【相棒シーズン23】5話「幽霊ホテル」のネタバレと感想をまとめています。
幽霊が出るという有名なホテルで殺人事件が発生する。事件が起きる前に人魂を見たという宿泊客が複数いた。さらに遺体の手には、日本に生息しないはずの蝶が握られていた。幽霊が事件を起こしたのか?それとも……。
【相棒23】5話のあらすじ
客室清掃員の宮原正志(平野宏周)が担当外の客室で、背中をナイフで刺され死亡する事件が発生する。たまたまホテルにいた杉下右京(水谷豊)が臨場すると、遺体の手には見慣れない蝶が握られていた。
宿泊客に聴取をしたところ、事件の前に人魂を見たという人が複数いた。実はこのホテルは幽霊ホテルとして有名なホテルだった。
事件は幽霊のしわざなのか?それとも……。
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【相棒23】5話の見逃し配信
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【相棒23】5話のネタバレ要約
父親が被害者から実は蝶を譲り受けていた光る蝶を、ホテルで病気療養中の娘に渡すが逃がしてしまう。それを見た宿泊客が人魂と勘違いしていた。
逃げた蝶が迷い込んだ部屋は、ホテルで大麻の売買をしていた人物の部屋で、被害者が刑事に成りすまして部屋に来たと勘違いして殺害する。
別居する父親が病気だと会いに来てくれるため、娘はわざと薬を飲まずに治療しないでいた。その事をホテル側が伝えようとしていた矢先の事件だった。
【相棒23】5話の詳細なネタバレ
今回の事件
支配人の織田照仁(遠山俊也)が従業員に呼ばれて向かった部屋。そこには背中にナイフが突き刺さった遺体が横たわっていた。偶然ホテルに来ていた杉下右京(水谷豊)は、冷静に状況を確認する。遺体はこの部屋の担当ではない客室清掃係の宮原正志(平野宏周)で、ポケットから布がはみ出していた。死亡推定時刻は死後2~3時間前。さらに、部屋の外には血を拭き取ったような跡が残されており、外で殺害されてから部屋に運ばれた可能性が高いと右京は推測した。
被害者の手には、羽がバラバラの蝶の標本が握られていた。それはスマトラシジミという蝶の標本だった。右京はその異様な光景に目を凝らし、謎を解く鍵になると考えた。さらに、この部屋に宿泊していた客に連絡を取ると、「今から戻る」との返答があった。
その間、ロビーには警察の聴取が終わるまで帰れない客たちがあふれていた。ざわつく中、右京は古川輝一郎(原金太郎)という客に話を聞いた。古川は3階でホテルの「名物」を見たという。「ここ、有名だろ?幽霊とか」と、まるで事実のように語る。古川によれば、目撃したのは幽霊そのものではなく人魂であり、他の客も同様に見ていたという。
一方、亀山薫(寺脇康文)はホテル内を隅々まで調べていた。すると、ひとりの少女・中井雫(宮崎莉里沙)が蝶を描いているのを見つけた。「どうして蝶を描いているんだい?」と尋ねると、少女は落ち着いた口調で答えた。「聞き込みをしようと思って…」その意外な発言に、亀山は興味を引かれ、さらに話を聞こうとするのだった。
幽霊ホテル
右京と亀山は、人魂の目撃情報を集めるために客から話を聞いていた。最初に目撃者となった古川によると、人魂を見たのは3階の廊下で、時間は夜の9時過ぎ。古川は「一瞬のことだったから、目の錯覚かと思った」と振り返った。続けて別の目撃者たちにも話を聞くと、彼女たちは営業後のティーラウンジで人魂を目撃したと言う。1階のスパに行った帰り道に目撃したとのことだった。
その後、右京はカメラを持っていた町山慎吾(西本銀二郎)に声をかけた。町山は地道に心霊スポット巡りをしている人物で、「自分が見られなかったのに、たまたま見た人たちがいるのは不公平だ」と文句をこぼす。「ネットの噂では、このホテルの幽霊は“いい幽霊”らしいですよ」と理学療法士の松島弘樹(鈴木コウヤ)は語った。
一方、亀山はホテル内を調べていると、蝶を描いていた少女・雫に話を聞いた。彼女によれば、「このあたりで蝶が飛んでいた」とのこと。雫はそれを“迷い蝶”だと思ったらしい。亀山は蝶を捕まえるのを手伝ってくれと頼むが、突然、雫が咳き込み始めた。慌てて母親の中井真紀(須藤温子)が駆けつけ、喘息用の吸入器を使わせる。ようやく落ち着いた雫の元に父親の中井和彦(前川泰之)もやってきたが、母親の真紀に対して文句を言い始め、家族の緊張した関係が浮き彫りになった。
光る蝶
伊丹憲一(川原和久)は雫の父・中井和彦に話を聞く。和彦は「ホテルに来たのは病気療養中の娘に会うためだ」と答えた。彼によれば、娘は半年前に呼吸器疾患を発症し、毎週末、ホテルに1泊か2泊するのが習慣になっているという。ただし、妻とは別居生活が続いており、部屋もいつも別々だった。伊丹がスマトラシジミの蝶を見せると、和彦は「気味が悪い」と顔をしかめた。
一方、右京は雫の証言に基づき、「遺体が握っていた蝶は、もしかすると標本ではなく生きていたのではないか」と考え始めていた。そのため、人魂が目撃されたティーラウンジを調査する。すると堀竜之介(松延知明)という男性が声をかけてきて、「何かお手伝いできることがあれば」と申し出た。「僕もちょっと探ってみようかな」と、興味を示す堀に、右京は冷静に対応した。
その後、右京はホテルの支配人に見取り図を借りると同時に、被害者の宮原について尋ねた。支配人によれば、宮原は先月からホテルで働き始めたばかりで、養護施設で育ったため親がいないとのこと。一生懸命働いており、忠実で素直な従業員だったと語った。
見取り図を確認した右京は、人魂の目撃時刻と場所を記録し、共通点を見つける。「3階の廊下とティーラウンジには、どちらもフラワーアレンジメントが飾られており、そこにはジャスミンの花が使用されていました」と気づいたのだ。さらに、スマトラシジミはジャスミンの花を好む夜行性の蝶であることから、「人魂の正体は蝶だったのではないか」と推理する。
右京はさらに、「蝶が特定の条件下で光を放つこともある」と話し、事件の新たな側面を明らかにしようとしていた。
流出
右京と亀山は、事件の手がかりを求めて城南大学を訪れ、蛍光スマトラシジミの研究について話を聞く。研究室の花岡久行(佐久間哲)教授は、蛍光スマトラシジミを見せながら、「この蝶は研究室の外に出ることはありません。厳重に管理しています」と語る。さらに、この蝶が遺伝子組み換え生物であり、逃がしたら国際法であるカルタヘナ議定書に抵触する可能性があることも説明した。
その後、小手鞠で飲んでいると、亀山美和子(鈴木砂羽)が「あのホテルの長期滞在者についてのレポート」を見つけた。それは雫の母・真紀が書いていたブログで、右京はその中の一枚の写真に注目する。写真には、ビニール袋に入ったティッシュが写っており、右京は何かを思いついたようだった。
一方、伊丹たちはホテルの支配人を聴取し、宮原が支配人とコソコソ話している姿を目撃したという証言を得た。さらに、宮原が支配人に何かを手渡していたという目撃情報もあり、伊丹が詰め寄るが、支配人は「記憶にない」ととぼけた。
その後、右京と亀山は雫の部屋を訪問する。部屋には蝶の飼育器があり、亀山は「蝶を飼育していたよね」と確認すると、雫は小さくうなずいた。さらに「ビニール袋の中のティッシュは、砂糖水を含ませて蝶に与えるためのものだったのではないか」と問いかける。続けて亀山が、「昨日探していたのは、自分が逃がしてしまった蝶だったんじゃない?」と尋ねると、雫は少し動揺した。
右京は「蝶を逃がした時の話を聞かせてくれませんか」と穏やかに頼んだ。雫は思い出しながら語る。「廊下にジャスミンの花が飾ってあったので、蜜を飲ませてあげようと思って籠の蓋を開けたら、蝶が逃げてしまって…その時に発作が起きてしまって、蝶を見失ってしまった」右京が「どうやって蝶を捕まえたの?」と続けると、雫は「お庭で捕まえました」と答えた。
しかし、右京が蝶の性質について詳しく説明し始めると、雫は俯いて黙り込んでしまった。その様子を見た亀山が、間に入って優しく宥める。「大丈夫だよ。話してくれてありがとう。」その言葉に、雫は少しずつ表情を和らげた。
罪滅ぼし
角田六郎(山西惇)は捜査の進捗に不満を漏らしていた。「野菜市場(ヤクの取引場所)がなかなか見つからない。売人はしょっぴいたが、上までたどりつかないんだよ」とぼやく。右京はそれを聞き流すようにしながら、「やはり、プレゼントでしょうかね。誰かが虫かごに入った蛍光スマトラシジミを贈ったのではないかと思います」と推察した。角田課長はふと自身の経験を思い出し、「昔、子どもにカブトムシをプレゼントしたことがあってさ…あれは一種の罪滅ぼしみたいなものだった」と語った。その言葉に反応した右京は、静かに「罪滅ぼし」とつぶやいた。
その後、右京と亀山は和彦に会いに行った。右京は切り出す。「あの蝶を娘さんに贈ったのは、あなたではありませんか?」和彦は少し戸惑いながらも頷いた。「そうです。蝶は宮原さんに譲ってもらったんです。でも、遺体の手の中から見つかったと聞いて驚きました。もしかして妻が関わっているのではないかと思うと怖くて…。そもそも彼が蝶を譲ってくれた理由も、妻と何か関係があるのかもしれないと思いました」
亀山はさらに問いかける。「雫ちゃんが、どうして庭で捕まえたなんて嘘をついたんでしょう?」和彦は答える。「母親の機嫌を損ねると思ったんですよ」
そこで亀山はもう一つ疑問を投げかけた。「じゃあ、宮原さんはその蝶をどうやって手に入れたんでしょうか?」右京は少し考えた後、「一つ考えられることがあります」と言い残し、再び城南大学の研究室へ向かう準備を始めた。
もう一つの好物
研究室の清掃業務に従事していた、スタッフたちの動きがどこかぎこちなく、不自然に見えた。調べたところ、ホテルは清掃業者との契約を結ばず、インターネットでアルバイトを募集していたことが判明。これが原因で不慣れなスタッフが集まり、現場が混乱しているようだった。
さらに調査を進めると、被害者の宮原が以前、城南大学で清掃の仕事を数回していたことが分かった。ホテルに就職が決まった後も、宮原は一度研究室を訪れていた。飼育室の機材が故障し、機材の入れ替え作業で人手が足りず、事務局が宮原に連絡を取ったのだという。
しかし、その時、宮原は研究用の蛍光スマトラシジミを1匹持ち出してしまった。それは粗大ごみの隣に置かれていた飼育ケースを、宮原が廃棄物だと勘違いした結果だった。研究室の花岡教授はそれを知ると激怒し、「今すぐ取り返せ」と宮原に命じた。さらに、「捕獲しなくていい、握り潰せ」と、非情な指示を出したという。
右京は花岡に詰め寄る。「蝶を逃がした事を隠していたんですね。あなたには十分動機があるように見えます」しかし、花岡は「やっていない」と断固として否定した。
一方で、人魂として目撃されたのが、蛍光スマトラシジミだったことは間違いない。翌日、宮原がその蝶を見つけ、言われた通りに握り潰した。その蝶を持ったまま、宮原は一体何をしようとしたのか?右京は考えを巡らせる。「宮原はその経緯を和彦さんに伝えようとしていたのではないでしょうか?」
殺害現場はやはり、あの部屋のドアを出たすぐの場所だった。右京は続ける。「犯人は宮原さんを尾行していたのでしょう。蝶を始末した場所からずっと」
さらに右京は、スマトラシジミが辿った経緯で唯一不明な部分に注目する。それは、ティーラウンジで最後に目撃された後、蝶がどこにいたのか、という点だった。「あの蝶の好物はジャスミンの他にも存在します。それがカンナビスの花です」右京は推理を展開する。「もし宿泊客の誰かがカンナビスの花を隠し持っていたとしたら、どうでしょう?」
亀山が疑問を投げかける。「カンナビスって…麻の仲間ですよね?」右京は静かに頷き、事件の複雑な背景が浮かび上がり始めた。
事件の真相
右京たちは角田課長と話を進める中で、大麻草の花が高値で取引されている現状を確認した。角田はその取引場所がダークウェブ上で「フォール」と呼ばれていると説明する。それを聞いた右京は、「フォールには秋という意味があります」とつぶやき、亀山が「ホテル秋川のことですね」とすぐに結びつけた。宮原が追っていたのは蝶だったが、その結果として偶然にも大麻の取引場所に近づいてしまったのだ。右京は犯人が宿泊客の中に紛れていると推測し、「既に目星はついています」と断言した。
その後、右京たちは建物から出てきた町山に声をかけた。幽霊マニアを装い、カメラを持っていた町山に対し、亀山は「幽霊に会いたがっている人なら、ホテル内で不自然な動きをしても警戒されませんからね」と指摘した。右京も町山のカメラのレンズに傷や指紋の汚れがついていることに気づき、「カメラは単なる小道具でしょう。ホテル滞在の真の目的を隠しているのでは?」と核心を突いた。
調査の結果、町山が半グレ集団「スコルピオ」の幹部であることが判明。彼の目的は、ホテルでバッズ(大麻草の花)を仲卸業者に渡すことだった。しかし、その取引を宮原に嗅ぎつけられたと誤解し、彼を殺害したのだ。右京は続ける。「あなたの部屋を今鑑識が調べています。返り血を洗った痕跡や、その他の証拠が見つかるでしょう」町山が逃げようとした瞬間、亀山が素早く取り押さえた。
取り押さえられた町山は、自分の犯行を語り始めた。「部屋から出てきたのを見て、刑事が化けていると思った。ブツの入ったバッグが触られていたので、証拠を握られたと思い後を追った」そして、部屋の前で宮原を刺殺し、遺体を部屋の中に運び入れたという。「ポケットを探ると、茶色っぽい粉末が出てきた。刑事じゃなくて、別のグループの売人だったのかも」町山は粉末を既に捨てたと供述し、最終的に伊丹たちに連行された。
その後、右京は伊丹に「なぜ支配人を疑っていたのですか?」と尋ねた。「被害者とコソコソ会って何かを受け取っていたという目撃証言があったんです」と出雲麗音(篠原ゆき子)が教える。それを聞いた右京は、「雫ちゃんを放っておくわけにはいきませんね。行きましょう」と亀山に声をかけ、再び行動を開始した。
【相棒23】5話の結末
右京と亀山は雫の両親に面会し、慎重に話を進めた。右京は穏やかな口調で語りかける。「雫ちゃんですが、治療に必要な吸入器を使わないだけでなく、内服薬も拒否していました。そんな彼女の異常な行動に気づいた人物が1人いました。その方から先程お話を伺いました」
右京は支配人と交わした会話を思い出す。母親が仕事で不在の晩、雫は部屋の窓をいつも開け放していたという。冷たい空気が呼吸器疾患に悪影響を及ぼすことを知りながらの行動に、支配人は違和感を抱いた。そして雫が病気から回復することを無意識に拒否しているのではないかと感じ、確証を得るために宮原に頼んで、雫の部屋のゴミを回収してもらっていたのだ。右京はその経緯を両親に伝え、「これを伝えなければならないと思っていた矢先に、今回の事件が起きたのです」と付け加えた。
「なぜそんなことを?」と父親が戸惑いながら尋ねると、右京は少し間を置いて説明を続けた。「ご両親が別居され、大好きなお父さんと離れ離れになったことは、雫ちゃんにとって非常に大きな苦痛だったでしょう。しかし、呼吸器の病気を発症して療養生活を送るようになってからは、週末ごとにお父さんが会いに来てくれるようになった。病気でいる限り、週末だけでも家族が元通りの姿に戻る。しかし、病気が回復してしまえば、それを失ってしまう。雫ちゃんはそのことを恐れていたのではないでしょうか」
亀山が静かに付け加える。「ホタルが光を発するのは、自分の存在をアピールするためなんです」続いて右京が「雫ちゃんの発する光に、どうか気づいてあげてください」と穏やかに諭した。
しばらくの沈黙の後、両親は2人で雫を迎えに行く。そして、家族3人で仲良く歩く姿が見られた。
支配人は、宮原について静かに語った。「宮原さんは両親のいない若者でした。だからこそ、家族への思い入れが人一倍強かったのでしょう。大学から蝶を持ち出したのも、父親を慕う雫ちゃんの気持ちに共感した結果だったのかもしれませんね」
亀山は切なげに呟く。「でも、その優しさのせいで命を落とすなんて…やるせないですね」
すると堀がやってきて、「大丈夫ですよ。人に優しくしてきた人は、人生を終えたあと、優しい仲間たちに受け入れてもらえますから」と話す。
支配人が右京たちを見送ると、そこにいた堀の姿は既に消えていた。「幽霊にはなかなかお目にかかれませんね」右京がぽつりと呟き、亀山と共に夜のホテルを後にした。
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【相棒23】5話のまとめと感想
光る蝶が大麻の取り引きを結果的に発見するが、勘違いした犯人に殺害されてしまったという話でした。
ギグワークで食いつなぎ、両親もいない孤児院育ちの宮原は、大麻の取り引きをしていた半グレに殺害されてしまいます。底辺同士の争いと言えばそうかもしれませんが、宮原はようやく正社員として働いていた矢先の事でした。つまり、これから人生が変わる可能性があったわけです。
研究所で働く学歴がある人たちや、ホテルに療養で宿泊できるような富裕層と、対照的に宮原やギグワークで働く人たちが描かれます。蝶や幽霊に気を取られがちですが、そうった部分もじんわりと感じる回でした。
結局右京さんは幽霊を幽霊として認識していないため、幽霊に会えないとぼやいて終わりました。
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