WOWOW 連続ドラマW版 東野圭吾原作【ゲームの名は誘拐】の最終話までの全話あらすじとネタバレをまとめています。
敏腕広告プランナーが仕掛けた狂言誘拐は、思わぬ方向へ転がっていく。誰がこの誘拐ゲームを支配し、そして最後に勝者になったのか?
キャスト
主要人物
- 佐久間駿介…亀梨和也
広告代理店「サイバープラン」エースCMプランナー - 葛城樹理…見上愛
勝俊の娘。大学生 - 葛城勝俊…渡部篤郎
社長の息子。日星自動車副社長
佐久間の関係者
- 小塚…小林隆
佐久間の上司 - 杉本智也…武田航平
佐久間の同僚。「サイバープラン」CMプランナー - 加賀谷武志…平山祐介
佐久間の先輩。「サイバープラン」エースCMプランナー - 上野淳子…ゆいかれん
佐久間の部下。「サイバープラン」広報 - 絵里奈…結城モエ
佐久間の元カノ - 湯口裕也…泉澤祐希
佐久間の後輩。「週刊REAL」記者 - 真希…松村沙友理
佐久間の彼女
葛城の関係者
- 石澤…飯田基祐
「日星自動車」宣伝部のトップ - 葛城芙美子…赤間麻里子
勝俊の妻 - 中村…山崎樹範
「日星自動車」駒形店の店長 - 秘書…山崎日菜
勝俊の秘書 - 受付…井元結衣
「日星自動車」駒形店の受付 - 葛城樹理…森香澄
もう1人の葛城趣里
その他
- 田辺洋輔…増田修一朗
警部。警視庁刑事課強行班の刑事 - 岡島大輝…井上想良
警視庁刑事課強行班の刑事 - スポンサー…芹澤名人、斎藤陸
ゴルフゲームのスポンサー - 店員…渕野右登
「D-PEPE-SEA」カフェ店員 - 深川晃彦…安藤清二
和心銀行支店長 - 警備員…中澤隆範
CS日本橋ビルの警備員 - アナウンサー…住田洋
- 千春の友人…喜瀬マリア、安川摩吏紗
大学の学友 - メイド…あむ、きなこ、こむぎ(アキバ絶対領域)
メイドカフェ「アキバ絶対領域+e」の店員
スタッフ
- 原作:東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(光文社文庫刊)
- 監督:鈴木浩介
- 脚本:小峯裕之
- 音楽:羽岡佳
- チーフプロデューサー:青木泰憲
- プロデューサー :大原康明、清家優輝
- 製作:WOWOW、ファインエンターテイメント
【ゲームの名は誘拐】要約ネタバレ
佐久間駿介の考えたCMプランは、日星自動車の葛城勝俊に完全否定される。佐久間は葛城の弱みを探っているうちに、娘の樹理が家出しているところに遭遇する。樹理から狂言誘拐を持ちかけられ、佐久間は話に乗ることにする。
しかし、樹理を思ったように制御することができず、佐久間は手を煩わせる。何とか身代金の受け取りを無事終えた後、樹理を解放した佐久間だったが、樹理の遺体が発見されるというニュースに驚く。なぜなら、その女性は佐久間の知る樹理ではなかったからだ。
佐久間のところに再び現れた樹理は、実は腹違いの妹の千春だった事を明かす。家出したあの晩、千春は樹理を誤って殺害してしまう。遺体の処理に悩んでいた葛城に、こっそり千春は連絡をして狂言誘拐の話をした。だから葛城は警察に一切通報せず、何も知らない佐久間と取り引きをした。
新車発表会の日、佐久間は発表会場で録音を来場者へ聞かせる。それは葛城が自分の所へ来た時に語った、誘拐の裏側の話だった。葛城は逮捕され、樹理と佐久間は一緒に警察へ出頭する。
3年後、樹理は花屋を営み、佐久間は店の前を通り過ぎる。互いに声をかけることはなかった。
1話のあらすじとネタバレ
あらすじ
『物語はすべてゲームである。この世界のすべては…困難なものほど燃え上がる。ただし、一度攻略してしまえば、たちまち色褪せる。所詮はただの遊びに過ぎない』佐久間駿介はそう思っていた。
日星自動車の新型EVのプロモーションプランが白紙になった。中止を決めたのは葛城勝俊副社長だった。後日、葛城に再提案の機会を得るが、佐久間を外すことが条件だったため後任は杉本になった。
湯口から葛城の自宅を教わって佐久間は向かう。すると、一人の女性が家から抜け出してくるのを見かけた。佐久間は彼女と接触し喫茶店で話をした。彼女は葛城の娘で樹理といい、前の奥さんとの不倫相手の子どもだった。新しい母親とその娘は、樹理に対して良い扱いをしていなかったという。妹の千春のハンドクリームを借りたら喧嘩になり、一方的に責められたので家を飛び出してきたと話す。
佐久間は樹理をホテルに連れて行き、当面の現金を渡して帰ろうとした。しかし、樹理は「誘拐して」とまで言い出す。佐久間は呆れて帰ろうとしたが、樹理は「私は本気よ」と言い、父が苦しみ自分が自由になれるなら構わないと覚悟を決める。
翌日、佐久間が出社すると葛城が会社にやってきた。葛城は「私はいささか、ゲームには自信がある」と語った。いくつか案を出すように言われ、それに見合うものがなければ中止すると通告した。佐久間は葛城に声をかけるが、葛城は部外者には興味がないと言って帰った。
その晩、佐久間は恋人の麻希と話して決断する。そして、樹理の待つホテルへ向かった。
ネタバレ
佐久間は昨日言ったことは本気かと確認し、「君が乗るならゲームスタートだ」と狂言誘拐に乗り気になる。なぜこんなことをするのかと聞く樹理に、佐久間は「葛城にプロジェクトを潰され、業界での地位が危うい。だから葛城を大きく振り回したいんだ」と説明した。
現金3億円を用意するよう、身代金を要求するメールを送り、SNSで反応させるよう指示した。「これを送ればゲームスタートだ。もう後戻りはできない」という佐久間に、樹理は「戻りたくない」と言って手を重ねてマウスをクリックした。このゲームが終われば、二度と会うことはないと佐久間は言い、樹理も当然だと答えた。
会社に葛城がやってくる日、葛城と全く連絡がつかないという報告が石澤から佐久間に入る。佐久間は思わず笑みを浮かべた。そして当初の予定通りのプランで進めようと提案すると、遅れて葛城はやってきた。
その頃、樹理はどこかへ出かけてしまう。そしてゲームは始まった。全てを賭けた誘拐という名のゲームが。
2話のあらすじとネタバレ
あらすじ
佐久間は会場に現れた葛城を見て驚いた。そして「ジュリ」というSNSのアカウントが開設されており、新車の購入を持ちかけられて困っているという投稿がされていた。
公衆電話から樹理からの電話が入り、彼女が横須賀にいることを知らせてきた。佐久間は思い通りにならない樹理に苛立ち、何度も計画は中止だと話したが、結局1時間後に電話することになった。
再びの樹理からの電話に佐久間は戻ってこいと伝えたが、樹理は今いる店に迎えに来るように命じた。迎えに来た佐久間に樹理は、自分はパートナーであって、部下でも家来でもないと話した。カフェにとめていた車に落書きがされて警察に通報されてしまう。佐久間は樹理を連れて、急いで店を後にした。
佐久間は樹理に飛ばしの携帯を渡し、これから葛城に電話して声を聞かせるよう指示した。葛城が警察に連絡せず、妻に任せっきりとは考えられず、裏で警察が動いている可能性があると佐久間は考えた。
樹理は言われるまま非通知で葛城に電話し、犯人の要求に従って欲しいと話した。葛城は警察には連絡していないと告げ、3億円は必ず用意するという。船の汽笛が聞こえた時点で、佐久間はあえて電話を切って捜査を撹乱しようと考えた。
ネタバレ
その後、樹理は少し寄りたい場所があると言い出し、星が綺麗に見える場所へと佐久間を案内した。そこは、昔、実の母親に連れて来てもらった場所で、樹理は佐久間にこの景色を見せたかった。
佐久間は自分の過去を語った。幼い頃に両親が離婚し、父親に引き取られたが、父が亡くなると祖父母と兄家族と同居する母親に引き取られた。これは作られた平和だと気づいた佐久間は、みんなが喜ぶその場にそぐう仮面をつければいいと思ったが、本当の意味でわかり合える存在が欲しかった。樹理は「分かるよ」と共感し、二人はキスを交わし、距離を詰めていった。
佐久間は樹理を自宅に連れて行ったが、感情に流されることはなかった。「自分は金のためにやっているわけではないから、金はやる」と言い、樹理はもらった金で海外にお店を開くために使うと告げた。
翌朝、SNSで金の準備ができていないという投稿がされ、受け渡しの方法に疑問を持つ書き込みもあった。佐久間は明日正午に現金の受け渡しをするようメールを送ると、石澤から葛城の様子がおかしいとの報告が入った。
お金の用意ができたという投稿がされ、佐久間は屋上で車を見守った。樹理から電話が入り、金のやり取りの方法を聞いていないと怒り出した。「これは私の戦いでもある。一緒にやらせて」と訴える樹理に、仕方なくビルの場所を教えた。樹理が金の受け渡しの指示をし、葛城は車に金を乗せて走り出した。しかし、佐久間はなぜか取引を中止した。
佐久間が屋上から帰ろうとすると、階段を上がってくる何者かの足音が聞こえてきた。
3話のあらすじとネタバレ
あらすじ
佐久間と樹理は、警備員がやってくるのを見て外階段から逃げ出した。もともと中止する計画で、周回車線を何度か走らせれば、尾行している車や警察の動きを確認できると佐久間は言った。自宅で録画した映像を確認し、今牽制しておけば次の取引を優位に進められると語った。
その後、葛城が「12時間の猶予を与える。出るとこ出るぞ」と投稿し、樹理は何も教えてもらえないことに激怒した。佐久間は樹理を宥めるため、連絡役をやらせないと約束した。
自宅に戻った佐久間は、次が本番の取引だと樹理に連絡した。佐久間は「警察に連絡していないなら、勝てる。これは俺と君との復讐ゲームだ」と樹理に話した。
翌日、二人はデートを楽しむかのように街を歩いた。一方、石澤は副社長に直談判し、「何を隠しているのか」と詰め寄った。そこで葛城は娘・樹理が誘拐されたことを明かすと、石澤は警察に相談するようと訴えた。佐久間は明日の取引の運搬役として、妻の芙美子を指定した。
日星のコンペに杉本にせがまれ、佐久間は渋々行くことにする。隙を見て樹理に連絡し、14時に母親の携帯へ電話するよう命じた。樹理は言われた通り、母親の携帯に連絡し、予め録音していた音声を聞かせた。コンペの説明中、葛城の携帯が鳴り、彼は席を外した。戻ってきた葛城は、その場で退席することを宣言し、佐久間も出ていった。
ネタバレ
その後、妻から電話を受けた葛城は、指定された受け渡し場所へ向かった。駐車場で待っていた妻から金を受け取り、指示された通りに金をダンボールに移し替え、犯人が用意した携帯に切り替えた。そこから佐久間が指示を出し、尾行する車を見た佐久間は取引を中止しようする。しかし、樹理に追跡がないかを確認させ、取り引きは続行した。
佐久間は日星自動車駒形店に秘書のふりをして電話をかけ、副社長の車が故障したから荷物を代わりに運んでくれと店長の中村に頼んだ。葛城は駐車場に車を停め、外に出るように指示され、1000からのカウントダウンを英語で言うように命じられた。やってきた中村が自分の車に荷物を移し替え、指定された場所に荷物を置くように指示された。そして事務所で声をかけるように言い、その隙に樹理が荷物を回収した。
樹理と佐久間は受け取った金を、れいの横須賀のマンションに置くことにした。葛城は部下に金を渡したことを伝え、娘の解放を待つという。樹理は警察に供述する練習をさせられ、携帯と部屋の鍵を佐久間に返した。
解放の前に、二人は車でドライブを楽しみ、解放する場所に連れて行った。佐久間は「これでお別れだ」と話したが、樹理はごね始めた。佐久間は冷たく「はっきり言って、もう君には興味がない。面倒だとすら思っている」と言い放った。「これでゲーム終了だ」と告げると、樹理は「楽しかったね、さよなら」と言って車を降りた。
佐久間は葛城に樹理を解放した旨をメールで伝えたが、SNSには樹理が戻っていないという投稿がされた。湯口から電話があり、葛城の娘が誘拐されたとの報告を受けた。樹理が戻ってこないので、葛城はついに警察に話をした。
佐久間は慌てて横須賀のマンションに向かったが、女性専用マンションだと言っていたにもかかわらず、男性が出てきた。さらに、樹理の遺体が発見されたというが、その女性は佐久間が知る樹理とは別人だった。
最終回のあらすじとネタバレ
あらすじ
誘拐事件が公に発表された。あの時、警察車両かもしれないと思っていた尾行車両が、実は杉本の車だったのだ。
佐久間は葛城がなぜ警察に連絡していなかったのか、そして誘拐されたのが樹理でないと気づいていたのか疑問に思った。また、なぜ本物の樹理が死んだのかも考えを巡らせた。
すると、樹理だと思っていた人物が佐久間の家にやってきた。実際には彼女は樹理ではなく妹の千春だった。
あの晩、千春は樹理を殺害してしまったのだ。二人はハンドクリームの件で口論となり、揉み合いの末、樹理は頭を打って死亡した。
その日、佐久間が現れたのは偶然で、千春は佐久間がシャワーを浴びている間に父親に相談した。父親は遺体の処理に悩んでいたため、千春の提案を受け入れたのだ。彼女はずっと父親と相談しながら行動しており、佐久間の痕跡が残るように色々と仕掛けていた。横須賀カフェで車にいたずらしたのは母親だった。母親も共犯だったのだ。
佐久間は「なぜ勝った気でいるのか?」と尋ねたが、千春はワインに薬が仕込まれていたことを示唆した。「父がやるから私には分からない」と言い、最後に「あなたに会えてよかった」と言って千春は出て行った。
翌朝、佐久間が目を覚ますと、そこには葛城がいた。娘のことを自分なりに愛してはいたが、「愛にも順位がある」と話す。葛城は佐久間が警察に捕まらなければ、本当のことは話せないのでかばうつもりだという。
樹理は愛人の娘だから見捨てたのだろうと世間は噂していた。しかし、石澤がテレビで娘と副社長の美談を語ったことで風向きが変わった。佐久間は宣伝の仕方でも、敗北を喫した気がした。
その後、佐久間は千春が通う大学に現れ、「このままでいいのか?」と問いかけた。千春は「初めて父親が自分と向き合ってくれた。それが呪縛だとしても、自分で望んだこと」と答えた。
ネタバレ
新車の発表会の日、刑事は樹理が環境学を学んだ形跡がなかったことを確認し、死んだ娘さえ利用する葛城の人間性を疑った。そこに佐久間が現れ「千春がやってきて、乾杯したあの夜から今まで録音している」と話した。
VTRが終わり、再び現れた葛城は「サイバープラン主導の試乗会が催される予定」と話し、佐久間を会場に呼んだ。佐久間は会場にやってきた千春の目を見ながら話し始め、「すべてはゲームだ。そう思ってました」と話し始めた。
話し終えると、佐久間はマイクを置き、懐からペンを取り出し、「誘拐殺人事件の黒幕の肉声がある」と言い出した。それを聞いた葛城が止めに入り、佐久間を追い出そうとしたが、そこで千春と妻の関与を暴露し始めた。暴れ始める葛城が置いてあったペンを確認すると、それは普通のペンだった。
そこへ刑事がやってきて、横須賀の遺体発見現場近くで葛城を目撃したという通報が入ったことを告げ、葛城は連行された。
佐久間は千春を乗せて車を走らせ、警察署まで送った。佐久間は「俺も行く」と言い、「お互い、もう仮面をつけるのはやめにしよう。前に進むためにも。嘘はいらない」と告げた。二人は車を降り、警察署へ向かった。
佐久間は警察署で、誘拐は自分の提案であり、彼女はただの駒だと話した。一方、千春は警察署で「自分があの男を操った」と証言し、誘拐も自分が仕向けたのだと述べた。お互いに相手をコントロールしていたと主張し、相手をかばう意思はないと供述した。その後、葛城は死体遺棄容疑で逮捕された。
3年後、佐久間は街を歩いていた。千春が営む花屋の前を佐久間は通り過ぎていく。お互いに声をかけることはなかった。
感想
狂言誘拐は死体遺棄を偽装するためだったという話でした。
短い話の中でテンポよく進み、話は二転三転します。樹理だと思っていたのが実は千春で、葛城も承知の上の狂言誘拐だったと最後に分かります。
「愛にも順位がある」という葛城の言葉は、痛いところをついてくる心に残る言葉です。みんなそれを心の底では分かっていても、いざ口にされるとショックです。
佐久間もなかなか冷たい男で、うざい千春に「面倒だとすら思っている」と言い放ちます。モテる男だからこそ言えるセリフです。
時々ちょっとキザなモノローグやセリフが入るので、見ていてちょっと恥ずかしくなる人もいるかもしれません。逆に亀梨さんのファンの人なら、嬉しく思うシーンが多いです。
佐久間も葛城も千春も、みんながみんなでマウントを取り合い、自分がゲームマスターだと威張りたがります。それを滑稽だと俯瞰で見て笑うような、寓話っぽい味わいもあるドラマでした。