【相棒23】6話のネタバレと感想|ヒロコママが殺人犯に!?

2024秋ドラマ
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【相棒シーズン23】6話「薔薇と髭の夜明け」のネタバレと感想をまとめています。

ヒロコママが文句を言いに行った、会社の社長が遺体で発見された。それからママの行方は分からず、殺人犯なのではないかと店のスタッフが慌てて右京たちに連絡をするが……。

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【相棒23】6話のあらすじ

ヒロコ(深沢敦)がボランティアで手伝う「助け合い食堂」に、やってきたコンサル会社の社長・幸田裕一郎(板倉武志)と、司法書士の矢野拓海(柾木玲弥)はNPOを使ったマネーロンダリングをしている疑いがあった。

後でそれを知った食堂のボランティアの池上しず子(畠山明子)は、食堂も一緒になって金の着服をしているというデマが広がっていて困っていた。

それを聞いたヒロコママは、幸田社長に話をつけてやると言い、直接会社に乗り込んだ。しかしその後、ヒロコママの行方は分からなくなり、幸田社長の遺体が社内で発見される。

心配したスタッフのクミ(杉山宗賢)とミキ(平川裕成)が、亀山薫(寺脇康文)にママが人を殺したと電話をすると、杉下右京(水谷豊)と共に現場へ向かい手がかりを見つけるが……。

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【相棒23】6話のネタバレ要約

10年前に強盗事件を起こした幸田は、盗んだ金で会社を興し成功を収める。しかし、共犯者の大森は金を博打ですってしまい、幸田を脅迫して金をせしめていた。

強盗事件に本来参加する予定だった矢野は、偶然助けた泉川が試験前日に倒れてしまうのを見て、自分が替え玉受験することにした。

幸田は大森を殺そうと思い、矢野に後始末を頼む。何も知らない大森がいつものように金をせびりに幸田の所に行くと、幸田は大森を殺そうと襲い掛かる。もみ合いの末、大森が幸田を刺し殺した。

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【相棒23】6話の詳細なネタバレ

今回の事件

「こてまり」の一角で、特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が、ヒロコ(深沢敦)特製の料理「ヒロコスペシャル」に舌鼓を打っていた。盛り付けられた料理は華やかで、見た目にも楽しい一品だ。

「いやぁ、これは美味しいですねぇ」と右京が感心しながら一口を運ぶと、亀山も満面の笑みで「さすがヒロコママの腕だ」とうなずく。「助け合い食堂でこれを出そうと思ってるのよ」と、ヒロコママはどこか誇らしげだった。「ハートテーブル」が主催する助け合い食堂は、地域の困窮者や孤独な人々を支える活動をしている。

後日、亀山の携帯が鳴り、画面には「クミ」の名前が表示される。受話器越しに飛び込んできたのは信じがたい言葉だった。「ヒロコママが人を殺したって聞いたの!」その言葉に亀山と右京の顔色が変わる。

ほどなくして、一課が現場に臨場しているという報告が入った。遺体で発見されたのは、NPO団体を利用したマネーロンダリングの疑いがある会社、東栄ネクストの社長・幸田裕一郎(板倉武志)だという。

右京たちは現場を離れ、「助け合い食堂」のスタッフたちから話を聞くことにした。クミ(杉山宗賢)やミキ(平川裕成)、池上しず子(畠山明子)が集まり、不安そうな面持ちで事情を語り始める。

「ヒロコママが、『幸田社長に話をつけてやる!』って、怒りに任せて飛び出して行ったのよ」とクミが言う。「まさか、話がこじれて手を出したんじゃないかって…」ミキが不安げに続ける。

スタッフたちの話によれば、最近、助け合い食堂を巡る悪質なデマが流れていた。東栄ネクストが資金横領をしていると噂が立ち、その影響で助け合い食堂にも疑惑の目が向けられたのだ。以前、食堂にやってきた幸田と司法書士の矢野拓海(柾木玲弥)が、食堂を使ってマネーロンダリングをしようとしていた。

事件を境に、ヒロコママは忽然と姿を消していた。その事実が、彼女が事件に関わったのではないかという疑念をますます強めていた。右京は考え込むように視線を落とした。

捜査開始

遺体が発見されたビルの2階喫茶店前で、小さなピンバッジの留め具が落ちているのを発見した右京たち。この細かな手がかりが事件の謎を解く鍵になるかもしれないと、右京はじっと考え込む。ほどなくして特命係も殺害現場に入り、状況を確認する。

「もし、ヒロコママが犯人でないと仮定するならば、どうにも不可解な点が二つあります」と右京が口を開いた。

「遺体を見つけたにもかかわらず、なぜ通報しなかったのか。そして、なぜ姿を隠しているのか?」右京は机の上に置かれたペンを手に取り、じっと見つめた。そのペンに何か引っかかるものがあるらしい。

ヒロコママを見たという新たな証言が、1階のカフェの店長である大森傑(両角周)という人物からもたらされた。彼によれば、昨夜10時過ぎ、ヒロコママを目撃したという。大森は「どこか挙動不審な様子だった」と語り、その証言は右京たちの興味を引いた。

その後、右京たちは「助け合い食堂」を訪れ、関係者たちに話を聞く。現在はボランティアとして手伝う泉川慎平(西銘駿)は、かつては利用者の一人だったという。

そこに慌てた様子のクミたちが駆け込んできた。彼女たちは、近所の住民からヒロコママを見かけたという情報を得たばかりだった。それも「ついさっき」の話だという。「ヒロコママはきっと泉川さんに接触するはずです」と右京は亀山に伝え、泉川を見張るよう頼んだ。

一方、伊丹憲一(川原和久)は矢野を呼び出し、幸田との関係について問いただしていた。幸田の携帯電話の最後の発信記録は、8時に矢野への通話だった。死亡推定時刻である8時から11時の間の出来事であり、通話直後に殺害された可能性が高かった。

「昨夜、何をしていた?」と問い詰める伊丹に、矢野は「遅くまで事務所で仕事をしていた」と答える。だがその冷静な態度の裏には、どこか緊張感が漂っていた。

さらに捜査が進む中で、NPO団体を使った脱税スキームを幸田に教えたのが矢野であることが判明。事件の真相が徐々に浮き彫りになりつつあった。

10年前の未解決事件

右京は10年前の松涛3丁目資産家強盗事件について資料を読み込んでいた。この事件は2015年2月25日、高級住宅街にある企業オーナー宅で発生。目出し帽をかぶった二人組の男が押し入り、金庫から現金約3000万円と貴金属類を強奪した。その後、現場から2キロ離れたごみ集積所で、目出し帽の入ったポリ袋が見つかり、そこから二人分の指紋が検出されたものの、被疑者の特定には至らず、いまだ未解決のままだ。来月末には公訴時効を迎える予定だった。

右京がこの事件に注目した理由は、盗まれた貴金属リストの中にあったグラン・ジョラスの限定万年筆が、先日殺害された幸田のデスクから発見されたことにあった。この偶然は、ただの偶然ではない。右京は確信を深めた。

「10年前の強盗事件の犯人の一人は、殺された幸田社長ではないか」と。

亀山が「その金で会社を立ち上げた可能性もあるんですか?」と問うと、右京は静かに頷いた。実際、幸田が設立した東栄ネクストの出資金の出どころは、いまだ不明のままだった。

右京は鑑識に頼み、10年前の事件で検出された指紋と幸田の指紋を照合するよう依頼。その結果、両者が一致することが確認された。さらに、もう一つの指紋についても調査が進むと、幸田の会社のドアノブやソファから同じ指紋が検出された。

「つまり、10年前の強盗事件のもう一人の犯人は、幸田の会社に出入りしていた人物ですね」と右京が静かに語る。

10年前の事件の真相に迫る中、現在の殺人事件との接点が浮かび上がりつつあった。果たして、未解決事件と現代の出来事はどのように絡み合っているのか?右京たちの捜査は、新たな局面を迎えた。

ママ発見

ヒロコママが姿を消した理由が明らかになりつつある中、亀山は右京に言われたように泉川を尾行する。すると2人が話し合っている場面に遭遇した。「本当のことを話してちょうだい、泉川さん」と詰め寄るヒロコママの声が響く。

その直後、亀山が現れ、「事情を聞かせていただけますか?」と促す。直後に右京も現れ、状況を観察しながら泉川の襟元をじっと見つめる。「なぜ接触することが分かったのか」と問う亀山に、右京は冷静に答えた。

「泉川さんの襟に、ごく小さな穴が空いていました。恐らくピンバッジを留めていた痕跡でしょう。このピンバッジがヒロコママの目に留まったのではないですか?」

「あの日、私は幸田社長の会社に怒鳴り込みに行ったのよ」とヒロコママは語り始めた。

「すると、社長の遺体を見つけてしまって。背中にナイフが刺さっていて…。怖くて、その場を逃げ出したわ。その時、床に落ちていたピンバッジが目に入ったの。泉川さんの高校の教職員バッジだって、それを見て、泉川さんが犯人かもしれないと思ったわ」

「それで、警察に通報せず直接泉川さんに会いに行ったんですね?」と右京が問いただす。ヒロコママは小さく頷き、「とにかくまず事情をきいてみようと思ったの、もし殺したなら自首させようと思ったの」「発見した事実を警察に速やかに知らせるべきでした」と右京は厳しくも優しい口調でヒロコを諭した。

泉川はしばらく黙っていたが、やがて震える声で口を開いた。「違います!僕じゃありません!確かに、あのビルに行ったのは事実です。でも社長を問い詰めようと思っただけなんです。NPOを利用したマネーロンダリングの件で。でも、途中で怖くなって引き返しました。殺していませんし、遺体も見ていません

彼の声には動揺がにじみ出ていた。「犯人と思われるのが怖かったんです…。警察に疑われるのが嫌で…」

事件の謎は深まるばかりだったが、右京の目には、すでに解決への糸口が見えているかのようだった。

その頃、10年前の強盗事件の指紋が一致し、矢野が逮捕され伊丹たちによる取り調べを受けていた。

「一昨日の晩、東栄ネクストを訪れていましたね?」と伊丹が問い詰める。「人違いですよ」と矢野は否定するが、その言葉には焦りが感じられた。

「幸田の殺害を認めなくても、10年前の強盗はどうなんです?」と出雲麗音(篠原ゆき子)が続けると、矢野は沈黙を貫く。

その様子を見ながら、右京は矢野の腕時計に目を留めた。左手に時計をはめている矢野を見て、「右利きのようですね」と呟いた。

矢野の過去

部署に戻った右京と亀山は資料を確認した。強盗に入られた住人の証言によると、犯行時に覆面の男が左手で包丁を持っていたという。 しかし、殺された幸田も右利きであり、矢野も右利きだった。

「時効寸前の殺人なので、この2つの事件には何らかのつながりがあると見るのが妥当です」と右京は結論づけた。

その時、亀山の携帯が鳴る。ヒロコママからだった。「矢野について、色々わかりそうよ」との連絡を受け、右京たちはさっそく話を聞きに向かった。

矢野と以前同棲していたという木原知世(福井夏)話を聞くと、矢野の意外な過去が浮かび上がった。

「矢野は頭が良かったんだ。本当なら大学に行きたかったらしい。でも、父親が闇金に借金抱えて失踪したせいで、進学どころじゃなくなったんだよ。キャバクラでボーイやってた頃、知り合った」

知世と矢野が同棲していたのは2014年から翌年にかけて。その頃について詳しく聞くと、2015年2月頃の異変を思い出した。

金髪をやめてスーツを着てたよ。なんか浮気でもしてんのかと思って後をつけたら、証明写真機に入っていったんだ。それで出てきたとこを問い詰めたら切れられて、大喧嘩してそのまま別れた」

部署に戻った右京と亀山は話を整理する。「行動を探られて腹を立てたということは、人に知られたくない目的があったのではないでしょうか」と右京が言う。

「覆面を被るのだから、見た目を別人にする必要はないはず」と亀山が続けると、右京は微笑んだ。

「君、相変わらずですねえ。何も知らないくせに、僕の思考を刺激してくれる」

強盗事件の犯人について、右京は新たな仮説を立てた。

「矢野は強盗の下準備をする際に、ポリ袋に指紋を残してしまった。しかし、彼自身は実行犯ではなかった。幸田は矢野に代わる別の共犯者を用意していた。その人物こそが左利きだったのかもしれません

強盗事件と殺人事件の謎が徐々に解き明かされつつあった。

2月25日の意味

右京は矢野に再度問い詰めた。「あなたは実行には加わらなかったのではありませんか?」

矢野は何も答えず、視線をそらす。亀山が幸田の殺害について話題を変える。「9時45分頃に、現場近くのカメラに映っていた。その直前、もう一人、ビルを訪れていた人物がいた。泉川って人なんだけどね」

その名前を聞いた矢野の表情が一瞬だけ動いた。「泉川さんを知っていますか?」と尋ねると、「知らないね」と短く答えたが、その反応は十分に疑わしかった。

取り調べを終えた後、右京は考えを巡らせる。「矢野と泉川さんは、あの晩ビルの中で接触していた可能性がありますね」と亀山に話す。

「矢野の代わりに10年前の強盗に加わったのは、泉川さんだったのでは?」と亀山。

助け合い食堂の写真を確認すると、泉川が左利きであることが判明した。さらに調査を進めると、泉川が大学を卒業したのは2019年、入学は2015年、つまり強盗事件が起きた年と一致する。

ヒロコママに泉川について話を聞くと、彼の苦労が明らかになった。

「泉川さんは新聞配達をしながら受験勉強をしていたわ。実家が荒れていて、高校を出た後すぐ家を飛び出したの。それでも教師になる夢を叶えたくてね」とママ。

配達していたのは帝都新聞。そのエリアには歌舞伎町の一部も含まれていた。

「矢野が歌舞伎町で働いていたのが2015年なので、泉川さんが新聞配達していた時期と重なりますね」と右京。亀山は考え込む。「この2人、どこかで接点を持った可能性がありますね」

「でも、受験シーズンに強盗なんてしますかね?」と亀山が疑問を投げかける。

「強盗の日付は2月25日です」と右京が返すと、ふと表情を変えた。「その日付が、全ての答えだったのかもしれません」

「どういうことです?」と亀山が尋ねる。

「10年前に起きていたのは、強盗事件だけではなかったんですよ」と右京は静かに語った。

その日、強盗事件の裏で何が行われていたのか、右京たちは真相に一歩近づいた。

矢野の決断

右京と亀山は矢野を再度取り調べた。「10年前、あなたは風貌を変えて証明写真を撮り、直前で強盗計画を降りた。その理由が分かりましたよ」と右京が切り出す。

矢野は沈黙を守る。「その日は国公立大学の二次試験の初日でしたね」と右京が核心を突くと、矢野の表情が微かに動いた。

一方、亀山は泉川に話を聞いていた。「幸田が殺された晩、あのビルで矢野を見かけたんじゃないですか?それを警察に話さないのは、彼に恩があるからでしょう」と問い詰める。

泉川は口を閉ざしたままだったが、亀山は彼が助け合い食堂で使っている献立メモのノートを取り出した。「泉川さんが病み上がりで辛そうだったから、うどんを作ったって書いてある」

泉川は顔を伏せた。「インフルエンザの病み上がりで、2月25日に大学入試を受けられる状態だったとは思えないよ」と亀山は続けた。

10年前のある日、泉川は咳き込みながら新聞を配達していた。すれ違った矢野は、彼がその場で倒れ込むのを見て、迷惑そうに眉をひそめた。矢野は泉川を支え、自宅に送り届けた。泉川は布団に横になりながら、苦しげに口を開いた。「明日…どうしても行かなきゃならないんだ…」

部屋の中を見回した矢野は、受験票や教科書が置かれているのに気づいた。「なんだよ、明日試験日か?毎日毎日、クソ真面目に新聞配達して、挙げ句これかよ。マジ笑える」と呟きながら矢野は一人帰路についた。

矢野はその夜、一人考え込んでいた。そして翌朝、身なりを整え、証明写真を撮り、泉川の受験票に細工を施した。「最初で最後のチャンス、明日行かなきゃ」と必死に言っていた泉川の代わりに、自分が試験会場へ向かう決意を固めた。

その日、矢野は強盗計画をキャンセルし、泉川の名前で三橋大学教育学部の試験を受けた。泉川本人にはこの事実を知らせることもなく――。

取り調べ室で矢野は低く笑いながら言った。「泉川なんてやつ、知らないね」だが、その言葉の裏に隠された矢野の過去の決断が、右京たちには見えていた。

泉川の告白

「彼が代わりに試験を受けてくれたと知ったのは、合格通知が届いたときでした」泉川は静かに語り始めた。「本当に驚きました。それきり、彼には会えなかったんです。翌月、大学に入学しましたけど…」

その後悔と戸惑いは、10年経った今でも泉川の胸に残っていた。「間違ったことをしているのはわかっていました。でも、あのときは一度きりのチャンスだったんです。体力も気力ももう限界で…」

亀山が問いかけた。「矢野がなぜ、面識もない君の代わりに試験を受けたんだろう?」泉川は首を振った。「わかりません。知りたいと思いながら10年が過ぎました」

そして、助け合い食堂で偶然矢野を見かけた時、泉川の中で封じていた思いが蘇った。「NPOの人から、彼が幸田社長の司法書士だと聞いたんです。どうしても話したくて、あの日、ビルに行きました

泉川は矢野との対峙を思い出していた。「ビルから降りてきた彼を引き止めました。『あなたですよね?10年前に僕に代わって試験を受けてくれたのは』って。でも彼は『誰、おたく?』と冷たく言って、僕を投げ飛ばして行ってしまったんです」

翌朝、幸田社長が殺害されたと知り、泉川は矢野を疑った。「でも警察に言えば、恩を仇で返すことになると思い、黙っていました」

右京と亀山は部署で事件を振り返っていた。「強盗計画を降りた矢野が、時効直前に幸田を殺す必要があったんですかね?」と亀山が疑問を投げかける。

「それに、もし泉川さんが共犯者でなかったとしたら、10年前の強盗の共犯者は一体誰なんでしょう?」亀山は考え込む。

「そもそも本当に矢野が幸田を殺したんでしょうかね?」と右京が静かに言った。

事件の真相はまだ闇の中だったが、右京は矢野の行動に隠された意図が、さらなる鍵を握っていると感じていた。

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事件の真相

右京と亀山は幸田のビルの1階にある店を訪れた。「この店、閉店時刻は夜8時ですよね。それなのに、ビルを出たのは10時過ぎ。閉店後2時間も店の中に留まっていたのはなぜでしょう?」右京は不審に思った。

さらに調べた結果、閉店後も店の看板が10時前まで外に置かれていたことがわかった。大森がテーブルを拭いている姿を見て、右京がふと声をかけた。「おや、左利きですか?」

右京の指摘に、大森は少し驚いたような顔をした。「10年前、幸田さんと同じゲームセンターでアルバイトをしていたそうですね。彼に強盗を持ちかけられたことがあったのでは?」と右京が鋭く問いかける。

大森の表情が硬くなる。右京は続けた。 「犯行は成功しましたが、手に入れた金はギャンブルで全て使い果たした。そして9年前、あなたは違法賭博で逮捕されましたね。一方、幸田さんはそのお金を元にビジネスで成功し、あなたに金をせびられる立場になった…過去の犯行をネタにして」

「ここでバイトを始めたのも、上にいる幸田につきまとうため、ひょっとすると幸田のほうがお前を殺そうとしたのでは?」亀山が推測する。

右京は推理をまとめた。「幸田さんを刺殺したあと、返り血を浴びたあなたはそのまま外に出ることができなかった。そのため、店で服を洗い、同時に閉店後のルーティンもこなした」

亀山が続ける。「だから看板を中に入れるのが遅れた」

「この店の中を調べれば、洗い流した返り血の血液反応が出るはずですよ」と右京は追い詰める。

大森は観念したように話し始めた。「正当防衛だったんだよ…」

大森は事件を振り返る。「金をもらった俺は、時効が過ぎても仲良くしてくれよって言ったんだ。『家族やクライアントにも知られたくないだろ?』ってな。『失うものがある人は大変ですね』って笑いながら言ったんだよ」

その言葉に幸田が激昂し、ナイフを手に取って襲いかかってきたという。「『お前が死ね』って叫びながらな。揉み合いになって…俺が刺した

大森は遠い目をしながらつぶやいた。「引き際を逃したよ」

右京は静かに結論を述べた。「10年前の共犯者が、幸田の殺害を自供しましたね」

事件の全貌が明らかになり、静寂が訪れた。その場には、10年という歳月がもたらした悲劇の余韻が漂っていた。

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【相棒23】6話の結末

右京は矢野を呼び、穏やかながら鋭い口調で問いかけた。「残る謎は2つです。そのうちの一つは、事件当日のあなたの行動です」

矢野は黙っていたが、右京は推理を続けた。「あの日、幸田社長の犯行に巻き込まれそうになったのではありませんか?」

幸田はあの晩、矢野に電話で「埋め合わせはするって言ったよな。後始末をやってもらいたい」と話した。その直後、大森がやってきて幸田社長を殺害。そして、遅れて現場に到着した矢野が遺体を発見した。

矢野は視線を落としたまま何も言わなかった。

そこに泉川がやってきた。彼は既に替え玉受験の全てを告白していたことを亀山が伝えると、矢野は驚き、勢いよく立ち上がった。泉川は矢野をじっと見つめ、震える声で尋ねた。「一つだけ、聞きたかったんです。10年前、僕を助けてくれたあなたが、どうして善意の人たちを利用したんですか?どうして助け合いの活動をお金の道具にしたんですか?

矢野は目をそらし、投げやりな笑みを浮かべて答えた。「バカじゃねえの。こっちが本当の俺なんだよ」泉川はその答えに愕然とし、言葉を失った。

右京は矢野の態度をじっと見つめた後、静かに言った。「それでも、最後に残った謎があります。10年前、なぜあなたは替え玉受験を決行したのですか?」

矢野は黙り込んだままだったが、右京は話を続けた。「一つだけ分かるのは、泉川さんとの出会いが、あなたにとって大きな影響を与えたということです」

矢野の脳裏には、10年前の記憶が蘇っていた。咳き込みながら倒れた泉川を助け、矢野は彼の夢と現実のギャップを目の当たりにした。「最初で最後のチャンスなんだ…行かなきゃ…」と必死に訴える泉川の姿。その言葉を聞いた矢野は、気がつけば彼の受験票を手にしていた。

亀山は静かに口を開いた。「替え玉受験を境に、矢野さんは生き方を変えた。猛勉強をして司法書士になったんですよね。でも、悪い人間関係を完全に断ち切ることはできなかった

右京は矢野に向き直り、力強い口調で語りかけた。「それでも、あなたは本来、人を助けたいと思える人間です。あなたが苦労して、自ら掴み取った資格を、不正な目的などに利用してはいけません。いけません!」

矢野はその言葉に何かを悟ったように目を閉じた。

ヒロコママの店を訪れた右京と亀山は、事の顛末をママに報告した。「今日、生徒たちに自分の過去を語ってきかせるそうです。教員免許を返上して、ゼロからやり直すそうですよ

ママは少し寂しそうに微笑みながら、けれども力強い声で言った。「泉川さんなら大丈夫よ。あの子はきっとやり直せる」

亀山は感慨深げに頷き、言葉を続けた。「生徒たちには大きな宿題ですよね。教師の人生という教材を渡されるんですから」

ママは亀山の言葉に頷きながら笑った。「そうね、人間、生きてる限り勉強よね」

その後、助け合い食堂が無事に再開されることになった。ママは嬉しそうに右京たちに声をかけた。「手伝ってくれたら、『ヒロコスペシャル』のレシピ、教えてあげるわよ!」

右京と亀山は顔を見合わせると、苦笑いを浮かべながらも頷いた。「それはありがたいですね。ぜひお手伝いさせていただきます」

こうして、助け合い食堂の温かい再スタートを見届けながら、右京と亀山はまた一つ、心に残る事件を終えたのだった。

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【相棒23】6話のまとめと感想

10年前の強盗事件の共犯者が、成功した社長を脅していたら殺されそうになって、返り討ちにしたという話でした。

前回に続き今回もまた、底辺同士の争いに見える話です。そしてヒロコママががっつり絡んでくる話ではありません。

矢野も泉川も共に育った境遇が悪く、なかなか正道を歩くことができずにいました。最後のチャンスだと、必死に頑張っていた泉川ですが、試験を前にして体調不良になってしまいます。

そんな泉川をあざ笑っていた矢野ですが、必死な彼を見て替え玉受験を決意します。そして見事合格しました。しかも何の勉強もしていない矢野は一発で合格しました。矢野がすごいのか、簡単な大学なのかは分かりません。

それを機に、やればできるじゃんと思ったのか、矢野は司法書士になりました。しかし、悪い仲間との縁は切れず、結局悪事を働きます。泉川も替え玉だったことを明かし、教員免許を返上して一からやり直すそうです。

結局駄目な奴は駄目だといえばそうですが、何度でもやり直すことを右京さんたちが見守ってくれているような、そんな終わり方でした。

【相棒23】6話のいいセリフ

チャンスなんて贅沢なもん、初めからなかったんだよ

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