由紀と迦葉や我聞の関係のネタバレ
ドラマの合間に挟まれる二人の関係を、簡単にまとめました。ここの部分がなければこのドラマは全く救いのない、見終わった後に嫌な気分だけが残るドラマだったと思います。
由紀と迦葉
由紀は父親に性的な目で見られた過去があり、母親からは女であることを否定され続けた。迦葉は母親が自分を置いて出て行ってしまい、一人残された部屋で最終的にはマヨネーズなどを食べて生き延びた。
迦葉と由紀は大学時代、交際はしていないが仲が良かった。お互い、親に恵まれていない境遇だったからか、互いを大切に思いあう。そして二人は体の関係を結ぶ一歩手前までいく。しかし、迦葉はその時彼女を抱くことができなかった。
それを由紀は「自分が女っぽくないから?セックス依存症なんでしょ?母親に愛されなかったから」と言ってしまう。衝動的に迦葉は由紀の首を絞めるが、すぐに手を離して部屋を出て行こうとする。引き止める由紀に対して迦葉は「付き合ってたわけじゃねぇし」といって出て行く。
我聞との出会い
その後、由紀は個展を訪れた際に我聞と出会う。我聞は由紀と真剣に交際がしたいと申し込み、由紀は快く受け入れた。我聞が迦葉に由紀を紹介する時、由紀は「初めまして」と言う。迦葉もそれに応じて「初めまして」と答えた。二人の大学時代の関係はなかったことにしていた。
我聞と由紀の結婚式の時、迦葉は「これからは義姉さんと呼ばせてください」といって椿を差し出す。複雑な心境を抱えたまま、由紀は自分の幸せを手に入れるため、大事な人に嘘をつき、大事な人を傷つけたと思っていた。
我聞は今ではウェディングフォトグラファーだが、元々は報道カメラマン志望だった。自分のために夢を諦めさせたとどこかで由紀は思っていた。それを迦葉に責められたりもした。
迦葉は実の母親が入院しても見舞いも行かず、危篤状態になってようやく顔を出す。首に手をかけて殺そうとするが、やはりできずに手を離す。
和解
二人は共に事件に関わることによって、互いを許し始める。由紀と関係を結ぼうと思ったあの時、由紀だから苛立って、由紀なら笑って許してくれると思って甘えていたと迦葉は語る。それを聞いて由紀は「私こそごめん。あんな酷いこと言って」と謝る。
由紀はわかっていた。迦葉の母には自分と同じ右肩にアザがある。だから迦葉は自分のことが怖かったんだと思うと告げた。
我聞との愛
迦葉が大学生の時、初めて女の子をナンパしたと我聞に自慢してた。我聞は三人で顔を合わせた時にすぐに気づいた、迦葉がナンパしたと言っていた女の子は由紀だと。
その後、迦葉に由紀のことが好きか聞いた。「大事だったけど恋愛ではなかった。それがどれだけ特別なことか伝えようと思っても、きっと由紀はもう受け入れてくれないだろう」と迦葉は言っていた。それを聞いた我聞は2人がどれだけ分かり合っているのか知った。
別れようと思わなかったの?と由紀は我聞に問う。夢を諦めたことを気にしているようだけど、由紀の犠牲になったわけじゃない。自分がそうしたかったからだと言う。
由紀は我聞に幸せか問う。由紀と出会ってからずっと幸せだと答える我聞、だけど自分は神様じゃない。嫉妬もするしヤキモチもやく、ただの男だと。逆に由紀は結婚して良かったかと問う我聞、「うん。我聞さんが撮る私が誰よりも優しい」と答えた。
- 迦葉は母親を思い出して由紀が怖かった
- 我聞は迦葉と由紀が仲良くしていたことを知っていた
- 由紀のために我聞は夢を諦めたわけではなかった
ドラマ【ファーストラヴ】の考察
ヒューマンミステリーというわりには、そんなにミステリーっぽい話ではありません。どこら辺がミステリーなのか?それはもしかしたら、このドラマは見たままの通りに終わっているのか?という部分なのではないか。なぜなら、疑問が残る部分がいくつかあります。
環菜は嘘つき
嘘つきのパラドックスが非常に厄介です。環菜が本当に嘘つきであるのなら、環菜が自分を「嘘つき」と言っているのは、それも嘘をついていることになるからです。だとしたら今までの話は何が真実で何が嘘か、見分けることが本当の意味ではできません。
環菜は人に好かれたい
環菜はその人が望むように振舞うところがあります。由紀が望むように本心を言っているフリをしている可能性はないのか?そんな疑問も浮かびます。
判決後の微笑み
判決後に退廷する際、環菜は微笑みを唇に浮かべます。この笑みの意味をどうとるか?由紀はその姿を見て涙していました。
本当は殺意があった。懲役15年を求刑されていたので、刑期が減って良かった。という笑みの可能性も考えられます。だから控訴もせずにそのまま受け入れた。手紙ではそれこそ由紀が望むような内容の文面を書きます。
ドラマ版のほうではこんな感じの疑問が残る終わり方でした。こういったタイプならいっそ映画『真実の行方』みたいに終わってくれても良かったのですが、さすがにそこまではいきません。映画版ではまた違った終わり方をするのかもしれません。
“ファーストラヴ”の意味について
結局誰が誰に初恋だったのか?自分が感じたのは最後の環菜の手紙で“私が私を好きになりたいと思います”の部分です。環菜は人に好かれたいですが、人を好きだったわけではありません。ただ目の前の人の好意を失いたくないため我慢をしています。しかし、今回初めて“好き”になります、自分を。
ドラマ【ファーストラヴ】の感想
非常に重い話ですが、由紀と迦葉と我聞の和解があるので最後は嫌な気分にはなりません。しかし、全体的に不穏な空気しか漂っていないドラマです。
このドラマ版は環菜役の上白石さんと、昭菜役の黒木さんの配役が良かったです。環菜の清楚でいながら情緒不安定な様が、とてもよく表現されていました。上白石さんの表情の事細かな変化がゾっとするほど恐ろしかったりします。また、昭菜役の黒木さんがとにかくイラつかせてくれます。
逆に主役の真木さんは基本的に抑え目な演技をします。淡々と表情の変化をあまり出さずに続きます。個人的にこのドラマで一番好きだったシーンは、唯一彼女が声を荒げて環菜に語りかけるシーンです。この場面の布石としてずーっと抑え目の演技をしていたのではないか?それぐらいこの声を荒げるシーンが胸に響きました。
ドラマ【ファーストラヴ】に登場した本
ロバート・キャパ写真集「戦争・平和・子どもたち」
我聞が報道カメラマンになりたかったという夢を感じさせる本です。
ドラマ【ファーストラヴ】のまとめ
求刑
懲役8年
事件の真相
美術講師の父が自宅でやるデッサン会のモデルをやるのが嫌だった。夢だったアナウンサー試験を受けにいったら、カメラテストでその時のトラウマが蘇る。失神した環菜は試験を辞退し、包丁を買って自傷行為をする。そうして傷付いた姿を父に見せるが、もみ合いになって血で滑った父親が倒れてきたところ刺してしまった。