ドラマスペシャル【欠点だらけの刑事2】のネタバレと感想を掲載しています。
3年ぶりの新シリーズは、新たな相棒を迎えて放送されました。変わり者の刑事と新人刑事が組み、人気収納家の家で発見された遺体の謎に迫ります。
【欠点だらけの刑事2】のキャストとスタッフ
『欠点だらけの刑事』第2弾、今夜放送!小日向文世、工藤阿須加と“キントリ”に続く共演 #テレ朝POSThttps://t.co/MHraeBH4hA
— テレ朝POST (@post_tvasahi) September 22, 2021
レギュラー
- 百野冬美男…小日向文世
- 一ノ瀬貴一…工藤阿須加
- 九十九健作…林家正蔵
- 橋本紗代…西尾まり
- 橋本岳太郎…大谷亮介
- 万城目千鶴…森口瑤子
ゲスト
- 長谷川凛子…原沙知絵
- 亀田亜希恵…安藤玉恵
スタッフ
- 脚本…櫻井剛
- 監督…近藤一彦
- 公式HP
【欠点だらけの刑事2】のあらすじ
強盗事件の知らせを受け、変わり者の刑事・百野冬美男(小日向文世)は現場へ向かった。そこで新たにコンビを組むことになった一ノ瀬貴一(工藤阿須加)と合流するがまったく折り合わない。
収納家の長谷川凛子(原沙知絵)の自宅兼事務所である現場を見た百野は違和感に気づく。整然と整頓されている室内なのに、床収納の板の向きが違うことを。気になって仕方なく一ノ瀬に開けさせると、そこには男の遺体が入っていた。
身元不明の男性遺体はなぜこの場所にあったのか?凛子に話を聞くが面識はないという。遺体や現場から感じた様々な違和感から、百野は空き巣は偽装ではないかと考える。その後、自分の部屋の収納を凛子に依頼するのだが……。
【欠点だらけの刑事2】のネタバレ
長谷川凜子の家で発見された遺体は何者なのか?そして誰が殺したのか?順に追っていきます。
事件現場の気になった点
百野は事件現場を見て気になった箇所がいくつかありました。
1.割れた窓ガラスが床にあった本の下にはなかった
この場合、室内を物色した後にガラスを割って侵入したことになってしまうのでおかしいと百野は考えました。
2.床下収納のふたの木目が90度ずれている
百野が気になって仕方なく思わず開けてしまった結果、遺体を発見しました
3.整頓されている部屋なのに、なぜか古雑誌が床に積み重なっていた
物を処分して整理するのをモットーとしている凜子とは真逆の状態です。さらにあるページに付箋がついていました
4.椅子の下や雑誌の下が濡れていた
雑誌を調べた時に百野は水で濡れていることに気づきます。空き巣が物色した時に何かをこぼしたわけではありません。
5.たかれたお香の匂いがする
凜子は2時間前に家を出たのに、室内にはお香の匂いがまだ残っていました。
それらの点が気になった百野は、空き巣は偽装ではないかと推理しました。その後、被害者の身元が判明し、被害者宅の捜査に向かいます。そこにあった靴の蝶結びを見て、百野は空き巣がやはり偽装であると確信します。
それは、被害者の靴紐の蝶結びが綺麗に整っていたからです。被害者の靴紐はどれも蝶結びが縦に結ばれており、遺体が履いていたスニーカーの結び目とはまるで違いました。
百野は誰かがスニーカーを履かせたに違いないと推理し、空き巣ではなく別の目的で現れたのではないかと考えます。
容疑者浮上
被害者の身元が割れてさらに捜査を進めていくと、事件前日ホームセンターの監視カメラに物品を購入する姿が映っていたのがわかります。購入していたのはスパナでした。窓ガラスを割るために購入したものなのか、被害者である岸田貴志殺害の凶器なのかと捜査員たちは考えます。
一緒に映っている人物を解析したところ、凜子のアシスタントの1人である、鹿野秀美ではないかと百野は考えます。その理由は以前、彼女と会った時に背中で両手を繋ぐ仕草をしていたからです。凜子は肩を脱臼しているためできず、誰でも簡単にできる仕草ではないと百野は考えていました。
さらに調べた結果、秀美だと断定されますが、彼女は姿を消してしまいます。どうやら被害者の岸田と恋人関係だったらしく、金に困って秀美が空き巣の手引きをしたのではないかと捜査員は考えます。
しかし百野はありえないと断言します。なぜなら空き巣は偽装だからです。その後、秀美の自宅を捜索するとスパナが発見されますが、血痕の付着はありませんでした。
通報の違和感
ずっと気になっていた、事件発生を知らせる通報の音声を百野は調べます。通報は公衆電話からされており、現場からかなり離れた場所の電話から通報されていました。現場近くには別の公衆電話がありますが、なぜかそこの電話を使わずにもっと離れた場所にある電話を使用していました。
ガラスの割れる音を聞いて強盗だと通報し、名乗らずに慌てて電話を切っています。急いで警察に通報するのならなおさら、現場の家から一番近い公衆電話を使うはずなのになぜなのか?百野は気になります。
最寄の公衆電話で一ノ瀬が猫と遊んでいるのを見て百野は気づきました。通報者は鹿野秀美だと。なぜなら、以前会った時に秀美は猫アレルギーだったと思い出したのです。さらには公衆電話にある電話帳の端が折られていたのを見て、秀美が紙の端を折る癖があることも思い出します。
容疑者なのに自ら通報するのか?一ノ瀬の疑問に百野は犯人は別にいると推理しました。
凜子の原点
失踪した秀美の自宅を捜索すると、雑誌をコピーした紙が見つかります。「生前整理中に心臓発作。遺品整理に移行」という内容の記事で、付箋が貼られているものをコピーしたらしく、その位置を見て百野は凜子の家にあった雑誌だと確信します。
その記事は凜子の原点ともいえる内容のものでした。凜子は今から10年前にNPOの西岡太のところで、高齢者の家を整理するのアルバイトを始めます。その時担当したとても頑固な依頼者を説得し、不用品を処分していくと人が変わったように優しくなったと言います。それがきっかけで凜子は収納家になりました。西岡は自分の恩師だと言います。
百野たちが西岡のところで話を聞いた後、凜子と働いていたことがある職員と話をします。彼女が言うには以前の凜子は根暗で世話係が必要なぐらいでした。それから1年後に、生前整理中に亡くなった依頼人を担当したそうです。
話を聞いて気になった百野は、その依頼人が住んでいた家に向かいます。
凜子と秀美の接点
依頼人が住んでいた家は偶然なのか秀美の実家の隣でした。秀美の母親に百野たちは話を聞くことができました。隣人の金子は妻を亡くしてから偏屈になったと言います。しかし、生前整理を始めた頃から、穏やかになったそうです。凜子の原点となる話に合致します。
暑い日は庭先でかき氷を振舞うこともあったらしく、秀美もごちそうになったことがあるそうです。しかしある日、スタッフの一人がボロボロのバスタオルを捨ててしまいます。すると金子は弁償がどうとか大騒ぎし始め、そのあとすぐに心臓発作で亡くなってしまったそうです。
この担当していたのが、凜子だったのではないかと百野は考えます。秀美と凜子の2人には10年前に接点があったのです。
ここで百野は引っ掛かりを覚えます。“ボロボロのタオルに血の通った思い出”というフレーズにです。それは、凜子のライバル収納家である亀田亜希恵が言っていた言葉でした。亜希恵は凜子とは正反対で、物を大切にする収納をモットーにしている人物です。なぜ彼女の言葉が出て来たのか、百野は気になりました。
真相への手がかり
署に戻った百野は金子が死亡した日と、事件が起きた日が同じ8月19日であることに気づきます。
副署長から差し入れでかき氷を振舞われることになりますが、氷を落としてしまいばらばらに砕けてしまいました。それを見て事件の真相に百野はたどり着きました。
凜子の家に行って真相を話す百野、秀美は犯人ではないと言います。そして岸田の遺体を床下に隠したのは凜子だと言います。なぜなら、スニーカーの結び目が凜子のスニーカーの結び目と同じ、きっちり3.5センチの綺麗な結び目だったからです。
そんなことは証拠にならないという凜子に、百野は凜子の過去の話をします。あの日、心臓発作で亡くなった金子を今も弔っていると。香炉でお香をたいていたのも、かき氷機がキッチンにあったのも、金子の好物を供えるためだったと。元々、雑誌の束とかき氷機は床下に収納されていて、それを出して遺体をしまったに違いないと百野は続けます。
金子が心臓発作を起こした時、凜子は救急車も呼ばずに置き去りにした。金子を見殺しにしたのだろうと百野は推理します。しかもその事実を秀美は知っていて、岸田をそそのかして脅迫に来たのではないかと。しかし、犯人は凜子ではないと言います。なぜなら彼女は肩を脱臼していて、振り下ろすことができないからです。
凶器は溶けてなくなってしまったと百野は言います。事件現場を見た時、床が濡れていたのはそのせいだと。凶器は氷だったのです。そして犯人は亀田亜希恵だと百野は言います。亜希恵もまた10年前、凜子と一緒に働いていたのです。
10年前の真相
金子の家へ生前整理に行った凜子と亜希恵たちに何があったのか?あの日、ぼろぼろのタオルを捨てたのは凜子ではなく亜希恵だったのです。
タオルを捨てられたことは、自分の命の火を消されたと同じだという金子は怒り詰め寄ります。その瞬間、心臓発作を起こしてしまい苦しみだしました。凜子は急いで救急車を呼ぼうとしますが、亜希恵が止めます。なぜなら、妻の元に早く行きたいといっていたからでした。
以来、亜希恵は血の通った思い出があるなら簡単に物は捨てない、そういう収納を目指します。一方凜子はぐずぐずと捨てられない自分を変えて、捨てていく収納を選びました。
金子のことを隠すため2人は仲の悪いライバルを演じていましたが、年に一回金子の命日にだけは2人で会って弔っていたのです。
事件の真相
しかし10年たって凜子は岸田から脅されます。金子を見殺しにした件についてです。事件当日、家にやってきた岸田は凜子を脅して金を要求します。そこにいた亜希恵は氷柱で頭を殴って殺害してしまいます。凜子は空き巣が入ってきたことにしようと偽装し、亜希恵にアリバイ作りをするよう命じます。
死んだ男の説明はどうでもいいから、空き巣の通報をしてあとは運を天に任せようと思ったと凜子は言います。しかし、それを見ていた秀美が強盗として警察に通報してしまいます。
百野が来た後、今度は秀美が脅迫者になります。岸田をたきつけたのも自分だし、殺害したときの写真も動画もあるといい、通報したのも自分だと白状します。彼女がなぜこんなことをしたのか、それは10年前、金子を置き去りにしたのを隣の家から見ていたのです。
その後、秀美は凜子のアシスタントになります。ですが、自分に出番はまったくなく、ストレスで散財してしまいました。金に困った秀美は岸田を誘い、凜子を脅迫することにしたのです。そして、自分が罪をかぶって隠れるから、金を寄越せと秀美は脅して失踪したのです。
ドラマの結末
金子の件をずっと隠していた凜子と亜希恵は、本当の意味で捨てることができたと語ります。
そして隠れていた秀美がどこにいるのか、凜子から聞き出した警察は彼女を逮捕しました。取り調べを受ける秀美は、凜子は思い出は全部捨てると言っていたのに、なんで10年前の事まで告白したのかなと語ります。凜子は重荷を下ろしたと言っていると教えると、馬鹿じゃないのと吐き捨てました。
そんな秀美に通報をしてくれたこと、母親が心配していることを教えます。もう意地を張らなくていい、やり直せると千鶴は語り掛けました。
ドラマの補足
このドラマの面白いところの一つとして、百野がトラウマを語るとこや、百野に振り回される周囲の対応です。今回、百野が明らかにしたトラウマはどういったものなのか、千鶴が編み出した百野への対応が面白かったので記載します。
百野のトラウマ
1.ガラスが大破
小学5年生の春に給食当番だった百野は、背後から何者かにどつかれてワゴンから手を放してしまいます。ワゴンは傾斜0.6度のスロープを猛スピードで滑走し、突き当たりのガラス扉に突っ込みガラスが大破してしまいました。
以来、百野は割れたガラスの破片が散乱している場所へ、立ち入ることをなるべく禁じています。
2.インコの死
小学5年生の夏、自宅で飼っていたセキセイインコのぴーちゃんが、危篤の知らせを受けて百野は慌てます。しかし、図書館での失態で遅れに遅れてしまい、帰宅した百野が目にしたものはぴーちゃんの亡骸でした。
以来、何があったのかは話しを遮られてしまって不明です。
3.親鳥が育児放棄
小学5年生の秋、亡くなったぴーちゃんをしのんで、捨てられずに放置していた鳥かごに異変が起きます。それは、入り口が開けっ放しだったため、他の鳥のつがいがその中の巣を使って卵を産んだのです。しかし、卵を放置したまま親鳥は失踪してしまいます。鳥の育児放棄という悪夢が、百野の心に深く刻まれます。
以来、思い出のためだけに物を取っておく事をなるべく気にしています。
4.肩の脱臼
小学5年生の体育の鉄棒の時、無理をして大車輪に挑もうと準備体操で、背中に腕を回します。結果、肩を脱臼し激しい痛みで涙が止まらず、一生涯深く心に刻まれる傷となりました。
以来、そのような動きをすることを絶対に禁じています。
必殺5歳児作戦
百野に耐え切れなくなった一ノ瀬は、千鶴に愚痴を零します。そこで経験者の千鶴から百野の取説を教えてもらいました。その名も「必殺5歳児作戦」です。
百野についていくのがいかに大変かと一ノ瀬は語ります。
- 突然始まる小学5年のトラウマ話
- 突然思いついて押し付ける無理難題
- 凜子に片付け指南を受ければマネージャーを怒らせる
- そのせいでなぜか一ノ瀬が副署長に怒られる
- フォローしてもねぎらいの言葉はなし
- 近づこうものならパーソナルスペースと怒る
- 何の説明もなく無視してどこかに行ってしまう
話を聞いていた千鶴も以前を思い出して腹が立つ始末です。しかし、百野のお陰でここまで出世できた事実もあります。そこで、千鶴は百野をうまく利用するといいとアドバイスを送ります。
百野を自分より大人で立派だって期待するから腹が立つので、5歳児だと思うことにする。5歳児だと思えば百野に何を言われても、「でも仕方ないか。5歳児だから」と上から目線でいける。という作戦です。
早速百野に嫌味を言われた一ノ瀬は、これを頭に入れて何とか対応していきました。
そして最後には百野にトラウマを克服した記念のプレゼントだと言って、百野の苦手な赤い水玉の枕を贈ります。最終的に一ノ瀬は百野のあしらいを学んだのでした。
この5歳児作戦は誰でも使える作戦です。さすがに百野のような人物はいないでしょうが、それに近い妙な人に会った場合、この作戦を思い出すと少しは心穏やかにいれるかもしれません。
【欠点だらけの刑事2】の感想
まるで正反対の収納方法を提案する収納家2人の過去にあった出来事が原因で脅され、口封じのために殺害してしまったという話でした。
話としては『科捜研の女』にでもありそうな設定ですが、お笑い要素ばかりでもない話でした。人生と収納を引っ掛けて、思い出を捨てるのかとっておくのかを考えさせられます。しかし今回の2人とも思い出は簡単には捨てられず、事件が発覚してようやく本当の意味での片づけができました。
と、いい話のように終わりますが、亜希恵は殺人で起訴されるでしょうし、凜子も保護責任者遺棄罪あたりに問われるのかもしれません。肩の荷が下りた途端、新たな荷を背負うことになりそうな予感です。
相変わらず嫌な人物にしか見えない百野ですが、所々お茶目な部分があるせいで憎めない存在でした。百野の人間性には問題ありますが、それらはすべて事件解決のために役立つので刑事としては優秀という設定です。一緒に仕事する人は大変だと思います。
刑事という仕事柄、犯人逮捕が一番の目的です。周囲に好かれるいい人だけど逮捕できない人物よりも、感じは悪いが逮捕できる人物のほが適材なのでしょう。とはいえ、単独で行動することが許されない職業でもあるので、刑事よりも探偵業のほうが向いている気はします。
強烈なキャラをそれっぽく演じてくれる小日向さんは、テレ東の監察官の2時間ドラマでも似たような偏屈な役を演じていました。神経質そうな役の小日向さんは面白いです。次作があるのかはわかりませんが、また放送されたら視聴したいです。