2020年1月9日(木)に放送された【森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ36 雪の螢】のネタバレと感想、ロケ地などをまとめました。
今回は思い込みから事件が起きる展開ではなく、わりと普通にドロドロと話が進んでいきました。女の意地のぶつかり合いがある意味恐怖な内容となっています。
【終着駅シリーズ36 雪の螢】の基本情報
- 放送局:テレビ朝日系
- 放送日時:2020年1月9日(木)20時~22時05分
- 原作:『雪の螢』森村誠一(角川文庫)
- 脚本:橋本綾
- 演出:池広一夫
- 音楽:大野克夫
- プロデューサー:佐藤凉一(テレビ朝日)、目黒正之(東映)、井元隆佑(東映)
- 制作:テレビ朝日、東映
- 公式HP
【終着駅シリーズ36 雪の螢】のキャスト
レギュラー
- 牛尾正直…片岡鶴太郎
- 山路刑事…徳井 優
- 坂本課長…秋野太作
- 牛尾澄枝…岡江久美子
ゲスト
- 泉田栄子…森口瑤子
- 島村昌子…宮本真希
- 泉田耀造…宮川一朗太
- 吉岡隆一…松村邦洋
- 根岸いずみ…黒川芽以
- 西村真弓…青山倫子
【終着駅シリーズ36 雪の螢】のあらすじ
東京・新宿の空き地で、若い女性の遺体が見つかった。高級ブランド品を身に着け、いかにも外出中といった感じだったが、スマートフォンもバッグも見当たらず、身元は不明。臨場した新宿西署の牛尾正直刑事(片岡鶴太郎)は、被害者のコートの襟に白い綿のようなものが付着しているのに気づく。
公式HPより
調べたところ、それは10月から12月にかけて北海道、東北、信州を中心に空中を舞う“トドノネオオワタムシ”という昆虫だと判明。空中を漂う姿が雪のように見えることから、“雪螢”とよばれている虫だった。また、被害者は妊娠4カ月だったこともわかった。
まもなく、被害者の身元は、長野・諏訪在住の根岸いずみ(黒川芽以)と判明。手がかりを求めて諏訪を訪れた牛尾は、いずみが老舗料亭社長・泉田耀造(宮川一朗太)と愛人関係にあったことを知る。泉田の会社は現在、本社を東京に移しており、泉田も都内で妻・栄子(森口瑤子)と2人で暮らしているが、時折、本店のある諏訪を訪れ、いずみと会っていたらしい。しかし、当の泉田は数日前から海外出張中で留守だった。
泉田が帰国した翌朝、牛尾は泉田家まで事情を聴きに行く。ところが、なんと泉田は直前に脳梗塞を起こし、息を引き取った後だった。栄子が20分ほど庭掃除に出た隙に泉田はリビングで倒れ、絶命していたという。栄子は1カ月前、夫からいずみの存在と彼女の妊娠を知らされ、「後継ぎがほしいから離婚してくれ」と頼まれたと牛尾に明かす。また、事件当夜は、以前、夫が入院した際に知り合った看護師・島村昌子(宮本真希)とともにいたと証言する。
手がかりを見つけられないまま日が過ぎていく中、牛尾はふと思い出した栄子の言葉から、泉田にはもうひとり別の女性の影があったのではないかと直感する。やがて、牛尾刑事が執念の捜査で突き止めたのは、3人の女たちの出会いが引き起こした悲劇だった――!? “雪螢”が教えてくれた切なすぎる真相とは、いったい…!?
前作はこちら
【終着駅シリーズ36 雪の螢】のネタバレ
根岸いずみ殺害犯
島村昌子
動機
昌子と栄子が自宅で話していたところ、酔ったいずみが鍵がかかっていないため家の中に入って来た。自分の腹の中に子どもに瑞泉亭を継がせ名前は耀一郎だと言う。栄子はキレて万里子の息子のそこにいた耀一郎に継がせると言い出す。するといずみは怒って子どもに襲い掛かろうとしたため、そこにあった置物で昌子が殴って殺害した。
事件の真相
かつて耀造との間に子を身篭った栄子だったが流産してしまう。その後、子どもが生まれることはなかった。耀造は老舗料亭である瑞泉亭を何としても次代に繋げたく子どもが欲しかった。
島村万里子と付き合い愛人関係になるが5ヶ月で別れてしまう。その後、耀造はいずみと付き合い始める。手切れ金を万里子に渡すよういずみを行かせると、いずみはお腹に耀造との間にできた子どもがいた。それにキレたいずみは万里子を付け狙い、階段から突き飛ばしたりする。
万里子は子どもを出産すると同時に息を引き取ってしまう。子どもは姉の昌子が預かり育てていくことにした。
昌子はお金を返しに耀造の家を訪ねるが不在で、代わりに栄子が話を聞く。認知はしなくてもいい、ただ一度だけ父親に会わせて欲しいと願う昌子、そこにいずみが入ってくる。
いずみは栄子が子どもが出来ないことを馬鹿にし、自分の子どもが瑞泉亭の跡取りになるんだという。キレた栄子はそこにいた耀一郎を見せ、既に子どもはいてこの子が後を継ぐと言い出す。いずみはそれを知って怒り耀一郎に襲い掛かる。
子どもを守るためにそこにあった置物を手に取り、昌子はいずみの頭を殴って殺害してしまう。そして、いずみを栄子と一緒に運び出して空き地に遺棄する。だが、靴を履かせてくるのを忘れ、慌てて栄子が靴を脱いで履かせる。その際、栄子はガラスを踏んでケガをしてしまう。
自宅に戻るといずみの鞄がそこにあることに気づく。中を取り出して捨てに行こうとしたところ、安産祈願のお守りが入っていたのを見て、いずみもまた人の親になりたいと願っていたのだと2人は気づく。
しばらく呆然としていた2人だったが、昌子が耀一郎を認知して欲しいと言い出す。そうしないなら、警察に行って栄子がいずみを殺害したと言うと脅迫する。しかしそれは、耀一郎を殺人犯の息子にしたくなく、自ら死のうと覚悟した瞬間だった。
栄子は昌子を死なせたくなかったため、すぐに認知をせずそうこうしている間に耀造も亡くなってしまう。栄子はそこで取引を持ちかけ、昌子が警察に出頭したら耀一郎を瑞泉亭の6代目として正式に迎え入れると。その時に自分のことを話しても構わないとも言った。警察に行かせることで自殺を阻止しようと考えたのだった。
すると昌子は雪螢の話を始め、耀一郎と一緒に見たいと言う。栄子はだったら3人で見ようと言い、そのあとのことはそれから考えたらいいと約束する。雪螢を見るまでは死なないはず、栄子はそう思っていた。
だが、栄子が瑞泉亭の社長に就任しスピーチをした日、昌子は姿を消してしまう。一人で雪螢を見に行くと言い、滝に身を投げてしまった。
【終着駅シリーズ36 雪の螢】の感想
いつもの思い違いから始まる終着駅シリーズではなく、普通に愛人と本妻、その子どもと跡取りを巡るドロドロした話でした。
死ぬ人が何人かいますが、全員が誰かに殺害されたわけではありません。ただ、2時間ドラマなため、実は殺人なのではないかと考えたくなります。しかも、牛尾刑事まで嫁に言われるまで勘違いしていたため、視聴者もそれに引っ張られてしまいます。
2時間ドラマ常連組が今回も安定の演技を見せ、宮川さんはゲス郎太な役で、あんなに鞄に色々入れられているのに全く気づかない鈍感振りを披露します。やはり、女性のほうがそういったことは敏感です。
また、牛尾刑事演じる片岡鶴太郎さんは、今回共演した松村邦洋さんを見出し芸能界入りのきっかけを作った人です。そんな2人が共演しているのも微笑ましいです。
3人の母親と3人の子どもについてと、登場人物のその後についてまとめました。
以下ネタバレを含みます、未見の方はご注意ください。
3人の母と3人の子ども
今回の事件の根底にあるもので、この3人が同じ場所に集まってしまったがゆえ、事件が起きてしまいます。もっとも、遅かれ早かれ死なないまでも揉めた気はします。
母その1:泉田栄子
耀造の正妻ですが現在子どもはいません。実は過去に子どもを身篭ったのですが、流産してしまったとのことです。その時の子どもにつけようと思っていた名前が“耀一郎”でした。
栄子は仲の良い典子にこういいます。愛人に子どもが生まれたら別れても構わない、ただ一つだけ条件があって男の子が生まれたとしても耀一郎と名前だけはつけないで欲しいと。
耀一郎は自分が身篭った子のみで、他の子につけさせるのだけは絶対許せないといいます。なのに偶然か耀造が約束を破っているのか分かりませんが、揃いも揃って耀一郎と名前をつけます。
母その2:島村万里子
昌子の妹である万里子は耀造の愛人を5ヶ月していました。その時に子ども実は身篭っていたのです。しかし、耀造には知らせず一人で産もうとします。
耀造がここでまたゲスっぷりを発揮し、手切れ金を現在の愛人であるいずみに持って行かせます。元愛人と現愛人が出会えばどうなるのか、火を見るより明らかなのに耀造は構わず行かせます。
案の定、揉めに揉めます。そしていずみはこともあろうか、階段から身重の万里子を突き飛ばして落とします。幸い母子共に無事でしたが完全に殺人未遂です。
その後、万里子は鬱になってしまい部屋に引きこもってしまいます。昌子も心配しますが子どもを産めばまた変わるかも知れないと根拠もない期待をします。
しかし、万里子は子どもを産むと同時に死んでしまいます。その子どもを昌子が引き取り育てていきます。その子どもの名前はもちろん耀一郎です。
母その3:根岸いずみ
耀造が万里子と別れて付き合ったのが新たな愛人いずみです。いずみは万里子のところに手切れ金を持って行きます。その金を今度は昌子に投げつけられて返されたり、子どもが出来て病院に検診に行った帰りに昌子にビンタされたりします。
前々からそうだったのか知りませんが、なぜか耀造の自宅にずかずか入って来ます。本妻がいるとは思わないのか、いても気にしないのか凄い度胸です。
そこで3人は同じ場所で意図せず会ってしまい、大喧嘩が始まります。マウントを取るいずみは栄子に石女と罵り、自分の子どもが跡取りになるんだとドヤります。もちろん名前は耀一郎です。キレた栄子が既に跡取りはいると言い出し、そこにいた耀一郎を見せてドヤり返します。
これには昌子も「え?」みたいな顔をして驚いてました。女の意地と意地のぶつかり合いは、留まる事を知りません。この部分がある意味一番恐怖なシーンです。
【終着駅シリーズ36 雪の螢】のその後の登場人物
それぞれ登場人物がどうなったのか?分かった範囲でまとめました。
- 泉田栄子:死体遺棄の罪?耀一郎を西村夫妻に養子に出す
- 島村昌子:自殺
- 泉田耀造:脳梗塞で死亡
- 根岸いずみ:殺害される
- 西村真弓:耀一郎を養子に迎える
- 西村晃:耀一郎を養子に迎える
栄子は牛尾刑事と取調室で話していますが、具体的な罪に問われたのかどうか分かりません。可能性があるとすれば死体遺棄の罪でしょうか。
耀造と昌子は殺害されたわけではなく、それぞれ病死と自殺でした。耀造こそ誰かに殺されそうなものですが、実は殺人ではなかったことが分かります。
そして耀一郎は西村夫妻のところに養子に出されます。ここの家にも子どもがいないのか、それは分かりませんが最後耀一郎と遊んでいるシーンが出て来ます。もしかしたら、瑞泉亭自体、栄子が逮捕収監されたら西村専務が継ぐのかも知れません。そうしたらやっぱり耀一郎が継ぐことになりそうです。
雪螢とは?
ドラマ内で映像も出て来ますが雪のようにしか見えないので、気になって調べてみました。雪螢ではなかなか見つからなかったので雪虫で調べました。
雪虫(ゆきむし)とは、アブラムシ(カメムシ目ヨコバイ亜目アブラムシ上科)のうち、白腺物質を分泌する腺が存在するものの通称。体長5mm前後の全身が、綿で包まれたようになる。
wikipediaより
羽を持つ成虫が、蝋物質を身にまとって飛ぶ姿が、雪を思わせる。アブラムシの飛ぶ力は弱く、風になびいて流れるので、なおさらに雪を思わせる。
リンク先に写真が掲載されています、ご注意ください。
実際の雪虫の飛んでいる様子は動画で見れます。虫がアップになる映像はありませんが、苦手な人は念のためこご注意を。非常に幻想的な光景です。確かに雪っぽく見えます。
【終着駅シリーズ36 雪の螢】のロケ地
現時点で分かっているところを記しています。
ホテルメルパルク東京
聞き込みに行ったホテル
公式HP
料亭 玉家
スタジオユアーズ 成城スタジオ
泉田家
公式HP
信州上諏訪温泉 ぬのはん
田代家の旅館
公式HP
北朝霞 クラブ蘭
いずみの勤めていた店
秋田牛鉄板焼き 銀座 五明
川崎市立多摩病院
昌子が勤めていた病院
公式HP
木村屋酒店
聞き込みに行ったコンビニ
乙女滝
昌子が発見された滝
公式HP
上諏訪駅
牛尾刑事が降り立った駅
高島城
牛尾刑事が通りがかる場所
公式HP
諏訪市湖畔公園(石彫公園)
耀一郎と遊んでいた公園
公式HP
リヴィンオズ大泉店
耀一郎と買い物した店
公式HP
【終着駅シリーズ36 雪の螢】のまとめ
番組ラストで栄子がいずみに侮辱された時に、笑い飛ばせば良かったんだと反省します。結局誰が一番悪かったのか?キレた栄子なのか?愛人だったいずみや万里子、その姉の昌子だったのか?
個人的には耀造が諸悪の根源だと思います。この耀造という男はどうしようもない男で、番組内でも語られますが、一人っ子で甘やかされて育ったせいで、嫌なことやつらい思いをするようなことは、人に押し付けて自分は逃げ出すところがあったと語られます。
そのため、今の愛人に前の愛人への手切れ金を持って行かせたりする、ありえない行動を取ります。また、どうしても跡取りが欲しいなら、栄子と別れてから子どもを授かるべきですし、養子をもらうというやり方だってあったと思います。
耀造という一人の男のせいで、栄子、万里子、いずみ、昌子みんな不幸になってしまいました。本人は挙句の果てに死に逃げです。行き場のない怒りが残る内容となっていました。
なにげに最後いい話にまとめようと、耀一郎は「たくさんのお母さんの愛情をもらって幸せだ」みたいなことを牛尾嫁が言います。それはさすがに無理矢理すぎるまとめかただなと、首をひねりたくなりました。
とはいえ、何だかんだ突っ込みながら見るのが楽しい2時間ドラマシリーズです。