2020年4月28日放送の【ガイアの夜明け】は未知のウイルスを知る~日本が今中国から学ぶこと~という内容でした。
現在の中国はどんな状況なのか?そして感染拡大のためにしたこととは?
その内容分かりやすく、見る時間がない人に向けて簡潔にまとめ要約しています。
【ガイアの夜明け】未知のウイルスを知るの要約
主にこんな感じの内容でした。中国の新型コロナウイルス対策を紹介するものです。
- 徹底した検温
- 徹底した非接触
- 徹底した行動追跡
- コロナと戦う病院の取り組み
- 追跡アプリの内容
中国・上海は何をしたのか?
4月4日の上海市は以前と同じように沢山の人で賑わっていました。
中国政府の発表では3月1日以降、新規感染者は2人で4月以降はゼロとのことです。
しかし、みんなまだマスクをして出歩いています。
1月27日に上海市の取材をした時、薬局ではマスクの争奪戦があり、スーパーには食品がなくなっていました。
地下鉄は運行していますが、乗客はほとんどいません。
番組では「中国政府が発表する新規感染者というのがゼロというのが、本当かどうか分かりませんが、日本の対策のヒントになるならと思って調べた」ということです。
どんな対策をしてきたのか?それは徹底した人の管理と接触対策でした。
中国・上海 感染を広げない対策
上海市で感染者を増やさないようにするための対策は3つです。
検温・非接触・行動監視の3本柱で主に対策します。
その1:検温37.3℃以上は駄目
中国では体温の基準は37.3℃が感染の疑いとなります。
さらにPCR検査は5回連続陰性でないと退院できません。
- 上海市内に通じる道全てで検温
- 全ての車が対象
- 中に乗っている人全員に実施
- ショッピングモール
- 体温による規制
- 37.3℃以上は入場禁止
- オフィスビル
- 従業員の行動履歴の提出を求める
- 提出しないと入館できない
- 飲食店
- 店内の飲食禁止
- テイクアウトのみ
その2:非接触は徹底的に
- アプリで宅配
- 持ってきたものを地面に置く配達員
- 届けに来た配達員の体温までアプリで表示
- エレベーターにはティッシュや楊枝が用意されている
その3:コロナ感染者はココにいます
日本でいうLINEのようなアプリ、we chatのミニプログラム内に“疫況”という項目があります。
それを選択すると地図が出てきて、赤や黄色のマークがあちこちにありました。
これは、新型コロナ患者が発生した場所を教える機能だったのです。
- 赤いマーク:2週間以内
- 黄色いマーク:2~4週間以内
という意味です。マークを押すと具体的なマンション名や発生した日付、今いる自分との距離が分かります。
しかも、このデータを公開しているのは、中国政府だというのだから驚きです。
日本では「資産価値が下がるからやめてくれ」と反対されて難しいだろうと、番組で言ってました。
地下鉄車内のQRコード
地下鉄に乗るとQRコードがあり、それをスキャンしてみたところどの車両に乗っていたのかが分かるというものでした。
市民自ら当局に行動を報告し、いつどこに誰がいたか把握できる仕組みというものです。
拡大しないためのその他対策
ドローン警察
中国の警察の中でも特殊部隊にあたる特警は、ドローンを飛ばして空から出歩いている人を監視します。
このドローンで見つけたマスクをしていない男性に対し、「外出時はマスクをしなさい」と呼びかけて注意します。
さらに、カードで遊んでいる市民4人を見つけ、「こんなときに何をしている。マスクをして早く帰れ」と注意します。それでもすぐに行動しないと、サイレンが鳴ったりしていました。結構怖いです。
各アパートやマンション
自転車で作ったバリケードで外部からの遮断しています。あるマンションの入り口に看板があり「人も車も外の人間は入ることができない」と書かれています。
宅配業者も入ることができないため、門の外に箱を置いていく状態でした。
感染者が出たマンションは今
あのアプリで感染者が出たとなっていたマンションは今どうなっているのか?
4月7日に再度訪ねてみます。
アプリで見てみると緑のマークになっています。そして「すでに58日が経過」と書いてありました。
緑は2ヶ月以上たっているので安全という意味です。
しかし、未だにマンションのゲートでは入国審査ばりの書類を書く必要があります。いつ、どこから来たのかなどを記入するそうです。
エレベーターにはラップが貼られ、すぐ交換できるようになっています。
1日2回、人が触れるものに対して、防護服を着た人たちが消毒液を散布します。
使い終わったマスク専用ゴミ箱なんてものもあります。
住民の人に話を聞くと、1日に1回買い物するときに外出するだけで、服も外出用と分けているそうです。外で物に触れるときは持参したゴム手袋で触ると言います。
解除されてもまだ、気を抜いていない状況でした。
コロナと戦う病院
その1:上海市公共衛生臨床センター
この病院は上海で子供以外の新型コロナウィルス患者を受け入れていた病院です。コロナ対策の中枢の場となります。
病院の心臓部と言われる会議室にカメラが入ります。
そこには巨大なモニターが正面にあり、医師が詰めていました。
呼吸器、血液、漢方、様々なエキスパートがここに集います。
西洋医学のみならず東洋医学の医師もいるというのが特徴的です。
4月8日現在、新型コロナの入院患者は120人です。患者の多くが10代20代の患者で、高齢者はほとんどいません。
患者たちの病状が大きなモニターに一覧で映し出され、ここから別の病棟の医師に指示します。
会議室の医師は治療にあたるのではなく、投薬の量を決めたり、手術を決めたりといった感じなのか?
完全に患者と隔離されている場所といった雰囲気です。
隔離病棟に近づいたら、2週間の隔離措置の対象になるそうです。建物自体から3メートル離れた場所に、通路を作ったりしています。
その2:基本原則は“4早”
上海市の隣にある浙江省杭州市。こちらでもコロナと戦っていました。
浙江省は4月26日現在の省政府発表だと、感染者1268人、うち死者1人だそうです。
死者1人というのがなんともいえない気分にさせてくれます。ゼロでもなく1人、2人でもなく1人です。
こちらの浙江大学医学院附属 第一医院では、省内の重篤・重症患者を受け入れてました。
10万平方メートルの敷地で、2019年11月にオープンしたばかりの病院です。
その病院でやっていた対策はこうです。
- ビルそれぞれが独立しているので、医療関係者と患者が隔離できる
- 肺の移植手術もやっていた
- 治療に携わる医師や看護師は住み込み
- 家に帰るときは2週間隔離し、PCR検査で5回連続陰性が出ないと帰れない
- 出た後もホテルなどの施設で2週間休養
医療従事者が帰宅して、他の家族や他の医師に感染させないための措置だといいます。徹底してます。
中国では2月以降、ECMOで駄目だった人に肺の移植手術をしていました。
早期発見、早期隔離、早期診断、早期治療
この“4早”が中国の感染病治療の原則です。
その3:追跡アプリ
日本も導入予定があるという追跡アプリとはどんなものか?中国で使用している様子が分かります。
病院の入り口にQRコードがあり、それをスキャンするよう命じられます。
このコードは“健康コード”というもので、感染リスクを瞬時に判定します。
テレビスタッフは緑色でした。他にも黄色、赤とあります。それぞれの意味はこうです。
- 緑:安全
- 黄色:7日以内の隔離
- 赤:感染の疑い。14日間の隔離
QRコードを読み込んだだけで、その人の健康状態が分かる仕組みです。なぜ分かるのか?その理由はビッグデータにあります。
- 新型コロナ流行地域に行ったり、滞在したか
- どれぐらいの時間そこに滞在したか
- 感染者と接触した履歴があるか
これらから健康状態をはじき出します。
中国政府は新型コロナ感染者の情報を把握しています。なので、患者の行動履歴と照合し、危険度を判定することができるそうです。
黄色が出たら黄色専用エリア、赤が出たら発熱外来に行きます。
これを振り分け診療というそうです。
黄色の人は医師が待機している部屋でCTを撮り、血液検査をします。
これが日本も導入しようと考えている、追跡アプリです。
スキャンして赤いのが出た瞬間、身に覚えがなくても強制隔離となります。
自宅に荷物を取りに帰ったりぐらいはできるのか?謎です。
明暗
4月15日杭州市で湖北省に行った医療関係者2018人が帰ってきます。
彼らは誰一人感染しなかったそうです。
そのため、盛大な出迎えをして勝利ムードを煽る演出をします。
杭州の電線製造工場では、人員削減をして移転するそうです。
テナントとして入っていた商店主たちのデモでは「2月の家賃を返せ!3月の家賃を免除しろ!」と声高に叫んでいます。
そして最後に番組ではこうまとめます。
コロナの発生源中国。中国の拡大防止のやり方が全て正しいわけではありません。世界のそれぞれの国が、その国にあった対策を取るのがベストです。日本、日本人の取る行動はいかに…
今日からできるコロナ対策
番組の中で紹介していた、コロナ対策をまとめました。
国際医療福祉大学 医学部 松本哲哉主任教授が来て教えてくれました。
新型コロナウィルスが感染力を保つものは?
- 高頻度接触部位
- ドアノブ、リモコン、電話など
- プラスチックやステンレスの表面
- 新型コロナウィルスの生存期間2~3日
- ボール紙の表面
- 新型コロナウィルスの生存期間24時間
- タオルは同じものを使わない
効果的な消毒方法は?
消毒用アルコールが効果的ですが、入手できない場合は塩素系の漂白剤を、0.5%~1%に薄めて作るという方法があるそうです。
しかし、金属をサビさせてしまうので、拭いた後に水拭きをするのを忘れないようにする必要があります。
ソーシャルディスタンスの根拠
新日本空調 微粒子可視化システムで実験をします。すると、なぜ2mなのかの理由が分かりました。
- 咳:50cm~1mまで飛沫がかかる
- くしゃみ:2m以上まで飛沫がかかる
- 小さい声:50cm
- 大きい声:1m
2m距離を取っていれば、飛沫がかかる可能性が低いという根拠が実験で証明されます。
そして、この空気中に漂う飛沫をなくすのが換気だということです。
よって、閉ざされた狭い空間に長時間、誰かと会話をしているというのは最悪な状況ということも分かります。
【ガイアの夜明け】未知のウイルスを知るの感想
まず大前提として、中国政府が発表しているデータが本当なのか嘘なのかは分かりません。
上海の4月の新規感染者はゼロ、杭州の死者は1人、湖北省から帰ってきた医療従事者の感染者はゼロ。これらのデータが嘘か本当か正直いって分かりません。
しかし、中国はこうやって対策しましたよ、と紹介する中にヒントとなるものはあります。
番組を見ていて中国の感染対策の傾向は、大きく分けて4つありました。
- 接触をしない
- 行動を把握する
- 徹底した検温
- 隔離措置
この4つが徹底しているなと思いました。
接触を避ける具合は日本の比じゃなく、ゴム手袋をして外出し、あらゆるところを素手で触れません。
検温は各アパートやマンション、高速道路にショッピングセンター…など、とにかく検温です。
また、外部からの侵入者を許しません。
さらに中国だからできる市民の行動の把握です。
どこに、誰と、どれぐらいいたのか、を様々な方法を使って把握します。
しかも国が感染者が住んでいた建物を公開します。
ドローン警察が出てきたシーンでは、さすがに『ターミネーター』みたいだなとビックリしました。
しかし、コロナ封じ込めに成功したと中国では言っているようなので、国民は今後、喜んで自らのデータを提出しそうです。
嫌な言い方をすると、国民のデータを抽出するために、いい機会だったのではないかとさえ思います。
さすがに陰謀論までは唱える気はありませんが、結果としてどこの誰が感染したか、国は全て把握したでしょう。
なぜか番組では、労働者や事業者の金銭補償がどうなっているのか出てきません。
調べてみたところ、ざっくり言うと従業員を解雇をしなければ国が補助金出すよ=今までどおり会社は従業員に賃金を払えという政策です。企業の損失分を国が補償するということです。
なので、徹底した外出禁止令にも国民は従ったのだろうと想像できます。
中国から学ぶことがあるとすれば、補償があった上での外出禁止令と休業要請を出すということだと感じました。
参考ページ:休業補償、中国の場合 | 中国問題グローバル研究所
【ガイアの夜明け】未知のウイルスを知るのその他気になったこと
- なぜか中国で売られている日本製のマスク
- 「ホッピー1丁、ホッピーね」という大声の例
- リゾート地のような病院施設
- オレンジの匂いを別のものと認識するとダメ
- 手術をするときも防護服