【海に眠るダイヤモンド】2話のネタバレと感想をまとめています。
端島に台風が襲来し、島の水も電気も断たれてしまう。鉄平は島民の安全を守るために嵐の中を駆け回る。朝子は店が浸水し始め、鉄平を頼って走る一方、百合子の姿がどこにも見当たらず……。
【海に眠るダイヤモンド】2話のあらすじ
端島には真水がなく、1日3回三島丸という船が水を運ぶことでまかなっていた。台風が端島を襲い、船が来ない日が3日続いた。島の送電線も切断され、波は防波堤を超えて海水が浸水してくる。
大雨も相まって朝子(杉咲花)の店に水が浸水し、パン焼き機を何とか高い所にあげようとするが人手が足りない。朝子は荒木鉄平(神木隆之介)を頼りに嵐の中走り出す。その頃鉄平は島民の安全を守るため、奔走していた。
しかし、百合子(土屋太鳳)の姿がどこにも見当たらず……。
【海に眠るダイヤモンド】2話のネタバレ要約
台風の日に百合子は亡くなった姉のことばかり考え、神に祈り続ける母と喧嘩し、家を飛び出してしまう。
朝子が鉄平を頼って嵐の中行くと、通りがかった賢将が手伝ってくれて事なきを得た。鉄平は百合子を探し、ようやく見つけた彼女の話を聞く。
鉄平は大学生の頃好きだったと百合子に思いを伝えると、百合子も鉄平が好きだから付き合わなかったと告白した。
【海に眠るダイヤモンド】2話の詳細なネタバレ
恋は衝動
いづみ(宮本信子)が玲央(神木隆之介)の家を訪れた。静かにドアを開けて入ってきた彼女は、しばし沈黙を保ちながら玲央を見つめた後、ふと微笑みながら口を開いた。
「恋は衝動、愛は寛容、そして若気の至りは暴風雨のようなものよ」いづみの言葉には、遠い過去を思い出すような懐かしさが滲んでいた。
玲央が不思議そうな顔をしていると、いづみは視線を遠くに向けながら、穏やかに続けた。「私には忘れられない人がいるの。…荒木鉄平」
驚いた玲央は、いづみに向かって「鉄平さんと付き合っていたの?」と尋ねるが、いづみは少し首をかしげて微笑む。「あれは何角関係だったんだろうね…」と、まるで数え切れない感情が交錯していたかのように思い返す。
いづみは少し目を伏せて、端島のことを語り出した。「端島には真水がなかったの。あの小さな島で暮らすには、たくさんの苦労があったわ」その言葉には、彼女の心に刻まれた島での思い出と共に、淡い懐かしさが宿っていた。
水問題
水は毎日三島丸という船で運ばれてくる。1日に3回もやってきて、島にある大きな貯水タンクに注がれるが、その後の配給には苦労が伴った。「水を運ぶ女夫」と呼ばれる女性たちがいて、彼女たちは桶を担いで邸宅や職員住宅へ水を届ける。しかし、鉱員たちは毎日自分の手で水を運ばなければならなかった。
鉱員住宅では各階ごとに共用の水栓があり、使用時間が決められていた。1日に一度だけ組む水を水瓶にため、それを少しずつ大切に使っていた。水を得るためには「水券」という券を渡す必要があり、その一滴一滴が貴重だった。
こうした水の問題を解決するため、計画されていたのが「海底水道管プロジェクト」だ。野母崎から高島、そして端島まで水道管を走らせるという壮大な計画で、3年にわたり日本最高峰の頭脳たちが集まり、検討が続けられてきた。しかし、実現には至っていない。そしてようやく古賀辰雄(沢村一樹)に、技術的には可能だが困難性が高いという連絡が届いた。
また、いつからか、古賀賢将(清水尋也)は島を出るたびに朝子(杉咲花)への土産を買うようになっていた。食堂には定休日がなく、朝子はいつだって島にいる。そのため、賢将なりの気遣いとして、彼女に何かしらの品を届けるようになったのだった。
兄の過去
端島には、水の問題と並んで、もう一つの深刻な問題があった。それは住環境の狭さだ。島の土地が限られているため、鉱員たちが暮らす住宅は非常にこじんまりとしており、独身用は一間、家族用でも二間しかない。さらに、部屋の場所や階数によって住み心地が大きく異なり、特に海の見える高層階の部屋が空くと、その部屋を巡って争いが生まれることもあった。
そんなある日、荒木一平(國村隼)がその場に現れ、「ここは北村が入るんだ」と新しい住人を決めてしまった。荒木鉄平(神木隆之介)は困惑しながらも了承するが、周りの人から「じゃあ、一平さんの次男の部屋をくれないか。いつまで家族用の部屋を使ってるんだ」と求められてしまう。兄のことを話題にされると、どうしても弱くなってしまう鉄平だった。兄の進平(斎藤工)が一人になって、もう二年が経とうとしていた。
翌日、外勤として対応すべきことを考え込む鉄平に、朝子が声をかけた。「兄弟として話してみたら?」その言葉に背中を押され、鉄平は兄と話す決意を固めた。
端島はコンクリートに覆われ、緑がない。島民たちは花や緑を渇望しているが、そんな環境で暮らすしかなかった。朝子は廃棄される予定の花をもらい、大切に店に持って帰って飾った。
鉄平は、兄に話を切り出そうとするが、察した兄は「もう帰れ」と一言で追い出した。鉄平は「兄を一人で酔わせたくないんだ、この季節は」と思いながら酒瓶を手に取り、兄の部屋を後にした。
夜が更けた頃、草笛リナ(池田エライザ)は島のゴミ捨て場に佇む進平の姿を見かけた。彼がじっと海を見つめているのが気になり、リナはそっと近づいて「何が見えるんですか?いつもこうして見ているけど」と話しかけた。
進平は視線を海に向けたまま、低い声で答えた。「海の底には石炭が眠ってる。石炭ってのは、植物の死骸なんだ。端島はその死骸の上に立っている。そして、幽霊が沖に浮かんでる」
リナは少し不思議そうに、「石炭の幽霊を見てるってこと?」と尋ねたが、進平は答えることなく、ただ海を静かに見つめ続けていた。その無言の姿には、何か重い思いが込められているように見えた。
交錯する思い
百合子(土屋太鳳)は、和尚(さだまさし)のもとを訪れていた。「お母さんの具合はどう?」と和尚に尋ねられ、百合子はため息混じりに答える。「お医者さんにも見てもらって、薬も飲んでるけど治りはしないわよ」
その時、リナがやってくると、百合子は駆け寄って声をかけた。百合子はリナに「スクエアダンスって、どんな曲がいいの?」と興味津々に尋ねた。リナは押し入れから一枚のレコードを取り出し、百合子に渡す。リナはトランクから荷物を出さないままでいるようだった。
「どんな感じの曲なの?」と百合子が聞くと、リナはその場で歌い出した。彼女の歌声に百合子は感動し、自然と拍手が湧き上がった。「なんで歌手をやめてしまったの?私だったら、こんなところにいないでスターになってるわ」と百合子が言うと、リナは少し複雑そうに微笑んで答えた。「そんな簡単じゃないのよ。端島にいる方が、私は好きなの」
リナは「端島が嫌いなの?」と不思議そうに尋ねたが、百合子は少し肩をすくめて「嫌いというより狭いし、筒抜けだし」と端島への思いをこぼす。
リナが「幽霊が出るから?」と茶化すと、百合子は「進にいの話なんて聞いちゃダメよ。すっかりおかしくなってるんだから」と少し呆れた表情を見せた。
百合子は進平の亡き妻、栄子()の話を続けた。「栄子さんって人がいたの。野菜船で商いに来ていた人だったの。商人にとって端島は絶好の場所だったからね。栄子さんは進にいを落としたの。彼女が閉ざしていた進にいの心をこじ開けた。あんなに楽しそうな進にいを、戦争から帰ってきてから見たことなかった」
結婚してから、栄子は島でゴミを集める仕事をしていた。しかし、2年前の秋の台風の日、栄子は波にさらわれて行方不明になった。「高層階の子どもたちが、栄子さんが沖に流されていくのを見てたのよ。みんな分かってるの、栄子さんが死んだって。進にいだけは認めようとしないのよ」
百合子はリナに向かって、「進にいに近づいても一文の得にもならないわ。だったら弟、鉄平の誘いを断らずに映画を見に行きなさい」と促した。さらに、百合子はリナに鋭い視線を向け、「朝子が鉄平のことを好いてるって気づいてるのよね?だけど、鉄平はその気持ちに気づいていないの」リナが「嘘でしょ?」と驚くと、百合子は少し冷笑しながら続けた。
「朝子の前で映画の約束をすれば、彼女も諦めがつくでしょ。脈ないって」その言葉に、リナは少し引きながらも百合子を見つめた。
百合子は肩をすくめ、「私って性格悪いの。だから朝子に意地悪しちゃうのよ。でも、これは私と朝子の問題だから」
リナがさらに踏み込んで、「賢将さんと付き合っているなら、朝子さんと鉄平さんが付き合ってもいいんじゃない?」と問うと、百合子は少し複雑な表情で言った。
「複雑なのよ、私も。賢将も。賢将は本当の好きな子には手も触れられない」百合子の言葉には、深い葛藤が感じられ、リナはその複雑な関係に驚きを隠せなかった。
その後百合子は「スクエアダンス同好会」を立ち上げることを決め、島中にチラシを配りまくった。端島にはすでに数多くの同好会があり、島民の趣味はほぼ網羅され尽くしているため、新しい同好会を作ろうとしてもなかなか人は集まらない。それでも百合子は根気強く、皆に参加を呼びかけていた。
遅れて松原(大下ヒロト)や町子(映美くらら)も会場にやってきた。ダンスのペアは、鉄平が朝子と、賢将がリナと組むことになり、音楽に合わせて踊り始める。そこには、それぞれの複雑な思いが入り混じり、ダンスを通して心の奥に秘めた感情が交錯していた。
やがて台風が近づき、海は荒れ狂っていた。水を運ぶ船、三島丸もやむなく欠航となり、島の水問題がまた一層厳しさを増すことが予感された。
堂々巡り
玲央が眠りについていると、ミカエル(内藤秀一郎)が勢いよくドアを叩き、取り立てにやってきた。玲央は寝ぼけまなこで対応するが、気まずさと焦りが入り混じった気分だった。
その頃、ミカエルの客であるアイリ(安斉星来)は、ホストクラブ通いを友人に止められていた。それを知ってかミカエルは、通称“囲み”をしてこいと言って来た。玲央は本心半分、営業半分で言葉巧みにアイリを連れ出し、朝まで一緒に遊ぶと、去り際に彼女が「今晩お店に行くから、そう伝えといて」と言い残して別れた。
一人になった玲央は、ふとやるせない気持ちに襲われ、持っていた飲み物を自分の看板に向かって投げつけた。すべてがうまくいかないように思えて、心の中で何かが渦巻いていた。
そんな時、いづみから電話が入る。玲央は彼女に、自分の苦しみを吐露するように話し始めた。「ここはさ、端島みたいな島じゃないないからさ、水道も通ってるし、道も繋がってるし、どこにでも行けるはずだった。でも…なんでおんなじとこグルグルしてんだろ」
電話を切った後、玲央は偶然サヤ()の姿を見つけて彼女に金を払えと追いかけるが、サヤはすぐに警官を呼び、玲央はさらに追い詰められてしまった。
台風の夜
荒れた天気が続き、端島に水が来なくなって3日が経過していた。いつも新鮮な野菜を届けてくれる手漕ぎの野菜船も、この嵐の中ではやって来られるはずがない。さらに、本土との電話も繋がらず、島民たちは孤立状態に陥っていた。島の水の残りも半日も持たないという、厳しい状況に追い込まれていた。
そのため、ついに水の配給が中止となり、住民たちは雨をなんとか利用できないかと考え始めたが、解決策は見つからない。夜になると、雨はさらに激しさを増し、暴風雨が島を襲う。住民たちは避難先として職員クラブに身を寄せ、なんとか安全を確保していたが、嵐の被害は続いていた。送電線も7本のうち4本が切れ、長屋もついに流されてしまった。しかし幸運なことに、住人たちは全員避難を終えており、怪我人は出なかった。
その後、嵐はさらに猛威を振るい、ついに送電線は1本を残してすべて切断され、島全体が停電に見舞われた。闇に包まれた中、百合子の母・寿美子(山本未來)は静かに祈りを捧げていたが、その姿を見た百合子は苛立ちを募らせ、「神様なんていないの!浦上の上にだって、ピカは落ちたんだよ!」と叫んだ。しかし、母は変わらず祈りを続け、百合子の頬を軽く張った。その姿に怒りが爆発した百合子は、祭壇の十字架や絵を外に投げ捨て、さらには首にかけていた十字架も引きちぎり、外へ放り投げてしまった。
その頃、朝子の食堂では水が入り込み、床が水浸しになってしまうという大変な事態が発生していた。朝子は急いで鉄平を呼びに行こうとしたが、そこへ通りかかった賢将が応じて、パン焼き機を高い場所に移動させるなど手伝いを始めた。
一方で、竹男(番家玖太)が一人で嵐の中に出て行ってしまう。彼は缶を探しに出かけたらしい。その様子を見ていたリナは、慌てて後を追いかけ、なんとか竹男を助け出すことができた。しかしその場で呆然としているリナに、高波が迫ってくるのを進平が発見し、彼女の元へ急いで駆けつけて助け出した。
告解
嵐が去り、暗闇の中で一人膝を抱えている百合子を、鉄平がようやく見つけ出した。彼は彼女を家に連れ帰ろうとするが、百合子は頑なに首を振り、「どうして端島には、家出する場所がないのかしら」と呟いた。その声は弱々しく、どこか遠いところを見つめていた。
夜が更けるまで、二人はそのまま話し込んだ。百合子は静かに心の内を語り始めた。「島を出たら、私はただの島の娘。端島だからこそ、好き勝手に振る舞えているって分かってる。でも…海に流されて、そのまま消えてしまえたら良かったのに」
鉄平は慌てて、「それ、兄貴が聞いたら怒るぞ」と言ったが、百合子はどこか悲しげに微笑んだ。「栄子さんが羨ましいの。亡くなった人は、ずっと思い出の中で美しいまま。お姉ちゃんもそう。お姉ちゃんが死んだ時、お母さんも一緒に消えちゃった。そして、残ったのはひねくれた娘だけ」
そう言いながら、百合子の目からそっと涙が零れ落ちた。
鉄平は少し息を飲んで、正直な気持ちを打ち明けた。「俺、大学の頃ずっと、百合子が好きだったよ。ひねくれてる百合子が。だから、消えたら困る」
百合子はかすかに笑い、「知ってた。バレバレよ、わかりやすいのよ。だから賢将を選んだの。私のことを好きな人となんて、いい加減な気持ちで付き合えないもの」
鉄平は「それって…」と言いかけるが、百合子はそっと続けた。「でも嬉しい。今、消えたかったから」
鉄平は優しく、「百合子は百合子が思ってるよりもずっと、みんな大切に思ってるよ。神様も、ほら。百合子の神様、十字架。守ってくれてるよ」そう言って、壁に映る十字架の形をした影を指差した。
それを見た百合子は顔を歪め、「怖い…どこまでもついてくる。少し慰められたと思ったのに、最低よ。鉄平のバカ」そう言いながらも、彼の存在が救いであることに気づき、「だけど…ありがとう。来てくれて救われた」そう言って泣きながら下を向き、涙を拭った。
鉄平は、彼女の震える肩にそっと手を添え、「怖くない、怖くない」と優しく語りかけた。
「子どもじゃないの」と反論する百合子に、鉄平は笑顔で「はいはい」と受け流しながら、彼女の心が少しでも安らぐことを願ってそばに寄り添い続けた。
【海に眠るダイヤモンド】2話の結末
澤田(酒向芳)が警察署まで玲央を迎えに行き、彼をいづみの家まで連れてきた。玲央はやっとのことでシャワーを浴び、清潔な服に着替えることができた。リビングに戻って水を飲む玲央は、「やっと飲めた水は美味しかったんだろうね」と言うと、いづみは軽く笑って首を振った。
「ちっとも。消毒臭い水を我慢して飲んでたんだから。そんなもんさ」と、端島での苦労を懐かしむように呟いた。
食事をしていると、いづみの息子・和馬(尾美としのり)と孫・星也(豆原一成)がやってきた。息子に名前を尋ねられた玲央は、ちょっといたずらっぽく「荒木鉄平、なーんちゃって」と冗談で返した。
その後、後片付けをしていると、ついに給水船・三島丸が港に到着し、島の給水制限が解除されたとの知らせが入った。嵐の間中、心配していた百合子の父・基人(桜井聖)も安堵し、百合子が自宅に戻ると、父はほっと胸を撫で下ろした。しかし、母は彼女に背を向け、目を合わせようとせず、どこか許していない様子を見せた。
その夜、映画『宮本武蔵』が島で無料上映されることになり、百合子は鉄平が現れるとさりげなく彼の腕を組み、二人は並んで劇場へと入っていった。その姿は、嵐を乗り越えた後の静かな温もりに包まれていた。
【海に眠るダイヤモンド】2話のまとめと感想
台風の夜に今まで抱えていた思いが、複雑に絡み合い始めるという話でした。
表面上見えている関係性と、心の底で思っている気持ちが別々なので、関係性が複雑に感じます。改めて整理しましょう。
賢将→朝子→鉄平→リナ→進平という思いが今回分かりました。それとは別に鉄平→百合子という思いがあり、百合子は鉄平が好きだったから、賢将と付き合ったという経緯も分かりました。
好きだから一緒にならないという、ちょっと分かりにくい感情があるせいで、関係性がごちゃごちゃします。賢将もまた、好きな子の手は握れもしないという、好きだからこそ一緒にならないタイプです。その2人が一緒にいるという、なんとも不思議な関係性です。
さらっとセリフで流されてしまうので、気付きにくいですが、荒木家はどうやらもう1人兄がいたようです。進平は次男と言われていました。兄の生死は不明です。
百合子の母と進平は、共に亡霊を見ていて今を生きていません。リナが進平の心を開けるのか?母と百合子は仲直りするのか?など、まだまだ問題はあります。
また、現代のほうでも玲央の売掛金はどうするのか、いづみがまさか払うのか?など、問題は解決していません。また、いづみは最後に鉄平のノートを見ていましたが、あのノートが何なのかはまだ分かりません。
相変わらず端島の生活が生き生きと描かれ、そこでの生活事情の説明が毎回楽しみです。