2020年4月21日放送の【ガイアの夜明け】は、緊急事態宣言のその後についての話でした。
緊急事態宣言が出てから2週間、5つの現場に密着し、今どういう状況なのかを放送しました。
番組の内容を分かりやすく、見る時間がない人に向けて簡潔にまとめ要約しています。
【ガイアの夜明け】緊急事態宣言その後の要約
主にこんな感じの内容でした。緊急事態宣言が発表されてから2週間、その後の様々な業種を追います。
- ローソンが生鮮野菜やスイーツが売れると予想して販売
- 首都圏から疎開している人の流れを把握
- SNSの情報をAIが真偽判定している
- 太陽工業の医療用テントに注文殺到
- アパホテルが軽症患者を受け入れ
その1:コンビニに密着
ローソンの改革
緊急事態宣言が出ても営業できるコンビニの苦悩について迫ります。登場するコンビニはローソンです。まず、ローソンはお客と店員の両方を安全にするため、様々な手法を凝らします。
- 飛散防止のビニールシートをレジに設置
- レジ待ちの客用に床に1メートル以上の間隔で目印を設置
- セルフレジへの切り替えも簡単
ということを実施します。ビニールシートはホームセンターなどで購入し、6000店に設置したそうです。ホームセンターで購入するしかなかったのか、ローソンのような規模の会社でもと思う瞬間です。
ローソンのレジは有人とセルフの切り替えがボタン一つでできます。これにより、接触も少なくできるということです。しかし、前の人が触ったハンドスキャナーやタッチパネルは大丈夫なのか?この辺もう少し掘り下げてもらいたかったです。
ローソン本社の狙い
この状況下、ローソンはどういう売り方をしていくか?決算会見で説明します。
巣ごもり需要に対応
店舗での巣ごもり需要商品の品揃えを強化
日常品・お値ごろ感
牛乳、玉子、納豆、生鮮食品、カット野菜、日配食品、冷凍食品等、自宅での食事においてニーズの高い食品
中食・プチ贅沢
夕食のおかずになる一品惣菜
自粛疲れを癒すプチ贅沢スイーツ
Uber Eats役500店舗に拡大
などを考えて各店舗を改革していく戦略を立てます。
店舗の仕入れ改革
緊急事態宣言後、テレワークなため、ビジネス街の店舗は軒並み売り上げが下がってます。代わりに住宅街にある店舗は売り上げが好調です。今回は八王子元本郷町三丁目店に密着します。
この店舗は2階にフィットネスクラブが入っている店舗です。そのため、普段だとプロテインなどが売れるそうですが、現在フィットネスクラブは休業しています。
そこで、営業部から来た坂口学さんが、試しに袋詰め野菜を倍ぐらい仕入れてみようと店長に提案します。プロテインの売り場をなくし、代わりに生鮮野菜を並べていきます。さらに、プチ贅沢ということでスイーツを通常の1.5倍注文しました。
すると、普段なら客1人辺りの単価が600円代なのに対し、夕刻の頃の客単価はこうなります。
- 15時:614円
- 16時:1084円
- 17時:759円
16時の客単価がいつも以上に伸びてます。本社の狙いは的中でした。野菜は倍近く売れ、コロナの影響が終わっても固定のお客さんはつくだろうと考えます。
竹増貞信社長はこういいます。「今回は全国規模で目に見えない敵。終わりがいつなのかもわからない。どうコンビニがあるべきかと日々自問自答しながら変化に対応し続けるしかない」柔軟な対応をフットワークよくやっていくようです。
その2:ビッグデータで人の動きが判明
アグープの分析
渋谷にあるアグープという会社では、人の動きをビッグデータを使って解析し可視化するということをやっています。主にスマホのアプリの位置情報からある地点に人がどれぐらいいるか解析します。その結果はこうです。
渋谷駅周辺
宣言前(4月1~7日)と宣言後(4月8日~14日)34%減
新宿歌舞伎町
宣言前(4月1~7日)と宣言後(4月8日~14日)36%減
三鷹駅前商店街
宣言前(4月1~7日)と宣言後(4月8日~14日)8%減
ここから、柴山和久代表は商業エリアから減った人が、住宅街に集まっていると分析します。しかし、三鷹も8%減していて宣言前後とそれほど変わりません。増えてはいない状況です。では、どこに人は行ったのか?それを分析した会社が出てきます。
クロスロケーションズの分析
こちらの会社も位置情報から可視化する会社です。ただ、こちらの会社はさらに人の移動を追っていきます。社長の小尾一介さんは元Googleの位置情報サービスを担当していた方です。スマホ約1000万台分の位置情報から、数分置きに送られてくる情報を見て、人がどこからどこへ移動したかを解析します。
- 池袋:和光市、練馬区から池袋に来ていることが分かる
- 軽井沢:首都圏エリアから流れてきている
- 那須:都内北側から流れてきている
軽井沢や那須は1年前より明らかに人が移動してきているのが、一目で分かりました。コロナ疎開が確実に起きているという証明です。
その3:デマ情報に意外な変化あり
スペクティという会社は、AIを使用してSNSに流れる情報の真偽を判定している会社です。どうやって真偽を判定するのか?一例を挙げてくれます。
あるユーザーの投稿した写真が、過去に誰かが投稿した写真と同じだとAIが見つけます。その結果、このツイートは嘘と判断されました。他にも沢山のデマ情報が流れており、一般人では分からないようなものもAIが判断します。
公の機関が否定する騒ぎになったりと、酷いデマも沢山溢れています。しかし宣言以降、デマの数は減ったと社長の村上健治郎さんは言います。その代わり拡散の速度が上がっています。
例えば4月5日に既にデマ判定した内容が、今もまだ出回っている状態です。このデマは日本赤十字が否定したにも関わらず「看護師が…」とか「救急隊員の友人が…」などの書き出しから始まり、拡散するよう求めてくる悪質なものです。
なぜこんなことになるのか?社長の村上さんいわく、在宅や自宅にいると情報を得るのがSNSであることと、家族以外の人と会わない状況が関係しているようです。なので、巧妙なデマが出た時に一気に拡散することがあり得るとのことでした。
気軽にツイートやリツイートをしている人は知らないのかもしれませんが、こういう会社が既にあり、すぐに真偽を判定しています。要するにツイートやリツイートは、常に見張られている状態ということです。
その4:医療現場を救うテントとは?
この話だけを別にやって欲しいぐらい、このテントを作っている太陽工業という会社は凄いです。大型テント建造物でシェア世界1位の会社です。大阪の枚方市に本社があります。2010年5月25日の放送回でも取り上げられてます。
全ての工程が手作業なため、どんな形でも作れるというのが自慢の会社です。本当にミシンで布を縫ったりしています。大きなものをやるのは大変だろうに、それでも手作業にこだわっている会社なんだろうなと分かります。
宣言後、医療用テントの需要が高まり、ひっきりなしに問い合わせが続いているそうです。その医療用テントとはどんなものなのか?
- ホースをテントに繋いで空気を入れると1分ほどで完成
- 広さ12畳
- “陰圧”でウィルスを外に出さない
陰圧とは何か?それはテント内の気圧を下げて、ウィルスを外に出さない仕組みです。医療用テントに装置を取り付けて気圧を下げ、発熱した人を診察するのに使用されています。
なぜ、太陽工業はこんな技術があったのか?それはMERSが発生した際、100基ものテントを緊急輸出した過去があったからでした。
さらに新たなテントもあります。それは、車が入るドライブスルー外来用のテントです。大きさは約5倍のもので、車に乗ったままPCR検査や診察が可能だといいます。
荒木秀文社長は言います。「有事の際には徹底して困っている人に届ける。弊社の出番だと思っている」と。さらに「ありとあらゆる空間で、コロナに対してチャレンジしていきたい」と頼もしいコメントもしてくれました。
その5:患者受け入れ巨大ホテルの決断
4月15日にさいたま副都心駅北の店舗を軽症や無症状の患者を受け入れた、アパホテルの話です。なぜアパホテルが受け入れるようになったのか?元谷外志雄代表の話では「4月2日に(政府の)とある人から連絡があった。この国が下手したら医療崩壊になってしまうと。即座に受け入れします、やりますよと返事させてもらった」そうです。国から打診があったから、すぐに応じたということでした。
今回は神奈川県の横浜ベイタワーを一棟丸ごと県に貸すということになります。このホテルは地上35階、地下2階、2311室を誇る巨大なホテルです。2019年9月にオープンしたばかりの、まだ真新しい建物です。5月まで8500件の予約が入っていましたが、すべてキャンセルして払い戻しや、他の施設への代替斡旋をします。
4月18日をもって一時休館し、ホテルのスタッフの中でも志願者が、患者の受け入れ後も働いて8月末までサポートします。もちろん、ホテルスタッフが直接患者と接することはなく、部屋の割り振りなどの管理業務です。
部屋には大量のティッシュやトイレットペーパー、飲み物なども用意されます。2週間部屋で療養するため、事前に準備しておきます。また、アパホテル側からの提案で、眺望の良い部屋から埋めていきます。患者の気分を少しでも紛らわせるよう、粋な計らいです。
4月20日、受け入れ当日、本来なら来るはずの患者は再検査することになり見送られます。現時点でも10箇所以上要請があり、検討して応えていきたいということでした。
【ガイアの夜明け】緊急事態宣言その後の感想
各分野様々な挑戦をして生き残りを賭けたり、協力したりという話でした。中でも太陽工業の話が自分は一番面白かったです。
ローソンの話は主に生き残りを賭けた話なので、ちょっと他の会社の話とは違います。この比較になってしまうと、ローソンだけ金儲けかよと突っ込まれそうな構成です。残りの会社はみな、コロナに立ち向かうために情報を提供したり、テントやホテルを提供したりという“ギブ”の会社の話です。
ローソンだってスイーツと野菜を“ギブ”していると言えばそうですが、なんか他の会社と内容が違うのでぼんやりしました。他の生き残りを賭けた飲食店の話でもあれば、気にならなかったと思います。
データ可視化の会社もアグープとクロスロケーションズの分析を比較すると、クロスロケーションズに軍配が上がる内容です。なぜなら、減った人がどこへ行ったのかを示すのが、後者の会社だからです。アグープも持っているのかもしれませんが、大事な部分はクロスロケーションズに取られます。まるでデータは持っていても、見かたを知らない会社みたいな扱いで気の毒です。
デマをAI判定させているというのは、ありがたい反面、ちょっと怖いなと思う技術です。確実にツイートは見張られているので、それこそ蓄積した情報からマイノリティリポートにならないかと思う瞬間です。
太陽工業の技術は素晴らしく、有事になった時に過去培ってきた技術が役に立つという、ドラマのような話がたまらなくいいです。技術を持った会社がちゃんと評価されるのは、やっぱり見ていて気持ちがいいです。
アパホテルは政府から要請があって、二つ返事で受けたということが分かります。実際どういう話が裏であるのかは、一般人である私たちには分かりません。ただ、一つ言えることとして、アパホテルは予約客をキャンセルしてホテルを提供した。そのことは変わりありません。
【ガイアの夜明け】緊急事態宣言その後のその他気になったこと
- 6000店舗分のビニールシートはまさかのホームセンター仕入れ
- 客の安全を守るためのレジはハンドスキャナー
- 記者の質疑応答があるのか不明な決算会見
- グーグル出身の社長が使うノートPCはMacBook
- テレビ会議に出席する社員の背景が南国
- 友人からの情報は大体デマ
- デマ判定する会社の社員が読む本は“factfulness”