【かばん屋の相続】第3話「セールストーク」結末までネタバレ解説|支店長が仕組んだ“資金の玉突き”の真相

WOWOW
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WOWOWで放送された「かばん屋の相続」は、池井戸潤原作による全4話・完全オムニバス形式のドラマです。

この記事では、第3話「セールストーク」の結末までを含め、融資現場で起きた“資金の玉突き”と、支店長の不正が暴かれるまでをネタバレありで解説します。

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第3話の結論

  • 京浜銀行・羽田支店の融資課長・北村が、部下の案件を通せず小島印刷の融資を見送る判断を伝えた
  • その結果、小島印刷は月末の資金不足をなぜか乗り切り、外部から5000万円が入金されていた
  • 表面的には“どこか別の資金調達がついた”ように見えるが、実際には支店長・田山が複数企業を利用し、融資資金を迂回させていた
  • 銀行側では検査部の与信検査によって不正の全容が浮かび上がり、田山の責任が確定した
  • 中小企業側は支店長の圧力で断れずに巻き込まれており、弱い立場の会社ほど利用されやすい現実が示された

第3話は、銀行員の“セールストーク”が企業を救うどころか、弱い立場の会社を巻き込む道具にもなり得るという危うさと、腐敗した銀行員の末路を描いた物語です。

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第3話のネタバレあらすじ

融資見送りと、社長の怒り

京浜銀行・羽田支店の融資課長・北村は、部下の江藤が担当する小島印刷の融資を通そうと支店長の田山に掛け合うが、突き返される。

北村と江藤は小島印刷を訪れ、融資を見送ると伝える。

社長の小島は激昂し、

「つまり、うちの会社に死ねというわけだな」

と言い放つ。

支店長と親しく、友人同士のような付き合いをしていたからこそ、裏切られたという思いは強かった。

業績が悪化すると距離を置く支店長の姿に、北村は「血が通っていない」と吐き捨てる。
江藤は「血が通った銀行員になりたい」と語り、北村はその気持ちを大切だと認めつつも、熱意だけではどうにもならない現実があると忠告した。

月末の資金不足と、謎の5000万円

月末、小島印刷は2700万円の資金不足に陥る。小島と連絡が取れず不安が募る中、北村は江藤に告げる。

「冷たいようだが、ビジネスの世界に努力賞も敢闘賞もない。結果がすべてだ」

ところが、残高不足はいつの間にか解消されていた。
口座には5000万円が振り込まれており、振込元は東京第一銀行・蒲田支店だった。

本当に銀行が貸したのか。
北村は疑問を抱くが、支店長に報告しても田山はほとんど関心を示さなかった。

「銀行ではない」資金の正体

北村は小島に話を聞きに行く。
借入先を尋ねても、小島は「銀行ではない」としか答えない。

実は、過去にある人物のトラブルを表沙汰にせず解決してやったことがあり、その人物に泣きついたのだという。

その際にかかった費用は300万円ほどだったと、小島は笑って語った。

北村はこの話に強い引っかかりを覚える。

連鎖する5000万円と疑惑の拡大

北村は先月支店長案件として、ハネダ塗装店に5000万円の融資が即日決裁されていたことを思い出す。稟議を書いたのは稲垣で、その資金は月末に消えていた。

北村たちはハネダ塗装店を訪ね、資金の使途を問いただすが、社長の井手はのらりくらりとかわすばかりで、相手先を明かそうとしない。

1か月後、今度はハネダ塗装店が3000万円の資金不足に陥る。
しかし再び不足は埋まり、口座には5000万円が振り込まれていた

さらに調べると、鶴田工業にも同じ月に5000万円の融資が即日決裁され、その資金も月末に消えていたことが判明する。
偶然にしては出来すぎていた。

“附属明細”が示したヒント

北村と江藤は再び小島印刷を訪れ、他社でも同じことが起きていると伝える。
北村が真実を教えてほしいと訴えると、小島は引き出しからファイルを取り出し、「これを持っていってくれ」と差し出す。

それは決算書の「附属明細」だった
内容の一部に虚偽があり、差し替えてほしいという。

北村と江藤は残業して書類を照合し、やがて“答え”にたどり着く。

与信検査と支店長の露見

支店には検査部(藤堂・氷室)が入り、与信検査が始まる。

  • 稟議書には「運転資金」としか書かれていない
  • 利益200万円規模の会社に担保なしで5000万円を融資
  • 資金の支払先が不明

氷室は稲垣を厳しく追及する。
北村は「案件は支店長のものだ」と割って入り、田山の関与を明確にした。

さらに小島印刷について問われた場面で、北村は「附属明細にヒントがある」と指摘する。

江藤が示した答えは、支払手数料の支払先だった。
差し替えられた附属明細には、

「300万 コンサルタント料(田山勝治)」

と記載されていた。

真相 ― 支店長が仕組んだ“資金の玉突き”

北村は、小島が語っていた300万円のトラブル解決の相手が田山であると見抜く。

真相はこうだった。

2年前、田山は不倫関係のもつれからトラブルを抱え、それを小島が表沙汰にせず処理していた。
その借りがあった田山に、小島は経営危機の際、5000万円を都合してほしいと泣きついた。

しかし田山自身は貸せない立場だったため、言いなりになる会社を使って資金を回した。

  • ハネダ塗装店に5000万円を融資
  • その資金が小島印刷の月末資金に化ける
  • 小島印刷の返済遅延で、今度はハネダ塗装店が資金不足
  • さらに鶴田工業を使って資金を回す

契約書は一切なく、証拠を残さないための手口だった。
だが、田山の口座には5月31日にハネダ塗装店から5000万円が振り込まれていた記録が残っていた。

北村は通帳のコピーを突きつけ、

「私は人として、銀行員として……悲しいです」

と告げる。
田山は何も言い返せず、その場を去る。

北村は江藤に言った。

「よく見ておけ。腐った銀行員の末路を」

ラストシーン

田山は懲戒解雇となる。

北村と江藤が小島に謝罪すると、小島は感謝の言葉を返す。
小島印刷は取引も回復し、資金繰りも上向き始めていた。

「また金が必要になったら貸してほしい」と言う小島に、江藤は笑いながらこう返す。

「うちが貸せなければ、どこの銀行も貸せませんよ。社長」

印刷所に遊びに来る子どもたちの姿を見て、北村は幼い頃の自分を思い出し、小島を父親を見るような目で見て笑った。

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見どころ・印象的なポイント

  • “融資で救う”はずの銀行が、企業を巻き込む側に回る恐ろしさ
  • 5000万円が連鎖する「資金の玉突き」の構造が明かされる快感
  • 決算書の附属明細という、地味な資料が真相につながるリアルさ
  • 支店長の保身のために、弱い立場の会社が断れず協力させられる現実
  • 北村と江藤の師弟関係が、ラストで鮮やかに回収される余韻
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まとめ

第3話「セールストーク」は、支店長の不正が“融資”という仕組みを利用して広がっていく様子を描いた物語でした。

救済のための言葉が、時に圧力や誘導の道具になる。そして、立場の弱い会社ほど巻き込まれやすい。

北村が江藤に示した「腐った銀行員の末路」は、銀行員だけでなく、取引先として銀行と向き合う側にも重い警告として残ります。

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