3月4日にNHK BSプレミアムで放送された信州発地域ドラマ【ピンぼけの家族】のネタバレと感想をまとめました。
泉澤祐希さんが主演で共演に南沙良さんや、長野県出身の藤森慎吾さんなども出演したヒューマンドラマです。
【ピンぼけの家族】のキャスト
- 斉藤裕介…泉澤祐希
東京の大学に進学するが、祖母の介護を機に帰郷する。 - 宮下陽菜…南沙良
裕介と一緒に写真探しに同行する地元の女子高生。 - 斉藤裕子…手塚理美
裕介の母。裕介が幼い頃に離婚。 - 牛山拓也…藤森慎吾
裕介の幼なじみ。ゲストハウス兼バーを経営。 - 宮下洋治…丸山智己
陽菜の父。 - 坂本邦彦…有福正志
フィルム写真愛好家。 - 寺島圭一…大塚洋
「寺島カメラ」店主。 - 田村郁男…柄本明
フィルムカメラ修理技師。「タムラリペアリング」技術者兼経営者。
【ピンぼけの家族】のあらすじ
物語の舞台は、かつて「東洋のスイス」と呼ばれ、世界に誇るフィルムカメラの生産地として一時代を築いた長野県・諏訪地域。東京で働く斉藤裕介(28)は、祖母の介護を口実に仕事をやめ帰郷したが、早々に祖母は亡くなってしまう。
遺品から見つけたフィルムカメラを手に、裕介は亡き祖母の面影を求め、写真探しに出かける…デジタルカメラやスマホが台頭する現代。今なお、フィルムカメラで築いた誇りと文化が残るこの諏訪地域を舞台に、一人の青年が、亡き祖母の写真を探す過程で人々とふれあい、忘れていた大切な“家族の記憶”を取り戻す、オリジナルストーリー。
公式HPより
【ピンぼけの家族】のネタバレ
【ピンぼけの家族】の感想
地元の人がそのまま登場する、ドキュメンタリー部分が間に挟まります。裕介が祖母の写真を探す時に、本当に各自持ち寄った当時の写真が沢山出て来ます。いわゆる昭和の風景が写っていて、当時の世相を知る人なら懐かしく感じるでしょう。
諏訪に限らずだと思いますが地方でも商店街が賑わい、そこらじゅうに子どもがいて活気に溢れていた時代です。写真の商店街と現在の商店街の比較が、時代の移り変わりを教えてくれます。
“写真”の持つ力がなぜ当時はこんなに強かったのか?その理由の一つとして、お金と時間がかかったからだと思います。フィルム代と現像代がかかり、現像できるまで時間がかかります。その上、撮影に失敗したらやり直しがききません。だから、撮るのは大切な人や大事な時だったりしました。
こう書くと“昭和賛歌”な話に聞こえますが、ドラマは多くを語りません。こういう時代があったということを知る人たちの写真が、次々と出てくるだけです。“家族”とは何か?と考えさせられながらも、心温まる雰囲気のドラマでした。
それぞれの家族の話
このドラマは主人公の裕介の家、女子高生の陽菜の家、カメラ修理の田村の家、それぞれの家の話があります。どういった家庭だったのか、それぞれまとめした。
- 裕介の家
- 幼い頃離婚した
- 母は働きに行って祖母に裕介を預けていた
- 祖母は料理や片付けができず、金を裕介にたかる
- 部屋が汚いと帰って来た母親が怒る
- 裕介も怒られるので祖母に片付けるよういう
- しかし祖母は無視してテレビを見るばかり
- キレた裕介が祖母の頭を叩いてしまった
- 陽菜の家
- 父と母が今度離婚する
- 陽菜は東京の大学に行く
- 陽菜は自分が離婚の原因なのではと悩んでいた
- だからストレス解消にスワンボートに乗って叫んでいた
- 田村の家
- 父はカメラメーカーの開発部だった
- 田村も開発部だったが退職後、修理を始めるようになった
- 父はプライドから修理をすることに反対だった
- 父は工場が解体されるのを毎日泣きながら見に行ってた
裕介が祖母の写真を探していたのは、写真がなかったからもあるのでしょうが、祖母が亡くなったことをきっかけに思い出を探していた部分もあります。手を上げてしまったこと、その後悔がどこかにあった裕介は、ある意味贖罪の気持ちもあったのかもしれません。
陽菜の家は最後、母親が鍵を置いて家の外に出ます。そして、家を背景に家族写真を裕介にフィルムカメラで撮ってもらいました。別れはするものの確かに家族という形はあった、そんな記憶をフィルムに焼き付けるようでした。
田村の父は写真をこよなく愛し、仕事にも誇りを持っていました。折り合いが悪かったのか、最後、父のカメラをわだかまりが溶けたように修理します。そしてそのカメラで父を撮影し、写真展に出展していました。
【ピンぼけの家族】のまとめ
信州発地域ドラマは諏訪の綺麗な景色と、昭和の懐かしさがあるドラマでした。一部ドキュメンタリー部分が入ったりする演出もうまくハマり、必然性のある構成となっています。
裕介は生きているうちに祖母のことをもっと知れたらよかったのかもしれませんが、遺品から改めて家族を見つめ直すという一種のカタルシスのようなものを感じさせます。
別れてしまう家族、これからそう遠くない未来に亡くなる父。撮影対象はすべてマイナスイメージなものですが、それらを“写真”にすることでプラスの思い出に変えます。
写真の持つ力、それは時代をさかのぼるタイムマシーンなのかもしれません。