【相棒23】7話のネタバレと感想|三浦が特命係に捜査依頼

2024秋ドラマ
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【相棒シーズン23】7話「復讐者は笑わない」のネタバレと感想をまとめています。

29年前に起きた殺人事件の容疑者が、殺害される事件が発生する。当時事件を担当していた三浦が右京に連絡し、犯人に強い恨みを抱いていた人物に思い当たる節があることを伝え……。

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【相棒23】7話のあらすじ

八王子の公園で殺害された男の身元を調べたところ、29年前に起きた女子大生殺人事件で指名手配されていた、押見博樹(鎌倉太郎)だと判明した。

押見は以前交際していた板倉里穂(岡田莉世)に復縁を迫るが断られ、逆恨みから彼女を殺害し川に遺体を捨てて逃亡した。

被害者の父親である、板倉正継(あべかつのり)は当時マスコミの前で、犯人を殺すと怒りをぶちまけていた。だが、犯人は捕まることなく時効を迎えてしまう。

当時事件を担当していた三浦信輔(大谷亮介)から連絡をもらった杉下右京(水谷豊)は、亀山薫(寺脇康文)と一緒にこてまりで会って話を聞く。

押見を恨んでいたのは父親だけでなく、当時里穂の交際相手だった恒川圭一郎(神尾佑)もいた。三浦は恒川が八王子に引っ越していたこともあり、彼が犯人ではないかと心配し、右京たちに捜査を依頼するが……。

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【相棒23】7話のネタバレ要約

里穂を殺された恨みを晴らすため、恒川は押見が好きなクラブチームの試合があるたびサッカースタジアムで張っていた。

ようやく現れた押見をつけていくが揉み合いになり、押見は気を失ってしまう。その場で殺すことができなかった恒川は、押見を物置に監禁して10年間過ごした。

沙也加が家に来るようになって、恒川は押見を眠らせて拉致した現場に戻す。目を覚ました押見が、監禁した人物に復讐しようとしていると、沙也加の元夫が押見が今の交際相手だと勘違いし、2人で揉み合いになった末、押見の腹に包丁が刺さって死んだ。

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【相棒23】7話の詳細なネタバレ

今回の事件

八王子の静かな公園。暗闇の中、公園のベンチに一人の男が腹から血を流して倒れていた。通りかかった通報者が救急車を呼ぼうとすると、男は力なく首を振り、「余計なことをすんじゃねえ…」と途切れた声で拒絶した。次の瞬間、彼は意識を失い、深い闇の中へと沈んだ。

その翌朝、警視庁の角田六郎(山西惇)が特命係を訪れ、事件の詳細を伝えた。八王子の公園で見つかった遺体は刃物による刺傷が原因で失血死していた。だが、奇妙なことに、男は最後の瞬間まで救急車を呼ぶことを拒否していたという。

遺体のDNAを照合した結果、その身元が判明した。男の名は押見博樹(鎌倉太郎)。なんと、29年前に女子大生殺害事件で指名手配されていた逃亡犯だった。

事件の真相は凄惨だった。押見は当時の元恋人・板倉里穂(岡田莉世)に復縁を迫ったが、彼女はそれを拒絶。逆上した押見は彼女を刃物で刺し、その遺体を川に投げ捨てて逃亡した。捜査本部が彼を指名手配したものの、すでに姿をくらましていた。その後、事件は2010年に時効を迎え、解決されることはなかった。奇しくも、この事件は時効が成立した最後の殺人事件として記録されている。

その時、杉下右京(水谷豊)の携帯が震えた。ディスプレイに表示された名前は三浦信輔(大谷亮介)だった。右京は無言で画面を見つめ、何かを思案するような鋭い視線を浮かべた。

三浦との会話

こてまりの静かな一角。右京と亀山薫(寺脇康文)たちは三浦と向かい合っていた。三浦は一息つき、29年前の凄惨な事件について語り始めた。

「押見博樹の事件、覚えてますか?」と三浦。
彼はその事件の担当者として、被害者・里穂の遺族に対応していた。家族は父親の正継(あべかつのり)一人だけ。娘を失った怒りに燃えた正継は、マスコミのインタビューでも「娘の命を奪った男をこの手で殺したい」と激しい憎しみを隠さなかった。

事件前から里穂は押見から脅迫を受けていたが、当時の警察はまともに取り合わなかった。警察を信用しない正継は独自に捜査を開始。押見がサッカークラブ・多摩川ウイングスの熱狂的なサポーターであることを突き止め、スタジアムの試合には必ず足を運び続けた。事件の時効を迎えた後も、彼の執念深い捜索は終わることがなかった。

その頃、伊丹憲一(川原和久)たちは正継の家を訪ね、昨夜のアリバイを尋ねていた。「家にいた」と答える正継。しかしその表情には、未だ消えぬ怒りが見え隠れしていた。

三浦は話を続けた。「押見を憎んでいたのは、正継さんだけじゃありません」
事件当時、里穂と交際していたのは恒川圭一郎(神尾佑)という青年だった。彼もまた、押見を見つけ出すため、クラブの試合に通い続けていた。

「八王子で殺されたのも気になります」三浦は目を細めた。「恒川さんは10年前に仕事を辞め、八王子に引っ越しているんです」

深まる謎に、右京たちの思考がさらに鋭く研ぎ澄まされていった。過去と現在、怨念と正義が交差する中で、真実はどこに隠されているのだろうか。

10年前のこと

右京たちは恒川の家を訪れた。呼び鈴を鳴らすと、少し疲れた表情の恒川が姿を見せた。

「少しお話を伺えますか?」

家に通された右京たちは、恒川から来月引っ越す予定であることを聞いた。理由は「そろそろ環境を変えたくて」と淡々と話す。

「もう試合には行かれていないんですか?」と亀山。
「ええ、10年ぐらい前から行っていません」

事件の日のアリバイを尋ねると、恒川は「家にいました。体調を崩していて…」と目を伏せた。その返答に、右京は目を細めながらも深追いはせず、その場を後にした。

帰り際、右京は三浦に話を聞いた。恒川の様子に何か気になるものを感じ取っていたからだ。

「事件が時効を迎えた日、恒川さんに会いに行ったんですか?」

三浦は少し考え、静かに語り始めた。

「あの日、確かに彼と会いました。その時、たまたまそこにいた少女と母親を見た恒川さん…笑っていたんです。それまで一度も見たことがないような笑顔でした

三浦はその笑顔が心に残っていた。そして恒川の謝罪の言葉も──「すみません。里穂が今の僕を見たら幻滅しますよね…まだ犯人も捕まっていないのに…」

恒川は何かを乗り越えたように見えた。しかし今思えば、その瞬間が違った意味を持っていたのではないかと、三浦は考え直していた。

「もしや、私の言葉が彼の復讐心をさらに駆り立てたのかもしれません…」

その時、伊丹たちがやってきた。出雲麗音(篠原ゆき子)が三浦に挨拶をし、伊丹たちは先を急ぐように去っていった。

三浦もその場を離れようとしたが、右京は呼び止めた。

「一つだけ、いいですか? 恒川さんが押見を捜すのをやめたのが10年前。八王子に越してきたのも同じ頃です。何か心当たりはありませんか?」

少し考えた後、三浦は静かに答えた。

「少し調べてみます」

右京は軽く頭を下げ、三浦は決意を新たに立ち去った。過去と現在が交錯する謎が、ゆっくりと動き始めていた。

謎の来訪

右京と亀山は、恒川が勤めるスーパーを訪れた。店内は昼過ぎの買い物客で賑わっていたが、右京たちの目当ては店長の佐津間諒(田子天彩)への話を聞くことだった。

「恒川さんは一昨日、出勤されていましたか?」と右京。

いえ、あの日は病欠でした。ただ午後3時過ぎに電話があり、4時からの遅番だったんですが…」

亀山は店長に押見の古い写真を見せた。驚いた店長は、すぐにその男のことを思い出した。

「この男…おととい店で揉めてましたよ。従業員の友繁さんに絡んでいてね。私が行くと渋々出ていきましたが、その後も外でウロウロしていたんです。夕方4時半ごろ、友繁さんが帰宅するのを確認してから、ようやく去りました」

聞き込みを終えた右京たちは、友繁沙也加(佐藤みゆき)に直接話を聞くことにした。

「おととい、押見という男とどんな話をしましたか?」と亀山が尋ねる。

沙也加は困惑した表情を浮かべながら答えた。

「商品の場所を聞かれただけです。それが何か?」

右京は彼女の態度に違和感を覚えた。続けて尋ねる。

「店の人によると、少し前に元ご主人が店に来られたとか?」

沙也加は一瞬戸惑った後、小さく頷いた。

「そうです。元夫とはDVが原因で別れました。転居先も知らせず、平穏な日々を送っていたのに、4日前、突然店に現れて…復縁を迫られました

その時、沙也加は焦りから「新しい恋人がいる」と元夫の庄島優(高原知秀)に嘘をついたという。

「押見と元夫が店で騒ぎを起こしていた。どちらもあなたに執着している…気になりませんか?」と右京。

沙也加は苛立ちを隠せず、話を打ち切るように立ち去った。

二人は改めてスーパーの周辺を調べ始めた。押見が立っていた辺りで亀山が何かを見つけた。

「右京さん、これを!」

亀山が拾い上げたのはライターだった。そこには「蝶と夜」と書かれていた。

時効失効

右京と亀山が特命係に戻ると、そこには芹沢慶二(山中崇史)が待っていた。彼は少し気まずそうに立ち上がった。

「伊丹さんに情報を流すなと言われたんですが…まあ、逆に取らせてもらいました」と芹沢が言うと、右京は微笑を浮かべた。

「それで、何が分かったんですか?」と亀山が促す。

押見は事件直後、架空のパスポートを使って海外に出国していました。2年後に帰国していますが、その間に家から持ち出した3000万円が逃亡資金に使われたと思われます」

右京は腕を組み、少し考え込んだ。

「遺体発見時の免許証は偽名の中田義明名義でしたね。その名義も偽造パスポートのものでしょうか?」

芹沢は頷き、「そうです。29年前の事件は、被疑者死亡のまま送検される見通しです」と続けた。

「海外に滞在していた期間、時効の進行が停止します。事件の時効はまだ成立していないと見ていいでしょう」と右京が推察した。

「押見が救急通報を拒んだのも、その事実を知っていたからかもしれませんね」と亀山が付け加えた。

芹沢はさらに資料を手渡した。

「押見は10年前に免許証の更新をしておらず、住所を訪ねましたが、その時点で夜逃げをしていました。部屋には荷物が残されたまま、家賃も3か月分滞納していたそうです」

その時、麗音が急ぎ足で部屋に入ってきた。

「明日、板倉正継さんを任意同行することになりました」と報告する。

右京は深く頷き、静かに目を閉じた。次第に見えてくる真実の輪郭が、事件の奥底に潜む未解決の謎を浮かび上がらせていた。

容疑者を取り調べ

板倉正継の取り調べが始まった。彼は頑なな表情のまま、何も隠そうとはしなかった。

「事件当日、ホームセンターで包丁を購入していますね?」と芹沢が問い詰める。

正継はうつむき、低い声で答えた。

「あいつを殺すつもりだった」

取り調べ室には重苦しい空気が漂った。

「でも…できなかったんだ」

正継は深い息をつき、拳を固く握りしめた。

「29年間…ずっと探し回って、ようやく見つけたってのに…」

芹沢はその言葉に食い下がった。

「なぜ押見の居場所がわかったんですか?」

正継は視線を逸らし、答えなかった。

その頃、右京と亀山は鑑識の益子桑栄(田中隆三)から報告を受けていた。

「ホームセンターで購入された包丁だが、鑑識の結果、犯行に使われたものではなかった

「他に何か手がかりは?」と亀山が身を乗り出す。

「事件直前、公衆電話から情報提供の通報があった。発信者は名乗らなかったが、その通報で押見の居場所が判明した」

右京は少し考え込むように視線を落とした。

「それから、押見の指先と爪には土が付着していた。その成分は公園内の雑木林のものと一致した」

右京は静かに頷き、ポケットから「蝶と夜」と書かれたライターを取り出して、益子に手渡した。

「このライターの指紋と成分も調べてください」

右京の瞳には、まだ見えない真実を追う鋭い光が宿っていた。事件の輪郭は、徐々に明らかになりつつあった。

浦島太郎

右京と亀山はスナック「蝶と夜」を訪れた。押見の妹である嘉子(伊佐美紀)に話をきくことにした。

「兄とは、あの事件以来、会っていません…」嘉子は深いため息をついた。

右京が「蝶と夜」と書かれたライターを見せると、嘉子の顔が険しくなった。

「それ…一週間前、兄が突然現れて使ってました」

「元号が変わったことも知らず、スマホも持っていなかったんです。まるで浦島太郎みたいで…」

嘉子の声には、どこか寂しさと諦めが混ざっていた。

「最近まで海外にいて、日本のニュースは見てなかったらしいです」

「彼はどんな『用』があったと言っていましたか?」と右京が尋ねた。

「…わからない。でも、きっと…」嘉子は視線を落とし、思い出すように言葉を続けた。

「あの日、兄が包丁を握りしめて、『やっと店がわかったんだ。あとはあの男を見つけるだけ。あいつだけは許さねぇ!』と言って飛び出していったんです…」

亀山が険しい顔をした。「それで板倉さんに居場所を伝えたんですか?彼を利用するなんて、間違っていますよ!」

嘉子はうなだれた。「…板倉さんなら兄を殺してくれるかもって思ったんです…」

右京は冷静な声で尋ねた。「押見さんが探していた男性に、何か心当たりは?」

パソコンでいろんなスーパーの弁当を調べていました…それが何か?」

その後、右京は亀山を連れて、押見の遺体が見つかった公園に戻った。

「亀山君、お願いがあります」

「何です?」

犯行に使われた凶器は、恐らく妹さんの店の包丁でしょう。そして押見の指には、公園の土が付着していました」

「つまり、彼は警察沙汰を避けるため、事件の隠蔽を図り、包丁を公園に隠した可能性が高いです

亀山はうなずいた。

「君の得意の嗅覚で、凶器を探してもらえませんか?」

亀山は微かに笑い、「了解しました」と言って、公園内の探索を始めた。事件の核心に、彼らは一歩ずつ迫っていた。

疑い

右京は沙也加に再び会い、押見が誰かを探していた件について話を聞いた。

「あなたを探していたとき、押見は何か言い残していませんでしたか?」右京が静かに尋ねた。

沙也加は一瞬たじろぎ、ためらいながらも語り始めた。

「あの人…突然、私に詰め寄ってきて…」

押見は鋭い目つきで沙也加を見つめ、荒々しく言った。

「お前、俺のこと知ってるだろ!この鈴の音、俺聞いたんだよ!お前も仲間なんだろう!」

沙也加は驚きと恐怖で凍りついた。押見が指差したのは、彼女のバッグに付いていた小さな鈴だった。

「違います、人違いです!」と必死に答えると、押見は険しい表情を崩さなかった。

「毎日この店の弁当を買ってる男だろ?答えろ!」

彼の声が店内に響いたそのとき、店長がやってきた。押見は睨みつけながらも渋々退散した。しかし、彼は外で店を見張り続けていた。

沙也加は不安に駆られ、頼れる相手として恒川に電話をかけた。

「…押見が探しているのは恒川さんだと思って…」

「なぜそう思ったのですか?」右京が尋ねる。

「前に恒川さんの家に行ったことがあって…それに、恒川さんがいつも廃棄される弁当を持ち帰っているのを思い出して…」

沙也加の声は震えていた。恒川はすぐに仕事を休み、彼女を迎えに来てくれた。

「俺のせいで怖い思いをさせちゃって、申し訳ない」恒川は深く頭を下げた。

「あの人、誰なんですか?」沙也加が恐る恐る尋ねると、恒川はただ「今は話せない」と答えるだけだった。

その時、遠くから元夫が現れ、沙也加は思わず身を隠した。

「なぜこのことを黙っていたんですか?」右京が鋭く聞く。

「…もしかしたら、恒川さんが何かしたんじゃないかって…」沙也加の声は小さく消え入るようだった。

その後、公園で捜索を続けていた亀山のもとに右京が現れた。

「凶器は見つかりましたか?」

亀山はうなずき、押見が使った血のついた包丁を見せた。

その瞬間、右京の携帯電話が鳴った。三浦からの連絡だった。

「10年前、恒川の周りで何があったか調べてみたよ」

三浦は続けた。

「2014年12月6日、多摩川ウイングスが初のリーグ優勝を決めた。その試合が行われたのは、多摩川ウイングスのホームスタジアムだった」

右京は目を見開き、感謝の言葉を述べた。

「これで全貌が見えました。ありがとうございます」

彼は亀山とともに決意を新たに、公園を後にした。事件の真相が、いよいよ明らかになろうとしていた。

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事件の真相

右京と亀山は恒川の家に到着した。右京は静かに口を開いた。

「2014年12月6日、何があったか覚えてますね?」

恒川は驚きの色を隠せなかった。右京は続けた。

「その日は多摩川ウイングスがリーグ優勝を決めた試合が行われました。逃亡中の押見も、優勝がかかった試合を現地で見届けたんです。そしてその試合で、あなたは押見を見つけた

恒川の顔が強張った。

「その2週間後、あなたはこの家に移り住んだ。そしてこの小屋に防音シートを張った。周囲に住宅がないのに、なぜ防音シートを張る必要があったのでしょう?それは押見を監禁していたからですね?

亀山がシャッターを開けると、そこには頑丈な鉄製の檻があった。

恒川はうつむきながら話し始めた。

「12月6日、試合が終わったあと、あの男を見つけたんです。尾行して揉み合いになり、石で殴って気絶させた。でも、殺すことはできなかった

彼の目には深い後悔が滲んでいた。

「時効が成立してると思ってたから、警察に突き出すこともできなかった。だから…監禁するしかなかったんです」

押見は10年間この小屋で監禁されていた。恒川は仕事場の弁当を押見に与え、顔を合わせることも、声を交わすこともなかった。

「怖かったんです。自分がとんでもないことをしてるのも分かってました。でも…後戻りできなくて…」

恒川の声は震えていた。

「俺はあの男と2人きりで生きてきたんです…」

右京は冷静なまま問い続けた。

「最近、沙也加さんがここを訪れるようになったと聞いています」

恒川は何も言えなかった。

「彼女はあなたに食事を作って渡していた。その時、バッグの鈴の音が鳴り、押見はその音を聞いて彼女を仲間だと勘違いした。毎日食べていた弁当を手がかりに、スーパーを特定したんです

恒川は頭を抱えた。

「そもそも押見はなぜ、監禁から脱することができたのでしょう?自力で逃げたのなら、あなたを探す必要はありません。彼を解放したのは、あなたではありませんか?

恒川は深くため息をついた。

「俺が…押見を眠らせて…10年前と同じ場所に運びました」

恒川の目には決意の光が宿っていた。

「彼女を守れるのは、俺しかいないと思ったんです。元夫のことで相談に乗ってあげていました。彼女には里穂のような目には遭ってほしくなかった」

恒川の声は震えていたが、心からの叫びが聞こえた。

「だから彼女を守るために、部屋を借りました…でも、殺したのは俺じゃありません!」

右京は静かにうなずき、淡々と告げた。

「ええ、犯人ならすでに確保しています」

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【相棒23】7話の結末

取調室では、沙也加の元夫である庄島が警察の厳しい聴取を受けていた。発見された包丁からは押見の血痕と庄島の指紋が検出されていた。追及に対し、庄島は押見との激しい衝突を語り始めた。

「あの日、もう帰ったと店長に聞いていたのに、店の外でずっと待ち伏せしている押見を見かけたんだ。沙也加の新しい男かと思った」

嫉妬と怒りに駆られた庄島は、話をつけようと押見を追い、公園で声をかけた。しかし、押見はいきなり包丁を抜き、憎悪に満ちた叫び声をあげた。

「お前だったのか!俺の10年奪いやがって!」

押見の怒りは尋常ではなく、刃物を振りかざし襲いかかってきた。もみ合いの末、庄島は反射的に抵抗し、押見の腹に包丁が突き刺さった。血まみれの押見が地面に崩れ落ちると、庄島は恐怖に駆られてその場を逃げ出した。

一方、押見は激痛をこらえながら、自らの手で凶器を埋めるために地面を掘った。その行動は、何としても警察沙汰を避けようとする意志の表れだった。

「先に襲ってきたのはあっちだ!正当防衛なんだよ!」と庄島は主張したが、その声には虚しさが漂っていた。

恒川は静かに聴取を受けながら、長年胸に秘めていた思いを語り出した。

「押見を見つけるために、あらゆるものを犠牲にしてきたはずです」と右京。

「里穂さんを守れなかったことが、その原動力だった」と亀山。

里穂を失った痛みは深く、復讐心だけが彼の心を支えていた。だが、同時に自らを戒め、感情を押し殺して生きてきた。そのため、かつて三浦に笑顔を見せてしまったとき、自分を責めるしかなかったのだ。

「俺が笑うなんて許されない…。殺された里穂の気持ちを考えたら…」

右京が優しく語りかけた。

「確かに里穂さんは無念だったと思います。だからといって、あなたが笑うことは決して後ろめたいことではありませんよ」

そのとき、伊丹が現れ、恒川に監禁の容疑で同行を求めた。

恒川は涙を浮かべながら右京に問いかけた。

「里穂は…こんな俺を許してくれるでしょうか?」

右京は静かにうなずいた。

「そのためにも、しっかり罪を償ってください」

恒川は覚悟を決め、車へ向かう足取りは重かった。しかしその途中、見送りに来ていた三浦の姿が目に入った。

「恒川」と伊丹が声をかけた。

恒川はぎこちなくも三浦に笑顔を見せてから、ゆっくりと車に乗り込んだ。

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【相棒23】7話のまとめと感想

恋人を殺された男が、犯人を10年間監禁していたという話でした。

時効になったと思っていたので警察にも突き出せず、かといって殺すこともできず、恒川は監禁を決意します。

たまたま沙也加が家に来るようになったから、監禁するのをやめましたが、そうでなかったら今も監禁し続けたのかもしれません。むしろ押見はよく生きてたなとも思います。

恒川は誰かが罰せないといけないと、法で裁けないため私的に10年監禁しました。ある意味、殺されるよりも牢屋に収監されるよりも、拷問染みた強い罰だったと思います。しかし、押見の10年を奪った代わりに、恒川の10年も奪われてしまいました。

とはいえ邪魔者同士が殺し合い、恒川と沙也加にしたら良かったのかもしれません。罪を償った後、2人の新たな人生がひらかれるのかもしれないと、少し希望を持たせた終わり方でした。

【相棒23】7話のいいセリフ

あなたが笑うことは、決して後ろめたいことではありませんよ。

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