【全領域異常解決室】2話のネタバレと感想|狐憑きと集団失神

2024秋ドラマ
記事内に広告が含まれています。

【全領域異常解決室(ゼンケツ)】2話のネタバレと感想をまとめています。

女子高のダンス部員17人が集団失神する事件が発生し、ヒルコが犯行声明を出した。依頼を受けた興玉たちは、その原因を狐憑きだと発表する。生徒の自殺、教師の失踪、そして集団失神。この学校は本当にたたられているのだろうか……?

スポンサーリンク

【全領域異常解決室】2話のあらすじ

葛乃葉女子高等学校のダンス部の生徒17人が、突然同時に失神し倒れた。その後、「神ヒルコ」を名乗る者が犯行声明を出す。再びヒルコに対する恐怖が高まっていると、直毘吉道(柿澤勇人)が全領域異常解決室へやってくる。宇喜之民生(小日向文世)は依頼を受け、興玉雅(藤原竜也)と雨野小夢(広瀬アリス)が捜査に乗り出した。

荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)と二宮のの子(成海璃子)の話では、一ヶ月前から異常は始まり、今や生徒と教師の過半数以上が失神を経験していた。発生場所は校内全域に及び、倒れた人たちも検査で異常は見つからなかった。

興玉は学校に行くと、生徒たちの前で原因は狐憑きだと語る。自殺した生徒に失踪した教師、そして集団失神――全てはたたりなのか?

←1話|3話→

スポンサーリンク

【全領域異常解決室】2話のネタバレ要約

集団失神事件が起きる前に、この学校では生徒の自殺や教師の失踪など相次いでいた。興玉は生徒たちに狐憑きが原因だと説明し、匿名のタレコミが入るのを待つ。

やがて「お稲荷様の下に祟りの正体が眠っています」というタレコミが入り、掘った結果、失踪した教師の遺体が発見される。

生徒を人質にとって立てこもりをする山杉が逮捕されるが、生徒をかばって自らが犯人になろうとしていた。集団失神の原因は井戸を塞いだことにより、発生したメタンガスが漏れたのが原因だった。

スポンサーリンク

【全領域異常解決室】2話の詳細なネタバレ

集団失神事件発生

葛乃葉女子高等学校のダンス部が午後の練習に励んでいる最中、17人の生徒が突然同時に倒れた。意識を失った生徒たちは無防備に床に横たわり、その光景は異様で、緊張感が漂っていた。

まもなくして、「神ヒルコ」を名乗る者から犯行声明が届いた。声明文は、今回の集団失神事件がヒルコの意図的な行為であることを示しており、その短い文面は、ただでさえヒルコに対する不安が蔓延していた社会にさらなる恐怖を投げ込んだ。

直毘吉道(柿澤勇人)が全決の執務室に入ってきた時、その顔には焦燥が見えた。「またヒルコへの恐怖が高まっている」という。政府はこの事案を第四級相当の異常事案と認定し、全決に調査を要請したという。「葛乃葉女子の理事長と鶴岡総理が懇意にしているから、すぐに動くよう圧力がかかったのかもしれない」と宇喜之民生(小日向文世)がつぶやく。彼の声にはいつもの軽い皮肉がこもっていたが、その背後に漂う真実は否定しがたかった。

「内閣は全決を解散しようとしているという噂を聞いたよ」と宇喜之は続けた。直毘は自分は聞いていないと答えるにとどまった。

その翌日、全決のドアを押し開けて現れたのは、荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)と二宮のの子(成海璃子)だった。通常は捜査一課の範疇にないはずの事件だったが、彼らが動いているのには訳があった。荒波は大月比呂佳(田山由起)という被害者に興味を持っているらしいと興玉雅(藤原竜也)は知っていた。

大月は徳島県出身で、父親の仕事の都合で埼玉県に引っ越してきた過去がある。そして、その土地で荒波警部と出会ったという話が興玉から語られた。二人は小中学校が一緒だったが、何十年もの間連絡が途絶えていた。しかし、この事件を機に二人の関係が再び交差し始めたのだ。

遺体こそ出ていないが、ヒルコとの関係を探るため、荒波と二宮たちはすでに学校での聞き取り調査を進めていた。そこから浮かび上がってきたのは、異常事態の始まりが約一ヶ月前に遡るということだ。生徒たちは突然居眠りをするようになり、やがては教職員にもその現象が広がり、クラス全員が同時に意識を失うこともあった。確認された限りでは、生徒と教師の7割がすでに失神を経験していた。校内全域で起きており、原因は一向に掴めていない。

「検査では何も出ていない。けれど、学校から離れれば症状は収まるんだ」と、調査報告を読み上げる二宮が言った。学校そのものに何か原因があるのか、あるいはもっと別の要因が潜んでいるのか。だが、校内では箝口令が敷かれており、生徒や保護者に向けた情報は限られていた。すべてがヒルコの犯行声明を皮切りに、公然のものとなり、学校も隠し通せなくなったのだ。

大騒ぎが静まる気配はなかった。誰もがヒルコの影に怯えていた。

生徒の死

葛乃葉女子高等学校の正門前には、連日のようにマスコミの車両が並び、カメラとマイクを構えた記者たちが殺到していた。生徒たちの集団失神事件を受けて、学校は一気に注目を浴び、沈静化する気配はなかった。全決の捜査班が校内に入ると、校長の阿部(黒沢あすか)が静かに彼らを迎え、教室の一室を彼らに提供した。

案内役は剣持日向(清乃あさ姫)という生徒だった。剣持はこの学校に特待生として入学し、授業料は全額免除されていた。そんな剣持の背後から、誰かがこちらを覗いていることに興玉が気づいた。「彼は…」興玉が近づこうとすると、山杉幹夫(林泰文)という教師が急に逃げ去っていった。怪訝な表情を浮かべながらも、興玉は追いかけることをせず、その場に立ち尽くした。

その一方で、他の生徒たちは意外にもリラックスした様子を見せていた。特に雨野小夢(広瀬アリス)は、生徒たちと「きつねダンス」を楽しそうに踊っていた。緊張の中にあっても、小夢の軽快な動きは周囲の雰囲気を和らげ、彼女は生徒たちにすっかり打ち解けていた。さらにはダンスのアドバイスまでしており、体育館内の空気はわずかに明るさを取り戻していた。

そんな中、剣持が全決を再び案内しながら口を開いた。「やっぱりヒルコのせいなんでしょうか?」と彼女は声を潜めて言った。「生徒の中にはヒルコを信じている子もいます。だけど、たたりじゃないかって心配する声もあって…」彼女の表情には不安が色濃く浮かんでいた。ヒルコの存在が、学生たちの心を揺さぶり、恐怖を煽っていることは明らかだった。

剣持の案内で、全決のメンバーはある場所にたどり着いた。そこには花が供えられており、静寂が漂っていた。「ここは…」剣持の声が震えた。その場所は、二ヶ月前に生徒会長だった白石一香(井上音生)が飛び降りて亡くなった場所だった。白石は剣持の親友であり、剣持はその時、副会長として彼女と共に生徒会の仕事をしていた。さらに、生物部でも一緒だったという。

「彼女がなぜ死んだのか、結局わからないままなんです…」剣持の声には深い悲しみが滲んでいた。白石の死因は未だに不明であり、その不可解な出来事が、学校全体を覆う不安と恐怖にさらなる影を落としていた。

教師の失踪

「他に何か、この学校で異変は?」と興玉が剣持に尋ねると、彼女は一瞬戸惑い、答えに詰まった。緊張感が漂う中、小夢が軽い調子で口を開いた。「ああ、イケメン先生のことですね?」彼女の声には冗談めいた響きがあったが、その裏に何か重要な情報が含まれているようだった。

「池神春来(中尾暢樹)っていう歴史の先生で、生徒会の顧問もしてたんですよ」と彼女が続けた。「生徒たちに大人気の先生だったんですが、一ヶ月ほど前に突然失踪してしまって、大騒ぎになりました」剣持も黙って頷いた。彼女の表情は曇っていた。

全決のメンバーは顔を見合わせた。事件は次々と重なっていた。まず、二ヶ月前に生徒会長だった白石一香が自殺。その後、池神が失踪し、今では集団失神事件が頻発している。まるで何か悪意のある存在が、この学校を蝕んでいるかのように。

「まさに、何かにたたられていますね、この学校は」興玉が静かにそう言いながら、険しい表情で周囲を見回した。その言葉が空気を切り裂くように響いた。次の瞬間、彼は突然走り出した

「ここに祠があったはずなんだ!」興玉が駆け寄った場所には、何も残っていなかった。剣持はすぐにそれに気づき、ため息をついて言った。「その祠なら、生物部で解体しました。もう残っていません」

「解体した祠はどうなったんだ?」興玉が鋭く尋ねると、剣持は苦い顔をして、瓦礫と化した祠を見る

興玉は無言でその場に立ち尽くしたかと思うと、にやりと笑った。「これが…たたりの正体です」彼は祠の跡地に視線を向けた。周囲に漂う不吉な空気は、この場所から始まっていたのかもしれない。

解体され放置された祠。二ヶ月前の生徒会長の自殺。その後の人気教師の失踪。そして集団失神。すべての出来事が不気味に連鎖していた。

狐憑き

体育館に生徒たちが集められた。校長の阿部が壇上に立ち、重々しい声で話し始めた。「皆さんに紹介したい方々がいます。今回の異変について調査している全決の捜査班のメンバーです」緊張した空気の中、興玉と小夢が前に進み出た。生徒たちはざわざわと騒ぎ始めたが、阿部は手を挙げて静かにさせた。

興玉は一歩前に出て、毅然とした態度で話し始めた。「皆さん、集団失神の原因がわかりました」彼は言葉を間を置き、続けた。「原因は…狐憑きです」

「狐憑き?」体育館全体に驚きの声が広がった。興玉は淡々と説明を続ける。「狐憑きとは、狐の霊に取りつかれて精神錯乱状態になることを指します。この現象は古くから日本に存在しており、平安時代末期の『今昔物語集』にも記録されています。また、藤原実資の『小右記』など、狐憑きに関する記述は歴史的にも膨大です」

生徒たちは不安げにざわめき始めたが、興玉は気に留めずに話し続けた。「これは迷信ではありません。実際に何度も確認されている現象です。そして、この学校でもそれが起こっているのです」

「裏庭に祀られていたお稲荷様の祠が壊されたことが、全ての始まりです。稲荷の神の怒りを買い、祟られてしまってます」興玉は真剣な眼差しで生徒たちを見回した。「たたりから逃れるためには、全ての罪を認め、心を清めてからお祓いをする必要があります」

興玉は壇上で、校内に目安箱を設置することを提案した。「何かを隠しているなら告白してください。それがこの学校を守る唯一の道です」

その時、不意に叫び声が響き渡った。山杉が突然立ち上がり、激しく叫び始めたのだ。彼はその場に倒れ込み、暴れ始めた。体育館は一瞬で混乱に包まれた。

すかさず興玉が駆け寄り、山杉に近づくと、低い声で何か呪文を唱え始めた。次第に山杉の動きは落ち着き、意識を取り戻した。「彼は祠の解体に参加していた一人です。今目の当たりにしたのが、まさに狐憑きです」興玉はそう告げ、周囲を見渡した。

生徒たちは恐怖と不安に支配されていた。剣持もどこか動揺した表情を浮かべ、何かを考え込んでいる様子だった。

ケサランパサラン

保健室の扉が開き、山杉がふらふらと出てきた。彼の姿を見た生徒たちは、まるで見えない力に押し出されるように一斉に逃げていった。彼の周りに不気味な空気が漂い、誰もが彼を避けたがっているのが明らかだった。

山杉が自分の部屋に戻ると、そこにはすでに興玉たちが待っていた。興玉は部屋の本棚を眺め、軽く微笑んだ。「なかなか趣味のいい本を揃えていますね」精霊や御霊、妖怪に関する書物が目に留まる。

「こういう領域にも興味が?」と興玉が尋ねると、山杉は微かに眉をひそめ、「だとしたら何か?」と冷ややかに答えた。彼の返答には防御的な色が含まれていたが、それがさらに興玉の好奇心を刺激した。

その頃、目安箱に寄せられた生徒たちの懺悔が次々と集まっていた。多くの生徒が、これまで山杉を馬鹿にしていたことを悔やんでいた。その一方で、より具体的な報告も寄せられていた。「山杉先生が生物準備室に何か隠しているのを見た」「木の箱を隠しているところを見かけました。あれが狐憑きに関係しているかもしれない」といった証言が続々と出てきたのだ。

興玉は一瞬考え込んだあと、山杉に鋭い目を向けた。「木の箱…もしかしてケサランパサランですか?」と切り出した。「この部屋にはおしろいの匂いが漂っていた。木の箱という話も合わせて考えると、そうかもしれないと思ったんです」興玉の視線は鋭く、何かを見抜こうとしているかのようだった。

「ケサランパサラン?」小夢の声がわずかに揺れた。

「そう、ケサランパサランとは江戸時代から語り継がれている謎の生物です。妖力を持つ小さな妖怪とも言われており、植物か動物かは判然としない未確認生物です。古くからの伝承では、幸運をもたらすとされる一方で、扱い方を誤ると災厄を引き起こすとも言われています」興玉の口調には確信が込められていた。

彼は一歩山杉に近づき、低く静かな声で言った。「ぜひ、この目で見てみたいものです」その言葉には、どこか威圧的な響きがあり、山杉の表情に動揺が走った。

たたりの正体

山杉は静かに部屋の片隅から木の箱を取り出し、興玉たちに差し出した。山杉の表情は硬く、その目には不安が浮かんでいた。

「おしろいはケサランパサランの餌です」と興玉が説明した。「ただし、これを見るには厳格な決まり事があります。一年に一度しか見てはいけないんです。二度見てしまうと、災厄が降りかかったり、場合によっては死ぬという伝承もあります」すぐに見ようとする小夢に忠告した。

「ケサランパサランは幸運を呼ぶとも言われていて、現代でも家宝として代々受け継いでいる家がある」興玉は興味深そうに頷きながら言った。

興玉はゆっくりと箱の蓋を開けた。中にはふわふわとした綿毛のようなものがあった。それはまさに伝承にあるケサランパサランの姿に似ていた。「おしろいを与えて成長すれば、これが本物だということ」興玉は慎重に箱を見つめた。

「おそらく、これを祠があった場所で見つけたのでは?」興玉は山杉に尋ねた。その瞬間、山杉の顔にわずかな動揺が走った。言葉にしなくとも、その反応が答えを示していた。

興玉はすぐに荒波たちを呼び寄せた。目安箱に寄せられた告白の一つに、「お稲荷様の下に祟りの正体が眠っています」というものがあった。荒波たちは急いで裏庭のお稲荷様の祠があった場所を掘り返した。

地面を掘り進めるうちに、やがて硬いものに触れた。それは人間の遺体だった。彼らが掘り出したのは、失踪していた池神春来の遺体だった。驚愕と共にその場に立ち尽くすメンバーたちの中で、興玉だけが冷静に状況を見つめていた。

不審な教師

芹田正彦(迫田孝也)がコーヒーとこの辺りの古地図を持ってやってきた。興玉はその古地図に目を通しながら、うなずいた。「祠があった場所に、もともとあったものがたたりの原因と思って取り寄せた」という。

その頃、生物室では緊張が高まっていた。剣持が小声で「先生、私…」と話しかけると、山杉は不気味に笑い始めた。「僕は本当に狐に取り憑かれてしまったようだ」彼の笑いは狂気を帯びていた。そして、突然山杉は剣持にじりじりと迫り、「池神の遺体の場所をチクったのはお前だな」と低い声で言いながら、何かの薬品を剣持にかがせた

その場の緊迫感がさらに高まった頃、外部では池神の遺体が正式に確認された。彼の遺体が発見された稲荷の石像にはわずかな血痕が残っており、現在DNA鑑定が進行中だ。池神は生徒や保護者からの評判も良く、金銭的なトラブルも一切なかった。むしろ彼の生活には不自由がなかったようで、失踪後も所持品の多くは残っていたが、パソコンとスマホだけが消えているのが不審点だった

通信履歴を確認すると、池神が最後に通話したのは9月1日。その相手は山杉だったことが判明する。山杉は生徒や保護者からも敬遠されており、彼が何を考えているのか、誰も把握していなかった。一部の保護者からは、山杉が怪しげなメイドカフェから出てくる姿を見たという報告もあり、そのメイドカフェで剣持と白石がバイトしていたことも明らかになった

そんな中、突如、緊急通報が入った。教師の一人が生徒を人質に取り、生物室に立てこもっているというのだ。状況は急速に悪化していた。荒波たちはすぐに対応を指示し、全員で現場に向かった。生物室で何が起こっているのか、誰もが緊張感を隠せなかった。

立てこもり事件発生

生物室では、山杉が剣持を人質に取り、奇妙な叫び声を上げていた。剣持は恐怖で身を硬くしており、状況は緊迫していた。そんな中、小夢が冷静に状況を分析し、口を開いた。「山杉先生、あなたは剣持と白石がメイドカフェで働いていることを知って、二人を脅していたんですよね?」

山杉は返事をしなかったが、彼の表情が微妙に変わったのを小夢は見逃さなかった。「二人は大学の指定校推薦が決まっていたんです。バイトがばれたら推薦が取り消されるかもしれない。そんな状況を利用して、あなたは性的な要求か、金銭的な要求をしたんじゃないですか?」

剣持は目を伏せた。小夢は言葉を続けた。「白石さんはそれに耐えきれずに飛び降り自殺した。彼女はあなたに脅されていたんです。池神先生も、生徒会の顧問としてその相談を受けて、あなたを問い詰めたんですよね? その結果、あなたは口封じのために池神先生を殺害し、祠があった場所に埋めたんです」

その指摘に対して、山杉は突然大声で笑い出した。「その通りだよ!あの二人を脅して、更衣室に盗撮カメラを仕掛けさせたんだ。そしてデータを祠で受け取っていた。今までずっとばかにされてきたんだ。これは僕の当然の権利だ!」彼の狂気じみた笑いは、生物室全体に響き渡った。

その瞬間、小夢が激怒した。「ふざけんな!変態クソ野郎が!」と、彼女は声を荒げて罵った。すると、興玉が手を叩きながら山杉にゆっくり近づいていった。そして突然、彼は素早く動き、山杉の隙をついて彼を捉えた。

剣持は無事だった。山杉は制圧され、捜査は一段落した。

後の調査で、山杉のパソコンから更衣室での盗撮画像が発見され、小夢の推理は正しかったことが証明された。さらに、山杉は池神の殺害についても自供した。すべてが小夢の予測通りだった。

荒波が剣持と白石の家庭背景について話を続けた。「二人とも母子家庭で、母親に迷惑をかけないように内緒でバイトをしていたんです。それがばれるわけにはいかなかった。だから、誰にも相談できず、盗撮にも加担せざるを得なかったんです」荒波の声には深い同情が込められていた。

スポンサーリンク

事件の真相

真犯人の正体

別室にいた剣持の前に、興玉が静かに入ってきた。部屋の空気は張り詰めており、剣持は無言のまま興玉の動きを見つめていた。

「どうして、祠を壊したのかが解せないんですよ」と、興玉は低い声で話し始めた。「山杉先生が口封じのために池神先生を殺害したのなら、祠を壊す必要なんてないんです。しかも、彼は精霊や霊魂を本当に信じていた。そんな山杉が、あの大切な祠を壊すと思えますか?」

剣持は沈黙したままだったが、表情にわずかな変化が見えた。興玉は続けた。「あの場所には、かつて井戸があった。その井戸を祀っていた祠だった。井戸を埋めるというのは、とても重要な神事なんです。神様が息をできなくなってしまうから、竹や配管を使って息抜きをするのが作法です。それを怠ると、神様の怒りを買うことになる。だから、祠を立てて守る」

興玉は剣持の反応をじっと見つめながら話を進めた。「解体された材料の中に、半分腐った長い竹があったのを覚えていますか? あれが息抜きのための竹です。山杉先生はその重要性を理解していたから、定期的に祠にお参りをしていた。そんな彼が、自ら壊すなんて考えられない

興玉の声はさらに低くなり、深い鋭さが漂っていた。「あなたですよ、剣持さん。祠を壊したのも、池神春来先生を殺した犯人も…あなたです」

剣持の表情が変わり、彼女の手は震え始めたが、興玉はその様子に全く動じなかった。「私は人間が嫌いです。自己中心的で、愚かなことばかりする。でもたまに信じられないほど、美しく見えることがあります。自分を犠牲にして、誰かを守っている時です」

山杉がすべての罪を被ろうとしていたが、実際には剣持が祠を壊し、池神を殺した犯人だった。

事件の顛末

剣持がこっそりバイトをしていたことに最初に気づいたのは、池神先生だった。彼はその事実を知り、2人を脅迫して更衣室に盗撮カメラを仕掛けるよう命じた。そしてその映像をネットで売り、そこから得た金で金回りを良くしていたのだ。顧問であった山杉は、2人の様子がおかしいことに気づき、彼女らが何かに追い詰められていることを感じ取っていた。

やがて山杉は、剣持と白石がメイドカフェでバイトしていることに気づき、カフェまで足を運び、彼女らの相談に乗ろうとした。しかし、2人は盗撮のことを話すことができず、徐々に追い詰められていった。ついに白石は耐えきれず、自ら命を絶った。

白石の自殺後、憔悴しきった剣持を見て、山杉はこれはもう放っておけないと決意した。そしてついに剣持から全ての真相を聞き出し、池神を呼び出して警告したのだ。「明日、警察に話します。もし良心が残っているなら、剣持が盗撮に加担していたことは黙っていて欲しい」と。山杉は剣持を守りたかった。

だが、その言葉に対し、池神はさらなる卑劣な行動に出た。池神は剣持に接触し、「盗撮データを山杉の机に入れろ。すべて山杉のせいにしてやる。そうすれば黙っていてあげるよ。やらないなら、お前のことをバラす」と脅してきたのだ。

剣持はその要求に耐えられず、「そんなことはできません」と断った。そして言い争いになり、もみ合いの末、剣持は池神を突き飛ばしてしまう。池神は倒れ込み、そのまま頭をお稲荷様の石像にぶつけて死亡してしまった

目の前で大変な事態が起きてしまった剣持は、恐怖とパニックに襲われ、「助けてって何度も言ったのに!」と絶叫しながら、近くにあった祠に八つ当たりし、無我夢中で壊してしまった

その様子を見ていた山杉が駆け寄り、剣持を落ち着かせようとした。「大丈夫です。落ち着いてください。すべて私がやったことです。剣持さんは何も悪くありません」と優しく宥めた。山杉は、自分が学校に来た当初からずっと剣持のことを心配していた。

山杉は、自らをあえて「変態クソ野郎」だと思わせ、狐憑きという言葉を利用して、錯乱状態を装い、自分を犠牲にしようとした。しかし、実際の彼は高潔で、誰よりも生徒を守ろうとする教師だった

ある日、剣持は山杉が祠に酒を注ぐ姿を見かけ、どうしてそこまでするのか尋ねたことがあった。「万物には神々の魂が宿っているそうです。昔の人達の考え方は不合理ですが、私はそういうのが好きなんです」と、山杉は優しく笑った。

興玉は剣持を見つめ、静かに諭した。「剣持さん、どんな人間になるのかは、あなたしだいですよ」その言葉に、剣持はついに抑えていた涙を流し始めた。すべてを背負ってくれた山杉の思いと、興玉の言葉が彼の胸を打ったのだった。

スポンサーリンク

事件の結末

取り調べ室に入ってきた剣持の姿を見て、山杉は動揺を隠せなかった。剣持が全て自供したと教える

「何のことです?私が…、私が殺したんだ!」山杉は声を上げ、必死に自分が犯人だと訴えた。しかし、剣持の目には、もはや恐れや後悔はなく、どこか穏やかさが漂っていた。

荒波は山杉が捨てた池神のパソコンを、剣持が拾って保管していたと教える。「これを調べれば、池神先生が盗撮を強要していたこともはっきりします。すべての真実が明らかになるでしょう」

興玉は冷静に山杉に向き合いながら、「生徒に嘘をつかせるなんて、教師としては失格ですね」と厳しい言葉を放った。「自立と自尊心を手に入れた生徒を、認めてあげてください」

山杉はその言葉を聞き、剣持に視線を向けた。剣持は微笑みを浮かべ、その笑顔は優しさと感謝の気持ちに満ちていた。それを見た瞬間、山杉の目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。彼はすべてを守りたいと思っていた生徒が、今まさに自分の力で立ち上がろうとしていることに、感極まっていたのだ。

その後、阿部校長が興玉に尋ねた。「では、集団失神の原因は何だったのでしょうか?」

興玉は淡々と答えた。原因は、井戸の息抜きを塞いでしまったことです。井戸を完全に塞ぐと、地下でメタンガスが発生する危険があります。それが校舎の近くから漏れ出し、生徒たちが気を失う原因となっていたのです」

「なるほど…」阿部は驚きながらも納得した様子で頷いた。「再び井戸に息抜きをすれば、再発は防止できるでしょう。以上が全領域解決室が導き出した結論です」と興玉は結論付けた。

阿部は感慨深げにため息をつき、「それじゃ、本当にお稲荷様の祟りだったということですね」と苦笑いを浮かべながら言った。

スポンサーリンク

【全領域異常解決室】2話の結末

小夢は、山杉の前で深々と頭を下げた。「本当に申し訳ありませんでした」彼女の声には悔恨の念が込められていた。山杉はそんな彼女に穏やかな笑顔を返した。

山杉は学校を退職することになった。彼は池神の遺体を隠蔽した罪を犯していたため、法的な処罰を受ける必要があった。弁護士からは、彼の行為には情状酌量がつくだろうと聞かされていたが、それでも責任を感じて学校を去る決断をした。

剣持もまた、情状酌量がつき、保護観察処分で済む見込みだという。退学となってもまた大学を目指すと、前向きな意志を見せていた。

その後、山杉は興玉に尋ねられた。「なぜそこまでして守ろうとしたのか?」と。山杉はしばらく考え込んでから、静かに答えた。「わかりません。でも、あのケサランパサランを手に入れてから、何だか勇気が湧いてきた気がしたんです」

山杉がケサランパサランを手に入れた経緯は、不思議なものだった。彼はパワースポットとして有名な豊玉神社で欲しいと祈った後、祠に現れたケサランパサランを見つけたという。

その頃、宇喜之はその豊玉神社に詣でていた。境内に立つと、豊玉妃花(福本莉子)が軽やかに声をかけた。「ようこそ、お参りくださいました」

宇喜之はすれ違いざまに少し顔をしかめて言った。「最近、暴れすぎじゃないですか?目をつけられますよ」宇喜之の声には、かすかな警告の色が含まれていた。

しかし、豊玉はそれを気にする様子もなく、楽しそうに笑った。「神ってるね~、私」

小夢は後に、ふと呟いた。「ヒルコは今回関係なかったのでしょうか?シャドーマンの時と同じように、体育館の空間が一瞬歪んで見えたんです

興玉は肩をすくめて答えた。「丸く収まったのだからいいじゃないですか。全てを分かろうとするなんて、人間の傲慢です」その言葉は、これまでの事件の複雑さと、全てを知ることが不可能な世界の奥深さを示していた。

←1話|3話→

スポンサーリンク

【全領域異常解決室】2話のまとめと感想

集団失神は井戸を塞いだことで発生した、メタンガスが原因だったという話でした。

見た目も格好よく明るい池神は、イケメン先生といって慕われていました。逆に山杉は根暗で何を考えているのか分からないと、生徒も保護者も嫌っていました。

しかしぱっと見いい人の池神は、生徒を脅して盗撮させ小遣い稼ぎをしていました。一方山杉は生徒の将来のために変態クソ野郎を演じ、身代わりになろうとします。どちらがいい教師かは一目瞭然ですが、人は見た目の良いものに騙されがちです。本性を見誤らないよう、見た目に左右されずに人を見る必要があります。

狐憑きかと思われた集団失神ですが、科学的に説明のつくオチでした。ただ、毎回小夢は空間が歪んで見えると話すので、ヒルコはヒルコでちゃんと存在するのかもしれません。

←1話|3話→

タイトルとURLをコピーしました