松本清張ドラマスペシャル【ガラスの城】のネタバレと感想|波瑠主演の社会派ミステリー

スペシャルドラマ
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2024年1月4日に放送された、テレビ朝日開局65周年記念 松本清張 二夜連続ドラマスペシャル第二夜【ガラスの城】のネタバレと感想をまとめています。

大手商社の部長が殺害される事件が発生する。社員の1人が部長の失踪前に、何者かと密会している場を目撃していた。だが、その社員も行方不明になってしまう。遺志を継いだ別の社員が、真実を求めて調べ始めるが……。

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【ガラスの城】のキャストとスタッフ

キャスト

「實友商事」次世代エネルギー部

  • 的場郁子…波留
    一般職
  • 三上田鶴子…木村佳乃
    營業課 課長
  • 野村俊一…武田真治
    次長
  • 富崎弥大…塚本高史
    次長
  • 鈴木信乃…蓮佛美沙子
    総合職
  • 杉岡久一郎…丸山智己
    部長
  • 橋本哲子…川島海荷
    一般職
  • 浅野由理花…仁村紗和
    一般職
  • 和島好子…野呂佳代
    一般職
  • 田口欣吾…内野謙太
    業務課 課長
  • 池田萌絵…佐々木史帆
    一般職
  • 佐々木誠…山口貴也
    総合職

静岡県警

  • 佐原壮馬…満島真之介
    静岡県警の刑事
  • 倉田文則…高嶋政伸
    静岡県警のベテラン刑事

その他

  • 杉岡いずみ…片岡礼子
    杉岡の妻
  • 野村実奈…吉井怜
    野村の妹
  • 富崎玲子…沢井美優
    富崎の妻
  • 浅野絵未子…川俣しのぶ
    由理花の母親
  • 林田徳治…遠山俊也
    林田花壇のオーナー。玲子の叔父
  • 小柳泰造…本間剛
    工事現場の現場監督
  • 青山俊一…馬庭良介
    研究所スタッフ

スタッフ

  • 原作:松本清張『ガラスの城』(講談社文庫)
  • 脚本:大森美香
  • 音楽:木村秀彬
  • 監督:樹下直美
  • 公式HP
  • 公式X(旧Twitter)
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【ガラスの城】の見逃し配信

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情報は2024年1月時点のものです。詳細は公式サイトでご確認ください。

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【ガラスの城】のあらすじ

大手商社である實友商事の次世代エネルギー部の部長・杉岡久一郎(丸山智己)が、静岡での展示会の後の旅行から行方知れずになっていた。

同部内の営業課長である三上田鶴子(木村佳乃)は、旅館に宿泊した際の宴会の後、偶然杉岡が女性らしき人物と密会している場を目撃してしまう。

宿泊客と同じ浴衣を着ていたことから、社内の人間であることを確信する。杉岡の不倫相手は誰なのか、女性社員に探りを入れてみるがみなアリバイがあった。

翌日、杉岡の姿がなかった。業務課長の田口欣吾(内野謙太)の話では、一足先に東京へ戻ったという。だが、妻の杉岡いずみ(片岡礼子)から、夫が自宅に戻っていないと連絡があった。数日後、捜索届が出された。

やがて警察から杉岡の遺体が、静岡にある工事現場から発見されたという連絡が入る。首に索条痕があることから、首を絞められて殺害された可能性があるということだった。

警察は当時旅館に泊まった社員1人1人に聞き込みを始める。田鶴子は密会の事を話そうか迷うが、結局言わずにいた。

そして真相を知るために、自分で調べてみることにした。同じく調べ始めた的場郁子(波留)が怪しいと、田鶴子は調べていくうちに思い始め……。

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【ガラスの城】のネタバレ

殺人事件発生

次世代エネルギー部の部長・杉岡久一郎(丸山智己)の遺体発見状況は、宿泊した修善寺近くの工事現場の盛り土の中から見つかった。

首には縄状のもので絞められた索条痕が残り、窒息死させた後に遺体を隠した可能性が高かった

杉岡の葬儀の日、次長の富崎弥大(塚本高史)の妻である、富崎玲子(沢井美優)が泣きながら帰ってしまう。社員たちは口々に、富崎家の夫婦関係は悪いらしいと話した。

営業課長である三上田鶴子(木村佳乃)は、この事件の真相を知りたくなり、死体が遺棄された現場へ向かった。

宿泊先の修善寺から現場は、6キロ半も離れていた。夜間の街灯も少ないこの場にどうやってきたのか、田鶴子は不可解に思う。

現場監督の小柳泰造(本間剛)いわく、現場の土を分けて欲しいと言って来た女性がいたという。田鶴子も同じく土をもらってタクシーに乗る。

やがてバス停に佇む女性に気付くと、同じ部の的場郁子(波留)だと分かり驚く。彼女も自分と同じく事件を調べているのではないかと思い始めた。

脅迫

警察でも捜査は難航していた。現場周辺での被害者の目撃情報もなければ、凶器も発見されていなかった。

遺体発見から1週間後、田鶴子の鍵付きのSNSダイアリーにダイレクトメールが届く。見てみると「警告:これ以上 詮索すれば 殺す」とあった。

自分の行動に社内の誰かが気付いているのではないか、田鶴子は怯えた。

部内では部長の死から、様々な噂が飛び交っていた。部長には借金があったことや、郁子が貸していた300万を回収するため、自宅に行き妻の杉岡いずみ(片岡礼子)に返済を迫ったという。

あの地味でケチな郁子が、人に金を貸すなんてと田鶴子は驚いた。もしかすると、あの時の密会の相手は、郁子だったのではないか。一瞬頭によぎるが、すぐにありえないと否定した。

田鶴子はその後、土の鑑定結果を聞きに行く。土は伊豆と山梨、2種類の土が検出されていた。全く同じ土を持って、郁子もここを訪ねていた。

被害者は別の場所で殺され、そこにあった土と一緒に運ばれてきたと郁子は推理していた。

郁子の推察

きっと郁子はこう推察しているのではないかと、田鶴子は考えてみる。

部長は修善寺で浴衣の女と密会し、その後、東京に戻ると言って宿をチェックアウトした。何らかの手段で山梨に移動し、そこで殺害されたため山梨の土が付着した

犯人は元いた修善寺近くまで遺体を運び、工事現場の盛り土の中に埋めて隠した。

女性社員は夜中から朝まで、全員旅館にいたので山梨に行く事は不可能。よって浴衣の女は犯人ではないが、事件に関わっていた可能性は高い

郁子の推察に加え、田鶴子は浴衣の女は恐らく部内の鈴木信乃(蓮佛美沙子)か、橋本哲子(川島海荷)だろうと考えていた。

だが、どうやって遺体を運んだのか、謎が多すぎる。いっそ事件の情報を郁子とシェアしようかと迷う田鶴子だが、彼女も怪しいのでやめた。

失踪

田鶴子に同じ部内の浅野由理花(仁村紗和)が入院したという連絡が入る。田鶴子は早速見舞いに行った。

そこで由理花から信乃と啓子の、あの夜のアリバイを聞かされる。2人は同じアニメが好きだったことが分かり、意気投合して聖地巡礼をあの晩していたのだという。

2人のアリバイが成立したとなると、浴衣の女は誰だったのか。田鶴子はますます頭を悩ませた。

見舞いを終えて帰る際、由理花の母親・絵未子(川俣しのぶ)から富崎の妻・玲子が亡くなった話を聞かされる。

母親の話では娘が会社に入ったのは、玲子のお陰だったという。だからおくやみを伝えて欲しいと頼まれた。

社内では更なる不幸で動揺が走り、社員たちは玲子の噂で持ちきりだった。死因が薬の飲み過ぎだったことから、自殺ではないかと騒いでいた。

玲子の実家は山梨だという話を聞いた田鶴子は、これで繋がったと日記に記す。もし自分の推理が当たっていたら、恐ろしい話だがそれを確かめるために、あの人を訪ねようと記した。

その2日後から、田鶴子は姿を消した。連絡が取れない母親が心配してマンションを訪ねると、猫だけが残されていたという。

調査続行

山梨県警の刑事である佐原壮馬(満島真之介)と、倉田文則(高嶋政伸)から日記のことを聴取の際に教えてもらった郁子は、その日記の内容を印刷した紙を自分に貸してくれないかと頼む

田鶴子は犯人と会って、拉致監禁されているのかもしれないと考えていた。田鶴子の考えを検証して、自分も犯人にたどりつきたいからだった。

反対する佐原に対し倉田は、貸し出すことを許した。その代わり佐原を見張りにつけた

日記にあった“あの人”とは、きっと由理花の母親のことだろうと郁子は思っていた。だから実家のある山梨県まで足を伸ばした。

絵未子と亡くなった玲子は家族ぐるみの付き合いをしていた。話を聞いているうちに、郁子はふと店にあった鉢植えのダリアが気になった

その花は玲子の実家からもらったという。玲子の叔父が静岡で大きな植木屋を営み、そこで品種改良された花だった。

田鶴子も花のことをきいていたという。植木屋は伊豆の大仁という場所にあり、遺体発見現場の近くでもあった

ここを出た後、田鶴子はきっとそこへ向かったのだろうと郁子は考える。そして林田花壇という植木屋に行くと、山梨の木が売られていた。店を出てからの田鶴子の消息は分からなかった。

そこで郁子は佐原と一緒に修善寺へと向かう。田鶴子が密会を目撃した状況がどうだったのか、改めて検証してみた。段差があるのに気づかず、思わず転びそうになった。

危機一髪

もらったダリアを会社に飾り、水をあげていた郁子に富崎が声をかけてきた。自分もその花が欲しいから連れて行ってくれというのだ。

戸惑う郁子だが仕事終わりに富崎と連れ立ち店を探す。だが、そんな店はどこにもないことを富崎は知っていた。郁子が植木屋に行って話を聞いていたのを、富崎は見張っていたからだ。

田鶴子が事件に執着していたのは、きっと部長と男女の仲だったからに違いないと富崎はいう。さらに浴衣の女は郁子だろうと言ってきた。女好きの部長のことだから、郁子も男女の仲だろうと富崎は考えていた。

女好きなら富崎の妻の玲子と、不倫関係だったのではないかと郁子は言い出す。それなら殺人の動機もあると詰め寄った。

動揺した富崎は郁子の話を遮るため、つかみかかってきた。そこになぜか次長の野村俊一(武田真治)が助けに入る。

富崎の様子がおかしいから、つけてきたということだった。郁子は富崎と一緒にラーメン屋に行き、食事をすることになった。

郁子の推察その2

店で佐原の電話を受けた郁子は、危ない目に遭ったことを怒られる。反省しつつも郁子は玲子と部長が、男女の仲にあったのではないかと伝えた。そして自分の思う推察を話し始める。

杉岡と玲子の不倫関係を知った富崎は、翌日の自由行動の時間に杉岡を林田花壇に呼び出して殺害した。その時、山梨の土が付着した。

遺体は林田花壇のトラックで運ばれ、近くにあった工事現場に捨てられた。それなら2種類の土が付着していたのも納得がいく。

だが佐原は富崎と叔父が協力して殺害するのは無理だと否定した。なぜなら、富崎には翌日の夜8時まで熱海にいたというアリバイがある。

それに失踪当日から遺体が発見されたあの日まで、あの街道では検問が続いていた。殺すことが出来ても運ぶのは不可能だった。

佐原はなぜそこまで田鶴子も郁子も調べるのか、理解ができなかった。郁子は返答を濁した。

郁子の秘密

郁子は1人、会社の外にある休憩スペースで考える。富崎の指摘どおり、杉岡と郁子は2年前に男女の関係になった

杉岡は見栄をはるために金を使い、度々郁子に金を借りていた。気付けば300万も貸していた。見え透いた嘘をついてまで、自分に縋るのが嬉しかった。

だが、貯金の半分を貸し切ったタイミングで、郁子は別れを告げた。残った貯金で休日だけは自分を飾る事にした。惨めな自分を救うために。

それから1ヶ月後に杉岡は殺害された。終わった恋とはいえ自分に喜びも苦しみも与えたあの人が、なぜ殺されるはめになったのか、その理由がどうしても知りたかった

杉岡の家を借金を口実に訪ねたが、何も分からなかった。自分と同じように田鶴子も杉岡に恋をしていたのだろうか、郁子は考えた。

犯人の正体

野村に部長昇格の内示が出た日、郁子は何かに気付いて田鶴子の日記を再び読み直す。佐原に気付いたことを伝えようとすると、野村がやってきて屋上で話をする事になった。

郁子は田鶴子の文章には、隠し事があると話す。最初は戸惑いが多かった文章が、途中から流れが変わっていた。まるで富崎を怪しむように操られているようだった

「操っていたのは、あなたですか?野村次長」と郁子がきくと「そうなんだよ」と野村は認めた

野村と田鶴子は10年前に一度だけ関係を持ったが、当時野村には妻がいたためそれっきりだった。だが、田鶴子はその後も野村の事を気にかけていた。

田鶴子の居場所はどこなのか、郁子がきくと「会いに行こう。僕も彼女に報告したいことがある」と言って、野村は郁子を車に乗せてある植木屋へ向かう。

杉岡殺害の真相

到着すると歩きながら野村は郁子に事件の話を始める。1年前、杉岡と玲子が親しくしているのを偶然野村は目撃してしまう。それ以来、杉岡は疎ましく思っていた野村の機嫌を取るようになった。

だが、野村を昇進させるつもりはさらさらなく、次の人事異動で別の土地にでも追いやろうとしていた。

あの晩、杉岡が玲子を静岡まで呼び出し、密会しようとしていたことに気付く。そこで野村は富崎が浮気に気付いたと、嘘の情報を杉岡に吹き込んだ

修善寺で杉岡が密会していた、浴衣の女性と思われていた人物は野村だった。段差があったため身長差が生まれ、田鶴子は相手が女性だと勘違いしていただけだった。

富崎が今夜会う場所に乗り込むと言っているから、東京に引き返したほうがいいと告げ、真に受けた杉岡は手配された軽トラに乗り込む。

すると運転手がいきなりスタンガンを押し当て、杉岡はそのまま失神してしまう。その運転手は野村の妹である、野村実奈(吉井怜)だった。

実奈を林田花壇に事前に手伝いとして潜り込ませ、野村はそこから大きな木を購入する。杉岡をロープで首を絞めて殺害した後、その木の根の部分に死体を土で丸め込んだ。だから山梨と伊豆の土の2種類が検出された

そして検問をごまかしながら運搬し、修善寺近くの何日か経ってから遺体が発見されそうな部分に埋めた。

玲子が亡くなったのはむしろ好都合で、動機ができたことで富崎に罪を被せるにはちょうど良かった。

殺害の動機

郁子はなぜ杉岡を殺したのかときくと、「嫌いだからだよ!」と野村は憤った。杉岡と野村は同郷で高校も一緒だった。杉岡は当時から欲深い男で、同じ会社に入った後も、出世のためなら何でもする男だった。

実奈は「私も嫌い」とつぶやく。杉岡は実奈が高校生の時に交際をしていたが、妊娠が分かった途端にあっさりと捨てた。実奈は高校中退することになり、人生が狂ったと嘆く。

あんな男が出世して、真面目にやっている兄が出世できないなんて馬鹿みたいだと怒る実奈。「なんか…もう真面目に生きてるのアホらしくなりません?」と吐き捨てて消えた。

田鶴子の行方

田鶴子は刑事の取り調べ前に、野村に杉岡が女性に会っていた事を言ったほうがいいか相談していた。野村は言わないほうがいいと口止めする

田鶴子が嗅ぎ回っている事を察した野村は、推測したパスワードを使い日記にアクセスする。そして脅迫のメッセージを送り、やめさせようとした。

ある日、田鶴子が脅迫を受けていると相談すると、もっと調べてみたらと野村は勧めた。富崎を犯人に仕立てるため、田鶴子の好意を利用したのだ。

郁子は日記の端々から、田鶴子が野村に好意を寄せている事を感じ取っていた。

野村はさらに事件が解決して富崎が失脚したら、結婚して欲しいとポケットから指輪を取り出しプロポーズしていた。

彼女は十分やってくれたと語る野村に、郁子は田鶴子に会わせて欲しいと頼む。野村が郁子の手を引いて連れて行った先は、一本の木の根元だった。

「ここ。木の下で田鶴子は眠っている」と教え、自分が部長になれた感謝を地面に向かって野村は告げる。

田鶴子は真実に近付き過ぎたため殺害したと、野村は答えるなりロープを取り出して郁子に近付いていった。

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【ガラスの城】の結末

逃げる郁子はつまづいてしまい、足をくじいてしまう。追い詰められた郁子は緊張のあまり笑い出す。

最後だから聞いて欲しいと郁子は野村に話し始めた。部長が死んで以来、犯人捜しをするのが楽しかった、やりがいを見つけた気がすると告白する郁子。

田鶴子も同じように調べていたのを知り、いつしか共感が芽生えていた。まるで自分とは違うタイプの彼女だが、日記から内面を初めて知って思っていた人物と違うと分かった。

「もし、もう一度会えたら。今度は私から話しかけようと思ってました」と郁子は言い、もっと色んな話を田鶴子としてみたかったと後悔する

野村は「そうか、ならばせいぜい、土の中で笑い合えばいい」と告げ、郁子の首にロープをかけて絞め始める

そこへ佐原がやってきて助け出した。野村は殺人未遂で現行犯逮捕された。

憔悴しきった郁子のもとに、部の人たちがやってきて心配する。郁子は初めて素直に、みんなの前で泣いた。

迎えの車がやってきて乗る前、田鶴子の眠る場所に両手を郁子はつく。「終わりましたよ、三上さん。お疲れ様でした」と告げた。

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【ガラスの城】のまとめと感想

自分を冷遇してきた上司の弱みを握って殺害し、出世のために濡れ衣を別の人物に着せ、知りすぎた女性を殺害したという話でした。

最初は田鶴子が主役のような展開で話が進み、後半から郁子が活躍する2部構成になっています。

全ての元凶は杉岡にあります。この男が中々の悪人で、まず高校生だった野村の妹を孕ませて捨てます。

さらに見栄っ張りなため、金を借りようとして郁子を垂らしこみます。さらに富崎の妻に手を出して不倫しました。

それと同様に野村も結構酷い男で、自分に好意を寄せる田鶴子を利用した挙句、最後は殺します。

田鶴子は最初、郁子のことをあまり快く思ってませんでした。郁子もまた田鶴子をよく思ってません。全く正反対の2人ですが、死の真相を探るという所で一致します。

もっとも田鶴子は野村を思い、郁子は杉岡を思ってのことでした。愛した男は違えども、行動の原動力は一緒だったのです。

そうして日記を読んでいるうちに、郁子は田鶴子の内面を知ります。実は自分が思っていたような人物ではなく、
別の一面があることを知って親近感を抱きました。

今度会ったら自分から話しかけてみよう。郁子がそう思っていた矢先に田鶴子は殺害されてしまいました。

表面上はいい人でも野村や杉岡のように最低の人物もいれば、郁子のように表面は無愛想でもまともな人間もいます。

結局、人はいくつも顔があり、表面からでは分かりません。いい所もあれば悪い所もある。当たり前の事ですが忘れがちなことなので、こういった話を見て定期的に思い出したいものです。

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