日もない。こうして会えただけで嬉しい」と、静かに、心からの想いを告げた。
生きる理由
外では火の手が上がり始めていた。源三郎は状況を察し、「自分が囮になるから、お凛とトキを連れてここを離れてくれ」と士郎に頼む。
だが士郎は首を振り、「私がこの世にいては、いずれ世が滅びる。だからここで、人知れず散っていきます」と語る。そして静かに続けた。「子どもの頃から、ずっと聞きたかった言葉が今日ようやく聞けました。もう思い残すことはありません」
それでも源三郎は諦めなかった。「お主の肉体は、そんなに簡単に滅ぼしてよいものではない。お主は、わしと仁志の宿願なのだ。死を越えて甦ったその肉体には、この国の医術を何千歩も進める鍵が隠されている。万病を癒やす薬が抽出できるかもしれない。お主の体は、多くの民を救うのだ!」と熱く説いた。
だがその言葉に、士郎は目を伏せる。「それが私を生かしておいた理由ですか?この体が薬になりうるから……私は“希望”なんですか?」
そして立ち上がり、絞り出すように呟く。
「お前も同じか。仁志と同じ……人の体を弄び、地獄の味をこれでもかと味わわせてくれた。あの鬼と、同じだ」
決別
士郎の右目から、血の涙がひと筋流れ落ちた。
「何も変わらない……お前も、仁志も、徳川も。そうだろ?父上」と呟きながら、士郎は源三郎に牙を突き立てた。
そこへ、お凛とトキが駆けつける。ふたりは、目の前で源三郎を襲った士郎に強い怒りを覚えた。士郎は無言のまま、彼女たちの前を通りすぎ、外へと出ていった。
外に出た士郎を、待ち構えていた討伐隊が取り囲む。士郎は静かに剣を抜いた。
「手足を切り落としてでも連れていくぞ」と、十兵衛は冷たく言い放った。
その頃、多胡宿の別所では、氷雨(富田靖子)たちが群凶を次々と討ち取っていた。
蝕まれる体
士郎に噛まれた源三郎は、やがて自らの運命を悟り、刀を取るように言った。そして、群凶になる前に斬ってくれと頼む。
「すべて、わしのせいだ。この世がこうなったのも……わしが始めたことだ」と、深い後悔の念を込めて語る。
お凛とトキを抱きかかえるようにして言葉を続けた。「トキ、強く生きろ。お凛……わしを斬り、トキのために生きてくれ!」
やがて源三郎の身体に変化が現れ始める。群凶へと変わりゆく自我のなかで、最後の力を振り絞り、小刀を手に取ると、自ら腹を切った。そしてお凛に介錯を求めた。
お凛は涙をこらえながら刀を手にし、源三郎の覚悟に応えようとする。しかし、その上に覆いかぶさるようにしてトキが阻んだ。「やめて」と叫ぶ彼女の声は、切実だった。
その間に、ついに源三郎は完全に群凶へと姿を変えた。ゆっくりと立ち上がり、獣のような気配をまといながら近づいてくる。
お凛は迫り来る源三郎の姿に恐怖を覚え、たじろいだ。しかし、源三郎がトキへと手を伸ばそうとした瞬間、お凛は覚悟を決め、刀を抜いて彼を斬った。
【I, KILL】3話の結末
その瞬間、トキの中に忘れていた記憶が蘇る――父を殺したのは、お凛だった。
「逃げよう」と声をかけるお凛に対し、トキは立ち上がろうとせず、揺れる瞳で問いかけた。
「なんで……お父さんを殺したの?違う、私の……本当のお父さんを……なんで!」
怒りと悲しみに突き動かされ、周囲にあったものを手当たり次第に投げつける。そしてついに刀を手に取り、お凛へと斬りかかった。
「どうして……!?」という叫びに、お凛は震える声で答える。
「私には……ああするしかなかったの。いつか……ちゃんと話そうと思ってた……」
「信じてたのに……親の敵だったのに……人殺し……!」
一方その頃、外では士郎と十兵衛が激しく斬り結んでいた。戦いの中で、十兵衛は目を負傷し、士郎の猛攻に追い詰められていた。士郎の一太刀が十兵衛を襲い、咄嗟にかわした十兵衛。士郎の刀は障子を突き破り、その先にいたものを貫いた。
障子には、滲むように赤い血が広がっていく。貫かれていたのは、トキだった。
お凛はすぐに駆け寄り、懸命に止血を試みる。しかし、トキの命の灯はすでに消えかけていた。
「お凛……こわい……こわいよ……たすけて……」――トキはそう呟きながら、お凛の腕の中で静かに息を引き取った。
お凛は燃え盛る炎の中、トキの亡骸を抱きしめながら、声を張り上げ、泣き叫んだ。叫びは夜の闇に吸い込まれ、炎だけが空を焦がし続けていた。
【I, KILL】3話のまとめと感想
士郎は家光と双子だったことが分かり、トキは士郎の刀で殺されてしまったという話でした。
毎回展開が速いドラマなのですが、今回は特にすごいスピードで駆け抜けていきます。士郎が家光と双子、士郎は赤子のうちに殺されてから生き返った、士郎に源三郎が殺される、トキがお凛は父の敵だと思い出す、士郎にトキが殺される……と、1話にかなり詰め込まれています。
そして次回からはガラっと話が変わりそうな雰囲気です。生きる目的を失ったお凛と士郎は、今後何のために生きるのか?群凶は士郎から解毒薬でも作られて収束するのか?今後の展開も気になるところです。
苦しいのです。過去を持たずに生きるのは。